谷川 利根川水系 赤谷川本谷


- GPS
- 17:27
- 距離
- 26.8km
- 登り
- 2,753m
- 下り
- 2,087m
コースタイム
- 山行
- 10:02
- 休憩
- 0:34
- 合計
- 10:36
- 山行
- 5:58
- 休憩
- 0:45
- 合計
- 6:43
天候 | 8/19 快晴 8/20 曇りときどき晴れのち雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
谷川連峰 赤谷川本谷 沢3級下~上 (関東周辺の沢94によると3級下、丹沢の沢200ルートで有名なkamogさんによると3級上) 遡行図は沢登り銘溪62選と関東周辺の沢94を参考にした。あと、大学時代に沢登り講習でお世話になったkamogさんの記録が詳細で参考にさせていただいた。 ○沢全体の特徴 赤谷川本谷は日本百名谷の1つであり、前半の裏越ノセンを筆頭とした圧倒的なスケール感、後半の癒やしの溪と、遡行者を飽きさせない素晴らしい沢である。 赤谷川本谷は同じ山域の湯檜曽本谷と比べ、アプローチの面倒くささにより、あまり多くの入渓者を迎えていない。事実、高巻き等で踏み跡は全くないので、遡行者は巻きのルートファインディングに慣れた中級者以上であることが望ましいと思われる。(自分が中級者レベルにあるかはわからないが) 今回はとても手が出せるレベルでなかったので突撃しなかったが、ドウドウセンを大高巻きせずに通過するには超上級者レベルの実力が必要らしい。 ○入渓まで 赤谷林道は前半は普通の未舗装道で歩きやすいが、赤谷川橋の先はもはや林道ではない上にヒルがいた。林道終点からは登山道となるが、人があまり通らないのか荒れていて、いやらしいトラバースなどが何度かある。 ○マワット下ノセン左壁登攀 短いゴルジュの先に20mほどの滝を構える。滝下ではどこにいても水しぶきのシャワーを浴びることとなる。 左壁を登り、灌木のあるあたりをくぐってトラバースし、落口まで登っていく。1pで越えたが、中間支点をこまめに構築した。使ったのは灌木×2とカム#1とハーケン1枚。終了点は落口近くの灌木。 ○マワットノセン高巻き コンパクトだが、大きな釜を持つ豪快な滝。右がを登れるようだが、今回は巻きを選択。 右岸ルンゼをツメていき、登りやすそうなところで灌木をつかみながらトラバースする。藪に覆われた尾根を乗っこし、落口の場所を意識しながら藪漕ぎで下っていくとフリーで落口付近まで到達できた。 ○巨岩帯 巨岩帯といいながら、キレイな滝がいくつもあった。しかし、すべて直登は難しそう。基本は右岸巻きがうまくいく。適切にルートファインディングをしながらすすむ。巨岩帯ではお馴染みだが、ちょっとしたボルダーちっくに登る箇所が多い。 ○裏越ノセン高巻き 裏越ノセン下は滝自体の豪快さももちろんだが、右岸側の崖上から天然の水のカーテンが注ぎ込み、空間としてのスケールの大きさに圧倒される。 右壁のバンドから登れるみたいだが、時間的に有利になるわけでもなさそうなので高巻きする。 滝下の大きな釜を浅いところを繋いで胸まで浸かって右岸のルンゼに取り付く。ルンゼ上はガレていて浮石が多く気を使う。登っていくと次第に藪っぽくなってくる。傾斜も強くなり、灌木が増えてきたあたりで灌木をつかんでゴリ押して右側の尾根上に乗り上がる。その後、木登りして沢筋を確認できたので、沢床あたりに向かってトラバースしながら高度を落としていくと、日向窪の最初の滝上に出た。一応ドウドウのセンの入り口くらい確認しようと思い、荷物をデポしてクライムダウンして見学しに行った。 ○ドウドウノセン高巻き ドウドウノセンは高巻きすると内部の様子はほとんど見ることができなかった。 まず、日向窪を遡行していって、チムニー滝の下で右に見える尾根上に乗り上がり、そのまま藪漕ぎで尾根を登っていく。しばらく登ると右側に露岩帯が見えてくるので、慎重に登っていく。尾根に乗り上がる手前あたりで露岩が減って草付ばかりになる手前のところで、右か左の灌木帯を伝って尾根に乗り上がる。少し尾根を漕ぐと、尾根上はかなり濃い灌木帯となってくる。かつ地形図上の崖マークを避けるために谷を右手に見ながらトラバースをする。しばらくトラバースをするとルンゼが現れる。ここが崖マークの最末端である。このルンゼを慎重に渡りトラバースして尾根に乗り上がる。ここからドウドウノセン上の河原が見下ろせたので、左手を見ながら尾根上の灌木帯を繋いで下っていくと、ドウドウノセン最上部(A滝とかB滝あたり?)に降りれるルンゼがみえるので、このルンゼをさらに乗り越えて目の前に見える笹藪の尾根上に乗っかる。その尾根の最下部あたりに太い灌木が数本あり、上流側に落口がみえるので、捨て綱を使わずに懸垂1回でちょうどドウドウノセン上に着いた。 ルート情報とは関係ないが、今回露岩帯上の草付をそのまま登ろうとして足場がなくなり進退窮まってしまい、草付に刺したハンマーで体重を支える羽目に。ハンマーで止まっている間にDaiUに上の灌木帯に登ってもらい、補助ロープを出してもらって確保してもらって事なきを得た。DaiUに感謝するとともに、草付の恐ろしさを身を以て知った。 ○ドウドウセン上の河原(タープ泊) ドウドウセン上はここまでの厳しい巻きが嘘かのような穏やかな渓相。右岸側に快適なテン場があるので、今回はここで泊まった。左岸の灌木と右岸の奥にある灌木でロープを渡し、タープを張った。前日までの雨による湿気のせいか、焚き火はうまくつかなかったのが心残り。夜は満天の星空を見ながら就寝。 ○8m滝 右岸巻き 朝準備を整えて出発。すぐに8m滝に着く。右岸側をへつりながら登っていき、リングボルトが打ってある上あたりの灌木帯から登っていく。途中捨て綱があったが、見送ってそのまま灌木をつなぎながら上流側にトラバースしていく。ある程度高度をかせぎながらトラバースしていくと、滝の落口の上くらいまで到達したあたりで太い木がいくつか生えている。そいつらの1つを選んで懸垂支点構築し、捨て綱を使わずに落口まで懸垂下降。15mくらい。50mロープがあれば十分。 ○癒やし溪 その後はなんでもない癒やし溪の沢歩き。たまにテン場適地が点在する。 ○ゴルジュ帯 地形図上にもあるゴルジュマークあたりに200mくらいのゴルジュがあらわれる。難易度は低く、今回はへつりで股下以下程度しか濡れずに突破できた。晴れていれば、泳ぐと楽しそう。 ○癒やし溪 ゴルジュを越えるとまた癒やし溪。ここまでに比べたらなんともない。ここらにもテン場適地が点在しており、とくに草原の台地が数か所あって気持ちよさそうであった。 ○ツメ 奥の二俣で左 ひたすらすすんでいくと、奥の二俣が現れる。過去記録で簡単そうだった左俣を選ぶ。高度を稼ぎながら、両側を笹藪に覆われた細い沢を登っていく。少滝がいくつもあったが、どれもヌメヌメ。今回はフェルトだったので大丈夫だったが、ラバーだと辛いかも?しばらく進むと水が枯れ、さらに進むと沢がほぼ消え、崩壊地に出る。尾根に向かってヤブを漕ぎながら左にトラバースすると登山道に合流。脱渓。 ○登山道 オジカ沢ノ頭~谷川肩の小屋~天神平 登山道なので割愛。肩の小屋以降は人だらけで渋滞しまくりだった。途中から雨も降ってきて濡れた。脱渓後で良かった。膝にやさしいロープウェイ下山を選んだ。 |
その他周辺情報 | 湯テルメ谷川で温泉に入る。630円。 打ち上げのご飯はちょうど空いていた「まつや」(牛丼チェーンではない)でもつ煮定食を食べた。他にもうどんやそば、丼もの定食などあり。 |
写真
感想
今シーズンの沢登り完成編として、谷川連峰の利根川水系赤谷川本谷に行ってきました。
今シーズンの始めの頃から、夏頃には熟練者の力を借りずに3級あたりのロマンある沢に挑戦しようと目標を立て、様々なタイプの沢で訓練山行を積んできた。
本当は二泊三日で北アの小倉谷に行こうと計画していたが、天候的に1日半しか使えそうにない上に増水も予想されたので、今回はバックアップで考えていた赤谷川本谷に予定変更した。こちらは渡渉がシビアではないので、多少の増水なら耐えると踏んだ。
赤谷川本谷自体は沢登り銘溪62選で初めて知り、kamogさんやサワグルイさんなどの記録を漁る中でいつかは絶対行きたい沢の1つとなっていた。ドウドウセンを登る力はまだないので、高巻きで対処することとした。
実際行ってみると、上越らしい開けた明るい沢で、裏越ノセンを筆頭にスケールが大きい滝も多く、後半の癒やし渓とのコントラストも素晴らしい。自分の(貧弱な)沢登り経験の中では、間違いなく過去一番に美しく、困難で印象深い沢であった。沢の難易度としては、今シーズン行った鳶谷(3級)や奥ノ平谷(3級)よりも確実に難しい沢であったので、3級上という評価には少し納得がいった。
全体を通してみると、マワット下ノセンでは高度感のあるリード登攀をしたものの、他の主要な滝は全て高巻きで対処した上に踏み跡は皆無であったので、ルートファインディング能力がかなり求められた沢であった。沢特有の高巻きの勘に加え、大学時代に散々やった無雪期藪漕ぎの経験がものすごく生きた山行であった。
今山行は大まかなルートファインディングはかなりうまくいった。しかし、大きな反省点としては、ドウドウセン高巻きの露岩帯上の草付で行き詰まってしまい、草付に挿したハンマーで体重を支えられたものの足場が見つからず動けなくなってしまったことである。結局DaiUに補助ロープで確保してもらい事無きを得たが、草付の恐ろしさを身を以て知った。できるだけ草付を避けて灌木帯をつなぐようなルート取りを意識するべきであった。
色々あったが、今までの山経験をしっかりと発揮して無事予定通りのペースで赤谷川本谷を遡行できたので、今シーズンの目標は達成できたと思う。
まだ沢シーズンは続くが、来シーズンはさらにおもしろい沢に行くためにもさらに経験を積み、技術を磨いてレベルアップしていきたい。
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