【熱山作戦】倉戸山・石尾根(鷹ノ巣山)・七ツ石山・雲取山・長沢背陵(酉谷山)・熊倉山【乙79.9】
- GPS
- 13:14
- 距離
- 40.2km
- 登り
- 3,152m
- 下り
- 3,395m
コースタイム
- 山行
- 12:30
- 休憩
- 0:45
- 合計
- 13:15
天候 | 終日快晴 微風あり |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路:秩父鉄道武州日野駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【倉戸山〜石尾根】 初っ端から急な登り。その後も鷹ノ巣山、七ツ石山と山頂直下は急登。高丸山、日蔭名栗山は巻ける。 【七ツ石山〜雲取山】 引き続き急登の連続。樹木が無くなり日射を受けながら歩くこととなる。 【雲取山〜芋木ノドッケ】 グングン下った後に、まさしく突起のドッケへの急登は体に応える。 【芋木ノドッケ〜酉谷山】 奥多摩の奥の奥、人の少なさと適度に荒れた感じが寂寥感を醸し出して良い。巻かなかった峰もあるが、大体巻けるのではないか。 【酉谷山〜熊倉山】 迂闊に立ち入るものではない。特に下りにおいて。 【熊倉山〜武州日野】 つづら折りに下る。最後は沢沿いで何度か渡渉する。ここで日が暮れると大変と思われる。熊とは出会わず。ただし、藪中でガサガサ音1回。 |
写真
感想
先の赤城山行時に歩きが足りないと思い、酉谷山へ行くこととした。
土曜日は寝過ごしたため、日曜日に決行。空が白み過ぎていた前日よりは良いコンディションだったが、猛暑予想に途中でへばらないかと内心不安を抱きつつ出発する。
【第1目標:倉戸山】
奥多摩駅へは6時に着き、6時5分発の鴨沢西行きのバスに乗る。いつぞや冬頃に来た時には同時間帯でももう少し人がいたような気がするが、日曜日だからか、暑いからか、乗車率はそこそこ。倉戸口で降りたのは私のみで、他の人達は鴨沢から雲取か、深山橋から三頭山といったところか。暑くなる日は早いうちに主目標に上がってしまうのがよいが、倉戸〜鷹ノ巣経由だと遅れを取るなあと思いつつ、歩き出す。
温泉神社に一礼して脇の道を進むと、いきなり容赦の無い急登が始まる。猛暑日と急登、朝まだ早いが、最高峰雲取山に到達する時間帯を考えれば、ばてる要素は十分だ。そこで気張らない「省エネ山行」モードに。がつがつ行かず、焦らず、ゆっくりと、しかし着実に歩を進める。そしてこれが肝心だが、山頂まであとどのくらいかなどと考えない。
途中、測地か何かしながら斜面を駆け下りて来る人と山頂直前でもう一名と擦れ違う。雲取で一泊とすると早過ぎるから夜間山行か、七ツ石あるいは鷹ノ巣山宿泊者か。
倉戸山は樹林帯に囲まれた落ち着いた広い山頂だった。息を整え第2目標:鷹ノ巣山へ。
【第2目標:鷹ノ巣山】
山行は尾根に乗るまでが大変だが、尾根に乗ってしまえば幾許か楽になる。樹林帯で風も微かながらあり、石尾根と合流後、尾根道を行ったが、陽光もさほど烈しからず。昼の時間帯に入るまでは大丈夫だろうと思う。
石尾根を歩くのは数年ぶりだが、あの時は山頂直下の急登にヒイコラして、先に山頂で休んでいた人に声をかけてもらったのだった。季節は前回と同じくらいだと思うが、広葉樹の淡い緑が何となく新鮮に思え、季節ごとに山の様相はいかようにも変わるのだろうと想像を巡らせる。
山頂及び山頂周辺の展望も十分で、高さもそれなりにあるので、ここを主目標とした山行も良いだろう。七ツ石も同様に展望は良いが、七ツ石まできたら大抵は雲取まで行くと思うので、あちらはどうしても雲取の付帯となり、主目標とはなり難いだろう。
【第3目標:七ツ石山】
先程も述べたとおり、石尾根は以前に一度歩いている。その時に鷹ノ巣山避難小屋近くのトイレに寄り、そのまま巻き道を行ってしまったので、次は巻かずに行こうと考えていた。猛暑が予想され、長距離山行になることも考えられるところに主目標以外の峰に上ることは極力避けたいところだが、こちらは別枠ということで、急登ではあるものの日蔭名栗山と高丸山の頂を目指す。結果として、特に日蔭名栗山において、前回は見られなかった遠望を得ることができた。苦労が報われ、上って良かったなあと思う。だが、どちらも1700mの突き出した峰なので、その後七ツ石への急登、そして雲取山への急登が待ち構えていることを考えると、通常は雲取からの帰りに余裕があったら登ってみるというくらいで良いだろう。
千本ツツジで息を整え、何人かの登山者と擦れ違いつつ七ツ石小屋上手の水場に寄る。現地調達できるものは極力現地調達。特に水分は取れるときに取っておかないと。水場までどのくらいかかるかは水汲みに行くかどうかの判断に大きく影響を与えるが、七ツ石の水場が下ってすぐなのは何回も来て知っているので、寄るのは規定路線だった。
水場について取水制限解除。存分に水を補給してコンディションも万全。水場に下りる際に擦れ違った人達も追い越しつつ七ツ石山に到達する。
山頂からは次に目指す雲取、それと並び立つ飛龍、そして、若干雲に覆われつつある富士山等を視界に収めることができる。特に、目指す山頂に向かって陵線上に道が伸びているのは、いつ見ても興奮する。しかし、興奮してばかりもいられない。これからさらに300mを越す登りを、暑い日中帯にやらないといけないのだ。
【第4目標:雲取山】
七ツ石からガクンと下った後、山頂から見た尾根道をゆるゆると登り返していく。木々は減って日光が降り注ぎ、坂はその傾斜を増していく。歩いているだけなら辛いことこの上ない話だが、それは展望を遮るものが無いということでもある。急坂の途中や、登りきった所の木陰で来し方を振り返りつつ小休止を入れていく。
そんな私も山頂への最後の登りは奮発。結果として正午に山頂到達。ちょうど昼時ということもあり、避難小屋の影で腰を下ろして軽食休憩をとる。それまでの峰では虫に集られるのでろくに休めなかったが、後半に向けて体を休めるため、虫のことはもう気にしない気にしない。別に刺されるわけでもなし。上空をヘリが飛ぶ。暑いし、誰かが熱中症になってもおかしくはない。
ところで、雲取に行く途中、ブナ坂で現在地の確認を求められた。コースタイムと主要地点の載っている地図を持っていたので、確かにあなたのいる所はここですねと答える。誰かと一緒に来たものの何かしらの理由により先んじたのでブナ坂で待っていたようだが、話を聞くと、七ツ石神社で待ち合わせようと言っていたらしい。七ツ石神社と言えば七ツ石山頂を挟んで反対側ではないか。どこで別れたのかわからないが、相方が同じ地図を持っていたとして、七ツ石神社の方で待っていたらと思うと何とも。「雲取へは必ずココ(ブナ坂)を通りますよね?」と言われても、まあ確かに七ツ石側から雲取に行く途中では通るが、それは相方が「待っても来ないけど先に雲取に行っているだろう」と思ってくれることが前提になる訳で。そもそも共同山行で来ているのに別れて行動するというのが私にはどうもしっくりこない。緊急時ならともかく、一緒に来ている意味があるのかしら。といった思いの多くを胸に秘めてブナ坂を後にした。
「マイペース」と「独りよがり」は異なる。真に「マイペース」な人は、自分のペースが他人のそれと違っていることを弁えて行動する。それができない人、「マイペース」という言葉に甘える人は、単なる「独りよがり」と呼ぶべきだろう。
【第5目標:酉谷山】
雲取山で地図を見て、酉谷山までどのくらいあるか目測すると結構遠い。日の長さに期待して雲取を後にする。雲取の北面は樹林帯の急坂で足場もあまり良くない。雲取山荘で再度水分補給して気を取り直し、芋ノ木ドッケへ。これが曲者で、ドッケ(突起)の名に相応しい超急登で再度1900m超の頂に上る。ああ辛い。それでも脚が動くのは水分・栄養補給と、これ以上高い峰は無いという安心のおかげか。
芋ノ木ドッケへ向かう途中でも「ヘルメット着けた人見ませんでしたか?」と訊かれる。一緒に来ても別行動というのが最近流行っているのだろうか。
山道というのは場所によって様相が大きく変わるもので、長沢背陵の尾根道はそれまでと一変、適度な荒れ具合が寂寥感を醸し出して非常に良い。擦れ違う人も無くなり完全に単独山行となった身には相応しい山道だ。歩きながら紅葉〜落葉の季節に日原を周回する形でこの界隈を歩こうと決めた。
それにしてもさすがにアップダウンの連続に疲れてくる。長沢山、水松山と来て、ついに耐えられなくなり、酉谷山までは巻いていくことにした。ここで巻かずにピークを踏んでいたら、下山は日没後となっていただろう。今回は、いろいろと運が良かった。
そして16時過ぎ、酉谷山山頂到達。日没3時間弱前であった。
【第6目標:熊倉山】
酉谷山〜熊倉山のルートは、16時過ぎに立ち入った自分が言うのもおこがましいが、軽々に立ち入れるようなものではないので詳述しないこととするが、立ち入ってすぐに日原の方に下山したくなり、その後、紆余曲折を経、木の根や岩の難所を乗り越え、急登と急降下を繰り返しながら、何とか熊倉山に到達することができた。地図と方位のわかるものは必携だろう。画像でテープやリボンが映っているが、それらに多くを期待しない方が良い。
【下山】
熊倉山に到達したものの、日没まであと1時間。秩父の奥地となれば熊も出るだろう。なんといっても熊倉山だ。熊倉山からは林道コースと城山コース、武州日野コースがあるが、もう一つ山に登る城山コースは論外。秩父鉄道側に出られる武州日野コースを選択。ペースを速めながら九十九折の道を下っていく。熊に警戒しながら、足指を木の根や岩に強くぶつけたときは「痛っ!」、つまづきそうになった時は「わっしょい!」「どすこ〜い!」などと一々叫びながら歩く。それにしても気を張り詰めている割にはやたらと足をぶつける。もう足があがらなくなりつつあるのだろう。
最後は沢沿い。渡渉箇所が何箇所もあり、日が暮れていたら進退窮まっていたところだ。さらにガレた足元の悪い道を最後の踏ん張りで歩いて行くと、案外早く林道に出られた。これで帰れる。安心した私は、灯りの乏しい村落内をトボトボ歩く。最後に武州日野駅に到達した時には精も魂も尽き果て、ただ、下山中に見た張り紙の行方不明者への、「家族の下に帰れますように」との祈りのみが残った。
【総括】
というわけで、何とか生きて帰ってこられたわけだが、これも木陰や水場が適度にあった山域だからこそ。山の恩寵に感謝あるのみ。
その一方で、日没3時間前とは言え、夕刻に、道もろくになく歩き慣れてもいない山域に、しかも下りで立ち入ったというのが適切だったのかどうかというのが、後半、行方不明者の貼紙を何度も見かけただけに考えどころである。くそ暑い中、延々歩いてきて、その後もアップダウンが続いたので、下手をすればどこかで力尽きたということもあり得る。熊倉方面に下ってすぐに反対の日原に降りたくなったものの熊倉方面への歩みを続けたのは、日原に下っても降りた頃にはバスが無いだろうという判断で、要するに酉谷山においては、ほぼ背水の陣状態。安全を犠牲にしていた感は否めない。
それだけ酉谷〜熊倉ラインへの思いが強かったということでもあるが、あまり背伸びをしすぎると、いつかこけることになる。今夏もあちこち遠征にいくこととなるだろうが、地に足のついた山行に努めていきたい。
〜おしまい〜
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