台風到来前に完結!悪沢・赤石岳へ(96・97座)
![情報量の目安: S](https://yamareco.org/themes/bootstrap3/img/detail_level_S2.png)
![](https://yamareco.org/include/imgresize.php?maxsize=90&crop=1&fname=%2Fuploads%2Fyp0ae25d6ef33ad5d.jpg)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 26.5km
- 登り
- 3,009m
- 下り
- 2,996m
コースタイム
- 山行
- 5:35
- 休憩
- 0:25
- 合計
- 6:00
- 山行
- 10:03
- 休憩
- 0:15
- 合計
- 10:18
天候 | 晴れ、3日目曇りのち雨。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
畑薙ダム駐車場、白樺荘、椹島ロッジに登山届ポストがあります。 |
その他周辺情報 | 白樺荘日帰り温泉510円 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
雨具
ゲイター
日よけ帽子
靴
ザック
ザックカバー
行動食(おにぎり
一口羊羹
プロセスチーズ
アミノバイタル
ハイドレーション
地図(地形図)
コンパス
ヘッドランプ
常備薬
日焼け止め
保険証
携帯
時計
タオル
ストック
カメラ
シェラフ
テントマット
|
---|---|
共同装備 |
調理用食材
調味料
コンロ
コッヘル
食器
調理器具
ガスカートリッジ
ポール
テント
|
感想
< モモ夫 >
南アルプスの悪沢岳、赤石岳は百名山の中でもまだ登っていない山だが、これまでコロナの影響でなかなか足を踏み入れることができなかった(小屋やバスの休業も影響している)。もちろん時間をかければ行くことはできただろうし、人も少なくていいのだろうが、そこまではしようとしなかった。
しかし、今年はこの山域の山小屋等を管理する東海フォレストが宿泊予約を再開するということでようやくこの2座を巡るチャンスが訪れた。ルートとしては、椹島を基点として千枚小屋から荒川三山を経て赤石岳に行くコースだ(一応全てテント泊)。
登山前日は車中泊でも椹島ロッヂでの宿泊でもなく、その手前にある「白樺荘」に宿泊した。ここは宿泊料が安いことと椹島行きバスの第1便に間に合う距離でもある、宿泊地の千枚小屋には椹島から早朝に出なくても行けるということでそうした。
翌朝、白樺荘からバス停のある夏期臨時駐車場までは車で10分もあれば到着する。駐車場は広く余裕で駐車できたが、第1便を待つ人はすでにバス停に並んでいた。第1便の発車予定は7:30だが、人が多いと発車時間や便数が変わるそうだ。ということでこの日は6:50ごろに出発した(第0便になるのかな)。
バスといってもマイクロバスで28人を詰め込み、ザックは膝に抱え、ヘルメットも被らされての乗車だ。道も決していい状態ではなく、途中落石があるとバスが止まり、ドライバーが石を退けて行くので椹島まで1時間はかかる。
8:20ごろに椹島を出発。長い吊り橋を渡って樹林帯をひたすら登っていく。視界の開けるところが「見晴台」というところだけで、千枚小屋まで木ばかりを見て歩く。それでも6時間ほど歩けば小屋に到着する。WEB申し込みをしているので宿泊カードに必要事項を書いたら手続き終了。小屋前からの見晴しはよく、ベンチもあってくつろげるが、テント場は小屋から3分ほど離れた場所にあり、しかも樹林帯。これではあまりくつろげそうにもないので、テントを設営したら食材等を持って小屋前に移動し、そこで夕方まで過ごした。だって、トイレも水場も小屋前だしねえ。
2日目。テント場の朝は早い。目覚ましをしなくても誰かが動き出すので嫌でも目が覚める。この日は荒川小屋(テント泊)までの予定なのでそんなに急ぐ必要もなく、明るくなってからテントを片づけた。荷物を全て小屋前のベンチまで運び、そこで朝食をとり、6:15ごろに出発。最後ではないがほぼ最後の方の出発だ。ただ、出発前にキャンセルと下山の話をしている人たちがいたので、気になって耳をそば立てていると台風が来るようだ。出発前は晴れ予報だったのに、ここに来て台風!
天気予報を見ると確かに翌日は風雨が強くなる予報だ(でも空は絶好の晴天だ)。これでは荒川小屋でテントを張っても翌朝の行動(赤石岳から下山)に支障がでる(テントの撤収も大変だ)。
そこでmomoと相談した結果、荒川小屋をキャンセルして赤石避難小屋に変更する方向で動き出した。3000m峰の縦走できつくなりそうだが、少しでも下山しやすい方がいい。ただ、東海フォレストの受付は10時以降なので、まずは登ることに専念することにした。森林限界を越えると千枚岳はすぐで、富士山をバックに登っていく。頂上からの見晴らしも素晴らしく、これで本当に明日台風が接近するのか信じ難い天気だ。
続いて、3032mの丸山。だが、3000m峰にはカウントされていない。基準はよくわからないが、3000mからの見晴らしは素晴らしく、甲斐駒ヶ岳、北岳、間ノ岳、仙丈ヶ岳、塩見岳など南アルプス北方の百名山が連なり、悪沢岳、赤石岳、聖岳と南方の百名山も見渡せた。さらに遠くに中央アルプス、木曽駒ヶ岳、空木岳なども確認できた。
丸山から悪沢岳(荒川東岳)へはお花畑やロックガーデンともいうべき岩の間を通り抜けて到達する。景色は丸山同様360度の広展望だ。天気がいいとずっと見ていたい気にさせる絶景がそこには広がっていた。
悪沢岳から荒川中岳へは急傾斜を一旦降りて行く。降りてからの登り返しは結構きついが淡々と登るしかない。中岳避難小屋で宿泊地変更の電話をしてみたが、うまくつながらない(一応電波は入る)。なら、荒川小屋で話をしてみようと先を急ぐことにした。
荒川前岳に着くと一人のランナーと遭遇した。そう、今年はTJAR(トランス・アルプス・ジャパン・レース)が行われて、今まさに選手が前岳から赤石岳を抜けて行こうとしているところだった。TVではその姿を見たことはあったが、ナマでその姿を見るとスゴさが半端なく伝わってくる。富山から静岡の大浜海岸まで415kmを1週間以内に駆け抜けていく過酷なレース、選手はさまざまな思いを持って出場しているのだろうが、その姿に鳥肌が立ち、感動しきりだった。
前岳から荒川小屋まで約1時間。12時前には到着し、本来なら本日の行程は終了だったが、まずは再度東海フォレストに電話をし、宿泊地の変更ができるかmomoが確認をした。やはり明日の天候を考えるとキャンセルが相次いでいたのだろう、当初満室だった赤石岳避難小屋にもキャンセルが出て、幸い宿泊することができた。
水を補給し、赤石岳を目指す。赤石岳は遠くから見ても近くで見てもその山塊の凄さに圧倒される。荒川小屋から大聖寺平までは緩やかに高度を上げていくが、ここから小赤石の肩までの登りが結構辛かった。少し登っては立ち止まる、が多くなってしまう。momoも登りのキツさと疲労で随分遅れ出した。辺りはガスも湧き始め、先ほどまでのクリアな眺望が徐々に隠れていく。赤石岳からの富士山は期待できそうになかった。
小赤石岳は3081mだが、これも3000m峰にカウントされない。赤石岳の付属峰だからのようだ。ここから最後の赤石岳まで一旦降ってまた登るが、頂上と避難小屋は見えているので気持ち的にもマシだった。
避難小屋(管理人在中)は頂上から1分で到着する(15時ごろ)。辺りはガスで覆われ、このあといつ雨が降ってきてもおかしくない雰囲気だった。
小屋に行くと見たことのある顔があった。クライマーの平出和也さんだ。今回TJARのカメラマンをしているそうで、この前を通過するランナーの到着時刻を聞いてはアシスタントと共にカメラを持ってその姿を追っていた。待っている間は、小屋内でこれまでのロケなど気軽に話しをされるなどいい時間を過ごせた。偶然とはいえ荒川小屋から足を伸ばしてきた甲斐があった。
避難小屋は宿泊定員を絞り、今回の宿泊者も10人程度となっていた。食事は自炊のみで飲み物は購入できる。
他の登山者との談笑をしているとついに雨が降り出した。風も吹き始め、ランナーは今晩から明日にかけて疲労と風雨に耐えながら進まないといけないなど想像を絶する大変さを考えると無事に走り切ってほしいと願うばかりだった。
そんな中一人のランナーが小屋前を通過するというので外に出てみると、平出さんがランナーの後ろをカメラを持って追いかけながら降りてきた。ランナーは小屋前で立ち止まり、小屋番の方などと言葉を交わし、ガスの中聖岳方面へと走り去って行った。ただただすごいとしか言いようのない瞬間だった。
その後も何人か通過するようだったが、僕らは消灯時間を迎えていたため、明日に備えて就寝した。
翌朝4時に起床したが、 依然風雨が強く、果たして無事に降りれるのか不安の中朝食を摂る。電波もかろうじて入るので雨雲レーダーを確認すると5時過ぎには一旦止みそうだった。小屋番の方と記念写真を撮り、5時15分に椹島目指して出発した。
途中パラパラと雨が降ることはあったが、強くはならなかったため下山に支障は出なかった。樹林帯を淡々と下山し10時40分に登山口に到着。もう少し頑張ればというか、早くに出れば10時30分のバスに乗れたが、まあ仕方がない。次の12時45分のバスで駐車場へ戻った。
バスはやはり満車状態で、何度か路上の落石を除去しながら1時間以上の時間がかかった。車内に流れる無線では駐車場から静岡駅へ向かう「しづてつジャストライン」なるバスが運休となり、このバスで帰る予定だった人は白樺荘で一泊するかタクシーを呼んで帰るしかないようだった。僕らも当初は下山して椹島ロッヂに泊まるか白樺荘で泊まるか考えたが、翌朝の台風の影響で道路を走れない事態なると嫌なので一気に自宅まで帰ることにした。
思えば、千枚小屋で台風の話を聞かなければ、予定を変更することもなく、台風に巻き込まれるところだった。台風到来前の1日で予定の全てを巡ることが出来ただけでなく、TJARの選手の勇姿を間近に見たり、小屋番の方や他の登山者と色々な話ができたりして結果としてはいい山行となった。
*翌朝のニュース等では椹島ー駐車場間は運休、新東名も一部通行止めになっていた。1日帰りを伸ばしていたらさらに帰りが遅くなっていただろう。
今回の悪沢岳、赤石岳の登頂で北海道を除く本州以南の百名山登頂は終了した。残りは北海道の3座だが、そのうちの幌尻岳登山口にある幌尻山荘までのルートが雨の影響で崩壊して通行できなくなったそうだ。なので、完登は来年に持ち越しだ。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する