明神岳主稜 二峰まで
- GPS
- 13:06
- 距離
- 11.2km
- 登り
- 1,553m
- 下り
- 1,558m
コースタイム
- 山行
- 5:59
- 休憩
- 0:29
- 合計
- 6:28
- 山行
- 5:29
- 休憩
- 0:56
- 合計
- 6:25
天候 | 一日目晴れ2日目曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
ファイル |
(更新時刻:2022/06/06 16:47)
|
写真
感想
2人ともまだ未踏の明神岳主稜から前穂高岳を登る計画。
1日目
かっぱ橋から岳沢を見上げるのは度々だが、明神岳の稜線をこれほど詳しく見るのは初めてだ。6月の上高地は空いていて、常識のある人数だと思う。新緑で残雪もあり、いい季節だと思う。岳沢の入り口で水を汲む。標識7番から明神岳のルートに入る。
地形図に道の記号はないのだが、踏み跡は明瞭でよく整備されている。急な上りで細い岩の上も歩くがロープなどもあり前回の有明山黒沢ルートによく似ている。あっという間に樹林限界5峰のやや下に展望の良い場所あり天場適地。ここから見れば上高地が一望だ。とても良い場所だ。5峰の山頂には古いピッケルが立っていた。
3峰2峰1峰が見える4峰を目指し頂上に立つ。東側は絶壁だ。足元には明神池が見落とせる。4峰の北の端の辺りに岩壁を目の前にする良い天場がある。3峰の壁の直下に、ぎりぎり取れる雪渓が残っていて、水の確保もできた。ここからは穂高連峰も明神岳全景も全て望める。常念、乗鞍、御岳、霞沢の夕映え、中ア南ア白山に、塩尻の明かりを望める。日が暮れるまでのんびり過ごし暗くなったら風が強くなり岩陰にテントを移動した。テントは久しぶりだ。沢ではタープ、冬はイグルーだから、樹林限界を越える無雪期の山、今回は珍しい山行だ。このルートは誰にも会わない。
二日目
明け方ガスで、多少の雨。強い風も吹いていた。着込んだせいかウスウスの寝袋でも暖かく凌いだ。行動する頃には霧も晴れた。着込んで寝た毛の下着や、カッパもそのまま出発。3峰は登るかと思ったら西側をトラバースする踏み跡に導かれて大きくまく。途中で少し残った雪渓の脇に、きれいに整地された天場あり。穂高が真正面の天場だ。3峰の最高点をマツが登り返す。下りは荷物があるとキツイとのこと。
2峰の山頂について、懸垂下降が40mダブルは必要そうと見て、諦める。20mロープしか用意していなかった。詳しく記録を読むでもなく、20mロープで対処できる範囲で登れれば良いや、という方針だったので。上から覗き込んだら先行パーティーがいた。さっきの整地されたテン場に泊まったのだ。完全に貸し切りだと思っていたけど、もうひとパーティーいたんだ。懸垂を終えたところだった。
万が一、西側から巻けないかと、マツが見に行ったが、絶壁でお手上げ。やはり穂高連峰はやばいとこはやばい。そのまま中明神沢を目指して下降する。雪の硬さなんかは、先週マツが槍の周辺を地下足袋で雪渓下りしているというので、まあなんとかなるだろ。地下足袋で雪渓を下るのは冷たいしキックが効かないから、僕は軽登山靴に履き替えた。ピッケルもある。アイゼンはおいてきた。マツは慎重に地下足袋と軍手で降り続ける。結構な傾斜で滑落したらお陀仏なのだが、靴の僕よりもむしろ滑らない。でもさすがにキックステップは靴のほうが決まるので先行する。
途中一箇所滝のところで雪渓が割れていて、4mほど懸垂する。その他は、右岸のヤブに乗ったり、雪に降りたりで末端まで下る。岳沢の登山道は神社の参道みたいに平たい石で整備されていた。岳沢入り口の湧き水の脇で、2峰の下にいた二人組に声をかけられた。奥明神沢を下ったとのこと。人のいない山域を満喫できて、お互い喜んだ。
ザイルがないばかりに1峰の山頂には立てなかったが、不思議と悔しくない。あの一箇所だけのために重いザイルを持っていくかというとどうかとも思う。却って調べすぎると行かなかったりして。手持ちの道具でなんとかこなして、無事に降りてこられれば、それで良い。しかし地下足袋だけで雪渓の下りをなんとかしたマツはすごい。
今回は通いなれた穂高連峰にあんな穴場があったのを知っただけで満足した。ネットで人の記録の写真なんか見ていかなくて、深く感動した。
適当に下った未知の中明神沢も、手持ちのワザでやりくりして無事に降りられた。ピンチになったら微分して、因数分解して問題を解くんだ。
上高地の定番写真と言えば河童橋、梓川に岳沢だろうが、その風景の右に見える尖りをもった岩の連なりを明神岳主稜というそうだ。先週見上げてそそられたばかりのその峨峨たる山々に早速出掛けてこられた。昨秋以来のyoneyamaさんとだったが、この時期の我々にしては珍しい毛色の山行となった。先週登り損ねた前穂高岳も含めた計画だったが、明神岳曲のギャップが越せずに又しても立てず仕舞い。適当に下った中明神沢は、流石に傾斜があって舐められたものではなかった。事故も起こさず下山できたことをまずは喜びたい。人の多い上高地へと無事に下山して「アソコヲノボッタノダ」と振り返る山行は良い。
あの上高地周辺の賑わし山の、穴場ともいえる静かな場所でのんびり寛いだ午後の時間が堪らなかった。
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