天気に振り回され…雷鳥ベース・真砂〜御前谷
- GPS
- 80:00
- 距離
- 25.7km
- 登り
- 3,190m
- 下り
- 3,804m
コースタイム
- 山行
- 2:58
- 休憩
- 0:32
- 合計
- 3:30
- 山行
- 6:50
- 休憩
- 1:40
- 合計
- 8:30
天候 | 5/9 ガスのち晴れ /10 晴れのち雪 /11 ド快晴 /12 曇り(視界良好) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・劔岳から合流する各沢は真新しいデブリーランドになってました。特に平蔵谷はやばかった。 ・御前谷2550mトラバースラインからのタンボ沢斜面は、腹を決めて入らないと雪質で滑落もありな斜面。実際、やっちまった… |
その他周辺情報 | 自家用車じゃないと薬師の湯に行くしかない。 食事は松本唐揚げセンター |
予約できる山小屋 |
剱澤小屋
|
写真
感想
コロナ禍、私の住むエリアは蔓延防止措置対象地域。大変申し訳ないと思いつつ、私にとって山行は不要不急ではなく、これがないと多分心が風邪をひいてしまうだろうことから、不要ではないと言い切れる。今年のGWはかねてからの宿題であった北ア・東沢谷ベースの水晶・野口スキーを考えていたが、寡雪での秩父沢歩きは嫌だったし、白馬エリアはちょっと前に出かけたし、天気はいまいちっぽいし、車は使わない所にしなくちゃならんし等々…あまりに考えすぎて面倒くさくなり、山に行くことも面倒になってくる状況。(皆さんも計画疲れってありませんか?)いやいや、それは心の風邪ひき野郎になってしまうではないか。ということで4月下旬に行った針ノ木から見た『劔』が良さそうな感じがしたので、これもまた宿題となっていた三ノ窓ならどうにかなるかと思い、もし天気が悪ければつぶしも効くしと立山を目指した。ただ、本当に休暇前半の天気が悪そうだったことだけが気になった。
5/9
期間後半が何とかなりそうだったので、予定より1日遅らせて入山。テンクラ&専門天気図の見比べで気持ちが疲れていた。今回はスキー装備を持っての公共交通機関利用、昔は別に屁でもなかったけれど、少しでも荷物を軽くしたい今日この頃…帰りの着替えやら余計なものが多いのがストレスだ。富山側から入山する方が乗り換えが少なくていいんだよなぁと思いつつも、使い慣れた行きだけの贅沢であずさに乗車。今日は天気次第で真砂出合とは思いつつも、きっと雷鳥平でやめてしまう自分が想像できた。
ひたすら乗り換えを繰り返し室堂到着、外は風が強いらしい。ボーダーに聞けば視界不良も合わさり、一ノ越がヤバイと言っていた。ただ、気温は高いらしく雪は緩んでいるということだった。登山届出書の警備隊に聞けば『大窓一周を日帰りでしてしまう人が、今年の雪の量は劔沢の二股までが結構苦労したといっていた。』と教えてくれた。ここでしばらく迷いに迷ったが、確実性を選択し立山周辺でやめにしようと決定、建物の外に出てみる。竹竿がわかる程度のガス、室堂山荘まで手持ちスキーで歩き、浄土川に沿って滑降開始した。
確かに雪は緩く、初日の重荷にあえぎつつもザラメを楽しみながら雷鳥平に到着した。GWのテント跡がかなり多く、中古物件を選ぶのに事欠かない。5張り程度しかない天場はやはりいい。天場代を払いに行った管理棟で聞けば、例年より2mは少ないかな?と言っていた。だとすれば二股は結構大変かもしれない、いい選択をしたと自分を納得させた。夕方からガスが上がってゆき、夕焼けも見ることができた。大日岳は綺麗だなぁ…ここは携帯もつながるから天気確認も容易、明日の午後はだめらしいが、それ以降は期待できそうな感じ。明日はどこを滑ろうか?
/10
早朝はガスのため二度寝、気づけばどんどん天気が回復している。元々の計画と違うのでモチベーションは下がり気味ではあったけれど、来た意味を考えれば行かねばならぬ。この辺で滑ってない所といえば山崎カールとメジャーなのに浄土山周辺、午後は下り坂らしいのでこの2本でちょうどいいか?昨日テント場の管理人が越えていった小尾根を登り山崎カールへ向かう。山スキーを始めたころ、雄山Pで山崎カールを直接詰めてきた人を見てすごいと思っていたが、登ってみればラストが急になるまでは快適斜面。しかし、今日は気温が低く結構雪面が固く、雄山からはきっとプチ修行系と判断、適当なところで引き返す。下からここを滑ればと思って狙っていた斜面も、滑り始めるとわからなくなってしまい、結局浄土山へ向かうのに都合のいい方向へ滑っていくことになってしまった。
ブル道のへアピンのところに着くと、昨日スキーバッグにボードとスキー板と山盛り荷物を持ってきていた外国人と遭遇、彼らと少し話して浄土山へ向かう。浄土山のカール状地形に入り、一ノ越の高さまで着いたころ雲が急に低くなり雪模様になった。快適スキーのためには視界のいいうちに下るべきと判断し、浄土Pは諦め早々に滑降体制に入りテント場までほんの15分くらいで戻った。激しくはないものの雪は夜通し降り続いた。
/11
今日は真砂沢なので自分にしては早めに始動、今日は晴天が確実、ヒツジ雲状の変わった雲が三山上に見えた。出パ直前、雷鳥坂方面でグェグェ激しく鳴いている雷鳥を発見。見れば猛禽2羽に攻撃されている。そのうち声がしなくなったので逃げられたのかと思っていたけれど、浄土川を渡ろうとしたところでその猛禽2羽がトレース脇のハイ松帯から飛び立った。よく見ればオス雷鳥の亡骸が…結構頑張っていたのにハイ松までたどり着かなかったみたいだ。自分が大きな声を出して猛禽を威嚇するとか、あと5分早く出パしたりしていれば助かったのかもしれない。でも、猛禽も生活がある。葛藤を感じながらもこれでいいんだと言い聞かせ、オス君に合掌し、先を急いだ。
夏道側の斜面を登っていく人も複数見かけたが、一人ものすごいスピードで登っていくがいた。よくこの辺のことを把握しているようなルート取りで別山に向かう尾根に直接登って行った。昨日積もった雪が下駄になっているのを我慢しつつ、自分は小旗をたどり、オーソドックスに室堂乗越ルートで別山乗越へ向かった。ここで一本雷鳥坂を滑っても気持ちいいだろうという誘惑にもかられたが、宿題の別山Pからの滑降をしなくてはという強い思いが勝ち、別山の半分埋まった社に到着。日本海側は素晴らしいコントラストの雲海が広がる。DPを偵察に歩いて北峰方面へ進む。先程の先行者が入ったところがあればいいなと思っていたが、トレースはそのまままっすぐ別山沢方面に向かっていた。
思いの外急だという印象、一段降りる夏は池のところの手前が、斜面の下が唯一見えたところだったのでそこから落とした。東面なので適度に緩んだザラメを快適に滑り降りたけれど、硬かったら絶対入ってない。でも、真砂岳を正面に見ながら滑ることのできる、とても素晴らしいしびれる大斜面だ。なんとなく右へ右へと滑ってゆき真砂カールの底に到着、昨日の雪は気にならない程度のストップ雪をさらに進む。もう傾斜はユルユルでもこの谷の好きなところは上空の解放感。左岸岩峰の各ルンゼから数多くデブリが落ちてきているが、滑降斜面に全く影響がない。今日の天気は最高、青空と雪面のコントラストが美しい。少し幅が狭まり谷間から池ノ平方面が見えると劔沢も近い。すると正面に八峰と源次郎尾根が見えるが、源次郎の曲があんなにマッターホルンのように見えるなんて今まで気づかなかった。貸し切りの景色を後にし劔沢に合流、約半年ぶりの真砂沢ヒュッテで長い休みを取った。やっぱり以前にきた時よりも雪は少ない感じだ。
ここからは黙って記憶をなくしながら登る3時間半の旅、先行して歩いていた方の別山沢シュプールも発見した。この沢もまだ賞味期限内だったが、デブリが多い感じがした。それよりもすごかったのは左岸長次郎・平蔵・武蔵の各谷からのデブリだ。平蔵なんて上から下までデブリーランドと化していた。この時期の新雪からの快晴はこうなるというのがよく分かった。このころから急に雲がわき始め、劔は隠れてしまった。
警備隊上から上部カールに入り、ヘロヘロになったところで竹竿をカウントダウンしながら登ってゆく。16時を回っているので、どこでも滑ることができるほど雪が残っているものの、さすがに劔沢側を滑っている人はいなかった。やや風が強い別山乗越に着けば、ガスで下が見えなくなるかどうかギリのタイミング。雷鳥坂斜面を滑ろうと思っていたが、視界がない方が嫌だったので見えるうちにと、そのまま沢の中を滑り始める。重ザラメでも気分良く滑り降りることができた。この下りで今シーズン買ったゴーグルの曇天時レンズを試したが、ものすごい視界良好なのに驚いた。
/12
最終日、10時30分には雄山Pにいたいと思っていたものの、関係ない荷物が多かったので重くて足が進まない。隣にテントを張っていた2人と抜きつ抜かれつしながら進む。特に雄山の登りは荷物を捨てたかった。登りを割愛するならタンボ沢かなと思っていたけれど、詳しそうなテレマーカーに聞けば雪がつながっていなければ東一ノ越までシートラ、つながっていれば御山谷をある程度滑って、東一ノ越まで直登できる沢があるとのこと。先に出パした彼の動きを見ていたが、下部を探りながら斜滑降していったので、きっとシートラだったのではと推察した。
雄山P神社にお参りを済ませると、直下で休憩していた2人組にあいさつをされた。出パ前に話した別山経由三山周回の2人だとわかり、あまりの速さにびっくりした。しばらく話し込み荷物へ戻ると、抜きつを繰り返していた2人が到着しており、ここでまた話し込んでしまった。約1時間の休憩後、ユルユルになった雪の御前谷にドロップインした。
重い荷物に耐えながら止まり止まり滑ってゆくと、以前も気になっていた2550付近のトラバース跡があった。ガイドどおりの2200まで下りるか、それともこの新規ルートに進むか…谷のメイン斜面はデブリが多かったので複数の跡があった前者を選択し、緩雪をひたすらにトラバースする。するとちょったした尾根上の平坦地に飛び出た。この下は下るほどに急で狭い斜面になるようで、カーブしていて下部の状況がわからない。もう戻ることもできないのでこれを下るしかない。沢で大滝が出てきて下れないというのが発覚した時くらいヤバイと思った。
思い切って下り始めると、上部はまとも、狭くなり始める箇所は亀裂が多く確認でき、雪面は小雪崩が出て、幾筋もの幅広の溝だらけになっている。もっと雪が少なかったら何回かスキーを外さなくてはならないだろう。なんとか横滑りを交えて突破したが、溝に足を取られ頭から滑落してしまった。不規則な雪面の凸凹と重いザラメで奇跡的に足が下になり体位変換が成功!事なきを得た。あーやばかった…そういえば、モンベルの冬ジャケットの生地が、起き毛状というかざらついた生地だったのは、滑落時の制動としてという趣旨を聞いたことがあったけれど、なんで今はツルツル地になったんだ?
何とか頑張って傾斜の緩くなったタンボ沢にたどり着いた。絶対次回以降は2200まで下ろうと誓った。その後はあのわずかな登り返しがきつく感じる黒部平にヘロヘロになって到着した。黒部ダムの階段もきつかった。薬師の湯に立ち寄り、松本で山賊焼きを食し、各駅で帰宅した。
本来行きたかったところではなかったけれど、それなりに楽しめた山行になった。ただ、体力が低下しているのか本当に荷物が重かったのかはよくわからない。
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