宿題終了!置賜葉山から大朝日岳・以東岳
- GPS
- 80:00
- 距離
- 47.8km
- 登り
- 4,174m
- 下り
- 3,743m
コースタイム
- 山行
- 6:20
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 7:20
- 山行
- 9:35
- 休憩
- 1:16
- 合計
- 10:51
天候 | 6/8 曇り /9 快晴 /10 快晴 /11 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路:大井沢自然博物館 726(西川町営バス\300)737 月山口 850(高速バス\1090)920 寒河江SA(入浴) 1135(高速バス\1600)1255 仙台駅西口高速バスセンター 1320(\4000)-1955 バスタ新宿 |
コース状況/ 危険箇所等 |
置賜葉山〜御影森山 破線ルートになっていますが、地元山岳会の関係者によって見事なまでの刈り払いが行われていました。2019秋に行われたようですが、幅広でしっかりしたルートでした。水場、ピーク名などのプレートもあり、感謝しかありません。オーバーユースが問題になっている昨今ですが、歩くことで保たれる道もあるんだと勉強になりました。むしろ御影森〜平岩山間の方が歩きにくいと感じたほどです。 この記事を見た方はブナ林の中、ハルゼミの蝉時雨を聞き、足の踏み場に困るほどのカタクリ群生を見つつ、是非一度歩いてみてください。 |
その他周辺情報 | 寒河江SA直近の『ゆーチェリー』¥350、何度か行っているのですが最高です。 |
写真
感想
まだエアリアのルート線が『オレンジ色』だった頃、そして朝日連峰の地図の裏が『月山』だった地図で、いつかここをつなぎたいと思っていたルート。それが長井の葉山から大朝日のルートだった。アサカメの山岳写真特集で紅葉に燃える葉山の写真を見た。そのころ『村山葉山』と勘違いしていたこの『置賜葉山』に行かなくちゃとずっと思っていた。30年間の宿題になっていたこのルート、なかなか記録が見つからない。当然当時は実線で、20年くらい前に通った祝瓶山までのルートのように、笹がかぶってはいるが歩けなくはないんだろうくらいに思っていた。(このルートでヤマダニ3匹に腹を食われ、皮膚ごと爪を立ててむしり取った記憶あり。)
するとやっと見つけた記録は、廃道寸前、2019年に地元山岳会が刈り払いを実施したというものだけだった。もしそれ以前に行っていたら、結構えらい目にあっていただろう。改めて持っていく地図は新しくなくてはならないと実感した。
真夏はメジロや暑さで問題外、残雪の朝日連峰を味わいたいと思い、コロナを押して夜行バスで出かけることにした。
緊急事態も何度かであればマヒしてしまうのは世の常でしょう。夜行電車も走っていない昨今、夜中の移動はバスしかない。こんな値段でよく走ってもらえるなという感じだ。そして直前に気づいたのだが、荷物の大きさまで指定されていた。『げーっ!0時過ぎに荷物が大きいので乗車できませんなんて言われたって、どうやって自宅に帰ればいいんだ?』など不安をかかえたまま、『スタバ』ではなく初の『バスタ』に到着。荷物は載せてもらえたが、トランクのスペースが狭いことがその理由だった。若干値段が高くても、密にならない?ように3列シートを選択したが、乗ってみてシートを仕切るカーテンがないことと満席なのに驚いた。自分は一番前の左端だったので、まだ良かった。
マスクにアイマスクとダブルマスク態勢、自家用車の方が気楽でいいな。
/8
山形駅に到着してびっくり、かなり綺麗に変わってしまっていた。そりゃそうだ、最後に使ったのは夜行急行が走っていた二十数年前だったんだから。そこから奥羽本線で赤湯、さらに初めて乗るフラワー長井線に乗り換えた。通学時間ということもあり、かなり混んでいる。座れず先頭車両運転席横に立って、タモリ倶楽部の鉄道回を見ている感覚。長井駅からバスも出ていたが、待ち時間を考えれば歩いても同じなのではと考え、無人の白兎駅に向かった。
線路脇からずっと見えているのが葉山の稜線だ。田んぼの中の道を歩き、葉山森林公園の看板から林道になる。キャンプ場で水を汲もうと思っていたところ、キャンプ場は無人、地元の方が一人いらっしゃり『とてもおいしい水が出っぱなしになっていますよ。』と教えてくれた。確かにキンキンに冷えた水が出っぱなし、とてもおいしかった。無料で使えるらしく、大きな建物内は土間、2階が板の間になっている。いつかは最終日はここで的な場所だった。
登山靴に履き替えた後、林道を進み、左に鳥居のあるところが登山口。掘れた道でも落ち葉がたまっておりクッションがいい。道の状況から地元ではよく登られているんだろう。東北の山のいいところは麓からブナ林が続くところ。一時間半ほど歩き、風の通るブナ林平坦地で休憩。午後から雨が降りそうな予報、確かに雲も低い。
休んだ所から傾斜が出てくる。なぜかトラロープも設定されている。滝の看板を過ぎれば平坦になり、道がかなり巻いているような感じで登ってゆくと、鉾立の水の看板がある切り開きに出る。こんな稜線上であれだけの水量が出てるとは驚きだ。ほんの少しで葉山山荘。小屋の中はかなり綺麗に整備しており、地元愛がいっぱいに詰まった感じの小屋だ。次は泊まってみたい。休憩後、明日以降があるので、後ろ髪惹かれつつ出パした。
小屋脇から登山道をたどると、すぐに奥の院分岐。さらにその先で白鷹登山道が合わさる。こちらはなんだかボサがすごい。本ルートの刈り払いは2m幅くらい、とてもありがたい。樹林帯は何でもないが日当たりの良い場所の笹は相当に密な感じで、今後人が通らないと再び速攻で藪に戻りそう。この先右手に大きな湿原が出現、タムシバが満開だった。この辺りは積雪期なら道に迷いそうだ。細かく小屋からの距離が記載されたプレートがぶら下がり、メインのピーク的なところは山名表示のプレートもある。エアリアに記載はない『四ツ橅』なる水場も西の沢型を下ると存在し、ルートから音だけはしっかり確認できた。
さらに進むと1264P、これは『鉄砲沢三角点』というらしい。曇っていることもあるし低灌木帯なので、まるで展望はない。一度下り登り返すと八形峰という葉山平と言われるこの一帯での最高峰らしい。刈り払いが至って良好な低いブナの道をさらに進む。ポイントにはエアリアに記載がない地名がプレートでぶら下がっている。この山域を管理している人たちの山愛を感じる。この標高でも北斜面には所々雪田が出てくる。落ち葉クッションが効いた道は続き、少し大きなPの西側を巻いて下ってゆくと、すでにブナは巨大化しており御殿御小屋平の表記点に出た。卯の花清水もあり、可能ならここに幕営するつもりで来た。稜線一段下に幕営可能な平坦地があり、気持ちがこれ以上進むことは許していなかった。羽虫が多かった。
水場は切りつけのある大きなブナから踏み跡を入ると、沢型に向かって下れば水はジャンジャン出ている。今日一日何とか天気はもってくれた。クッションのきいた幕場グランドで心地よい眠りについた。
/9
しっかりした刈り払いはさらに続き、中沢峰到着。祝瓶方面のルートはもっとしっかりしている感じだ。ここから大きく下る。右手に雪渓が見え、その手前で西側に巻き下るように道は続く。今日は好天で風もさわやか、しかーし羽虫の量が半端じゃない。中沢峰からはプレートの類は一切なくなるものの、刈り払いは良好、ヤブが多いと書かれたあたりは樹林が薄く、笹が繁茂し放題だったのだろう。前御影森と思しきPはハイマツの360度展望台、再び下って御影森の登りへ。ここまでの樹林帯はカタクリの大群生地が複数あって、踏まずに歩くことが困難なほどだった。羽虫の数は相変わらずだ。ひと登りで御影森、月山・蔵王・飯豊と東北南部の名だたる山の眺望が素晴らしかった。ここで例の破線ルートは終了、快適な登山道を維持管理していただいた山岳会の方々にひたすら感謝でしかありません。
大沢峰を越えると急に高山帯チックになり、ウスユキソウやキンポウゲが咲き始める。地図上の水場は雪渓の下のようだ。平岩山に着くと大朝日が正面に見え、長く休憩していたかったが羽虫の数がすごい。虫よけも効かないので閉口する。ド快晴の山稜の砂礫道を大朝日岳まで頑張って登る。こんなにこの稜線で晴れたのって初めてなんじゃない?ラストの急登を終えると大朝日岳到着。貸し切りは最高なのだが、虫の多さで気分が休まらない。
大朝日小屋まで下ると一人休憩中だった。竜門小屋までの予定だから、給水はいいかなんて思いつつ情報を聞けば、金玉水は雪田の下、銀の状況を聞けば掘り出されていたということだった。中岳の中腹で雪渓の切れ間で融雪水が沢と化していたので、念のため少し給水した。雪渓を登り、中岳東側をトラバースすると西朝日へ道は下ってゆく。この先は雪の上を歩いた方が楽だと判断、雪堤上を歩くと向かいから西朝日東面の残雪上を登山者が下ってきた。自分は西朝日の登りは雪面ではなく、露出した通常ルートを登ったので話はしなかったが、ものすごく早足な人だった。
西朝日Pからは残雪豊富なたおやかな稜線が望めた。最高の景色なんだけど虫が…以前、畑沢を登ってここに来たときは夕闇+ガス+疲れで、先輩が『まだあそこまで歩くのか??』と心が折れかかっていたのを思い出す。確かに長かった。
竜門小屋に到着して驚いたのは、いつも出ている水が一切出ていなかったこと。これはかなり青かった。先着の夫婦は小屋裏の雪田から雪を取ってきて水を作っていた。狐穴は出ていたそうだ。でもこれ以上歩く気力が体から出る訳もなく、自分は雪田の際を歩き、きれいな水が何とか採水できそうなところを見つけ、時間はかかったもののプラティパスを満水にすることができた。ここからは佐渡島・月山・鳥海・日本海が望め、素晴らしい夕暮れも見ることができた。虫疲れしつつも、やはり東北の山は貸し切り避難小屋に限る。
/10
今日は勝負の一日、明日2本目の西川町営バスに乗るには今日中に日暮沢小屋、朝一で見附まで林道を歩くか、今日中に天狗角力取小屋経由で河川敷公園まで歩くかのどちらかでないといけない。考えた挙句、重荷を持たない日暮沢を選択することにした。サブザックで以東岳往復を目指す。今日もいい天気、寒江山Pから眺める朝陽の中の山稜は素晴らしい眺めだ。でも、往復して麓まで行けるのか?こちらの稜線も気分良し。
狐穴小屋周辺は白ザレの山に雰囲気が変わる。昨日ここまでは無理だった。キツネは大きな雪田が残り、水も豊富に出ていた。朝日連峰で最高に大好きな空間。八久和川遡行のラストを思い出す。草原の中を登ってゆくとこの小屋に飛び出す、何とも言えないエンディングだ。ここで帰ってもいいかな的な場所だったけれど以東岳まで2時間40分?とりあえず行ってみることにした。
花崗岩の白い砂とハイマツ、青空のコントラストが素晴らしい。そういえば以東岳は10年以上来ていない。結構デカかったけれど何とか到着、眼下の大鳥池は健在、新しい以東小屋も止まってみたいところだ。風が少しあったので羽虫はやや少なめ、でも止めば一気に出てくる。虫がいなければ最高なのに…それでも30分ほど休んで引き返す。この山はゆったり山容が気持ちいい。
狐穴小屋に戻って給水、そして日焼けが痛いので今更ながら日焼け止めを塗ると、な、な、なんと虫が一つも寄ってこないではありませんか!そういえば学生の頃、アメ横のミリタリーショップで、グリーンベレーが使っていたという虫よけを買ってきた同期がいた。チュ−ブでゲル状のもので、肌に塗って蚊が止まるのを待っていたら、止まった瞬間に蚊が死ぬというのを見たことがある。みんな『これすごいけど人体にも悪いんじゃないの?』という意見で一致したのを思い出した。
寒江山を越え、竜門小屋に戻り、再び大荷物で歩き始める。竜門への登り返しは思いの外効いた。30年位前に日暮沢に下ったことがあるけれど、雨でのエスケープだったのでまるで記憶にない。それ以来のこの道は今日の陽気では暑すぎてかなりばてた。下りはじめは雪の上、ガスるとルートの接続部がわかりにくいかも。ただ、大朝日方面の眺めがすこぶる良く、紅葉の時もさらに良さそうな雰囲気だ。ユーフン山で休憩中、見附川からの吹き上げが心地よかった。
とにかく暑さで疲れ、きつかった。特に清太岩山の登りはやられた。樹林帯に入ると掘れた登山道に刈り払い後の木や枝が入っており、足元が融雪でぬれているのでかなり滑る。脇の笹を刈ってあるがこちらも滑る。1300mくらいに雪田があり、あまりの暑さにここに横になって涼をとった。それでも汗は引かなかった。かなり下部なのにゴロビツ清水も雪渓で埋まっていたのは驚いた。最後にやられたのはかなり下部の尾根が細く平坦になったと思わせた箇所で、地図では読み取れないアップダウン。ここまで来てまだ登らせるかと思ったのが数回、ようやっと駐車場前の日暮沢小屋に到着した。
ホースで引いてあった水場で頭を冷やす。ヘロヘロになってとりあえず小屋の中に荷物を入れ、誰もいないので再び水場で着衣を洗い、体を洗いとしていたらなんと一人の登山者が車に戻ってきたではありませんか。危うく全裸のところだった…そうではなく『明日の行動を考えたら、今ここでお願いして河川敷キャンプ場まで連れて行ってもらう方がいいのでは?』、『いや、泊ったことのないこの小屋で泊まって、自力でゴールまでつなげる方がいいだろ』と両方の思いに葛藤した結果、乗せていただけるようお願いすると快諾していただいた。山談義をしながら10キロ以上の距離、楽しい時間を過ごさせていただきました。確かにあの距離は歩くのは結構大変だった。新潟の運転手の方、本当にありがとうございました。
この日は無料の河川敷公園に幕営、芝生の平坦地と満天の星空で最高の一夜を過ごした。翌朝はバス停まで200mくらい、バスを乗り継いで寒河江の湯チェリーで入浴、さらに追いバスで仙台経由新宿まで戻った。
でも、バスって感染を考えたら本当に安全なのか?こんな時期に出かけてすいませんでした。
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