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Yamareco

記録ID: 330197
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
甲斐駒・北岳

テント泊・仙塩尾根縦走(鳥倉登山口〜三伏峠〜塩見岳〜熊ノ平〜間ノ岳〜北岳〜広河原)

2013年08月03日(土) ~ 2013年08月06日(火)
情報量の目安: S
都道府県 山梨県 長野県 静岡県
 - 拍手
GPS
80:00
距離
32.6km
登り
3,157m
下り
3,282m

コースタイム

8月3日
 5:30 越路駐車場
 6:10-6:30 鳥倉登山口
 9:30-10:30 三伏峠小屋(テント設営)
 11:15-12:00 烏帽子岳
 12:50 三伏峠テン場

8月4日
 4:30 三伏峠発
 5:30 本谷山
 7:30-7:45 塩見小屋
 9:00-9:20 塩見岳山頂(西峰)
 11:20-11:40 北荒川岳南テン場跡(昼食)
 15:30 熊ノ平小屋

8月5日
 6:20 熊ノ平小屋
 8:15-8:30 三峰岳
 9:30 間ノ岳
 10:45-11:00 中白根岳
 11:30 北岳山荘

8月6日
 3:50 北岳山荘
 5:10-5:50 北岳山頂
 6:15 肩の小屋
 7:50-8:00 御池小屋
 9:30 広河原山荘
天候 8月3日:晴れのち曇り
8月4日:晴れのち曇り
8月5日:霧一時雨
8月6日:朝方晴れ・のち曇り
過去天気図(気象庁) 2013年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
往路は毎日あるぺん号利用。この方面は週末のみ運行だが、時間的には極めて便利。
伊那大島駅からは、所定であれば3時間弱待ってバス利用だが、あるぺん号乗客を当て込んだタクシーが到着にあわせて待っていて、現地で交渉の上、今回はタクシー相乗り。但し、バスだと登山口まで行ってくれるが、タクシーは手前の越路駐車場までとなって歩行時間は+40分。

復路の広河原からは、山梨交通の路線バス。芦安で途中下車して入浴する場合でも、乗車券は通し(2000円)で売ってくれる。
コース状況/
危険箇所等
既に語り尽くされている感がありますが…
・鳥倉登山口→三伏峠間には途中から木製ハシゴが多く、雨の後は滑りやすい。
・塩見岳,三峰山,北岳のそれぞれ直下は岩場。テント込みで荷物が重いと若干通過に難儀。
・仙塩尾根稜線上,間ノ岳付近〜北岳山荘は、濃霧時にルートがわかりづらい。
・御池小屋経由下山ルートは急下降。スリップ要注意。

下山後の入浴は、芦安バス停前の白峰会館を利用。(700円)
バスの待ち時間に、芦安山岳館を見学。(200円)
今回の往路はあるぺん号利用。
秋葉原駅前からシャトルバスで竹橋の毎日新聞社に移動。
2013年08月02日 22:01撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/2 22:01
今回の往路はあるぺん号利用。
秋葉原駅前からシャトルバスで竹橋の毎日新聞社に移動。
毎日新聞社で受付後、乗車。
2013年08月02日 22:30撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/2 22:30
毎日新聞社で受付後、乗車。
朝4時に伊那大島駅着。
あるぺん号乗客を当て込んだタクシーが待っていた。
2013年08月03日 03:58撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/3 3:58
朝4時に伊那大島駅着。
あるぺん号乗客を当て込んだタクシーが待っていた。
越路駐車場ゲート。
バスは奥の登山口まで入るが、タクシーはここまで。
2013年08月03日 05:20撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/3 5:20
越路駐車場ゲート。
バスは奥の登山口まで入るが、タクシーはここまで。
鳥倉登山口。
いよいよ長い縦走が始まる。
2013年08月03日 06:16撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/3 6:16
鳥倉登山口。
いよいよ長い縦走が始まる。
三伏峠までは、1/10毎に標識が整備されており、ペースをつかみやすい。
2013年08月03日 07:27撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/3 7:27
三伏峠までは、1/10毎に標識が整備されており、ペースをつかみやすい。
木ハシゴが何度も現われる。これは5/10〜6/10の間。
濡れているとよく滑る。
2013年08月03日 08:14撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/3 8:14
木ハシゴが何度も現われる。これは5/10〜6/10の間。
濡れているとよく滑る。
水場は6/10〜7/10間にあった。
ホンモノの南アルプス天然水!
2013年08月03日 08:34撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/3 8:34
水場は6/10〜7/10間にあった。
ホンモノの南アルプス天然水!
小腹がすいたので、持参した手製おにぎりをほおばる。
2013年08月03日 09:00撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/3 9:00
小腹がすいたので、持参した手製おにぎりをほおばる。
9/10を過ぎて、いよいよ塩見岳、現る!
2013年08月03日 09:27撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/3 9:27
9/10を過ぎて、いよいよ塩見岳、現る!
三伏峠小屋到着。
2013年08月03日 09:36撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/3 9:36
三伏峠小屋到着。
早々にテント設営。
ここをベースに塩見岳を往復しているのか、背後のテントは殆んどカラ。
2013年08月03日 10:05撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
1
8/3 10:05
早々にテント設営。
ここをベースに塩見岳を往復しているのか、背後のテントは殆んどカラ。
三伏峠のお花畑。
2013年08月03日 10:41撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/3 10:41
三伏峠のお花畑。
烏帽子岳山頂。
背後に見える塩見岳は、ガスに見えたり隠れたり…。
2013年08月03日 11:13撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/3 11:13
烏帽子岳山頂。
背後に見える塩見岳は、ガスに見えたり隠れたり…。
一番よく全貌が見えて、こんな感じ。
2013年08月03日 11:17撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
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8/3 11:17
一番よく全貌が見えて、こんな感じ。
三伏峠小屋の水場。
小屋から往復で30分くらい。(チト遠い…)
2013年08月03日 12:22撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/3 12:22
三伏峠小屋の水場。
小屋から往復で30分くらい。(チト遠い…)
翌朝、三伏山から塩見岳。
期待の持てる空。
2013年08月04日 04:36撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/4 4:36
翌朝、三伏山から塩見岳。
期待の持てる空。
本谷山の直前で、日の出を迎える。
2013年08月04日 05:26撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
1
8/4 5:26
本谷山の直前で、日の出を迎える。
本谷山から、南アルプス北部の山々。
右向こうに見える北岳まで、これから延々歩いていくのだ。
2013年08月04日 05:34撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/4 5:34
本谷山から、南アルプス北部の山々。
右向こうに見える北岳まで、これから延々歩いていくのだ。
南アルプスっぽい樹林帯。
2013年08月04日 06:22撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/4 6:22
南アルプスっぽい樹林帯。
塩見小屋到着。
布団干しが行われていて、のんびりムード。
2013年08月04日 07:27撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/4 7:27
塩見小屋到着。
布団干しが行われていて、のんびりムード。
塩見小屋のベンチから、これから歩く仙塩尾根を望む。
2013年08月04日 07:29撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/4 7:29
塩見小屋のベンチから、これから歩く仙塩尾根を望む。
塩見岳山頂到着!
こちらは三角点のある西峰。
2013年08月04日 09:00撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/4 9:00
塩見岳山頂到着!
こちらは三角点のある西峰。
山頂から、これから進む仙塩尾根。
まだまだ先は長い…。
2013年08月04日 09:02撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
1
8/4 9:02
山頂から、これから進む仙塩尾根。
まだまだ先は長い…。
山頂から一気に高度を下げる。
2013年08月04日 09:33撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/4 9:33
山頂から一気に高度を下げる。
北俣岳分岐。
2013年08月04日 09:56撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/4 9:56
北俣岳分岐。
分岐から急下降した先に、こんな標柱が。
でもキャンプしたら気持ちよさそう…。
2013年08月04日 10:23撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/4 10:23
分岐から急下降した先に、こんな標柱が。
でもキャンプしたら気持ちよさそう…。
この頃になると、塩見岳がガスに隠れ始める。
2013年08月04日 10:47撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
1
8/4 10:47
この頃になると、塩見岳がガスに隠れ始める。
北荒川岳が近づくと、こんなお花畑の中を進んでいく。幻想的。
2013年08月04日 11:14撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/4 11:14
北荒川岳が近づくと、こんなお花畑の中を進んでいく。幻想的。
キャンプ場跡地。
ここも、花に囲まれていて、キャンプしたら気持ちよさそう…。
2013年08月04日 11:20撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/4 11:20
キャンプ場跡地。
ここも、花に囲まれていて、キャンプしたら気持ちよさそう…。
北荒川岳山頂。
ガスで殆んど何も見えず…。
2013年08月04日 11:52撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/4 11:52
北荒川岳山頂。
ガスで殆んど何も見えず…。
だいぶ歩いて、熊ノ平小屋がやっと見えた!
でも、まだかなり遠い…。
2013年08月04日 13:52撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/4 13:52
だいぶ歩いて、熊ノ平小屋がやっと見えた!
でも、まだかなり遠い…。
やっとのことで、熊ノ平小屋到着。
2013年08月04日 15:29撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/4 15:29
やっとのことで、熊ノ平小屋到着。
晴れれば農鳥岳がバッチリ見える場所にテント設営。
2013年08月04日 16:09撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/4 16:09
晴れれば農鳥岳がバッチリ見える場所にテント設営。
昨日と違って、水場はテントの目の前。
便利だし、水もおいしい。
2013年08月05日 05:10撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/5 5:10
昨日と違って、水場はテントの目の前。
便利だし、水もおいしい。
3日目、ガスだが出発を決意。
2013年08月05日 06:21撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/5 6:21
3日目、ガスだが出発を決意。
三峰岳山頂。
雨も少し混じってきた。
2013年08月05日 08:14撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/5 8:14
三峰岳山頂。
雨も少し混じってきた。
間ノ岳山頂。
雨は止んだが視界はよくなく…。
2013年08月05日 09:35撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
1
8/5 9:35
間ノ岳山頂。
雨は止んだが視界はよくなく…。
結局、この日は北岳山荘止まりとする。
2013年08月05日 11:28撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/5 11:28
結局、この日は北岳山荘止まりとする。
晴れれば富士山がよく見える位置に、テント設営。
2013年08月05日 12:19撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/5 12:19
晴れれば富士山がよく見える位置に、テント設営。
夕方になってガスが少しとれ、北岳も少し姿を現わした。
2013年08月05日 18:32撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/5 18:32
夕方になってガスが少しとれ、北岳も少し姿を現わした。
空も若干赤くなった。
2013年08月05日 18:50撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/5 18:50
空も若干赤くなった。
4日目、出発を決意して北岳に登り始めると、富士山も姿を現わした。
2013年08月06日 04:37撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
2
8/6 4:37
4日目、出発を決意して北岳に登り始めると、富士山も姿を現わした。
だんだんガスが晴れてきて、そしてついに、間ノ岳の向こうに塩見岳が!
あそこから歩いてきたのだ。
2013年08月06日 05:02撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/6 5:02
だんだんガスが晴れてきて、そしてついに、間ノ岳の向こうに塩見岳が!
あそこから歩いてきたのだ。
そして、山頂着と同時に、塩見岳に虹が!!
これは感動的。4日間の縦走のご褒美と受け取った。
2013年08月06日 05:08撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
1
8/6 5:08
そして、山頂着と同時に、塩見岳に虹が!!
これは感動的。4日間の縦走のご褒美と受け取った。
山頂看板も朝日に輝いている。
2013年08月06日 05:10撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/6 5:10
山頂看板も朝日に輝いている。
朝日は鳳凰三山の方向から。
2013年08月06日 05:10撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
1
8/6 5:10
朝日は鳳凰三山の方向から。
富士山も美しく見えている。
2013年08月06日 05:10撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
2
8/6 5:10
富士山も美しく見えている。
下り始めると、じきに肩の小屋が見えてきた。
2013年08月06日 05:54撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/6 5:54
下り始めると、じきに肩の小屋が見えてきた。
小太郎尾根直下のお花畑。
2013年08月06日 06:50撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/6 6:50
小太郎尾根直下のお花畑。
御池小屋のテン場が見えた。
でもまだまだかかりそう…。
2013年08月06日 07:31撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/6 7:31
御池小屋のテン場が見えた。
でもまだまだかかりそう…。
御池小屋。
2013年08月06日 07:48撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/6 7:48
御池小屋。
広河原山荘。
とうとうここまで降りてきた。
2013年08月06日 09:22撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/6 9:22
広河原山荘。
とうとうここまで降りてきた。
この吊り橋を渡ると、ゴール!
おつかれさまでした。
2013年08月06日 09:24撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/6 9:24
この吊り橋を渡ると、ゴール!
おつかれさまでした。
バスで帰途につく。
2013年08月06日 10:04撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/6 10:04
バスで帰途につく。
芦安で途中下車し、白峰会館で入浴。
2013年08月06日 12:26撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
8/6 12:26
芦安で途中下車し、白峰会館で入浴。
バスの待ち時間は山岳館を見学。
2013年08月06日 12:29撮影 by  COOLPIX P5100, NIKON
1
8/6 12:29
バスの待ち時間は山岳館を見学。
撮影機器:

感想

以前白根三山を歩いた際、農鳥あたりから見る仙塩尾根の重厚さに惹かれ、次に南アルプスを縦走するならこのルートと決めていた。
しかし、今年の夏にとれた休みは、8月上旬。季節はいいが山の混雑もピークで、小屋に狭い思いをして泊るのも気が引ける。そこで、荷ははるかに重くなるのを覚悟の上、確実に自分用のスペースが確保できる、テント泊縦走を選択することとした。

仙塩尾根を南からテント泊で上がる場合、必然的に1日目は三伏峠泊りとなる。東京を朝出ても、その日のうちに着くことはできるが、路線バスが1日2本しかないので、やや時間が遅くなる。そこで、週末のみ運行している夜行バス・あるぺん号を利用し、朝のバスで登山口まで上がることを考えた。
あるぺん号、私は初めて利用したが、列車と違って窮屈なのと、一番前の席が指定されて足が伸ばせないので、殆んど寝れなかった…。まあ、初日は歩行時間が短いので、よしとすることとした。

伊那大島駅であるぺん号を降りると、予め予約していたと思われるタクシーが去った後に、もう1台タクシーが…。相乗りで登山口手前の駐車場まで行ってくれるというので、バスを3時間弱待つよりはと、そのタクシーを利用することに。相乗りしていただいた皆さん、時間が稼げました。ありがとうございました。

タクシーを越路駐車場で降り、更に林道を40分ほど歩いて、鳥倉登山口へ。
いよいよここから、長い長い縦走が始まる。大した急登ではないが、テント込みのザックは、出発前に自宅で計測したところでは全備重量19kg!さすがに重く、足が思うように前に進んでいかない。軽装の登山者に抜かされつつ、しかし1/10毎の標識に励まされ、三伏峠小屋にはほぼコースタイム通りで到着。

泊地に9時半に着いてしまい、あまりに早いので、テント設営後、烏帽子岳までちょっと散歩。山頂では、ガスに見え隠れする塩見岳を眺めつつ、気候がいいので少々昼寝をしたりして、のんびり過ごす。
昼すぎにテン場に戻ってからは、午睡…。

2日目、今日はコースタイムで9時間半の長丁場なので、4時半に早立ちする。
朝からいい天気で、三伏山〜本谷山の稜線からは、塩見岳がずっと眺められる。本谷山からは、これから進む南アルプス北部の山々が一望できる。これから、あのはるか彼方の北岳まで歩いていくのだ。

宿泊者を送り出してのんびりムードの塩見小屋を過ぎ、頂上直下の岩場に取りかかる。ここでも、荷が重いためにペースは遅くなりがちになる。軽装の登山者に何度も抜かされ、ようやく山頂に立つ。2年前にも登頂していて、その時は東峰で腰を下ろしたので、今回は西峰で腰を下ろす。目の前に見える仙塩尾根は、本当に重厚だ。

展望を満喫してから、本日のコースの核心部・仙塩尾根に踏み出す。しばらくは急下降で、足元をよく見ながら歩いていくが、その足元にあちこち花が咲いているのがまた美しい。
急下降した後の幕営禁止標柱を過ぎると、ゆるい稜線歩きになる。この頃になると塩見岳がガスに隠れ始めてしまう。しかしそれに代わって、マルバダケブキの大お花畑が現われ、幻想的な光景の中に延びる登山道を進んでいく。北荒川岳南のキャンプ場跡地は花の楽園で、禁止されていなければここで泊りたいくらいだ。

北荒川岳山頂はガスの中で、残念ながら景色は見えず、以後は樹林帯の中を延々進む。変化に乏しく、歩いている割にはあまり進んだ気がせず、本当に熊ノ平小屋に着くのか、だんだん不安になってくる。途中、一度ガスが晴れて小屋が遠望できたが、思っていたより遠くにあり、更に気が滅入る。しかし、時間的には余裕があるので、自分のペースを守りつつ、何とか熊ノ平小屋まで歩き切った。

昨日の三伏峠のテン場は水場まで往復30分かかり、だいぶ不自由したが、ここはテン場の目の前に水場があり、極めて便利。人も少なく、一つ一つのテントもかなり離れて設営できるので、静かで大変好ましい雰囲気である。覗いただけだが小屋もいい雰囲気で、また泊ってみたいと思った。

3日目、天気予報はよくないが、少しくらいは先に進んでおこうと考え、当初予定の肩の小屋ではなく、その手前の北岳山荘まで進むことを決意する。
雨がポツポツ降り出し、今回初のカッパ着用で出発。雨自体は弱いが、風も出てきているので、防寒にもちょうどいい。小屋からしばらく急登にあえぎ、その後は岩場で難儀したが、三峰山にはほぼコースタイムで到着。

ガスで殆んど何も見えないが、行動食で小腹を満たし、先に進む。このあたりからは、ハクサンイチゲをはじめとする高山植物が増え、景色は見えないが幻想的な道を進んでいく。間ノ岳山頂もガスの中。前に来た時に360度完全ビューを見ているので、今回は止まらずに進む。
ここからは急激に登山者が増え、比較的緩斜面の道を、道を譲りつつゆっくり下る。ガスの中に北岳山荘が忽然と現われ、本日の行程終了。早々に手続きをし、テントを張って午睡を決め込む。

夕方、周りのテントにいる学生の声で目を覚まし、外に出てみると、着いた時よりはガスが消えている。西の空は若干赤く染まっていて、北岳も、山頂までは見えないがだいぶ姿を現わしている。天気が悪ければ、予備日を食いつぶして明日は停滞を決め込むことも可能なのだが、この空に少し期待もしつつ、ラジオの明日の予報はかなり悲惨な内容なので、かなり悩みながら床についた。

4日目、まだ暗い2時半に起きてみると、なんと満天の星空!
北岳も、夜空に全貌を現わしている。
このチャンスを見逃す手はないと、ヘッデン装備での出発を決意。急いで食事とテント撤収をし、4時に出発する。
暗い中、北岳山頂への岩場を進んでいくが、だんだん青空の面積が減っていく。やはり昨日のラジオの予報通りかと思っているうちに、ついにはあたり一面ガスに覆われてしまう…。これは予備日使用確定かと、折角のテンションも、下がってしまった。

しかし、山頂到着とほぼ同時に、背後に間ノ岳,そして塩見岳が見えだした。しかも、塩見岳には虹がかかっている!!長躯3泊4日の縦走のフィナーレに、南の出発点に虹をかけてくれるなんて、なんと気の利いた演出だろう。鳥肌が立つくらいの感動である。
頂上でコーヒーを沸かし、しばらく展望を楽しむ。朝日は鳳凰三山の方向から出ており、朝焼けの空にきれいに浮き出ていた他、富士山も雲の中から顔を見せている。甲斐駒・仙丈をはじめとした南アルプスの山々,八ヶ岳も朝日に朱い。これだけ見れれば、予備日を使うことはない。大満足で下山することにした。

下りは肩の小屋・御池小屋を経由するコースとする。北岳はどこから登っても急登続きだが、このルートもトンデモナイ急登で、私は下りる方だからいいものの、登ってくる人はみんなエラく大変そうだ。荷物が重いためか、コースタイムよりかなり早いペースで下り、広河原には9時半に着いてしまった。予定より1本早いバスに余裕で間に合ってしまった。

バスは芦安で途中下車し、白峰会館で入浴してリフレッシュする。普通の露天つきお風呂といった印象だが、4日間の汗を流すには絶好のロケーションである。入浴・食事をしてまだ時間が余ったので、近くの芦安山岳館を見学する。企画展が行われており、なかなか興味深い内容であった。
天気は曇りに戻ってしまっていたが、最終日朝の光景は何とも感動的であり、デジカメの画像で余韻に浸りつつ、帰途についた。

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