【越美】苅安山(1302m)越山(1129m)這法師嶺(1037m)
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- GPS
- 11:34
- 距離
- 18.1km
- 登り
- 1,186m
- 下り
- 1,187m
コースタイム
- 山行
- 10:31
- 休憩
- 1:03
- 合計
- 11:34
◆冬季の温見峠道は、基本的に能郷ゲートでシャットアウトだ。公式アナウンスでは、黒津まで除雪が完了するのが4月8日(木)、大河原まで除雪が完了するのが5月10日(月)となっている。
◆しかし、能郷ゲートから今回のコースを歩くのは距離的に困難だろう。せめて、黒津まで通行可能になるのを待たないと、このプランで歩き通すのは厳しいと思われる。
◆コースの賞味期限は3月末とみた。それを承知しながらも、アプローチの困難を理由に、先週は他の山を選んだ。
◆今回は、黒津ゲートまで通行可能となったのを機に、予定より一週遅れで計画実行とした。
◆さて、温見峠までのアプローチは、岐阜側と福井側とが考えられる。平成25年3月30日には、福井側からスギクラと飯盛山に登った。その時には、巣原トンネルの南西1.3kmまで除雪が進んでいて、重機の傍らから登山を始めることができた。
◆その経験を踏まえ、まずは福井県側の道路情報を確認した。すると「中島公園で通行止めです。ただいま除雪と道路の補修を行っていて、GW明けにならないと全通しません」という公式回答が返ってきた。
◆中島公園というのは、麻那姫湖の青少年旅行村のことだ。そんなところを起点にして、登山を開始するわけにはいかない。こうして、福井県側からのアクセスは、あっさり選択肢から消えた。
◆そんな流れの中、4月8日(木)を待って「岐阜県土木事務所」に問い合わせてみる
すると、道路はなんと黒津を越え、大河原まで開通しているというではないか!これはラッキー!
◆いざ、計画実行だ!しかし、予断は許さない。越美国境の雪は、みるみる姿を消している。アプローチの利便性の向上は、ヤブの「こんにちは!」を意味している。覚悟を決めて行かないと。
◆黒津〜大河原(コワタビ谷登山口)間は、粗く見積もって6kmほどかと思っていた。しかし、マイカーでの実測では7.7kmに距離が伸びた。当初は黒津起点だったが、なんと大河原まで国道が開通していたので、何と14.4kmも歩行距離を稼ぐことができたことになる。俺ってツイてる。
過去天気図(気象庁) | 2021年04月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
<大河原〜這法師嶺>
まずは根尾西谷川の渡渉から。雪解けの季節だけに、沢水の流れは容赦ない速さです。無難に渡り、ほほずり地蔵尊の前で足を拭いて出発。
かつての水戸浪士の路として知られる這法師峠越は、春告げ花の共演で私を迎えてくれました。
タチツボスミレ、ムシカリ、コバノミツバツツジ、イワウチワ、そしてブナの新緑。けれども、喜んでばかりはいられません。それが意味するのは、稜線の雪どけの進行と強烈なヤブコギだから。
天狗党の越えた尾根道にはシロモジの清楚な花が咲き誇っています。尾根通しで這法師嶺の山頂に立ちました。初めて這法師嶺に登ったのは10年ほど前です。鮮やかな錦繍の季節でした。
でも、芽吹きの季節も格別です。白き帝王、能郷白山は春の陽の猛攻に無条件降伏したかのよう。脇を固める個性派集団、大白木山・高屋山・岩岳・雷倉・花房たち。白山山系の峰々がおごそかに登壇すると途端に座が華やぎました。
<這法師嶺〜越山〜苅安山>
山頂から這法師峠へは間違い尾根に注意。10年前には思いっきり間違えてますからね。怪我の功名で杉の巨木との出会があったっけ。それはともかく、県境稜線のウリは、ブナの美林です。
峠からは、いかに獣道をつなぐかが勝負どころ。せめてもの救いは、ヤブが密でないこと。辛抱を重ねると、ようやく越山が近づいてきますが、一向に雪が現われません。とてつもなく、時間がかかります。
それでも、越山の頂上はかろうじて雪をかぶっていました。山頂はブナ林の広がる広い台地です。残念ながら三角点の消息は雪に埋もれて不明でした。
ここから、一転してヤブが濃くなります。集中力を切らさないよう、獣道を追いかけます。
地味に高度を稼ぐうち、根尾西谷川の全貌が見えてきます。1208まで来ると、日永岳・ドウノ天井・左門・屏風・御嶽・乗鞍・北アルプスが登場。ワクワク度が、さらにアップです。
細々と雪がつながり始めました。予想通り、高度1200m付近です。雪の助けがなければ、エスケープを迫られる時間だったので、なんだか安心しました。
苅安山は広い雪原に包まれていて、眺めは最高。能郷白山はもちろん、白山方面には、大日・野伏・別山・御前峰・七倉・四塚・笈・大笠・大長・経ヶ岳。その左が北アルプスで、槍穂・笠・黒部五郎・薬師・立山・・・
そして、いよいよ苅安山最高点です。栄光の瞬間!こつ然と姥ヶ岳が立ち現れました。能郷白山の右手には、金草・冠・若丸・釈迦嶺・スギクラ・千回沢・三周など。越美国境の山並みが造り出すスカイラインが伸びやかです。
<苅安山〜温見峠〜大河原>
実は、下山口を当てるのが大騒動でした。無雪期であれば、踏み分け道が見つかるはずです。しかし、残雪が山際のササヤブを押し倒し、どこもかしこも密叢になっています。ルートの見極めは掛け値なしに難易度C。
無駄な抵抗と知りながら、ここはポリシーの紙地図登山にこだわります。地図とコンパスを握りしめ、動物のカンを頼りに背を没するササの海に飛び込みました。しかし、これが猛烈なネマガリタケの密ヤブ地獄。身動きすら封印される激ヤブのトラップじゃないですか。これってマジに1平方センチあたり1本以上の三密空間!?
しばらく格闘に奮闘に激闘に死闘です。方角を間違えると、原点復帰すら絶望的・・・・やむなくGPSを取り出しました。ここはテクノロジーの勝利です。私の動物的カンのショボさが露呈しましたね。軌道修正は拷問の責め苦。ヤブ山では10mの誤差は修行レベルにつらい。
何とか高度を下げると、待ちに待った雪田が現われました。それをアクロバティックにつないでいきます。そしてようやく念願の温見峠へ。
おおっ、延命地蔵さんの祠だ!扉こそ雪害対策で閉じられていますが、無事のお礼に、お参りです。
さあ、ここからは、花と雪と水の恵みに感謝しながらの下山です。今日のコース取りは、長年暖めていたノドから手が出るルートでした。念願達成のうれしい瞬間です。
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