テント泊・仙塩尾根縦走(鳥倉登山口〜三伏峠〜塩見岳〜熊ノ平〜間ノ岳〜北岳〜広河原)
- GPS
- 80:00
- 距離
- 32.6km
- 登り
- 3,157m
- 下り
- 3,282m
コースタイム
5:30 越路駐車場
6:10-6:30 鳥倉登山口
9:30-10:30 三伏峠小屋(テント設営)
11:15-12:00 烏帽子岳
12:50 三伏峠テン場
8月4日
4:30 三伏峠発
5:30 本谷山
7:30-7:45 塩見小屋
9:00-9:20 塩見岳山頂(西峰)
11:20-11:40 北荒川岳南テン場跡(昼食)
15:30 熊ノ平小屋
8月5日
6:20 熊ノ平小屋
8:15-8:30 三峰岳
9:30 間ノ岳
10:45-11:00 中白根岳
11:30 北岳山荘
8月6日
3:50 北岳山荘
5:10-5:50 北岳山頂
6:15 肩の小屋
7:50-8:00 御池小屋
9:30 広河原山荘
天候 | 8月3日:晴れのち曇り 8月4日:晴れのち曇り 8月5日:霧一時雨 8月6日:朝方晴れ・のち曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2013年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
伊那大島駅からは、所定であれば3時間弱待ってバス利用だが、あるぺん号乗客を当て込んだタクシーが到着にあわせて待っていて、現地で交渉の上、今回はタクシー相乗り。但し、バスだと登山口まで行ってくれるが、タクシーは手前の越路駐車場までとなって歩行時間は+40分。 復路の広河原からは、山梨交通の路線バス。芦安で途中下車して入浴する場合でも、乗車券は通し(2000円)で売ってくれる。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
既に語り尽くされている感がありますが… ・鳥倉登山口→三伏峠間には途中から木製ハシゴが多く、雨の後は滑りやすい。 ・塩見岳,三峰山,北岳のそれぞれ直下は岩場。テント込みで荷物が重いと若干通過に難儀。 ・仙塩尾根稜線上,間ノ岳付近〜北岳山荘は、濃霧時にルートがわかりづらい。 ・御池小屋経由下山ルートは急下降。スリップ要注意。 下山後の入浴は、芦安バス停前の白峰会館を利用。(700円) バスの待ち時間に、芦安山岳館を見学。(200円) |
写真
感想
以前白根三山を歩いた際、農鳥あたりから見る仙塩尾根の重厚さに惹かれ、次に南アルプスを縦走するならこのルートと決めていた。
しかし、今年の夏にとれた休みは、8月上旬。季節はいいが山の混雑もピークで、小屋に狭い思いをして泊るのも気が引ける。そこで、荷ははるかに重くなるのを覚悟の上、確実に自分用のスペースが確保できる、テント泊縦走を選択することとした。
仙塩尾根を南からテント泊で上がる場合、必然的に1日目は三伏峠泊りとなる。東京を朝出ても、その日のうちに着くことはできるが、路線バスが1日2本しかないので、やや時間が遅くなる。そこで、週末のみ運行している夜行バス・あるぺん号を利用し、朝のバスで登山口まで上がることを考えた。
あるぺん号、私は初めて利用したが、列車と違って窮屈なのと、一番前の席が指定されて足が伸ばせないので、殆んど寝れなかった…。まあ、初日は歩行時間が短いので、よしとすることとした。
伊那大島駅であるぺん号を降りると、予め予約していたと思われるタクシーが去った後に、もう1台タクシーが…。相乗りで登山口手前の駐車場まで行ってくれるというので、バスを3時間弱待つよりはと、そのタクシーを利用することに。相乗りしていただいた皆さん、時間が稼げました。ありがとうございました。
タクシーを越路駐車場で降り、更に林道を40分ほど歩いて、鳥倉登山口へ。
いよいよここから、長い長い縦走が始まる。大した急登ではないが、テント込みのザックは、出発前に自宅で計測したところでは全備重量19kg!さすがに重く、足が思うように前に進んでいかない。軽装の登山者に抜かされつつ、しかし1/10毎の標識に励まされ、三伏峠小屋にはほぼコースタイム通りで到着。
泊地に9時半に着いてしまい、あまりに早いので、テント設営後、烏帽子岳までちょっと散歩。山頂では、ガスに見え隠れする塩見岳を眺めつつ、気候がいいので少々昼寝をしたりして、のんびり過ごす。
昼すぎにテン場に戻ってからは、午睡…。
2日目、今日はコースタイムで9時間半の長丁場なので、4時半に早立ちする。
朝からいい天気で、三伏山〜本谷山の稜線からは、塩見岳がずっと眺められる。本谷山からは、これから進む南アルプス北部の山々が一望できる。これから、あのはるか彼方の北岳まで歩いていくのだ。
宿泊者を送り出してのんびりムードの塩見小屋を過ぎ、頂上直下の岩場に取りかかる。ここでも、荷が重いためにペースは遅くなりがちになる。軽装の登山者に何度も抜かされ、ようやく山頂に立つ。2年前にも登頂していて、その時は東峰で腰を下ろしたので、今回は西峰で腰を下ろす。目の前に見える仙塩尾根は、本当に重厚だ。
展望を満喫してから、本日のコースの核心部・仙塩尾根に踏み出す。しばらくは急下降で、足元をよく見ながら歩いていくが、その足元にあちこち花が咲いているのがまた美しい。
急下降した後の幕営禁止標柱を過ぎると、ゆるい稜線歩きになる。この頃になると塩見岳がガスに隠れ始めてしまう。しかしそれに代わって、マルバダケブキの大お花畑が現われ、幻想的な光景の中に延びる登山道を進んでいく。北荒川岳南のキャンプ場跡地は花の楽園で、禁止されていなければここで泊りたいくらいだ。
北荒川岳山頂はガスの中で、残念ながら景色は見えず、以後は樹林帯の中を延々進む。変化に乏しく、歩いている割にはあまり進んだ気がせず、本当に熊ノ平小屋に着くのか、だんだん不安になってくる。途中、一度ガスが晴れて小屋が遠望できたが、思っていたより遠くにあり、更に気が滅入る。しかし、時間的には余裕があるので、自分のペースを守りつつ、何とか熊ノ平小屋まで歩き切った。
昨日の三伏峠のテン場は水場まで往復30分かかり、だいぶ不自由したが、ここはテン場の目の前に水場があり、極めて便利。人も少なく、一つ一つのテントもかなり離れて設営できるので、静かで大変好ましい雰囲気である。覗いただけだが小屋もいい雰囲気で、また泊ってみたいと思った。
3日目、天気予報はよくないが、少しくらいは先に進んでおこうと考え、当初予定の肩の小屋ではなく、その手前の北岳山荘まで進むことを決意する。
雨がポツポツ降り出し、今回初のカッパ着用で出発。雨自体は弱いが、風も出てきているので、防寒にもちょうどいい。小屋からしばらく急登にあえぎ、その後は岩場で難儀したが、三峰山にはほぼコースタイムで到着。
ガスで殆んど何も見えないが、行動食で小腹を満たし、先に進む。このあたりからは、ハクサンイチゲをはじめとする高山植物が増え、景色は見えないが幻想的な道を進んでいく。間ノ岳山頂もガスの中。前に来た時に360度完全ビューを見ているので、今回は止まらずに進む。
ここからは急激に登山者が増え、比較的緩斜面の道を、道を譲りつつゆっくり下る。ガスの中に北岳山荘が忽然と現われ、本日の行程終了。早々に手続きをし、テントを張って午睡を決め込む。
夕方、周りのテントにいる学生の声で目を覚まし、外に出てみると、着いた時よりはガスが消えている。西の空は若干赤く染まっていて、北岳も、山頂までは見えないがだいぶ姿を現わしている。天気が悪ければ、予備日を食いつぶして明日は停滞を決め込むことも可能なのだが、この空に少し期待もしつつ、ラジオの明日の予報はかなり悲惨な内容なので、かなり悩みながら床についた。
4日目、まだ暗い2時半に起きてみると、なんと満天の星空!
北岳も、夜空に全貌を現わしている。
このチャンスを見逃す手はないと、ヘッデン装備での出発を決意。急いで食事とテント撤収をし、4時に出発する。
暗い中、北岳山頂への岩場を進んでいくが、だんだん青空の面積が減っていく。やはり昨日のラジオの予報通りかと思っているうちに、ついにはあたり一面ガスに覆われてしまう…。これは予備日使用確定かと、折角のテンションも、下がってしまった。
しかし、山頂到着とほぼ同時に、背後に間ノ岳,そして塩見岳が見えだした。しかも、塩見岳には虹がかかっている!!長躯3泊4日の縦走のフィナーレに、南の出発点に虹をかけてくれるなんて、なんと気の利いた演出だろう。鳥肌が立つくらいの感動である。
頂上でコーヒーを沸かし、しばらく展望を楽しむ。朝日は鳳凰三山の方向から出ており、朝焼けの空にきれいに浮き出ていた他、富士山も雲の中から顔を見せている。甲斐駒・仙丈をはじめとした南アルプスの山々,八ヶ岳も朝日に朱い。これだけ見れれば、予備日を使うことはない。大満足で下山することにした。
下りは肩の小屋・御池小屋を経由するコースとする。北岳はどこから登っても急登続きだが、このルートもトンデモナイ急登で、私は下りる方だからいいものの、登ってくる人はみんなエラく大変そうだ。荷物が重いためか、コースタイムよりかなり早いペースで下り、広河原には9時半に着いてしまった。予定より1本早いバスに余裕で間に合ってしまった。
バスは芦安で途中下車し、白峰会館で入浴してリフレッシュする。普通の露天つきお風呂といった印象だが、4日間の汗を流すには絶好のロケーションである。入浴・食事をしてまだ時間が余ったので、近くの芦安山岳館を見学する。企画展が行われており、なかなか興味深い内容であった。
天気は曇りに戻ってしまっていたが、最終日朝の光景は何とも感動的であり、デジカメの画像で余韻に浸りつつ、帰途についた。
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