米子沢、巻機山
- GPS
- 07:09
- 距離
- 10.2km
- 登り
- 1,246m
- 下り
- 1,245m
コースタイム
天候 | 曇のち晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2007年10月の天気図 |
アクセス |
写真
感想
5:30起床。朝早くから中高年登山客が続々と集結しており、騒がしさに溜まらず目を覚ます。テントを撤収し、体操を済ませて6:00に行動開始。駐車場の料金所の横に右へと登る道があり、米子沢入渓までの4つの堰堤を巻く様に登っていく。途中で沢に降りる道が幾つかあるが、そちらに進むと無駄に藪を漕いで堰堤を越さなければならないので、ここはまっすぐ道路を登るのが正解。今回は三つめの堰堤手前で河原に降り、4つ目の堰堤の中を通って入渓する。この辺は沢と言っても通常は伏流なので、最初はしばらくゴーロ帯歩きが続く。
30分ほど歩くと沢の流れが出てきたので、沢装を装着。まずはF1の30m滝だが、特になんてこともなく登る。滑ノ沢の出合で前パーティーに追いつくが、この先は巻き道があるようなので一先ず休憩。楽しそうな釜があるのでそれとなくカメラを構えていたら、ウォータースライダー職人のホダミがダイナミックなダイブをかましてくれた。10月中旬なので水温はかなり低いはずだが、そこはさすが職人というところか。
この先に続く6m&3段40mは左に巻道が付いているので、今回は無理をせずにそちらから登る。途中で結構な急斜面を登らされるが、赤テープから右折して斜面を下ると、滝の上部に戻ることができる。F3の20m滝は両壁から登れるが、前パーティーが右壁から登っているのが見えたので、我々も右から挑戦。そこまで難しくない登りだが、冷えて体が動かないのか、ホダミがセミになってフリーズしたので、トップで登った酒井がお助け紐を出す。後で確認するとお助け紐の支点を残置ハーケンの穴に直で通して取っていたので、そういうことはしないように。後はスダレ状滝まで、手頃な滝が続く。
8:05スダレ状滝に到着。目前にはツバメ岩が聳え、左壁に展開される水スダレを拝みながら、中央のカンテを登る。後ろを振り返ると雲海を纏った山並みが広がり、思わず一本を取る。天気も予想よりだいぶ良く、上越の名渓の持つ雰囲気を心行くまで満喫する。ここから先は両岸が切り立ってきて、沢はゴルジュ帯へと差し掛かる。
ゴルジュ帯は特に難しい場所もなく、初心者も登れる手頃な登攀具合が楽しい。幾つかある滝のうち、大体は右壁に取りついて突破することができる。チムニー滝は左岸バンドを使えば巻けるが、登攀意欲逞しい酒井は、ツッパリで突破する。他二人は巻いたのでLも直登に挑戦してみると、ホールドも多く意外と楽勝であった。それにしても、ゴルジュ帯特有の地形と、秋の装いを見せる自然とのコラボレーションが非常に素晴らしい。2段になった15m滝を右から巻くと空も広がり、このゴルジュも終わりを迎えるが、そのかわりに超絶品の大ナメがその姿を現し、いよいよ米子沢はクライマックスへと差し掛かる。米子頭山の山肌の紅葉の美しさも相まって、テンションは最高潮。大ナメの途中で大休止を取り、桃源郷の様な景色の中、この場にいられる幸せを心行くまで噛みしめる。
延々と続くナメ床もやがて終わりを告げ、徐々に両岸に草原状の地形が広がり、沢は源流部の川原歩きへと進む。通常の沢登りならばツメは藪漕ぎとなるのだが、米子沢はツメも藪漕ぎ一切無しの快適さ。しかも、最盛期を迎えた紅葉の相乗効果で、日本特有の繊細さを感じさせるような複雑な色彩のもたらす風景美が眼前に広がる。名渓が終わりを迎えるという寂しさと、秋という季節自体が持つセンチメンタリズムに、これらの風景が合わさった時、思わず涙が出るような感動を覚えたのはLだけではあるまい。ツメまで米子沢は素晴らしい。
二俣では右俣に植生保護の為に進入禁止の看板があるので、左俣へと進む。最後の沢を詰め、木道を歩くと、10:10避難小屋着。小屋前は中高年登山者で大混雑であり、沢から歩いてきた我々は注目の的であった。
ここで沢装備を解除して小屋にデポり、巻機山へとピストンを開始する。左手に上越のスキー場、右手に米子沢上部を望みながら、10:40山頂着。この山は何故か山頂手前に看板があり、肝心の山頂には何も目印がない。山頂からは魅惑の奥利根と、哀愁漂う国境稜線の眺望を満喫するが、人が多くて狭いので、看板のある広場まで戻り休む。ここからは荒々しい越後三山の雄姿と、ナナカマドのパッチワークに染められた牛ヶ岳などの展望を楽しめる。と、ここで酒井が徐に食当セットを取り出し、コンソメスープとココアを作って皆に振舞ってくれた。さすが二年ともなれば違うなあと、手ぶらのLは感心。周りの登山客や、何故か居た犬達とも交流し、癒しの一時を得る。
11:25巻機山頂発。トップが駆け降りるかの様なスピードで進むので、大量の登山客を追い抜くのに大層苦労させられた。沢中ですれ違った人たちや、やたらと絡んでくるおばちゃん達との会話に興じながら、紅葉真っ盛りの尾根をひたすら下る。途中で見覚えのある地形に、某ドハマり残雪期ワンダリングの事を思い出さされた。米子沢の反対にある割引沢も面白そうなので、今度機会があれば是非遡行してみたい。上信越の山々を望みながら、ひたすら駆け足で下る。
結局、一時間半ぐらいで桜坂駐車場に到着。時間もまだ一時を過ぎたばかりで青空が広がっており、非常に勿体ない気分だが、装備を片づけて帰宅の準備をする。駐車場の出口には昼間は人がいるようで、駐車料金の500円はきっちりと徴収された。
高速に乗って赤城高原SAで打ち上げをし、練馬手前で渋滞にハマりながらも6時頃には部室に到着。二年を降ろしてワンダリングも無事何事もなく終了。まあ、一番の心配事はLの運転であったのだが・・・。とにもかくにも、秋の沢&紅葉を満喫できた良い山行となりました。やはり上越の沢は最高、そして巻機山の意外な魅力の虜となってしまったのでありました。
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