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Yamareco

記録ID: 2630535
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
日高山脈

神威岳〜靴幅山〜ソエマツ岳〜ピリカヌプリ〜トヨニ岳 藪漕ぎ縦走

2020年10月02日(金) ~ 2020年10月05日(月)
 - 拍手
GPS
80:00
距離
22.9km
登り
2,604m
下り
2,412m

コースタイム

1日目
山行
9:33
休憩
1:02
合計
10:35
5:10
125
神威山荘
7:15
7:50
136
尾根取り付き
10:06
10:26
160
13:06
13:13
152
1468mP(靴幅山)
15:45
1410m地点
2日目
山行
7:05
休憩
0:25
合計
7:30
5:35
90
1410m地点
7:05
7:10
95
ソエマツ岳西峰の肩
8:45
9:05
182
ソエマツ岳
12:07
0:00
58
1529mP
13:05
1420m地点
3日目
山行
16:30
休憩
0:35
合計
17:05
5:25
170
1420m地点
8:15
8:35
215
ピリカヌプリ
12:10
0:00
145
1512mP
14:35
14:42
75
トヨニ岳北峰
15:57
16:05
170
トヨニ岳南峰
18:55
0:00
185
1151mP北
22:00
0:00
30
野塚トンネル十勝側
22:30
上杵臼除雪ステーション駐車帯
4日目
山行
4:35
休憩
0:00
合計
4:35
9:30
275
上杵臼除雪ステーション駐車帯
14:05
神威山荘
・軌跡は手動入力です。
・野塚トンネル〜浦河町西舎〜神威山荘 約70km 自転車走行部分は軌跡に入っていません。
天候 10/2 曇りのちガス
10/3 ガスのち雨
10/4 ガスのち雨
10/5 雨のち晴れ
過去天気図(気象庁) 2020年10月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車 自転車
10/1より狩猟期間に入るため、元浦川林道は神威山荘の13km手前で通行止め
(実際にゲートが閉鎖されたのは10/5だった。)
日高南部森林管理署で入林届を出して開錠方法を教えていただいた。
コース状況/
危険箇所等
主稜線上には整備された登山道は無い。
踏み跡やシカ道が発達している区間も一部あるが、濃密な藪漕ぎとなる区間も多数。

★主な区間の状況と所要時間
【神威岳→ソエマツ岳 8.5h】
神威岳〜1468mP(靴幅山)までは踏み跡のある場所が多い。靴幅山手前のナイフリッジも無雪期なら問題なく通過できる。靴幅山から下ったコル〜ソエマツ岳までは濃密な藪となり踏み跡も少ない。今回の縦走で距離の割に最も時間がかかった区間。

【ソエマツ岳→ピリカヌプリ 7h】
ソエマツ岳を下ると踏み跡が付いている部分が多くなる。稜線の日高側が切れ落ちていたり、小ピークへの登りが草付きの急斜面だったりで緊張感のある所も多数。1529mPの先は明瞭な踏み跡が続くが、1471mP周辺はあまり踏み跡が無かったような記憶。ピリカヌプリまでの標高差200mの登りは低い藪、草付き、踏み跡で比較的楽に登れる。

【ピリカヌプリ→トヨニ北峰 6h】
ピリカヌプリの下りは低いハイマツと草付きの急斜面。1338mPの先までは踏み跡や低い藪で歩きやすい。1384mP〜1512mPあたりは踏み跡が少なく、色々な藪が交錯していて登りが特にしんどい。1486mPを過ぎて東に向きを変えた所からトヨニ北峰までは踏み跡が多い。

【トヨニ北峰→トヨニ南峰 1.2h】
ハイマツが被っているところもあるものの比較的明瞭な踏み跡が続く。

【トヨニ南峰→1151mP北 3h】
南峰から下ると1470mPの東側をトラバースする明瞭な踏み跡が見えるが途切れてしまう。1322mの辺りは細い稜線だが無雪期なら特に問題なく、1251mPあたりまでは踏み跡も多く歩きやすい。1251mPからは標高を下げると笹薮が深くなってくる。踏み跡もあったと思うが暗闇の中だったので不明。

【1151mP北→野塚トンネル十勝側 3h】
「北海道の山と谷」で紹介されている積雪期のルート(豊似川左股中間尾根)。
尾根は背丈を超える笹が密生していて下りでも前進困難。南側の沢に下りるとそのままトンネル出口の駐車帯に出れる。沢は特に大きな滝などは無い。明るい時間帯ならもっと速く下れるはず。


★稜線上の主なテン場
・神威岳 2張 風当たる
・靴幅山の400m手前(1400m地点) 2張 風弱い
・ソエマツ岳西峰の肩手前(1410m地点) 1張 無風
・ソエマツ岳西峰の肩 2張 風当たる 地面凸凹
・ソエマツ岳 1張 風弱い
・ピリカヌプリ 2張 風弱い
・トヨニ岳北峰 1張 風弱い
・トヨニ岳南峰の肩(トラバースしたので未確認)
1日目(10/2)。
5:10、薄暗いなか神威山荘を出発。
2
1日目(10/2)。
5:10、薄暗いなか神威山荘を出発。
沢の水量は少ないほうで、渡渉も特に問題なし。
沢の水量は少ないほうで、渡渉も特に問題なし。
色付いてきた紅葉を眺めながらニシュオマナイ川を遡上していく。
色付いてきた紅葉を眺めながらニシュオマナイ川を遡上していく。
神威岳までは今年の6月13日に一度登っている上、所々にケルンが積まれていたりピンテも付いているので、特に迷うこともなくスムーズに進む。
1
神威岳までは今年の6月13日に一度登っている上、所々にケルンが積まれていたりピンテも付いているので、特に迷うこともなくスムーズに進む。
尾根取りつき地点で沢足袋から登山靴に履き替え、水も飲み貯めておく。
8.5Lの水と4日分の食料を満載し、ザックの重量は23kgくらい。重すぎてふらつかずに歩くのが精一杯だ・・・。
3
尾根取りつき地点で沢足袋から登山靴に履き替え、水も飲み貯めておく。
8.5Lの水と4日分の食料を満載し、ザックの重量は23kgくらい。重すぎてふらつかずに歩くのが精一杯だ・・・。
でも、尾根の急登は張り出した笹を掴んで負荷を分散させると意外と登って行ける。
もう10月なのに1匹だけダニが付いた。秋だからと言って油断できないようだ。
でも、尾根の急登は張り出した笹を掴んで負荷を分散させると意外と登って行ける。
もう10月なのに1匹だけダニが付いた。秋だからと言って油断できないようだ。
ニシュオマナイ岳と紅葉の景色に癒されながら着実に標高を上げていく。
1
ニシュオマナイ岳と紅葉の景色に癒されながら着実に標高を上げていく。
赤・黄・緑
主稜線が近づいてきたと同時にガスも沸いてきた・・・。
4
主稜線が近づいてきたと同時にガスも沸いてきた・・・。
今年2回目の神威岳に到着!ここまでは序章だ。
ガスが濃くなってしまい、山頂からの眺望はあまり得られず。
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今年2回目の神威岳に到着!ここまでは序章だ。
ガスが濃くなってしまい、山頂からの眺望はあまり得られず。
この先予想されるハードな藪漕ぎに備えてズボンの下に沢スパッツを再度装着。
足の保護だけでなく、2日目以降の風雨の中で足の保温にも役立ってくれた。
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この先予想されるハードな藪漕ぎに備えてズボンの下に沢スパッツを再度装着。
足の保護だけでなく、2日目以降の風雨の中で足の保温にも役立ってくれた。
この先の主稜線には登山道など無い。
さあ、未知の領域へ突入だ!
4
この先の主稜線には登山道など無い。
さあ、未知の領域へ突入だ!
ハイマツを少し分けると踏み跡が見える。
踏み跡が途切れてもハイマツは順目なので、下る分にはさほど苦労しない。
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ハイマツを少し分けると踏み跡が見える。
踏み跡が途切れてもハイマツは順目なので、下る分にはさほど苦労しない。
下っていくとガスが抜け、靴幅山〜ソエマツ岳が姿を現した。
南日高の核心部、切れ落ちた稜線と急峻な谷に圧倒される。
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下っていくとガスが抜け、靴幅山〜ソエマツ岳が姿を現した。
南日高の核心部、切れ落ちた稜線と急峻な谷に圧倒される。
ハイマツ帯を抜けても意外なほどに踏み跡がある部分が多い。
初っ端から濃密な藪漕ぎを予想していただけに助かった。
3
ハイマツ帯を抜けても意外なほどに踏み跡がある部分が多い。
初っ端から濃密な藪漕ぎを予想していただけに助かった。
コルまで標高差250mを下って振り返ると、今まで見たことのなかった神威岳の東側が。頂上付近はガスっているが、登山道から見上げるよりも迫力がある。
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コルまで標高差250mを下って振り返ると、今まで見たことのなかった神威岳の東側が。頂上付近はガスっているが、登山道から見上げるよりも迫力がある。
靴幅山の約400m手前、1400m地点には快適そうなテン場があった。
ここで1泊も良さそうだが、時間はまだ12時過ぎ。行けるところまで進むことにする。
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靴幅山の約400m手前、1400m地点には快適そうなテン場があった。
ここで1泊も良さそうだが、時間はまだ12時過ぎ。行けるところまで進むことにする。
進んでいくと稜線が細くなってきた。
1
進んでいくと稜線が細くなってきた。
靴幅山手前は幅1mほどのナイフリッジ。
ここにもしっかり踏み跡は付いていて、緊張感はあるものの左右の藪を掴んでいけばそこまで怖くない。
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靴幅山手前は幅1mほどのナイフリッジ。
ここにもしっかり踏み跡は付いていて、緊張感はあるものの左右の藪を掴んでいけばそこまで怖くない。
両側が垂直に近い角度ですっぱりと切れ落ちている。
積雪期なら本当に靴幅になってしまうのだろうか。
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両側が垂直に近い角度ですっぱりと切れ落ちている。
積雪期なら本当に靴幅になってしまうのだろうか。
1468mP(通称:靴幅山)到着。
テン泊は難しいと思われる狭い山頂だった。ガスが濃くなり眺望は開けず。
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1468mP(通称:靴幅山)到着。
テン泊は難しいと思われる狭い山頂だった。ガスが濃くなり眺望は開けず。
靴幅山からは稜線は南東に向きを変える。
入口から踏み跡が付いていた。
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靴幅山からは稜線は南東に向きを変える。
入口から踏み跡が付いていた。
靴幅山〜コルまでの下りは草付きの斜面で割と歩きやすい。
靴幅山〜コルまでの下りは草付きの斜面で割と歩きやすい。
コルから先、十勝側の斜面をトラバースする踏み跡が少しあり入ってみたが、そのうち消えてしまった。稜線上に戻るのも濃い藪でかなり苦労した。
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コルから先、十勝側の斜面をトラバースする踏み跡が少しあり入ってみたが、そのうち消えてしまった。稜線上に戻るのも濃い藪でかなり苦労した。
稜線の一番高いところに上がっても踏み跡は無く、濃密な藪が続いた。
3
稜線の一番高いところに上がっても踏み跡は無く、濃密な藪が続いた。
ハイマツをなぎ倒し、踏みつけながら枝の上を進むしかない。
2
ハイマツをなぎ倒し、踏みつけながら枝の上を進むしかない。
切り立った岩の横を通過する場面が数か所あった。
2
切り立った岩の横を通過する場面が数か所あった。
濃密な藪に手こずり焦っていたところ、ソエマツ岳西峰の肩への急登手前(1410m地点)に良い感じの平場を発見!
無風で快適なテン場だった。
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濃密な藪に手こずり焦っていたところ、ソエマツ岳西峰の肩への急登手前(1410m地点)に良い感じの平場を発見!
無風で快適なテン場だった。
2日目(10/3)。
ソエマツ岳西峰の肩への登りに踏み跡は無い。藪をつかんで僅かな隙間に体をねじ込み、強引に這い上がっていく。標高差150mの登りに1時間半もかかった。
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2日目(10/3)。
ソエマツ岳西峰の肩への登りに踏み跡は無い。藪をつかんで僅かな隙間に体をねじ込み、強引に這い上がっていく。標高差150mの登りに1時間半もかかった。
ソエマツ岳西峰の肩(1560m)。2張分のテン場があるが、地面が凸凹していて風当たりもある。荒天時は微妙かもしれない。
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ソエマツ岳西峰の肩(1560m)。2張分のテン場があるが、地面が凸凹していて風当たりもある。荒天時は微妙かもしれない。
視界10mの中、細い稜線をソエマツ岳に向かって進む。
ここも藪が濃くてかなり苦戦。
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視界10mの中、細い稜線をソエマツ岳に向かって進む。
ここも藪が濃くてかなり苦戦。
こんなところに地下足袋が落ちていた。
稜線上で人工物を見るとなぜだか安心感がある。
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こんなところに地下足袋が落ちていた。
稜線上で人工物を見るとなぜだか安心感がある。
ソエマツ岳到着!視界無しorz
転がっていた標石と自作標識を絡めて。
13
ソエマツ岳到着!視界無しorz
転がっていた標石と自作標識を絡めて。
ソエマツ岳から南は踏み跡が付いている部分が多く、濃密な藪からは解放された。しかし風雨が強く、寒くてたまらない。
早くテン場にたどり着きたい一心で歩いていたため、ほとんど写真も撮っていない。
ソエマツ岳から南は踏み跡が付いている部分が多く、濃密な藪からは解放された。しかし風雨が強く、寒くてたまらない。
早くテン場にたどり着きたい一心で歩いていたため、ほとんど写真も撮っていない。
2日目はピリカまではたどり着けず、1529mPと1471mPの中間あたりの笹薮の中に僅かな平場を見つけてテン泊。狭くて寒くて傾いてて・・・劣悪な環境ながら一応寝れた。
3
2日目はピリカまではたどり着けず、1529mPと1471mPの中間あたりの笹薮の中に僅かな平場を見つけてテン泊。狭くて寒くて傾いてて・・・劣悪な環境ながら一応寝れた。
3日目(10/4)。
笹薮の中の狭いテン場(?)を出発。
2
3日目(10/4)。
笹薮の中の狭いテン場(?)を出発。
3日目も濃いガスの中。
ピリカヌプリへの最後の登りは薄い藪と踏み跡で順調に進む。
3日目も濃いガスの中。
ピリカヌプリへの最後の登りは薄い藪と踏み跡で順調に進む。
北海道百名山121/123座目、ピリカヌプリ登頂!
視界が無いのは残念だが、憧れの山に登頂できた喜びは大きい。
山頂は意外と広々していた。
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北海道百名山121/123座目、ピリカヌプリ登頂!
視界が無いのは残念だが、憧れの山に登頂できた喜びは大きい。
山頂は意外と広々していた。
二等三角点「奴振」。
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二等三角点「奴振」。
山頂の少し低くなった部分に2張分のテン場があり、日高側からの風を避けられるので快適そう。
好天時にここでテン泊して、美しい山から美しい景色を眺めたら幸せだろうなぁ〜。
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山頂の少し低くなった部分に2張分のテン場があり、日高側からの風を避けられるので快適そう。
好天時にここでテン泊して、美しい山から美しい景色を眺めたら幸せだろうなぁ〜。
草付きの急斜面を下っていると一瞬だけガスが抜け、背後にピリカヌプリの山頂部が姿を現した。美しい・・・。
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草付きの急斜面を下っていると一瞬だけガスが抜け、背後にピリカヌプリの山頂部が姿を現した。美しい・・・。
ピリカヌプリ〜1338mPの先あたりまでは薄い藪と踏み跡が続いた。稜線が細くなるところもあったが、割とサクサク歩ける区間だった。
ピリカヌプリ〜1338mPの先あたりまでは薄い藪と踏み跡が続いた。稜線が細くなるところもあったが、割とサクサク歩ける区間だった。
1384mP〜1512mPあたりは踏み跡は少なく、背丈を超える笹や密なハイマツ、ダケカンバやら色々な藪が交錯していた。登りは一歩前に進むのもしんどい。
1384mP〜1512mPあたりは踏み跡は少なく、背丈を超える笹や密なハイマツ、ダケカンバやら色々な藪が交錯していた。登りは一歩前に進むのもしんどい。
トヨニ岳北峰(1529m)到着。
三角点は無いが標石が埋め込まれていた。
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トヨニ岳北峰(1529m)到着。
三角点は無いが標石が埋め込まれていた。
窪地に1張分のテン場あり。風も避けられ快適そうだが、翌朝にかけての悪天候が心配でこの日のうちに頑張って下山することにした。この判断は良かったのか悪かったのか・・・
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窪地に1張分のテン場あり。風も避けられ快適そうだが、翌朝にかけての悪天候が心配でこの日のうちに頑張って下山することにした。この判断は良かったのか悪かったのか・・・
トヨニ岳北峰からはまあまあ明瞭な踏み跡があった。
風雨は止まないながらも濃いガスは抜けてきて、南峰へ続く稜線が見えてきた。
3
トヨニ岳北峰からはまあまあ明瞭な踏み跡があった。
風雨は止まないながらも濃いガスは抜けてきて、南峰へ続く稜線が見えてきた。
振り返ると、今まで歩いてきたピリカヌプリから続く稜線も見渡せた。こうしてみると高低差は少ないように見えるが、距離も長くてハードな道のりだった。
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振り返ると、今まで歩いてきたピリカヌプリから続く稜線も見渡せた。こうしてみると高低差は少ないように見えるが、距離も長くてハードな道のりだった。
背後からピリカヌプリに「またいつでも挑戦しに来るがいい・・・!!」と言われている気がした。
次は残雪期だ。
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背後からピリカヌプリに「またいつでも挑戦しに来るがいい・・・!!」と言われている気がした。
次は残雪期だ。
右手に日高側の急峻な沢を眺めながら進む。
2
右手に日高側の急峻な沢を眺めながら進む。
左側のピークがトヨニ南峰。
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左側のピークがトヨニ南峰。
今回の縦走で最後の主要なピーク、トヨニ岳南峰(1493m)到着!
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今回の縦走で最後の主要なピーク、トヨニ岳南峰(1493m)到着!
南に続く主稜線。右の1470mPを経て1100mまで標高を落とし、その先に野塚岳、オムシャヌプリ、十勝岳、楽古岳・・・と三角形の山が立ち並ぶ。壮観だ。
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南に続く主稜線。右の1470mPを経て1100mまで標高を落とし、その先に野塚岳、オムシャヌプリ、十勝岳、楽古岳・・・と三角形の山が立ち並ぶ。壮観だ。
東側には1460mP、その左には日高山脈最南端のカール、トヨニ岳カール(通称ペンギンカール)が見える。
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東側には1460mP、その左には日高山脈最南端のカール、トヨニ岳カール(通称ペンギンカール)が見える。
なぜペンギンと呼ばれるんだろう?
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なぜペンギンと呼ばれるんだろう?
既に時刻は16時過ぎ。主稜線を南下していくとすぐに暗くなった。
積雪期の記憶とヘッデンを頼りに暗闇の藪と格闘した末、何とか無事に野塚トンネルまで下りることはできた。
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既に時刻は16時過ぎ。主稜線を南下していくとすぐに暗くなった。
積雪期の記憶とヘッデンを頼りに暗闇の藪と格闘した末、何とか無事に野塚トンネルまで下りることはできた。
4日目(10/5)。
神威山荘まで自転車で車を回収しに行く。デカザックを背負って前傾姿勢が辛すぎる・・・。オバケの出そうな川(?)のあたりにザックを放置して後で回収した。
5
4日目(10/5)。
神威山荘まで自転車で車を回収しに行く。デカザックを背負って前傾姿勢が辛すぎる・・・。オバケの出そうな川(?)のあたりにザックを放置して後で回収した。
身軽になった体で、好天の中のサイクリング。
風雨に吹かれながらの稜線藪漕ぎに比べると、なんて平和なんだろう。
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身軽になった体で、好天の中のサイクリング。
風雨に吹かれながらの稜線藪漕ぎに比べると、なんて平和なんだろう。
神威橋からは長雨で増水した元浦川が見下ろせた。林道が崩れていないか心配になったが、特に問題なかった。
今回は長距離かつ悪路なのでランドナーで。
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神威橋からは長雨で増水した元浦川が見下ろせた。林道が崩れていないか心配になったが、特に問題なかった。
今回は長距離かつ悪路なのでランドナーで。
涼しくて紅葉もきれいで、元浦川林道の登りもそこまで苦にならなかった。650×38Aでも普通に走れて、意外とフラットダートな部分も多い。乗り物が変わると道の印象もまた変わるものだ。
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涼しくて紅葉もきれいで、元浦川林道の登りもそこまで苦にならなかった。650×38Aでも普通に走れて、意外とフラットダートな部分も多い。乗り物が変わると道の印象もまた変わるものだ。
紅葉の渓谷と神威岳。
4日間の山行で一番気持ち良かったのは自転車での林道サイクリングだった。何しに行ってたんだか(笑)
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紅葉の渓谷と神威岳。
4日間の山行で一番気持ち良かったのは自転車での林道サイクリングだった。何しに行ってたんだか(笑)
20kmのダートを2時間で走破して神威山荘到着!
周回縦走は無事に完結となった。
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20kmのダートを2時間で走破して神威山荘到着!
周回縦走は無事に完結となった。

感想

北海道百名山も残りわずかとなったが、難関のピリカヌプリをどうやって攻略するか悩んでいた。
ピリカヌプリに登る方法は主に3つが考えられた。(もちろんこれ以外にもある)

〇沈禊に野塚トンネル〜トヨニ岳経由
▲魅咼淵だ遒梁登り
神威岳からの稜線縦走

,了沈禊は条件次第では日帰りも可能で、最も現実的と思われた。△離魅咼淵だ遒和瑤料備・技術に乏しい人が行ける領域ではないので除外。そして一番魅力的に思えたのがの稜線縦走だった。
神威岳〜ソエマツ岳までのピストンなら記録がわずかにあるが、ピリカまで縦走した記録は見たことが無い。となると俄然興味が湧いてきた。どうせなら単純なピストンではなく、ピリカからさらにトヨニ岳まで縦走し、藪尾根で野塚トンネルに下り、自転車でつなげたら変化に富んだ周回縦走ができそうだ。どんな藪が待ち受けているんだろう。未知の世界にワクワクしながら、涼しくなる時期を狙って挑戦してみた。


・1日目 10月2日
誰もいなかったので前夜は神威山荘で1泊。気温11℃、とても快適でよく眠れた。今回は水場の無いロングコースとなる。大量の水と食料を詰めたザックは23kgくらいになっていた。背負うのも一苦労だ。尾根取り付きまでの沢の水量は普通で、難なく進める。尾根取り付きで沢足袋から登山靴に履き替え。ピストンではないので沢装備もデポせず全て担ぐ。これだけの重装備を背負って尾根の急登はさぞかし辛いだろう・・・と予想していたが、涼しくて紅葉も綺麗で、思ったほどではない。その後の藪の稜線に比べれば快適な登山道だった。日帰り装備のときより+1時間弱の所要時間で神威岳に到着した。

神威岳からは快適な登山道に別れを告げて、藪の稜線に突入する。6月に神威岳に登った時、ここからソエマツ岳に続く切れ落ちた稜線を見て、いつか歩いてみたいとずっと思っていた。念願が叶った嬉しさ、そして期待と不安が入り混じっていた。
コルまでの下りは意外なほど踏み跡があり苦労しなかった。稜線上は基本的に一番高い所を歩く。トラバース気味の踏み跡があれば使っても良いが、なるべく早く稜線上に復帰する。
1400mへの登りには笹藪の中にしっかりと踏み跡があった。登り切ったところには整地され快適そうな2張分のテン場があった。しかしまだ時間が早すぎるので、次のテン場であるソエマツ岳西峰の肩を目指して進む。
高度感のあるナイフリッジを慎重に通過し、1468mP(靴幅山)。ガスが濃くなってしまい、眺望は全くない。コルまで下るといよいよ藪が濃くなってきた。笹藪をトラバースする踏み跡もいつしか消え、稜線上も密なハイマツ。枝を踏みつけながら一歩一歩進むが、足を離したときに跳ね返ってくる枝にも注意が必要だった。

15時を過ぎ、明るいうちに西峰の肩に着けるか不安になってきた。暗闇の藪漕ぎはやばいだろ・・・と思い始めたころ、運良く1張分の平場を発見!シカ道の交差点のようだ。稜線のやや十勝側で、風も全く当たらず快適なので、そこを初日のテン場にした。明日以降は予報通り雨が続くようで憂鬱になった。


・2日目 10月3日
明るくなっても濃いガスで視界は全くなし。気温9℃。
まだ雨は降っていないが、濡れた藪を想定し上下カッパで出発。すぐにソエマツ西峰肩への急登に取り付く。踏み跡は無い。濃い藪と急斜面で前進困難かと思いきや、藪を掴んで強引に這い上がると何とか進めそうな隙間が見える。藪の弱点(?)を探しながら少しずつ標高を上げていった。西峰肩からソエマツ岳までも似たような感じで、稜線の最上部を行っても手こずる藪が多かった。

3時間少々でようやくソエマツ岳に到着!好天ならピリカヌプリに続く稜線が見えてさぞかし良い景色なんだろうなぁ。
ソエマツ岳からの下りは最初はやや不明瞭だったが、下っていくと踏み跡が出てきた。やっと濃密な藪から解放されてほっとした。しかし、ガスって視界は約10m。主稜線がどこなのか分かり辛く、支稜に逸れていないか不安だった。日高側の切れ落ちた谷からは強烈な風が吹き上げてきて、雨も降りだしてきて寒い。小ピークがいくつも出てくるが、登りがどこも結構な急斜面で気を抜けない。うわっ、これ登れるのか・・・!?という急斜面も出てくるが、近づくと草付きの中に階段状の足場があったりする。
岩混じりの1529mPで稜線が向きを変えると、明瞭な踏み跡がしばらく続いた。しかし雨と強風でとにかく寒く、頑張って歩いても震えが止まらない。低体温症の前兆だったかもしれない。このままピリカヌプリまで行って吹きさらしの山頂泊ではさすがにリスキーか?と思い、風の当たらないテン場を探す。
1529mPから600mくらい進んだ地点で十勝側の笹藪の中に入ってみると、1.5m×0.5mくらいのわずかな平場を見つけた。そこで無理やりテントを張った。
テントが笹で押されて狭いし、傾いてるし、寒いし、全ての物が濡れていてクソみたいな環境だったが、辛うじて休養を取ることはできた。


・3日目 10月4日
濃いガスで視界0。
この先の日程を考える。ここからピリカ〜トヨニを経由して野塚トンネルまでは最短でも12時間はかかり、1日で行くなら日没を過ぎるのは確実だ。しかし明日10/5は朝方の雨風がさらに強くなる予報で、濡れた装備で山中もう1泊を耐えられるか微妙だ。両方のリスクを天秤にかけ、頑張ってこの日に下山する方向で出発した。

1471mP周辺は踏み跡が少なかったが、ピリカヌプリへの標高差200mほどの登りは薄い藪と草付きが多く、途中からは踏み跡も付いてきて快調に登っていけた。8:15、ようやくピリカヌプリ登頂!やはり視界は無いものの、難関な頂に立てた喜びは大きい。三角点に自作標識を置いて記念撮影。山頂部はなだらかで広い草地となっていた。
ピリカヌプリから1338mPの先までは踏み跡も多く歩きやすい区間が続いた。しかし1384mPを下る辺りから背丈を超える笹が出てきて、その先も色々な藪が混ざり合う。1512mPへの登りは一歩前に進むのもきつかった。山と谷2に書いてあった、「稜上のピーク前後の藪漕ぎがきつい」とはこの辺のことだろう。
トヨニ岳北峰が近づくと踏み跡が出てきたが、同時に雨も降りだし、また寒くなってきた。しかし北峰を過ぎるとガスが抜けてきて、久々に視界が開けた。目の前にはトヨニ南峰、背後には今まで歩いてきたピリカからの長い稜線が見渡せた。よくこれだけの距離を歩いてきたものだ。

トヨニ岳南峰からさらに主稜線を南下していく。この辺も踏み跡は多くスムーズだった。しかし、岩峰を越えて1251mPを下るといよいよ暗くなってきた。野塚トンネル〜1251mPまでは積雪期に2回ほど下見に来ている。その時の記憶と、ヘッデンの明かりを頼りに暗闇の稜線を進んだ。何度かGPSを入れて1151mPの北側の分岐点に到着。野塚トンネルに伸びる尾根を下るが、背丈を超えるネマガリが強烈で、下りなのに身動きが取れないほど。ちょっと予想外だった。まずい。
尾根で下るのは厳しそうなので、足元の感覚を頼りに南側の沢地形に下りてみる。この沢も積雪期に歩いていて、一定の傾斜が続いたので大きな滝などは出てこないだろうとの予測は当たった。時間はかかってしまったが、登山靴でも水流の無い所を選んで無事に下ることはできた。近づいてくる国道の灯にはどれほど勇気づけられたことか・・・。

野塚トンネルからデポしておいた自転車に乗り、国道を浦河方面へ。14km下ったところにある除雪ステーションで朝まで仮眠。


・4日目 10月5日
この日は神威山荘まで自転車で車を回収しに行くだけ。
浦河町西舎のコンビニで食料を補給し、元浦川林道に向かう。水を吸ったザックが重くてあまりにも辛かったので、食糧だけ持ってザックは途中で道端に放置した。自転車で長距離を走るときは体には何も着けないという基本を忘れていた。
昼前から天候も回復し、身軽になった状態で神威山荘まで気持ち良いサイクリングを楽しんだ。



・まとめ
整備された道も水場も無く、テン場やエスケープも限られ、ひたすら藪しかない今回のルート。たぶん過去最高にハードな山行だった。ピリカ登頂と稜線縦走は達成できたが、反省点も多かった。まず、連日悪天候が予想されていたのに決行したのがそもそもの失敗だったかもしれない。ガスってほとんど視界が無かったのは残念だったし、寒かったせいで8.5L持参した水も半分しか消費しなかった。
暗闇での藪漕ぎもリスキーだった。支稜に迷い込んだり、別の沢に下りたりしたら面倒なことになっただろう。明るいうちに行動を終えるのが前提だけど、それができない場面に備えて読図力を上げる事と、GPS専用機の導入も検討しようと思う。
日高の稜線縦走は積雪期のほうが快適かもしれない。しかし、今回の山行で無雪期でも意外と行けるんじゃないか?という実感を掴むことはできた。カムエク〜コイカク、ヤオロマップ〜ペテガリ、野塚〜楽古など、他にも無雪期に繋げそうな区間は結構ある。来年以降の課題にしてみたい。

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コメント

大変な偉業
お疲れさまでした! とありきたりな労いの言葉しか出てきません。
北海道の岳人でも殆んど不可能となコースを敢て挑戦して敢行した意思と体力に仰天しております。敬服の至りです。
詳細な Photo に添えられたコメントで今後誰かが挑戦するであろう山行の貴重な指針になること大であります。このコースは日高山脈を一番に愛する人でも困難な夢のコースだと想像します。投稿に感謝いたします。(日高初心者) 
2020/10/27 21:39
Re: 大変な偉業
tannayさん、初めまして。
このコースは沢登り等に比べれば特別な技術や装備は要らないですが、重装備を背負って長時間の藪漕ぎはしんどいものがあります。今回は悪天候のせいもあり、早く下山することを優先していて少し記録が疎かになってしまいました…。
天候さえ良ければ南日高三山をまとめて満喫できる素晴らしいコースだと思いますので、今後挑戦する方が出てきたら嬉しいですね。
2020/10/28 17:58
Re[2]: 大変な偉業
返信して下さりありがとうございました。se11482さんの中日高の山行記録でまた未知の日高の夢がふくらみました。しかし僕には到底無理で果たせそうにはないです。この記録を拝観するのみです。
2020/10/28 20:50
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