北穂高・奥穂高〜涸沢テント泊デビューして北穂と奥穂制覇!〜
- GPS
- 80:00
- 距離
- 38.7km
- 登り
- 2,614m
- 下り
- 2,600m
コースタイム
上高地BT0730−0812明神0828−0910徳沢0920−1012横尾1020−1132本谷橋1145
−1350涸沢ヒュッテ
13日
涸沢テント場1120−1128涸沢小屋横通過−1345北穂高頂上1350
ー1355北穂高小屋1415−1420北穂高頂上−1520涸沢テント場(シリセード多用)
14日
涸沢テント場0605−0820穂高山荘0845−0945奥穂高山頂1030−穂高山荘1145
−1315涸沢テント場
15日
涸沢0945−1045本谷橋1050−1210横尾1230−1330徳沢1340−明神1430
−1530上高地BT
天候 | 12日晴れ時々曇り後雨 13日雨後晴れ時々快晴 14日晴れ 15日雨後曇り後雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2014年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
明神〜横尾、道の両脇に所々、二輪草が群生し白い花を咲かせている。 徳沢ー横尾、途中から河原の道。 本谷橋〜涸沢、アイゼン装着。 涸沢〜北穂、涸沢〜奥穂はアイゼン+ダブルアックス。ヘルメット、ゴアテックスグローブ、バラクラバ必携。 |
写真
感想
☆感想☆
今回の山行計画は去年夏に初めての本格的登山、初めての北アルプスで剱岳、槍ケ岳と登って、10月初旬の平日に涸沢から奥穂高を登ろうと休暇を押さえていた計画が週間天気予報が雨となったため、行けなかったことから始まる。単に奥穂に登りたいという欲求から下調べをしていくうちに、どうせ行くならGW明けの時期にテント泊で涸沢デビューし天気に恵まれれば奥穂と北穂の両方登りたいという壮大な目標へと変化していき、それに対する周到な準備と調査を進めてきた。
日程について、本当はGW連休明けの6〜9日か、7〜10日を狙いたいところだったが、17日に親戚の結婚式が入ったため、12日〜16日で休みを押さえた。
昨年1泊2日で槍ケ岳に登った際は山小屋泊でザックの重さは10堋度だったので、徳沢でのトイレ休憩以外休まず、肩の小屋まで苦も無く行けたが、雪山装備とテント泊装備で20堋兇┐箸覆辰榛2鵑離競奪は担ぐだけでも一苦労。
これで涸沢まで歩けるのか一番の不安だった。もちろん今回はノンストップというわけにはいかず、明神、徳沢、横尾、本谷橋でザックを下し、各10〜15分程度休憩を取りながらの山行となった。
今回も1週間前から「てんきとくらす」というサイトで涸沢カールの週間天気予報をずっとチェックしていたが、最終的に4日間とも登山指数Cで最悪!今回も見送って休みを6月に延期しても、雪も融けて折角揃えたアイゼンもピッケルも十分活かせないだろう、それなら天気が悪くても今の方がいいとの決断を下した。それが来てみればどうだ、中2日は快晴、晴れという思ってもみなかった好天、おかげで北穂、奥穂と登りたかった山に好条件で2つ共登ることが出来た。この時期の槍、槍に続く大キレットまでも見れて幸せ。
☆行動の記録☆
5月12日(月)
12日04:00に金沢の自宅を出て06:20にあかんだな駐車場に着いた。丁度始発バスが出発するところで、間に合わずゆっくり身支度することに。ここでヒップソリと山専ボトルは車に置いていくことにして06:50発に乗った。この便は平湯で07:06まで停車したため、上高地到着は07:30。
明神08:12着、08:28発。
徳沢09:10着、09:20発。
横尾10:12着。
本谷橋11:32着、11:45発。
先行者がつぼ足だったので自分も取り敢えずつぼ足でスタート。斜度が急になったところからアイゼンのトレースに変わったので自分もアイゼン装着。
13:00涸沢ヒュッテの屋根と吹流しを発見。そこからが嫌になるくらい長い。嫌になるっていうのはザックを放り投げたくなるくらいのこと。最初に吹流しが見えてから涸沢ヒュッテ到着まで50分かかった。おまけに半ばまで来た13:30頃から雨がポツポツ降り出してきて、自分は直ぐにハードシェルを着込んでザックカバーを掛けて再び歩き出し、13:50涸沢ヒュッテに到着した。テントを張るか、山小屋泊とするか微妙だったので取り敢えずは念願だったビールセット(生ビールとおでん5品)を注文し小屋の中で一気に半分程煽りテラスに持って行ったところ、雨足は激しくなりベンチの所まで吹き込んでくる始末。
ビールを飲み終わった頃には寒さで震えてテントを張る気力は失せていた。ヒュッテで混み具合を確認したところ、14:00現在の宿泊客7名で自分が割り当てられる部屋は自分1人と言われ、即座にお泊り決定し9500円支払って、お部屋は新館の丸山。ザックを部屋に置いてダウンの上下に着替え、ザックカバーやハードシェル上下、タイツ、グローブ、登山靴などをストーブの部屋で乾かす。トイレは別棟、洋式できれい。乾燥室にはどしゃ降りになってから到着した方たちがウエアなどを干していた。中には、奥穂を制覇して下りてきた6名の方たちが居て、様子を聞いたところ、白出のコルから頂上の間はアンザイレンで登ってきたと話していた。
夕食は17:00からで、想像していたより手が込んでいて美味しかった。
夕食後はストーブが焚かれた談話室で岩波の上撰ワンカップを飲みながら上村直己の「エベレストを越えて」を読んでまったりと過ごす。
窓の外ではテント泊の方たちがダウンの上にレインウエアの上下を着込んで雨の中晩飯を作っている。
最終的に、新館には若い女性2名、若い男性2名と自分の計5名だけ。自分以外は東京からの同一グループでその内
女性1名は今回が北アルプスも雪山も初めてで、明日いきなり奥穂に登るそう。「そりゃあ山を舐めてるってもんよ」と心の中で思ったが、北アルプス2年目の自分が言っても説得力なし。(結局、彼女が足を引っ張って穂高山荘までの往復だったらしい)
20:00頃には寝たが、結構雨が屋根を打ち突ける音が聞こえ、テント泊の方達が心配になった。何といっても明日は我が身だから…。
5月13日(火)
朝は05:30起床。外は霧雨、周囲の山は霧で見れず。う〜ん、今日はテント泊、それとも山小屋連泊?なんて悩みながら朝食食べて、女の子と珈琲飲んでお話してたら外が明るくなって、周囲の山々も見えるようになってきた。
08:00過ぎには青空も見えてきて、もう山小屋連泊なんて考えはどっかに吹っ飛んで、テント張ります宣言をして、そそくさと荷物まとめて09:00にテン場に移動。テン場はGW明けだけあって、そこら中に雪壁で囲まれたテントサイトが出来上がっている。
探すまでもなく、涸沢ヒュッテから一番近くて立派な雪壁で囲まれたサイトが空いていたんで有難く拝借。
前住人のテントの形に合わせ張り始めてから、吹きおろしの風が強くなり、テントの横から風を受ける形となったため、ペグを外し、再度固定する前に2回程テントを飛ばされそうになった。ペグは今回のため、山で孟宗竹を切って自作した竹ペグで12本作ったが、余りに嵩張ってザックに入りきらないので6本だけ持ってきて、6箇所12本の張綱にはモンベルスノーアンカーで固定することにした。竹ペグもスノーアンカーも30cm掘って埋め、靴で踏み固めた。
思いのほかテントの固定と風除け用雪壁の補強に時間がかかりお泊り準備完了したのは11:00。
その頃には快晴でお日様カンカン照り。テント内の気温は23℃に上昇し、このままじゃ勿体無いので、今から奥穂は無理だが、北穂なら何とかなるかもと11:20グレゴリーバルトロの雨蓋をウエストポーチに変身させ、行動食、水の入ったナルゲンボトル、手袋、バラクラバ、デジカメを入れて北穂目指して出発。
ザックを担がない登山の楽なこと。涸沢小屋横まで8分、その後、重そうなザックを担いだ先行者に直ぐに追い付き、暫くは追従するも暑くなったところでハードシェルを脱ぎ、挨拶を交わし先に行かせてもらうことに。
青空の下、常念岳と並ぶ頃にはアドレナリン出まくり、気分はハイで最高の幸せを感じながら歩いた。
松涛岩を通過し稜線にた途端に風速20m/sの強風に曝され、慌ててハードシェルを着込み、バラクラバを装着。
なんと頂上を目の前にしたここでデジカメの電池が切れてしまった。ガーン!
13:50北穂頂上に立つ。頂上の標識は雪の中に埋もれていて、引っ張ってもびくともしなかった。誰もいないのでiPhone5Sで何枚か自分撮りするが、いつも決まった画像が撮れたためしがないので、諦めて北穂高小屋に行ってみることに。
ここでは有名なパスタが食べたかったが、昼1時までと言われ、またガーン!
仕方なく次に有名な珈琲を頂くことに。でも槍ケ岳と大キレットが見れて気分は最高!
なんたって、去年槍ケ岳に登った時は大キレットなんて知らなかったからね〜。
知ってたら、去年槍に登った時に挑戦してたよ。
14:20再び頂上に戻って下山しようとしたら、さっきの方が稜線から登ってきたので、これ幸いに二人で撮影会。
帰りは雪が腐ってズボズボになってて、歩き難くて試しにシリセードに初挑戦してみたら、これが快適。
びびりながら、ピックで速度出ないように滑って15:20涸沢テン場着。
直ぐにビールセットをグッといきたいところだったが、朝あれだけ埋めて固定していたスノーアンカーが3箇所半分程姿を現し張綱も弛んでしまっていたので再度埋め直して張綱を張り直していたら17:00過ぎちゃった。
で17:00過ぎにようやくビールセットでカンパーイ!
5月14日(水)
0500さわやかに起床。テントから顔を出すと晴れ、東の空を見ると下の方が雲に覆われていてモルゲンロートは期待出来そうにない。奥穂の方も晴れていて、ザイテングラード下方には豆粒程の人影が一つ。涸沢からザイテンに向かう
所にも人影が一つ。
そうだ、自分も今日は奥穂に登るんだ。どうせ登るなら早い方が雪が締っていて楽だし安全だ!ってことでお湯を沸かしてシーフードヌードルで朝食。
食べ終ってから歯磨き、洗顔、トイレを済ませ、着替えて0605涸沢テン場を出発。
ザイテングラードの取付部までは右側、取付部から左側に回って、途中から右側に回り、上端でまた左側に回り、白出のコルを目指すルートで進み、0815穂高山荘着。
ここでアイゼンを一旦外してトイレ休憩。
トイレから戻ってきて登山靴の紐を結び直して、アイゼンを装着し直していたら、後続のBCスキーを担いでいた方が到着して、この方も空身で奥穂に挑戦するとのことであった。
0842穂高山荘出発。
初めはハシゴ2本、続いて鎖。
鎖場を過ぎた所で今日朝一で登った人が下りてくる。
この方の下りるのを待って、核心部に挑戦。
核心部ではダブルアックス、12本爪アイゼンの前爪を凍った雪壁に差し込みながら、一歩ずつ3点確保で登っていく。ピックはしっかり刺さり、簡単には抜けないくらい雪が締っている。
気分はパタゴニア アルパイン アンバサダーのMATT HELLIKER。
核心部の表面は氷がガラス板のように凍っていて、アックスのピックを差し込むと表面が割れてガラスのかけらのように降り注いでくる。
またここでも体内のアドレナリン大放出。気分はめっちゃハイ!
もう楽しくて仕方がない。
核心部を過ぎると平坦な登りがあって、暫く行くと第二の核心部。右手に谷底から真っ直ぐ立ち上がったジャンダルムが見える。
先行者のトレースを辿りながら、ダブルアックスで登ってふと上を見上げるとトレースは1mくらい張り出した雪庇を乗り越えている。まじかよ?めちゃくちゃやりおるな〜この人!と思いながらも自分も後に続く。
ふと横を見ると先程のBCの方が岩場のトレースにしがみつきながら、呆れてこっちを見ている。
09:46奥穂高頂上着。自分が先着、本日3人目。30分程2人で槍ケ岳やジャンダルムをバックにしたりして写真撮りまくり、自分が先に下りることに。
帰りは岩場に沿って下りようと注意しながら先行者の足跡をトレースしていたら、またもや、ぐるっと回って同じ所に戻ってきてしまい、BCの方と鉢合わせに。
BCの方が頂上近くの核心部を下り終るのを待ってから、後に続いたが自分が下り終った後にはBCの方の姿は見えなくなっていた。
第2の核心部を無事通過して油断したのか、他の方のトレースは夏道と思われる岩伝いに続いていたが、自分はなぜか稜線付近を歩きたくなった。もちろん雪庇があることは百も承知だが、この時期に10m以上も張り出した雪庇なぞ想定していなかったので、先端から5m以上は空けて誰も踏んでいない真っ白な雪面を気持ちよく歩いていた時、突然体が宙に浮いてというか靴底に手ごたえがなくなり、落とし穴に落ちるように腰まで雪に埋まった。幸いにもへその位置で止まったので慌ててピックを地面のある方に振り出して掛けてなんとか穴から這い出した。後は慎重に慎重に夏場の登山道に沿うようにトレースして最後の核心部に戻ってきた。ここでも登ってきた時の姿勢で、ダブルアックスとアイゼンの前爪を蹴り込んで一歩ずつ慎重に下りた。
1115穂高山荘着。昼食はラーメン。
ラーメンが出来上がるのを待ってる時にそばのテーブルでコンロで何か作っていた3人組のおじさんたちに、
「見てたよ、ダブルアックスで降りてくるところ。カッコよかったよ」
って言われ、嬉しかった!
白出のコルからザイテンに向かう途中、山頂付近稜線を振り返って見たら雪庇が10m以上張り出していたのには、ぞっとした。その下は目測100m下まで何もなく、更に急斜面へと続いていた。
一歩間違ってればあの世だったなぁ!
1315涸沢テン場着。
涸沢ヒュッテで天気予報を見たら、15日は朝から雨となっていたので、テントを撤収して徳沢か横尾まで戻ろうか思案しながらヒュッテのテラスを歩いていたら、北穂に登ったという滋賀県の方に声を掛けられ一緒に飲むことに。涸沢テント泊決定の瞬間。
直ぐにテントに戻り、メリノウールの上下とダウン上下に着替え、テント内は寝れるだけの状態にしてヘッドライトと財布をポケットに忍ばせ、ビールセットと岩波の熱燗を買ってテラスにGO!
ビールセット3日目も超ーうま!
続いて岩波の熱燗、滋賀県の社長さん持参の黒龍大吟醸一升瓶と盛り上がっていたらいつの間にやら、お隣で盛り上がっていた愛知県の岳酒会(山酒会?)と合流することに(混ぜていただくことに)。
5名の皆さんが1人当たり25圓困鎚皺戮靴討たということで、ワイン、焼酎、泡盛、日本酒となんでもあり。料理も本格的で鍋やらフライパンまで持参し、お仲間の還暦祝いのケーキからお好み焼き、てんぷら等々、全部その場で材料から手作りしたのには超感動いたしました。テラス消灯となる21:00まで大いに盛り上がり楽しかったです。
5月15日(木)
06:00起床。外はシトシト雨、取り敢えず五目ごはんとアマノフーズのなめこ赤だしで朝食。全然食材減らんかったな〜。
07:00頃からテント内の片付けやってる内に雨は止んで、08:00から雨に当たらずテントの撤収にかかり09:30完全撤収完了。
涸沢ヒュッテの玄関先まで行ってアイゼン装着。
0945涸沢ヒュッテ出発。
1045本谷橋着。アイゼン外す。
1210横尾着。朝しっかり食べたのにシャリバテで徳沢のカレーライスまで我慢できず、横尾山荘でラーメン。
1230横尾発。
1330徳沢着。みちくさ食堂でソフトクリーム。
徳沢出発時から雨。
1430明神着。
1530上高地BT着。
1530発濃飛バスであかんだな駐車場へ。
その後、ひらゆの森で4日ぶりの温泉風呂にゆったり浸かって汗を流してから帰りました。
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