剱岳
- GPS
- 14:06
- 距離
- 16.3km
- 登り
- 1,732m
- 下り
- 1,722m
コースタイム
- 山行
- 3:13
- 休憩
- 0:07
- 合計
- 3:20
- 山行
- 8:15
- 休憩
- 2:09
- 合計
- 10:24
天候 | 9/22 曇り時々雨 9/23 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
予約できる山小屋 |
|
写真
感想
当初、劔沢一泊し、劔ピストン+雷鳥沢に降りて立山三山周回縦走として計画した山行だった訳だが。。。
1日目は天気予報から、午後雨が降る事は予想できた。(天気図を見ると、寒冷前線を伴った低気圧が日本海を通過する様だったので、短い時間、嵐になる事が想定された)
したがって、できれば雨が来る前に劔沢にたどり着いて、テントを張ってしまいたい。
06:07 電鉄富山始発で立山駅に向かう。ここまでは概ね晴れ。車窓から八ツ峰を従えた劔本峰が見渡せて、気持ちが昂る。が、立山駅でケーブルカーを待っている間に雨へと変わる。室堂までの車中でも、時折り通り雨のようにザッと降る。
室堂到着時は小雨。準備を済ませて歩き始める。最初からレインウェア、スパッツ、ザックカバーのフル装備。風が強く、寒い。
みくりが池付近でざっと降られたが、全体的には曇り。平日ということもあってか、人はそれほど多くは無い。
雷鳥沢に着いて、取れるコースは二つ。雷鳥坂を登るか、新室堂乗越を経由するか、以前82Lのザックを担いで雷鳥坂を登った時(今回は55+10L)、とんでも無くしんどかったので、今回は新室堂乗越を選ぶ。
乗越までは概して緩やかな坂で、途中開けた木道もあって、盛時であれば、綺麗なお花畑が広がっていそう。乗越からも傾斜は比較的緩いが、劔御前小舎が見えてからが長い。雷鳥坂に比べて人気がなく(途中から雷鳥坂を登る人が見える)、ゆっくり登るには好都合だった。
小舎からはゆっくり下って、劔沢のキャンプ場に至る。ここまで殆ど雨はなく、余裕を持ってテントを張ることができた。ただ風は終始強い。テントは10張程度。広い剱沢のテン場には寂しいくらい。
14時を過ぎる頃から散発的に雨が降る。
17時過ぎから前線の通過に伴い、強い雨が降り、20時頃までおおいに荒れる。
その後は強風が残る。
2日目
テントのパタパタという音が雨音に聞こえる。3時半、思い切ってテントを開けると、星空が広がっている。満月に照らされて、漆黒の劔が全容を見せている。寝袋等パッキングできるものは済ませて、サブザックで4時過ぎにテン場を出る。
大雨が降った割には岩は乾いていて、とりあえず滑りやすい岩場の通過は気にしなくても良さそうだ。剣山荘との間の沢の雪渓はもう消えている。剣山荘で、行動食を口にして、一服劔に向かう。一服劔までの2箇所の鎖は必要性を感じない。
一服劔から下って前劔への登り。最初ザレて、やがてガレ、そのあと大岩の手前で岩場が現れる。この頃やっと陽が登り、綺麗なモルゲンロートを見せる。前劔には先行者3名ほど。前劔を超えるとアンクルの橋、それに続く鎖のヘツリ(テラスのトラバース:前𠝏の門)。強風の中、アンクルの橋は怖い。ヘツリは見た目の破壊力抜群だが、歩くと、見た目ほどでは無い。鎖は要らない位。そのあと平蔵の頭は結構しんどいが、そこからはタテバイに取り付く先行の登山者がよく見える。タテバイも見た目破壊力抜群だが、鎖や鉄杭の補助がしっかりしていて登りやすい。ただし一気にぐいぐい登るので息は荒れる。その後も連続する鎖で、山頂までは思いの外時間がかかる。
山頂には10人ばかりの先行者がいた。前回この山頂に来た時はガスガスだったが、今回は天気が良い。ただ風が強く寒いので、長居はせず、下山開始。
ヨコバイは、最初の一歩が重要だが、足場は見えない。ただし、足を置くべき場所に、赤いペンキがマークされているので、それを目安に足を運ぶ。以前来た時は怖さを感じなかったが、今回は結構怖かったし、うまく身体を運べなかった。なぜだろう。。。
ヨコバイを過ぎても、コルまではハシゴや鎖の難所が続く。避難小屋の跡を横目にコルでタテバイの道と合流。平蔵の頭を登り返す。平蔵の頭や前劔は登りと下りは別ルートになる。平蔵の頭の登りで左の内股に激しい痛み。落差の大きな段差を踏み込もうとすると痛みが走るようで、誤魔化し誤魔化し登る。丁度頭の山頂で登ってきた人とすれ違い「ヒエ〜登りも下りもきびいねぇ」と。確かに、ここは全ルート中でも難場の一つだ。
前劔の登り返しは鎖の連続で辛い。山頂直下を通り大岩に向けて降る。
この後のテントを担いで御前小舎まで200mの標高差を登り返すことを考えて、体力を温存。ゆっくり歩く。劔沢小屋からの登り返しが地味に辛い。テン場に着くと、見えるべきテントが見えない。どういうことだ?飛ばされたか?よく見ると、あるべき場所に、テントの一部のようなものが風に吹かれてはためいている。とにかく、急いでテントの元に向かう。ポールが折れて、潰れているテントの残骸が残っていた。幸運にも中身は全部無事だ。それもそのはず、野営管理所の人が気づいて飛ばないようにまとめてくれていた。感謝しかない。
呆然とするまもなく、すぐ次を考えないといけない。テン場には10時半に着いた。これから撤収して、室堂の最終、16:30に間に合わなければいけない。本当ならばテントの中で風を避けながら撤収作業できたものが、野ざらしで強風の吹く中では難儀を極める。気温は低く、手も悴んで言うことを効かない中、イライラしながらなんとか撤収を済ませて、緊急下山の途に着く。
御前小舎に向かう途中で、この行程最凶の突風が襲う。頭を押さえる暇も与えず、かぶっていた帽子は、あっという間に遙か上空に飛ばされて、ひらひらと谷底へと落ちていった。とても取りに行ける場所ではない。
祝日ということもあって、雷鳥坂を登ってくる人の多いこと。雷鳥坂下部では、ナナカマドを中心に色付いていて綺麗だった。ただ、あいにくの曇り空で、輝きはそれほどでもない。やっぱり雷鳥坂は長い。高々標高差500mの下りなのに、その倍くらいに感じる。。。
雷鳥沢から室堂への登り返しが、これ以上なくしんどい。軽身の人が軽快に登り降りするなか、トレッキングポールに頼りながら牛歩のように進む。わずかな登りにも苦心しながら。息が荒れて、立ち止まることはないにしても、一歩一歩がとにかく遅い。何しろ慌ててパッキングしただけに、ザックのバランスもへったくりもない。余計に体力を消耗した。
地獄谷からの風向きが悪く、時折ガスのように白い靄が斜面を上がってくる。これはまさしく正真正銘のガス。硫化水素を含んだ蒸気だ。吸い込むと喉が焼けるように痛い。濃度はそれほど高くはないようで、警告ランプが点くことはなかった。
ちなみに今回の山行では、足周りにSCARPAのMojitoを使った(メインはGOROのブーティーM)。元々ヘビーな用途を想定していないシューズだけに、やはり頼りなさを感じた。特に岩場のグリップ感と、ガレ場で靴底から感じるダイレクトな岩の感覚に。まぁ元々平地歩き用に購入した物なので、里山歩きには使えても、本格的な山には不向きなのは仕方がない。でも、町中でも履けるデザインは魅力。
また、GarminのInstict Dual Power SFもお初だ。Fenix5sのバッテリーがへたってしまい、ボタンの効きも悪くなったため買い換えた。画面は荒くて古くさく、プラスチッキーな外観は、正直趣味ではないが、性能は良い。特にバッテリーの持ちはすばらしく、14時間強の全行程(GPS+心拍計ON)で追加の充電無し。まだ数時間行動できる余裕すらある。処分する直前のFenixのバッテリーは悲惨な状態だったので、尚更そのメリットを大きく感じる。
色々とありすぎた今回の山行ではあるけれど、しかし、剱はいつ来ても面白い。刺激が多くて、人間の本能をくすぐる。
荷物は重くてつらいが、その思いをしても来る価値がある。
【後日譚】
折れたテントのポールは下山後、横浜の好日山荘に持っていって修理を依頼した。
2560円(工賃2200円、ショックコード360円)
僅か2日で修理完了。ちなみにテントはプロモンテのVL25。ポールを3本交換した。
添付の用紙に以下のような注意書きが
「センターハブ(透明樹脂パーツ)付きテントポールは、組み立てますと画像のようにセンターポール差し込み部に数ミリの隙間が相手しまいます。
これは設計上隙間が出来るようにできています。組立時にポールをハブ部分で止まるまでみちんと差込をして頂けますと、差し込み不足によるポールの破損は起こりません。
テント設営時は今一度ハブの差し込みが、ハブ部分で止まるまで差し込めたか確認の上テント設営を行うようお願いします。
注 差し込みが気になりハブの内側を削ったりしますと、ポールを組み立てたときハブがセンターに来なくなり逆に設営しにくくなりるだけ(原文ママ)となりますのでそのままでご使用ください」
つまり中央までポールが行ってしまうとセンターがずれるので、定位置で止められる仕様となっているようだ。ただ、今回初めて知ったので、特に無理に押し込むことはしていない(筈?)
修理から戻ってきたポールを組んでみると、確かにポール中央の吊り下げ用樹脂パーツの手前でポールが止まって隙間が出来ている。でも、そんなに簡単に「数ミリの隙間」を詰めることは出来なかった。
また、フライシートも風にさらされ、岩に擦れたのか、幾つのも傷が出来ていた。こちらは市販のテントパッチで自前修理した。
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