南アルプス/塩見岳
- GPS
- 32:00
- 距離
- 24.7km
- 登り
- 2,463m
- 下り
- 2,449m
コースタイム
6:50 鳥倉駐車場
7:25 鳥倉登山口 10分休憩
8:25 豊口山間のコル 通過
9:00 水場 25分休憩
10:12 三伏峠小屋 10分休憩
11:35 本谷山 25分休憩
13:40 塩見小屋 到着
行動時間 6:30
休憩時間 1:15位
<2日目>
5:03 塩見小屋 出発
5:45 塩見岳西峰 到着 3分休憩
5:51 塩見岳東峰 到着 24分休憩
6:55 塩見小屋 35分下山準備
8:54 本谷山 16分休憩
9:50 三伏山 20分休憩
10:18 三伏峠小屋 通過
10:50 水場 10分休憩
11:24 豊口山間のコル 通過
11:53 鳥倉登山口 7分休憩
12:35 鳥倉駐車場 到着
行動時間 5:37
休憩時間 1:55
過去天気図(気象庁) | 2011年09月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
南アルプス塩見岳ピストン
<登山計画と実際のコースタイム編>
<1日目>
登山計画書 実際のコースタイム
5:30 起床
6:50 鳥倉駐車場
7:00 鳥倉駐車場 出発
7:25 鳥倉登山口 10分休憩
7:40 鳥倉登山口
8:25 豊口山間のコル 通過
9:00 豊口山間のコル 9:00 水場 25分休憩
10:12 三伏峠小屋 10分休憩
10:40 三伏峠小屋 20分休憩
11:35 本谷山 25分休憩
12:20 本谷山
13:40 塩見小屋 到着
14:20 塩見小屋 到着
16:30 夕食
19:00 就寝
行動時間 7:00 行動時間 6:30
休憩時間 0:20 休憩時間 1:15位
<2日目>
登山計画書 実際のコースタイム
3:30 起床
4:30 朝食
5:03 塩見小屋 出発
5:45 塩見岳西峰 到着 3分休憩
5:51 塩見岳東峰 到着 24分休憩
6:00 塩見小屋 出発
6:55 塩見小屋 35分下山準備
7:20 塩見岳山頂 40分休憩
8:50 塩見小屋
8:54 本谷山 16分休憩
9:50 三伏山 20分休憩
10:18 三伏峠小屋 通過
10:50 水場 10分休憩
11:40 本谷山
11:24 豊口山間のコル 通過
11:53 鳥倉登山口 7分休憩
12:15 三伏峠小屋 45分休憩
12:35 鳥倉駐車場 到着
14:15 豊口山間のコル
15:00 鳥倉登山口
15:30 鳥倉駐車場 到着
行動時間 7:35 行動時間 5:37
休憩時間 1:25 休憩時間 1:55
※行動時間は休憩を含まない歩行時間です。
※計画書の区間タイムは山と渓谷社が出版する複数の書籍に記載された標準タイムを反映しています。
今回の鳥倉→塩見小屋泊まり→塩見岳のピストンコースは、簡単に言うと「林道歩き40分」→「そこそこの登り3時間」→「樹林帯の稜線歩き3時間」→「ガレた岩場1時間」を往復するコースです。
装備も小屋泊まり向けですから水やザックの重量を全て含んでも10kg前後と軽かったので、お気楽山歩きを堪能できました。
夜は想像以上に寒かったですが、緊急ビバーク用にダウンジャケット&パンツを持参していたので、夕暮れの塩見岳鑑賞や日の出前の満点の星空鑑賞の時も、勿論寝る時も快適に過ごすことが出来ました。
ただ、やはり「仕事」→「夜の高速走行」→「車中泊」→「アルプス山域6時間歩行」において、私の場合は前日4時間睡眠では足りません。初日はちょっと辛かったです。
しかし、終わってみるといつも充実感で一杯です(笑)
<前日現地入り>
2011年9月5日(月曜日)18:00過ぎ
私は職場でインターネッツの天気予報を確認しながら若干ソワソワしていました。何故ならお盆以降は雨天が多く、白馬以来山で寝ていない日々が続いていたのですが、やっと狎欧賤淑鶚瓩了街圓出来そうだったからです。
いつもは午後7時の閉店時間を過ぎれば帰宅できるのですが、その日はちょっと仕事が長引きましたので、お店の鍵を閉めたのが午後8時過ぎでした。自宅まで1時間の通勤時間もこの時は苦になりませんでした。ただただワクワクしていたからです。山に行けるということにこれほど高揚したのは久しぶりのような気がしていました。
自宅に帰ると、ハイドレーションパックを洗浄し、最終的な荷物の点検をし、お風呂に入り、
22:00頃
すぐに自宅を出発しました。夕食は途中のパーキングエリアで済ますつもりでした。豊田東インターチェンジから東海環状自動車道を経由して、中央道の恵那パーキングエリアを過ぎた頃にも全く空腹感が無かったので、高速道路を下りてから適当にコンビニに寄る案に切り替えました。いつもなら中央道の駒ケ岳パーキングエリアでトイレ&夕食休憩を取るところですが、今回はそれより手前の松川パーキングエリアで下車するからです。そう考えると今回の塩見岳の登山口である狡餐勠瓩随分身近に感じました。
23:30頃
松川パーキングエリアを降りるとすぐに予定していた道が夜間工事で通行止めになっているという洗礼を受けました。この時点ではあまり問題なさそうでしたが、迂回しながら深夜の松川の住宅街を抜けてまた予定していた道路に出ようとすると、また警備員さんが遠くで「こっち来ちゃダメぇ〜!!」とジェスチャーしています。引き返して再度トライ・・・また工事中・・・そんなことを30分位やっていたでしょうか(汗)。ちょっとイラっとしました。少し冷静になって気を取り直そうと、車を止めてナビでしっかり迂回路を確認したら随分遠回りすることになりました。途中にコンビニがあったので、その日の夕食と翌日の朝食と昼食を調達しました。基本的にはいつも爐にぎり瓩"おいなりさん瓩任后D餐劼涼鷦崗譴肪紊い燭薜むつもりで缶ビールとおつまみも買いました。
鳥倉の駐車場までの道のりを事前に地図で確認すると、途中からとてつもない林道を走らなければならないような感じでした。私も20代の頃は4WD車を所有し、釣りやキャンプやダート走行で野山を走り回っていたので、地図上のつづら折の山道を見ると、即座に脳内のアラームが「キケンデス・・・キケンデス」鳴り出します(笑)。何となく道の形状や地形との位置関係を想像すると嫌な予感がプンプンしていたからです。
松川の街を抜けると小渋湖をなぞるように深夜の山道を走ります。道幅は広いので快適ですが、すれ違う車も無ければ追いついてくる車も無く、お化けがでそうなトンネルをいくつも抜けます。大抵こんな山道では鹿とかイタチとか野生動物に出くわすのですが、そんなこともなくただひたすら私ひとりっきりの空間を走り抜けます。
やがて車は大鹿村に突入しました。この大鹿村は「日本で最も美しい村」をアピールしている場所で、私の大好きな俳優だった原田芳雄さんが最後に主演した映画「大鹿村騒動記」の舞台となっている村です。
大鹿村の中心を抜けると遂に魅惑のデンジャラス山道に突入しました。しかし、実際来てみると道はそれほど狭くないし・・・しっかり舗装してあるし・・・何だか拍子抜けしました。考えてみればこの道は「松川IC→鳥倉登山口」間のバスも通る道ですから当たり前です。
何度も何度もヘアピンカーブを抜けながら道はドンドン高度を上げていきます。途中からとてつもないガスに巻かれて、ヘッドライトは乱反射しまくりで大変でしたが、何とか鳥倉ゲート手前の駐車場に到着しました。
想像していたより広い駐車場で詰めて停めれば30台以上駐車できそうな印象を受けました。
車を停めて外に出ると、期待していた満点の星空は無く、空気は随分冷たく感じました。ここは標高1700mくらいですから平地よりは寒いのは分かりますが、買っておいたビールを飲む気が失せるほどの寒さでした。
翌日の快晴を期待して
9月6日(火曜日)1:00
車内で就寝しました。
<1日目(鳥倉駐車場→三伏峠)編>
2011年9月6日(火曜日)
5:30
鳥倉駐車場にて起床。辺りは既に明るくなっていました。外気はちょっと寒いくらいでした。
今回は膝下丈の短パンしか持って来なかったので一抹の不安が過ぎります。
私が前日から現地で車中泊する時は大抵山での行動着を着たまま寝ますが、さすがに高機能タイツは締め付けが気になるので脱いでいます。やや寝ぼけながらそれを穿きます。
ぼんやりしながら運転席から山々を見つめ、お腹が空くのを待ちます。
そして朝食用に買っておいたカップ付きのトン汁の為に湯を沸かし、おにぎり2個を温かい味噌汁と共に頂きました。そして、トイレに立ち寄ったり、出発のための最終的なパッキングをしました。そこで大変なミスに気付いたのです。
「携帯忘れた・・・」
若干焦りました。私はいつも山では携帯電話の電源を切っていますが、いざという時には非常に大切な装備ですので、出発するかどうか自体を悩みました。でも、携帯を忘れただけで折角の好機を逃すのはイヤだったので
6:50
結局、鳥倉駐車場を出発しました。
自家用車を施錠し、ゲート手前の登山届けポストに用意しておいた計画書を投函し、アスファルトで綺麗に舗装された林道を歩き出しました。
2万5千分の1地図で確認すると、この林道をSの字瓩鬚覆召詬佑吠發韻40分ほどで鳥倉登山口に着くハズです。
左側にそそり立つ岩壁を見上げたり、途中の橋から大きな滝の落ち込み口を上から眺めたり、右に広がる南アルプスの前衛の低山やその先の谷間に見える大鹿村を眺めながら歩きました。
ほぼ定刻の
7:25
鳥倉登山口に到着。登山口直前の数百メートル区間はダート道ですが歩きやすい道です。バスもここまで入ってきます。鳥倉登山口はバス停も兼ねているので結構広く整地されていますし、仮設トイレも4基あります(私は利用しなかったので、中の状態は確認していません)。入り口に設置してある地層などのウンチクを一通り読みながらここで10分休憩しました。
登山口から登山道に入るとすぐにやや骨折れる登りが続きます。ここまで40分の林道歩きでアイドリングは充分だと思っていましたが、寝不足の影響なのか少しだけしんどかったです。ローカルな話になってしまいますが、この辺りの地形や木々の様子が私のホームグラウンドである牘三河・明神山瓩了哀沈ヅ仍蓋からのアプローチに似ていましたので、親近感を覚えました。
熊除けなのか鹿除けなのか金網のフェンスが両サイドの草木に埋没する状態で設置されていました。最初のコルまで続いていたので結構な規模です。
「このフェンスの必要性の根拠を知りたい・・・」
などとブツブツ言いながら、少しづつ高度を稼いでいくと
狹仍各擦ら三伏峠まで「1/10」
という紙をラミネートした看板が木に括り付けてありました。
実は事前にインターネッツで下調べをしておいたので、これらの存在は知っていました。
実際見てみると同じようなものを狆樟遏Ρ帽子ヶ岳瓩任盡たことを思い出しました。こういう配慮が松川エリアで山を管理されている方の山への愛情であり、自治体の観光資源としての位置付けを感じ取ることができます。帰ってから奥様にこの案内板の写真を見せたら、
「何処にでもこういうのがあれば、あとどれ位歩けば良いのか分かるからいいよねっ!」
と、おっしゃいましたがこの辺りの感想は分かれるでしょう。私もこういう心遣いに感心はしますが、無い方が良いという方も多くいらっしゃるでしょう。ペンキマークやリボンですら無い方が良いという方もいらっしゃるくらいです。でも、ここは天下の猊缶昌海ひとつ「塩見岳」瓩療仍各擦任后このように多く人が訪れる場所においては個人的に爛▲雖瓩世隼廚い泙靴拭
案内板で言うところの4/10瓩魏瓩て、5/10瓩亮蠢阿離灰襪おそらく豊口山間のコルという地点だと思います。
8:25
ここは休憩できるスペースもないので 通過しました。そして6/10瓩鉢7/10瓩隆屐△發靴は7/10瓩鉢8/10瓩隆((7/10)を見逃したので・・・)にある水場に到着しました。
9:00
この辺りは木々に囲まれて薄暗く、若干肌寒い場所です。2.3名ほどが座って休める場所があるのでザックを下ろし、予備用の1.5ℓの折り畳み水筒が満タンになるまで補給しました。水分摂取不足の高山病防止用です。しかも、この水について登山口の案内板にも記載されていました。何でも岩盤の割れ目から湧き出ている正真正銘の湧き水のようなので安心して飲用できます。非常に冷たくてめちゃくちゃ美味しい水です。谷が集めた沢水とは明らかに違います。地形的には沢水に見えますが、おそらくこの水場の上部から湧き出ているのでしょう。ここで25分休憩しました。
水場の先には足場の悪い箇所に木製の階段や橋が架けられている道があります。見た感じは組まれた木が崩れかけている様に見えますが、地形を生かして無理なく設置してあるからその様に見えるだけで結構しっかりしています。雨の中などで通過する時は滑りやすいので注意が必要だと思われます。ただ、日陰の部分では常時ウェットだと思われる箇所もありますのでいずれにしても注意しなければなりません。谷側はスッパリ切れ落ちていますので、落ちたら怪我では済まない箇所もあります。
豊口山間のコルから塩川登山道の分岐まではフラットな水平登山道ですが、塩川方面との分岐を過ぎると若干登りに変化します。途中北側が開けた場所があり、甲斐駒ケ岳や仙丈ヶ岳が綺麗に見えました。甲斐駒ケ岳は去年の夏山初めに登りましたし、仙丈ヶ岳は今年の夏山初めに登りました。
何枚か写真を撮って、更に高度を上げていくと、
「三伏峠まであと200歩」
という看板がありました。一応お約束なので、心の中で数えながら歩きましたが220歩ほどでした(笑)。そして、
10:12
およそ3時間弱を要して三伏峠小屋に到着しました。
<1日目(三伏峠→塩見小屋)編>
小屋の玄関先に犲隋覆△襪検豊瓩隼廚錣譴詛配の男性がいらっしゃいました。玄関と登山道を挟んだベンチに女性登山者が2名休んでおり、主と談笑をしていらっしゃいました。私は「三伏峠」の大きな看板の前にザックを置いて記念撮影しました。先着の女性お二人は休憩を終えて歩き出し、主と思われる男性も小屋の中に入られたので、私はベンチで爐いなりさん瓩蛤廼瓮魯泙辰討い詢乳フランスパンを頬張りました。トータル10分ほど休憩し、トイレにも立ち寄らずに歩き出しました。歩き出すとすぐに「三伏峠小屋新館」という看板を掲げた建物があり、その裏(塩見岳の方向)にキャンプ指定地がありました。30張り規模ほど整地してあり、ほぼ全区画水平にテントが張れそうです。事前調査では樹林帯の中だと記憶していましたが、キャンプ地から新館を背にすると正面やや右側に塩見岳がしっかり見えました。南アルプス大縦走の過程にあるなら、ここで1日しっかりと休憩を取るのも悪くなさそうでした。
キャンプ指定地を過ぎるとすぐに牘見岳・本谷山瓩鉢狆河内岳・荒川岳瓩諒岐点がありました。このハッキリした分岐点はとても旅情に溢れており、写真に収めずにはいられませんでした。まさに分岐点を絵に描いたような場所でした。私のツボにハマったので、記憶に深く刻まれました。
分岐を過ぎると道端にハイマツが現れ始めたので「!?」と思っていると、急に道が明るくなってまるで森林限界に達したような場所に出ました。南アルプスの森林限界は大抵高度2700mから始まります。しかし、ここは高度2500m程度。
2万5千分の1地図には表示してありませんが、「三伏山」と記載された立派な柱がたっていました。
ここはとても眺めが良い場所です。正直ここまで来るだけでも充分景色は満喫できます。東方目前には烏帽子岳、南方には南から聖岳・赤石岳・荒川三山、西方には中央アルプス全山の全景が広がっています。北方には西から仙丈ヶ岳・甲斐駒ケ岳が形良く見え、北東にはこれから目指す塩見岳の雄姿。先ほど峠で休んだばかりなのに、ここで10分程度写真を撮ったり景色を眺めていたと思います。余りにも居心地が良いのでうっかりすると数時間単位で居座ってしないそうなので、ここはキッパリ区切りを付けてまた歩き出しました。
三伏山の森林限界っぽい場所から歩き出すと、すぐにまた樹林帯の稜線歩きです。ここから塩見小屋までは本谷山の大きなピークがあるだけで、ほぼ水平の道が続いているように見えます。しかし、常念岳から蝶ヶ岳に続く稜線で遭遇した爛Sな下り後(のち)登り瓩あるかも知れないと思ったので、あまり期待せずにマイペースに歩きました。実際歩いてみると若干のアップダウンを繰り返すことになりました。そして、
11:35
本谷山の頂上に到着しました。ここには2.3パーティーが同時に休憩できる程度の広場があります。しかし、背の低い樹林帯に囲まれていますので目前の塩見岳と西の樹林帯の切れ目から中央アルプスが見える程度で見晴らしが良い場所ではありません。
ここで静岡県清水市から来られた年配の二人組みにお会いしたので少しお話しながら休憩していました。
すると直前で追い抜いていた三伏峠小屋で休んでいた女性二組も到着しました。話せばお二人は親子とのこと。
何でも三伏峠小屋で
「明日は早い時間に登山口まで帰りたい」
と相談したら、
「それなら一気に山頂を踏み、そのまま三伏峠小屋まで戻ったほうが良い」
と教えられたと・・・。
私は先着の男性二人組と自然にアイコンタクトしていました(笑)。
「(無言で)・・・ムリデショ?・・・」。
おそらく互いにそう言い合っていたと思います。私自身、女性お二人のペースや休憩を要するピッチを見てきましたが、時間的には難しいと思いました。参考程度にこれからその想定のコースを辿った場合、三伏峠小屋に到着する時刻を予想して報告してみました。
私「午後7時前後になっちゃいますよ?」
女性「何とか明るいうちには帰れそうです」
私「・・・はぁ・・・」。
相手の持久力を知りませんのでそれ以上のツッコミは失礼に当たる場合もありますので、私は男性二人組みと顔を合わせてから
「何れにしても山頂を踏んで塩見小屋に帰ってきてから考えればいいんじゃないですか?」
と言いました。
見た感じではビバークできる装備もお持ちで無い様ですし、私の常識では犢盪蛎咾砲いては午後3時に行動を終了しているのが鉄則瓩任后F辰貌逎▲襯廛垢詫縞からの天候急変や落雷が多く、実際私も夕方頃に中央道の駒ケ岳PAから南アルプスの山々だけが雲に包まれ、その雲の中を不気味に雷が暴れているのをよく見かけていました。それが心配だったのです。
最終的に女性お二人は若干不安になったのか、急いで出発していきました。
それからまた少し男性お二人と話して、お二人が出発するのを見送りました。
するとすぐに私より10歳前後年長と思われるご夫婦が到着しました。私は出発寸前でしたので、ザックを背負ったまま、少し立ち話をしました。
私「鳥倉からですか?」
旦那さん「はい」
私「何時ごろ出発されたんですか?」
私は内心、その日の最後尾だと思っていたので・・・。
旦那さん「8時前だと思います」
奥様「7時45分です」
私「私は7時前に出発しましたので1時間の差を詰められましたね(笑)」
私「・・・めちゃくちゃ早いっすね!」
旦那さん「そんなことはないですよ」
しかもお二人とも荷物が少ないとは言え全く疲れた様子はありませんし、汗も掻いていません。
「(内心)・・・コノカタタチハタダモノデハナイナ・・・」
私はそう思いました(笑)
私も決して歩くのが速い方ではありませんが、それでも遅くは無いと思っていました(いつも標準コースタイム以内のペース)。しかも、今回は小屋泊まり装備ですし休憩も少ない方でした。
私「では、途中で抜かれると思いますがお先に行きますねぇ〜」
ご夫婦「はい。では後で!」
お二人はここで昼食を摂ってから歩かれるとの事。
私は結局ここでは25分休憩して、残り2時間の行程に向けて歩き始めました。
本谷山を越えると東方に時折塩見岳を確認することが出来ますが、ほとんどは樹林帯の中の稜線を細かくアップダウンしながら進みます。特に権右衛門山の東側斜面の登山道は、山頂を経由することなく本谷山から塩見岳までの区間の高度をほぼ水平に保つように作られていますので、完全に樹林帯の中です。そんな道を少しつづ高度を上げながら歩いていると、本谷山を出発して1時間も経たない内に親子の女性二人組が休憩しているのを追い抜きました。
お母さんの方に若干疲労が見えましたので、
私「無理せずゆっくり行きましょう!塩見小屋で泊まれば良いのですから」
と声を掛けました。ちょっとお節介だったかも知れません。ただ、無理な行程を呑んでしまうところに若干の経験不足を感じたので事故を起こさないようにという配慮のつもりでした。
さらに進むと背の高い木々に囲まれたところに沢が流れている水場があったので、ザックを下ろしておやつを頬張りました。いつものようにコーヒー味のナッツと柿の種とエムアンドエムズとクラッツ(グリコの濃厚おつまみスナック)をミックスしたものを物凄い勢いでリスのように頬張りました。
すると、先程本谷山でお会いしたご夫婦が涼しい顔で追いついてきました。お互いに挨拶をしただけで、お二人は休むことなく通過していきました。私もスナックでベトベトした手を沢で洗うとすぐに出発しました。そこからは着かず離れず先行のご夫婦とランデブー(F1用語)しました。
不意に足元にハイマツが現れ、いよいよかと思っているとすぐに森林限界の際に出ます。明るい岩場の登山道を数メートル程ちょっとした登ればそこは今日のお宿である
13:40
塩見小屋です。予定より1時間ほど早く到着しました。
<1日目(塩見小屋/宿泊)編>
足の速いご夫婦とほぼ同着です。小屋で受付を済ませて代金を支払うと一緒にトイレの説明を受けました。この塩見小屋の最たる特徴は「簡易トイレ」です。
トイレの建物は木組みの掘っ立て小屋で、中には爐まる瓩里茲Δ粉憤廛肇ぅ譴あるだけです。建物内部は2つに仕切ってあるので、同時に2名まで入ることができます。ドアはそれぞれ別にありますので個室構造です。おまるにビニール袋をセットする方法を小屋の受付で教わることからここでの生活が始まります。先ずはゴミ袋のような袋を本体と紐に分解し、本体をおまるにセットします。本体の中には吸水シートが仕込まれており、要が済んだらビニール袋をおまるから取り外し、分解しておいた紐でしっかり袋を縛って、トイレの建物の外においてあるバスタブのような蓋付の入れ物に投入します。結果的に、排泄物も使用済みのトイレットペーパーもトイレ内に残りませんので汚れも臭いも一切ナッシングです。極めて清潔なシステムです。ちなみに男性には1枚。女性には3枚ビニール袋が支給されます。追加する場合は1枚100円です。トイレットペーパーは装備されていませんので各自用意する必要があります。持っていない場合は受付で売っていますので心配ありません。トイレは夕方から翌朝までは開放されていますが、日中は施錠されています。
その後で男性用(立ション専用)トイレと寝る為の部屋を案内してくれました。この日は定員30名の施設に10名程しか泊まらないので、受付棟の隣にある建物に案内されました。私は単独ですし、男ですので雑魚寝床区画に案内されました。山小屋独特の幅の狭い布団が5組敷かれていましたが、混雑時に詰めて敷けば全部で8〜10組程度敷けそうです。カーテンで仕切る事のできる2段ベッドのエリアは覗き込んでないので正確には分かりませんが、ペアで6組ほど入れそうでした。また、この建物の入り口のすぐ横にもペア用のカーテン小部屋が2段有り、その向かいは荷物用の小部屋になっていました。おそらく荷物用の部屋の上部にも1組のペアが寝れそうでした。この小部屋を指定できるなら「ウチの奥様も泊まってくれるだろうか・・・」と考えていました。
自分の場所の布団と毛布(3枚支給)をセットし、いつものようにウールの爺シャツ上下を着込み、上から短パンとR1フーディーを着ました。そして荷物を整理し、受付に行って缶ビール(大/@800円)を購入し、今日着ていて汗で濡れた衣類を岩場とハイマツの上に広げて乾かしながらベンチに座ってビールを飲みました。ビールは常温保管ですのでキンキンではありませんが、私的にはお腹を気にせずゴクゴク飲める適温です。
そんな感じでマッタリしていると、登山道の入り口から親子の女性二人組みが到着するのが見えました。
私「お疲れ様です!・・・まだ、行けそうですか?」
娘さん「いえ、今日は山頂まで行ったらここで泊まります(笑)」
私「それが良いと思います(笑)」
などと話していると、足の速いご夫婦が居ない事に気付きました。おそらく山頂に向かったのでしょう。小屋から塩見岳の山頂は標準タイムで往復2時間。あの方たちなら問題ないだろうと思いました。しかし、親子のお二人も受付をした後で山頂目指して出発されました。
「タフだなぁ〜・・・」などと言いつつも心配し、残りのビールを飲み干すと干していたものを取り込んで、塩見岳が正面に見える受付前の大きな岩場の上のベンチに場所を移し、湧き上がる雲の切れ間から時折姿を現す山頂を眺めていました。ここから見る塩見岳は迫力満点です。
ここで初めてお会いした単独の年配の男性と少しお話しながら何度も塩見岳を撮影しました。
塩見小屋は極めて小規模な施設ですので、利用客の皆さんや小屋番さんとの距離も非常に近いです。それぞれの会話も違和感なく進みますし、殺伐とした雰囲気はありませんでした。
15時を過ぎると、男性の小屋番さんが何やら慌て始めました。私が理由を尋ねると
1点目→今日、もう1組の男性パーティーの予約が入っているのに連絡がない
2点目→昨日も泊まって今日も連泊されるお客さんが蝙蝠岳に向かってから帰ってこない
とのこと。
塩見小屋は完全予約制ですし、午後3時までの受付を厳守しています。何故かと言えばそれは登山者の安全性を考慮してのことです。人からそれを聞くと「小屋の都合でしょ?」と思うかも知れませんが、私が実際お会いして話した塩見小屋の小屋番さんは本当に心配していました。
だって、泣きそうな顔でしたから(笑)←本当は笑ってはいけない。
結局、小屋から1点目の人の自宅に電話して確認していましたが、それでも確認が取れませんでした。2点目の人は暗くなりかけた5時過ぎに帰ってきて、小屋番さんに怒られていました。小屋番さんは起こる前から私に
「本当は怒りたくないけど私も本気で心配しているので心を鬼にして怒ります。分かってくれる人もいれば逆ギレされることもあるんです・・・」と。
実際怒っている時は、私の方が辛くなり、見ていられなかったのでその場から離れました。何はともあれ無事で何よりでした。
他にも私が受け付け前のベンチでマッタリしている間に予約の電話が次から次へと掛かってきていました。今シーズンは雨続きで定員に満たないことが多かったので、通常3人いる男性スタッフの内2人は先日の台風の前に山を下りたそうです。その後急に予約がドンドン埋まっていくので人手不足で困ったようでした。予約を入れる方の全員が登山道や鳥倉の林道の状態を心配されていました。私も小屋番さんもこの時点では知りませんでしたが、台風の影響で南アルプスのあちこちで通行止めが起きていたようです。
夕食まで1時間近く時間があったので、布団で少し仮眠しました。本来なら消灯後に眠れなくなるので、避けるところですがこの日はマッタリし過ぎて寝てしまいました。
16:30
夕食の準備が出来たと小屋番さんが呼びに来てくださったので、受付棟の奥にある食堂に移動しました。混雑時は2班に分かれるようですが、この日は少なかったので全員一緒にお食事です。しかし、親子の女性二人と蝙蝠岳から帰ってこない人はいませんでした。
この日はメインのおかずが揚げ物でした。ご飯とお味噌汁はおかわり自由です。フライの素材も素朴で非常に美味しかったです。私的にはちょっと味噌が薄味だと感じました。だって、八丁味噌の産地から来た人ですから(笑)
食べ終わったら、一旦布団に帰ってダウンジャケットとダウンパンツを着込みました。それほど寒くなかったですが、夕日を浴びた塩見岳をじっくり観賞するには寒そうだったので年の為です。
辺りが暗くなりかけていた頃、山頂の陰から一人の男性登山者が歩いてこちらに向かっているのが見えました。私はいつも単眼鏡を持っているので、覗き込んでみましたが、顔などの特徴までは判別できなかったので、小屋番さんに「おそらく蝙蝠岳に行った人だろう・・・」くらいしか言えませんでした。
直後に親子の女性二人も無事帰ってきて、先ほど見えていた単独の男性もやはり待ち人でした。疲れ切ってはいたものの無事に帰還しました。その後は先ほどの件の通り怒られていました。
西の空の低い部分に厚めの雲がかかっていたので、この日は綺麗なアーベントロートという訳にはいきませんでした。気づけばベンチが夜露で濡れ始めていたので
19:00
就寝するために布団に入りました。比較的すぐ眠れたと思います。何時に消灯したのか分かりませんでしたから(笑)
何度か目が覚めましたが、トータルするとしっかり睡眠を取ることができたと思います。
9月7日
3:30
起床しました。寝ざましは4時にセットしたのですが、自然に目が覚めたのでそのまま布団から這い出ました。気温は計測していませんが、それほど寒くはありませんでした。おそらく10度前後でしょう。
外に出てみると、満天の星空でした。考えてみるとこんなにハッキリ星を見たのは今シーズン初かも知れません。流れ星もバンバン降りまくっていました。勿論実際星が落ちてきているわけではありません。宇宙を漂ってきたチリが大気圏で燃え尽きる様子が見えているだけです。実際地球上のどこでもこういったことは繰り返されているのですが、人類の文明の明かりでこれらが見えなくしてしまっているだけです。
ここは標高2770m。頭上の空は宇宙そのものです。大袈裟な表現ではなく、自分が生身のまま宇宙空間にいるような感覚を味わうことができます。これも犹海杷颪泙覘瓩箸いβ藐鑢のひとつです。私はベンチに断熱シートを敷き、仰向けに寝転がってしばらく空を眺めていました。
いつも思うのですが、実は日の出前から東の空が明るくなり始め、目さえ慣れれば辺りの景色もハッキリと確認できます。そんな中、
4:30
朝食の時間になりました。1時間前から起きているのでお腹も空き始めており、ご飯とお味噌汁をおかわりするほど絶好調でした。
ちなみに何処に行っても出された食事にすぐに手をつけてしまい、直後に
「しまった!写真撮るのわすれたぁ〜!!」
と、なるので今回も画像はなしです(汗)
食後に部屋に戻って布団を畳み、メインザックを受付に預け、昨晩からパッキングしておいた18ℓのアタックザックを背負って、
5:03
日の出前の薄暗い登山道を塩見岳山頂に向かい塩見小屋を出発しました。
<2日目(塩見小屋→山頂→塩見小屋)編>
まだ日の出前の薄暗い登山道を歩き出しました。小屋の前にあるハイマツに覆われた2mほどの崖的なアプローチが塩見岳方面です。
ハイマツの間に一人分の幅の道が作ってありますが、暗いのでこの部分だけヘッデンを灯しました。ハイマツ帯を過ぎるとすぐに風の当たる稜線に出ました。日の出前で日光が当たりませんので寒いです。
下半身はいつもの夏山ユニフォーム
地肌から
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▲侫.ぅ鵐肇薀奪社 メリノスピンTMライト ボクサーショーツ
ザ・ノースフェイス社 バイオテックス トレッキングタイツ(メッシュ)
ぅ泪Ε鵐謄鵐┘ップメント社 ライムストーン・パンツ・グリッド
です。
足元は
.好ルパ社 トリオレGTX
▲好沺璽肇Α璽觴辧.肇譽奪ングソックス(多分) ミドルレングス/中厚手
ですが、上半身は
地肌から
.侫.ぅ鵐肇薀奪社 フラッドラッシュ®スキンメッシュT
▲僖織乾縫⊆辧.ャプリーン1 シルクウェイト・グラフィック・クルー
パタゴニア社 R1フーディ
ぅ僖織乾縫⊆辧.奸璽妊ニフルジップ
・・・上はほとんど低山の冬山仕様です。
考えてみれば、私は1年中同じカッコをしています。ズボンが夏と冬で違うのと、
キャプリーンの番手が変わることぐらいです。勿論、降雪の中に突入する時はベースレイヤーがウールになったり、R1フーディーの上が雨具になったりはします。
この装備でR1とフーディニのフードをしっかり被って歩きました。それでも顔や手が冷たかったです。グローブは1年中持っている薄手の物を持っていましたが装着しませんでした。
寒い証拠に天狗岩の斜面から先(高度2800m以上)に霜柱が立っていました。
塩見小屋から登っていくと、先ずは天狗岩に取り付くことになります。といっても小屋から見える北側の斜面を半分位登ったら、稜線を跨いで南西斜面の岩場を途中まで攀じ登り、ピークまでは行かずに塩見岳とのコルまで一旦下ります。ここまでは手を使って登る事はあっても、危険を感じるような箇所はありませんでした。岩もしっかりしていましたので簡単には崩れませんでした。ただ、こぶし大の石ころがたくさん転がっていますので蹴飛ばさないように注意が必要です。ペンキマークもありますし迷うことはありませんが、ペンキマークの指示よりも安全なルートもありましたので探しながら攀じ登ると楽しいです。塩見岳と共通して言える事は、鎖場がないことです。ギリギリ必要ないレベルですので私のような初心者にはちょっとしたスリルも味わえて楽しいです。
塩見岳本体の登りに入ると、岩盤と岩盤の間がザレている箇所が多くなります。岩も脆い部分があるので注意が必要です。もし谷側に滑ってしまったら数十メートル落ちてしまいそうな場所ですから、ここはナメてはいけないと慎重に登りました。高度感や恐怖心はありませんでしたが、正直「安全な道です」とは言い切れない道です。
山頂直下の2.30mは再びハイマツが点在したり、足場もしっかりしています。再び稜線を越えた時にこの日初めての日光を浴びました。日の出時刻は過ぎていたようです。
5:45
塩見岳西峰に到着しました。塩見岳というと猊弦3047m瓩箸いι充┐鯲匹見ますが、実際は隣の東峰(3052m)の方が標高があります。私的にはここで
「塩見岳に登ったぁ〜!!」
という達成感はなかったのですが、そこからの景色が余りにも素晴らしかったので、息を呑むように3分ほど立ち尽くしてしまいました。
そして、東峰に移動しました。徒歩1.2分です(笑)
5:51
塩見岳東峰に到着。
塩見岳は双耳峰と言いますが、私的には「・・・」です。
だって近すぎるもん!(笑)
次に、いつものように山頂での儀式をしようと思ったら、山頂の柱が根元から抜けて岩場に立てかけてありましたので、ザックもトレッキングポールも立てかけられず・・・。
取り合えず自分の影を柱に写してパチリッ!
それからようやく山頂の岩場に腰を下ろしました。
「2011年9月7日ぁ〜!!!!
間違いなく今日一番最初に塩見の
頂上に立ったのは
俺だぁ〜!!!!」
と、心の中で叫びました(笑)
それから360度の絶景を満喫しました。
西には・・・中央アルプス前景・・・北西には北アルプス・・・穂高連峰・・・槍ヶ岳・・・
・・・!!・・・剱岳も見えるぅ〜!!!・・・・・・!!・・・8月に歩いた白馬三山だけ雲の中・・・・
北には・・・仙丈ヶ岳・・・甲斐駒ケ岳・・・大好きな鋸岳もギザギザしてるし・・・
・・・次回歩く予定の白根三山・・・北岳・・・ここから見るとあんまり尖ってないな・・・
間ノ岳は優美だなぁ〜・・・農鳥岳は意外とアップダウンがありそうだな・・・
・・・おぉ・・・アレが蝙蝠岳か・・・いずれ登ろうぞ・・・
・・・・・・・・・!!!!・・・・・・・・富士山!!!!・・・・・デカッ!
山歩きを始めて以来、高地から見た富士山の中で最も大きく見えました。
雲海の上に孤高の姿で鎮座する霊峰・・・登るより見る山(私個人的には)・・・
南に・・・アレが悪沢岳(東岳)?中岳・・・良くわからんから荒川三山としておこう・・・
・・・3泊以上できる休みが取れたら必ず行くぞ荒川三山!・・・ちょっと小さいけど
あの先端は赤石岳だろう・・・おそらくあのボコボコは聖岳だろう・・・
「今年の初テント山行はあそこのてっぺんにいくハズだったのに雨で延期続き・・・今回の台風で便ガ島からは更に行き難くなっただろう・・・近い将来赤石と一緒にサワラジマ(←他の読み方を知らないので変換できない)から行くか・・・。
中央道を自動車で走る時・・・他の山から南アルプスを見た時・・・私が一番最初に確実に名前が分かるピーク・・・・それがこの塩見岳・・・今まさにその場所に立っている・・・次回からこの山を見る時はこの山頂の様子も一緒に脳裏に浮かぶだろう・・・。
本当に感動的な光景でした。初心者の私ですらも山座同定できるほど有名な山々のオンパレード。しかも完璧な日本晴れ。伊那谷の雲海さえも無いほどの晴れ様。北アルプスでさえ白馬方面に僅かに雲が掛かっているくらいです。白馬鑓ヶ岳からも見えなかった剱岳のピークがここからハッキリ見える・・・。
今シーズンは今回まで随分ジラされましたが、今日で全て報われた気分。
寒くなければずっと居たい場所でした。
でも、冷静になると寒い・・・。
釘付けになるように東峰山頂で24分休憩しました。
帰りに西峰の山頂で小屋で一緒に寝泊りした年配の男性二人は、景色を堪能しながら話し込んでいたので軽く会釈して通過しました。
塩見岳からの下りは登りより危険度がアップします。ザレた斜面を通過する時はスリルよりも危険を感じる箇所があります。同じ道でも下りが怖いのは山道の常です。慎重に下りました。
結局、山頂で会ったのは男性二人だけ・・・足の速いご夫婦も親子の女性二人組みも登ってきませんでした。
「勿体無いなぁ〜・・・」
などとツブやきながら更に下ると、天狗岩の南西斜面で露出している狎屬ご筬瓩鉢猯个隆筬瓩鯣見しました。これらは鳥倉登山口にあったウンチク看板で解説されていたものです。
私は小学生に戻ったように化石を探してみましたが、見つけることは出来ませんでした。赤いのも緑のも地層の様な模様を見せています。ウンチクによればコレは大昔、太平洋の南の島の方で海底に蓄積した珊瑚が石化したものらしいです(多分)。
それがプレートごと移動してきてここで隆起した際に地表に出ていると・・・(多分)・・・犖什澆眷数ミリ単位で隆起し続ける場所「南アルプス」瓠
そんな太古の地球を垣間見ることの出来る場所に別れを告げて、再度北斜面に出た時にはすっかり日が昇っていたので日光の有難さを感じながら小屋まで下りました。小屋の直前で気付いたのですが、小屋の近くはハイマツの道が数箇所分岐していますので戸惑うかも知れません。ヘリポートへの分岐や小屋の前の道と平行して伸びている謎の道があります。雰囲気で右折すると偶然小屋の前に出ました。このハイマツの道は小屋より高い稜線近くにありますし、小屋自体が低いので見えないのです。
6:55
再び塩見小屋に戻ってきました。
<2日目(塩見小屋→鳥倉駐車場)>
宿泊棟で掃き掃除していた小屋番さんに声を掛け、受付に預けていたメインザックを受け取りました。
それから受付前の大きな岩の上のベンチで下山用にパッキングし直しました。
35分くらい準備や一服して、小屋番さんに声を掛けました。
私「皆さん下山されたんですか?」
小屋番さん「はい。勿体無いですね(笑)」
私「本当ですよねぇ〜今日登らないと何しにきたかわかんないですね(笑)」
小屋番さん「本当にそうですね(笑)」
そして最後に私が
「塩見サイコー!!!」
と言うと、小屋番さんは両手の親指を突き上げながらハニカんでくれました。
小屋を後にすると数メートル岩場を下ってすぐに樹林帯の登山道が始まります。この頃からすれ違う人が多くなります。まだ早い時間帯ですのでおそらく前夜三伏峠小屋に泊まった方たちでしょう。装備の大きさから塩見岳を越えて白根三山方面まで抜けていく方たちではなさそうなので、今日は蝙蝠岳まで足を伸ばされるのでしょうか・・・それとも景色の良い早朝の山頂を狙ってきたのでしょうか・・・。いずれにしても薄暗い中ここまで歩いてこられたのでしょう。
小屋でウィンドブレーカーとフリースを脱いだので、樹林帯では少し寒かったですが30分も歩くと体が発熱して快適温度になりました。
8:54
本谷山の山頂広場に到着しました。今日は誰も休んでいません。私は景色を惜しむように西側の木々が開けた場所から中央アルプス方面を見ました。
宝剣岳・・・空木岳も良く見えます・・・南駒ケ岳東斜面の摺鉢窪避難小屋のある辺りの崩落地もハッキリ見えます。この日はmountain-birdさんとM氏が空木岳の日帰りにチャレンジしているハズです。この時間帯だと池山小屋を越えた辺りかな・・・とか・・・大地獄通過中かな・・・とか・・・去年の10月に自分が登った時は、生まれて初めて「紅葉は良いものだと感じたなぁ」・・・とか考えながら 16分程休憩しました。
ここからも結構たくさんの方とすれ違いました。皆さん台風明けの絶景を楽しみに登ってこられるのでしょう。
9:50
三伏山の森林限界っぽい広場まで帰ってきました。
やはりここも絶景です。正直ここだけでも充分です。
昨日も散々ここから景色を楽しんだし、今朝は最高の場所から充分景色を堪能したのに、またまたココで20分程休憩してしまいました。
10:18
今回も三伏峠小屋はスルーです。特に意味はありません。
この日はキャンプ場に2張りほどテントがありました。この時間に張っているということは今日はここで停滞されるのでしょう。羨ましい・・・。
更にドンドン下って
10:50
水場に到着しました。ここで神奈川県平塚市から来た方とお会いしたので少し情報交換しました。なんでも、本来は青木鉱泉から鳳凰三山に行く予定を立てていたら、通行止めでボツになってしまい、こちらに行き先変更されたとの事。やはり今シーズンは何度か雨で連休を潰されたとおっしゃられていたので妙な親近感を覚えました。というより、皆さん今年はそう思っていた人は多いでしょうね(笑)
平塚の男性が出発されてから、私はザックを下ろして水筒を取り出し、1.5ℓ分のポカリスウェットを作りました。南アルプスの冷たい天然水に顆粒のポカリを溶かすのです。
「ポカリうまっ!・・・・ポカリうまっ!」
何故か2回言いました。理由はわかりません(笑)
ここで10分程度休憩し、その後は冷たいポカリをチビチビやりながら下りました。
11:24
豊口山間のコルを通過しました。
「登山口まで30分」
と書いてありました。俄然テンションが上がります。そして
11:53
ようやく鳥倉登山口に到着です。
登山口の横にある腰掛けるのに丁度よい岩の上で7分ほど休憩しました。
登山口の南側は開けています。そのスペースいっぱいに青い空・・・。雲は相変わらず見当たりません。蝉の声・・・元気に飛び回る綺麗な蝶・・・
「夏だなぁ〜・・・・」
心からそう思いました。
そして、真夏の太陽が照り付けて目玉焼きが焼けそうなアスファルトの林道を40分掛けて下りました。
12:35
ようやく鳥倉のゲートに到着しました。
対岸から見えてはいたのですが、駐車場は満車です。崖側1列・・・中央に1列・・・道路側に路駐っぽく1列・・・「こうやってみると随分車が止まれるんだなぁ〜」・・・と思わず感心してしまいました。
ゲートの先のポストに下山届けを投函しました。
<2日目(鳥倉駐車場→中央道松川IC)>
1日ぶりに自家用車のエンジンを掛けました。いつもこの瞬間に
「無事に帰ってきたなぁ〜」
と、感じます。
林道を走り出すと、駐車場の手前1kmほど手前まで路駐している車がありました。
猩チュー瓩箸いΔ畔垢海┐楼いですが、なにぶんココは南アルプス山塊の林道ですので、そもそもこの道を通るのは林道工事の車両か登山者の自家用車か登山者を乗せるバスかタクシーだけですし、道幅も路肩も結構広い箇所が多いので邪魔にはなりません。思い返せば11時〜12時頃登山口付近ですれ違った方たちは、牴嫉海靴撞△訖預圓銑瓩濃間をズラして来て、三伏峠小屋に泊まるつもりなんだな・・・と思いました。やはり噂通り、ここは人気の登山口ですから最盛期はいつも駐車場が満車になっているのでしょう。
来る時は真っ暗でしたし、ガスが濃くて路肩すら見難かった道ですが、この時は明るい太陽に照らされて、非常しっかり舗装された安心できる林道であることを知りました。
大鹿村の町も夏っぽくて良い雰囲気でしたし、小渋湖の湖岸の道も道幅は広くて通行する車は少ない快適な道でした。
松川の街に入ると、通行止めで散々迷わされる結果になったインターに向かう道も、日中は片側交互通行だったので、あっと言う間に松川インター近くの狄州まつかわ温泉 清流苑瓩謀着しました。
私はこの山行を計画している時点から、帰りはココによって温泉に浸かりながら塩見岳を眺めるつもりでした。
清流苑の駐車場から、やっぱり塩見岳のピークがハッキリ見えます。当然ですがおまけに反対側の松川烏帽子ヶ岳もハッキリ見えます。(正確に言うとここから見えているのはエボシ岩です)
入り口で日帰り入浴料@400円を支払うと早速風呂場へ。40時間ぶりに髪の毛を洗えるのも嬉しいですが、私的には山泊まりの帰りに歯磨き粉を付けて歯を磨けることが一番嬉しいです。綺麗さっぱりした後は、内湯を華麗にスルーして即露天風呂へ(笑)
岩風呂に浸かりながら南アルプスが見えたような気がしましたが、実際は目隠し用の壁にそこから見える南アルプスの山容と名前が書いてあるのが見えるだけでした。岩風呂で立ち上がれば山々は見えます。私は何度も立ったり浸かったりしました。そして、体をクールダウン&自然乾燥しがてら山の絵が描いてある壁の前に立って、もう一度ハッキリ塩見岳を見たのです。これから清流苑に来る度に山頂の様子と山頂からの景色を思い出すでしょう。
お風呂から上がると、途端にお腹が空いたのでそのまま清流苑のレストランに吸い込まれました。私は普段、帰り道に高速道路のスナックコーナーで素早く食事を済ませるのですが、何故かこの日は温泉施設に併設されたレストランを利用しました。
お店の前にもディスプレイでも店内も
「名物ごぼとん」
押し一色でしたが、私はミックスフライ定食を注文しました(笑)
そして、ミックスフライ定食が運ばれてきた時、初めてこのレストランに吸い込まれた理由を知ったのです。
それは・・・
単純にフライ(揚げ物)が食べたかった
ただ、それだけです。
私は自分で言うのもなんですが、見た目は若く見られがちですが今年の10月には満39歳です。ゴリゴリのアラフォーのオッサンです。近頃は自宅でも揚げ物は好んで食べません。ダイエットしていたこともありますが、根本的に若い頃より油が苦手になったのです。
では、何故この時は無性に揚げ物を欲したのでしょうか・・・・?
それは、
塩見小屋の夕食の揚げ物が思いの他美味しかったからです。
清流苑のレストランのミックスフライも非常に美味しかったです。メニューを見ても全てリーズナブルですし、このボリュームと味を考慮すると今まで高速のパーキングエリアのスナックコーナーで食事を済ませていたのは何だったのだろう・・・。
心も体もお腹も満たされて、松川インターから安全運転で自宅へ向けて走り出しました。
今回も有意義な休日を過ごしました。
おわり(全部読んで頂けたのなら嬉しいです)
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