南ア深南周遊 麻布山、黒法師、丸盆、鎌崩、六呂場、黒沢山
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- GPS
- 56:14
- 距離
- 33.4km
- 登り
- 3,493m
- 下り
- 3,496m
コースタイム
- 山行
- 6:31
- 休憩
- 1:44
- 合計
- 8:15
- 山行
- 8:49
- 休憩
- 2:22
- 合計
- 11:11
- 山行
- 7:50
- 休憩
- 0:45
- 合計
- 8:35
天候 | 10/31 快晴、11/1 晴れ、11/2 曇りのち雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
通行止めの場所には7台ほど止められるよう 水窪ダムの途中からは未舗装路で落石に注意が必要 |
コース状況/ 危険箇所等 |
麻布山西尾根: 通行止め少し手前から取り付くことが可能。林道の後がるのでそこから入るのが良い(今回は駐車場所から直接取り付いたがそちらがベスト)。その後は麻布山まで藪はなく快適な尾根歩き(急登)。ただし、登りなら迷うことはないが、下りは読図が難しいかもしれない。ピンクテープとかはない。 麻布山〜前黒法師〜打越峠: 一般道だが読図は必要。藪はない。 打越峠〜バラ谷の頭〜黒法師岳: 1800m以上になると笹藪となる。ただし、鹿、人が入っているためまだまし。笹丈は最大で目線くらい。 黒バラ平水場: バラ谷の頭直下に水場の標識あり。急坂を5分程度下ると水場がある。水量豊富。水場を整備していただいた山と生きる会に感謝! 黒法師〜丸盆岳: 笹藪ではあるが、ここも人が入るので笹丈もそこまでではなく悪くはない。黒バラ平、カモシカ平は幕営に良い。 丸盆から鎌崩: 深南最大の難所で今回の山行の核心部。危険なのは、丸盆からすぐの小ピークのコルと鎌崩。コルは寸又側を少し巻くがその数メートルの岩のヘツリが不安定。肝を冷やした。最低コルも寸又側を巻くが、こちらは残置ロープや梯子がありイージー。鎌崩は最初のとりつきで2メートルほど草付きからがれに降りるところが嫌な感じだが木や木の根があるので慎重にいけばロープなしで下れる。そこから核心部は非常に不安定な石、岩がのっかってるだけのリッジ。四つん這いで不安定な石岩を落としながら慎重にいけば稜線を通せる。核心を過ぎたら7m程の大岩があり稜線を通せないので水窪側にその岩をトラバースして木が生えているエリアに取り付く。そこからしばらく水窪川をトラバースし、具合の良いところで稜線に復帰する。復帰すれば危険地帯の突破となる。逆ルートの場合、このトラバースが分からず、核心への降り口で非常に苦労すると思われる。 ちなみに核心通過直後にハイマツを発見。丸盆では探したが見つからず、このハイマツが最南端のハイマツの可能性がある。 鎌崩〜鹿の平〜六呂場山〜矢筈尾根分岐: アップダウンが激しいのでかなり消耗する。鹿の平からの下りに1箇所岩場の危険個所あるが、残置スリングがあり気を付ければ問題ない。 矢筈尾根〜黒沢山手前1901mコル: 人が入っていないため、笹の激藪。特に平坦な部分は背丈ほどもあり、しかも倒木があちこちにあり前進に困難を極める。笹藪は1995mPまで続く。その後コルまでは藪は薄いが、1箇所危険個所がある。 1901mコル下水場: 沢の傾斜は緩く鹿の道もしっかりしていて割と歩きやすい。ただ、傾斜が緩い分、水が地表に出てこず、水が確保できる適地まで高低差で100mほど下る必要がある。往復1時間近くかかる。 1901mコル〜黒沢山: 笹藪ではあるが、深くても胸までなので割とまし。鹿道をたどると楽できる。 黒沢山〜1840m付近: 急坂付近は笹藪はそれほどひどくないが、傾斜が緩い場所は極悪の笹藪、倒木帯。今回のルートで最悪の藪だった。背丈ほどの笹藪に加え、大量の倒木が行く手を阻む。倒木が積み重なって胸あたりにある場合も多く、通過にはかなりの時間がかかる。 1840m付近からシャウズ山: 一転してはっきりしたルートとなる。ピンクテープも沢山ついていて、ルート上は笹も生えていない。他の一般道よりも良いくらいで、一番良い道だった。 シャウズ山〜奥布山〜奈良代林道出合: 一般道と思っていたがルートは非常に不明瞭。藪がないのでトレースがなく、落ち葉が積もり、踏み跡も分からない。ピンクテープあるがまばら。地形的に難しい部類の読図で難しい方のバリエーションと考えた方がいい。奈良代林道出合は国土地理院の地図よりも西に降りるので、注意。ちなみにピンクテープは戸中山林道ではなく林道を突っ切る方向に行っているので、たどってはいけない。(最初間違えた) 林道〜1323m〜奈良代橋: 国土地理院の地図にルートはあったが、実際にはない。テープはあるにはあるが当てにできない。ただ、稜線にのってしまえば1323mまでは稜線をたどれるので比較的わかりやすい。その直下は激急坂で地形もはっきりしないので読図が非常に難しい。 しかも放置された間伐材が各所にあり通行困難。南の大ルンゼに行かないようここだけはGPSを使って慎重に尾根に入った方が良い。(ここから奈良代橋までの状態は行ってないので不明) ※南の大ルンゼに行かないよう東寄りに行ったがかなり下った時点でコンパスと地形が合わないのでGPSを確認すると、1つ東の尾根に入っていたことが判明。しかも地形図にない巨大なルンゼが正規の尾根との間にありトラバースも不可。激坂を下るとさらに傾斜はきつくなり、最終的にロープ(20m)で下降、河床に降りなければ帰ることができなくなる。 西俣沢河床: ひざ下くらいの水量で渡渉可能。複数の砂防ダムがあるが釣り師の道があるので下れる。奈良代橋手前の崩れた場所から林道に復帰可能。 戸中山林道: 特に崩落なく通行可。崩れても整備してくれているよう。 |
その他周辺情報 | 近くに温泉はなし。 水窪ダムに自販機あり。 |
写真
コル直下、数メートルのトラバースが足場が悪くて、よい持ち手がなくいやらしい。胸につけたボトルが引っかかり、一瞬剥がれそうになって肝を冷やしました。
実際は、大岩下を水窪側にトラバースして、草付き帯まで抜けられました。ただこのルート、南下した場合は見つけるのは困難でしょう。
支点取れないのでロープななしで行きます。
とにかく不安定な石、岩が稜線に乗っていて迂闊に進めません。
四つん這いで不安定な石を落として道をならしながら慎重に進みます。
他の方の記録でも言っていましたが、アップダウンで結構ハードです。
「耳目は欺かない、判断が欺くのだ」この言葉が翌日のルーファンで身に染みるとは。この時は知る由もなし。。。
しかも国土地理院と違う場所に出たので少しルートミスして林道をぐるり(今回初のGPSチョンボ)。
心の隙ができるとピンクテープに頼りたくなるのは誤りの始まりですね。
でもこの後の急坂で地図にない大ルンゼを直下のルンゼと勘違いし、読図ミス。GPSチョンボして間違いに気づいた時にはだいぶ降りたところ。ルンゼのためトラバースできないし、数100m登り返すのも辛いので、物凄い急坂降りることに。。。
装備
個人装備 |
ヘッドランプ
予備電池
1/25000地形図
コンパス
筆記具
ライター
ナイフ
保険証
飲料
ティッシュ
ファーストエイドキット
タオル
携帯電話
計画書
雨具
防寒着
スパッツ
手袋
ストック
ビニール袋
替え衣類
入浴道具
シュラフ
ザックカバー
クマよけ鈴、ピストル
食器
箸
スプーン
コップ
時計
日焼け止め
非常食
虫除け
カメラ
サンダル
ヘルメット 鎌崩通過用
シュラフマット
サブザック
サングラス
歯ブラシ
登山靴
ケータイ用バッテリー
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共同装備 |
テント 1 TK
ガスヘッド 1 Satoshi
ガス缶 1 Satoshi
コンロ台 1 Satoshi
コッヘル (1L) 1 Satoshi
新聞紙 (5枚程度) 1 Satoshi
軍手 1 Satoshi
ロープ 8mmX20m 1 Satoshi
炊事用水用タンク(2L) 2 Satoshi, TY
テント内銀マット 1 Satoshi
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感想
昨年からTYさんと深南部稜線をつなげていたが、黒沢山以南のオールスターが集う稜線が抜けていたので一気に周回してつなげることにした。今回は懸案だった鎌崩やバリエーション、激藪漕ぎと盛りだくさんのルートである。
これに加えてアケ河内源頭で焚火なども考えたが行程的に厳しくなるし、天気(1,2日目晴れ,3日目雨)も考慮し、最終的にはオーソドックスに稜線伝いとした。
1日目。
初っ端から核心で戸中山林道から麻布山に突き上げるというバリエーションルートとなる。ここを通ったという情報が全くなく、林道のへりが崖のようなので取り付きがあるか心配していた。が、通行止め手前の駐車スペース前で上手く取り付くことができた。急登ではあるが、藪もない快適なルートであっさり麻布山に到着できた。あとは一般道なので順調に前黒法師、バラ谷の頭を通過し、黒バラ平で初日を終えた。秋ということでこの日の夕食は芋煮会。芋もうまいが牛肉が美味であった。
2日目。
雲はあるが天気は良い。行程的にこの日がメイン。鎌崩のことを考えると少しそわそわした。
最初は足慣らしで黒法師に登る。調子は良い。2年ぶりの黒法師。前は人っ子一人いなかった(林道の土砂崩れで人が入っていなかった)が、今回は山頂で幕営中のおじいさん、若者2人パーティーと会う。若者は寸又峡から丸盆東尾根をつき上げてきたというなかなかのやり手だった。
カモシカ平を通り丸盆まで行く。ここで日本(世界)最南端ハイマツがあるという話だったが、探しても見つからず。噂どおり枯れてしまったのかもしれない。(それっぽい枝はあったが、葉はなかった)
そして、ここからいよいよ鎌崩に向かう。さっそく水窪側の崩落しているへりを降りていく。丸盆からすぐのピークまでのコルがいきなりやばかった。寸又峡側を巻くが、コル直下の数mのトラバースの足場が悪く、良い持ち手もない。しょうがないのでコケに指を突っ込んで剥がされないようで行くが、胸につけていたボトルが引っ掛かりはがれそうになり、肝を冷やした(汗)。次の最低コルはそれほどでもなく、寸又峡側にしっかりした巻道があり、残置ロープ、アルミ梯子があって問題なく通過できた。
その後、崩落地にヘリをつき上げると、核心の鎌崩が現れた。ぱっと見、核心の稜線を行った先からどう稜線にのるのかが分からない。また、今いる草付きの場所から核心の崩落地まで下りるのも数mの落差がありそのまま降りて行けなそうに見えた。
結局、行ってる人いるしまずは行ってみようということで、先に進んでみることにした。ロープに関しては、支点取れないし、20mじゃ微妙ということでノーザイルとした。
取り付きは近くに生えている木や木の根を慎重につかめば、何とか降りることができた。その先の核心部は、不安定な石がごろごろ乗っていてそのままでは恐ろしくて歩けない。四つん這いで石を落として歩きやすくしてから少しずつ進んだ。この体勢だと20kg超の荷物が重くのしかかる。どの岩も信用できないがバランスとるくらいならいける。そうやって慎重に前進し、何とか核心部を抜けることができた。核心を抜けると、立ちはだかる大岩は水窪側にトラバースできそうで、そこを慎重にトラバースし、草付き帯まで抜けることができた(トラバースも次々崩れたので危険だった)。こんな恐ろしいところだったが、バッタがのどかに鳴いていた。草付きにでると、しばらく水窪側をトラバースして、都合のよさそうなところで稜線につき上げ鎌崩を無事通過することができた。
稜線にでるとなんとハイマツが1株だけ生えていた。鎌崩にもあると聞いていたが、本当にあった。もしかしたら、これが南限のハイマツだったかもしれない(少なくとも光よりはだいぶ南である)。
核心部を過ぎれば、あとは一般道。鹿の平で不動をピストンして幕営するか悩んだが、立派な不動はまた来るだろうということで今度にとっておくこととし、今回は黒沢山までつなげることにし、先を急いだ。
鹿の平からの稜線はアップダウンが激しく、上ったり下ったりの連続で体力を奪われた。よく歩かれている矢筈尾根まではいいが、そこから1995mのピークまではまた激藪祭り。特に1762mP〜1814mPまでの傾斜の緩い場所は背丈ほどの笹藪とあちこちの倒木に苦しめられた。何とか最後の力を振り絞り1995mPにたどり着き、日没時間前に幕営予定の1901mコルに到着した。到着後、すぐに沢を標高差100mほど下り水を確保し、日が暮れてからようやくゆっくりすることができた。鎌崩を通過したという達成感からかビールがいつも以上においしく感じられた。
3日目。
朝からの雨が心配だったが、降ってはいなかった。卵雑炊で体を温め、まずは黒沢山まで向かう。笹藪ではあるが、鹿道もあるし藪は深くても胸までなので割と苦労せず上がれた。雨が降る前に黒沢山の藪を抜けたいので、山頂に長居はせず、すぐ下山する。
初めの急坂付近の藪はそれほどでもなかったが、傾斜が緩い場所から魔の山が牙をむいた。背丈ほどの極悪笹藪に加え、大量の倒木が行く手を阻む。鹿も通らないようで獣道もほとんどない。倒木が積み重なって胸あたりにある場合も多く、通過にはかなりの時間がかかった。1840m付近に休める場所があり一息つくと、そのあとは嘘のように藪のない極楽のルートがシャウズ山までつづいていた。
シャウズ山からは一般道と思っていたが、ここでも楽はさせてくれなかった。先ほどとは違いルートは非常に不明瞭になり、ピンクテープもあるがまばら。稜線もはっきりしないバリエーションルートとなった。何とか地図とコンパスでルートを追い、奈良代林道出合まで出ることができた。ただ、そこからピンクテープを追ってしまったため、あらぬ方向に降りてしまい戻ることに。毎度思うがピンクテープは心の隙をついて迷わせてくる。奈良代林道を戻り、奈良代山の尾根に取り付き、最後の急斜面を降りて行った。このルートも国土地理院の地図に記載はあったが実際にはなく、一般道で楽できるという淡い期待はもろくも砕かれた。ただ、稜線にのってしまえば1323mまでは稜線をたどれるので、ここまではあまり苦労なく降りることができた。
そして、ここからがこの山行のハイライトだった。地形的に読図が非常に難しく、南の大ルンゼに行かないよう東寄りに行ったのと、地形図にない大ルンゼがあったことで、一つ東の尾根に降りてしまったのだ。それに気づいた時にはすでにかなり下っておりトラバースや戻ることも困難。結局、ひたすら激急坂を下るしかなかった。下れば下るほど傾斜はきつくなり、最終的にロープで下降、なんとか西俣沢河床に降りることができた。このあたりはTYさんに助けられた。
西俣沢はひざ下くらいの水量だったので渡渉は問題なかった。ただ、ほどなくして落差20m程はある砂防ダムが現れる。やばいと思ったが、釣り師が作ったと思われる梯子や巻き道があり、無事巻くことができた。最後は奈良代橋手前の崩れた場所から林道に復帰でき、ここでようやく無事を確信した。
最後は林道を30分ほど歩き、長い長い深南周遊の旅がようやく終わった。
今年はいつもより全然山に行けていなかったが、バリ、激藪漕ぎ、鎌崩、懸垂下降、渡渉と1年分の山行を凝縮したような充実したものだった。
やっぱり深南は最高ですね!
コメント
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Satoshi884様 初めまして
小生深南部に興味があります。黒法師岳、不動岳、池口岳は登っています。この記事を非常に興味深く読みました。
ところで麻布山西尾根の古い林道跡の入口を教えていただければまことに幸いです。
記事にある林道跡は通行止地点から何m程手前でしょうか。
小生の計画は、西尾根〜バラ谷ノ頭(泊)〜黒法師〜等高尾根下山です。
御多忙中とは存じますがよろしくお願いいたします。
gezansya様。はじめまして。ヤマレコ確認しておらず、返信遅れてしまいすみません。
山行に間に合っていなかったらごめんなさい。。。
ご質問の西尾根の林道跡ですが、通行止から歩いて3分(200-250m)ほど手前の位置で、車3台ほど止められるスペース(この記録のスタート地点)のすぐ西になります。地形図見ると他より気持ちなだらかになっているのが分かると思います。戸中山林道からもよく見えるので分かりやすいと思いますよ。
この辺りは人工林で作業道もあり登りなら迷うこともありません。ただ、そろそろマダニが出る季節なので、行動後のチェックは念入りになさってください。
新緑の深南を楽しんできてください!
Satoshi884様
ご回答まことにありがとうございました。お礼申し上げます。
ヒルは承知していたがマダニですか。想定外でした。
コロナ問題で様子見の状態です。いずれにせよもう少し山上が暖かくなってからと思っていました。年内に実行できたらいいなと思っています。gezansya
いいえ!
深南の夏は暑く、笹藪の勢力も増し、ヒル、マダニもいるので、GW後となると秋以降をお勧めいたします。また、アプローチの道路や林道が大雨や台風でしょっちゅう(ほぼ毎年)崩壊するので、参考前に浜松市の林道情報を必ずご確認ください。
Satoshi884様追加情報まことにありがとうございます。
虫のことや気温を考慮すると、やはり登山時期は秋ですネ。
小生が不動岳に登ったのは2018/11でした。ちなみにこの時は黒法師等高尾根登り口直近の休憩小屋に泊りました。水を用意していなかったので、水くみに手間取りました。
重ねてお礼申し上げます。gezansya
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