北アルプス縦走 (中房温泉→燕岳→大天井岳→西岳→槍ヶ岳→樅沢岳→新穂高)
- GPS
- 54:07
- 距離
- 44.2km
- 登り
- 3,736m
- 下り
- 4,085m
コースタイム
- 山行
- 6:06
- 休憩
- 2:14
- 合計
- 8:20
- 山行
- 6:00
- 休憩
- 3:14
- 合計
- 9:14
- 山行
- 8:05
- 休憩
- 0:51
- 合計
- 8:56
7:40中房温泉-10:06合戦小屋-11:08燕山荘-11:38燕岳-12:04燕山荘-14:44大天荘
受付・休憩・テント設営
15:35大天荘-15:43大天井岳-16:00大天荘
9月13日(土)
4:43大天荘-5:13大天井ヒュッテ-7:23西岳-7:32ヒュッテ西岳-8:25水俣乗越-10:10ヒュッテ大槍-10:59槍ヶ岳山荘
受付・休憩・テント設営
12:45槍ヶ岳山荘-13:15槍ヶ岳山頂-14:05槍ヶ岳山荘
9月14日(日)
4:50槍ヶ岳山荘-5:27千丈沢乗越-7:54樅沢岳-8:19双六小屋-10:13鏡平小屋-11:45秩父沢-12:40わさび平小屋-13:43新穂高温泉バスターミナル
天候 | 9月12日(金):稜線に上がるまでは曇り、稜線は晴れ、微風。 9月13日(土):晴れ、微風。19時前にパラパラ小雨。 9月14日(日):晴れ、微風。 |
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過去天気図(気象庁) | 2014年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
・以下の区間バス利用:駐車場から中房温泉、新穂高〜平湯温泉、平湯温泉〜松本バスターミナル ・松本駅〜穂高駅はJR利用 |
コース状況/ 危険箇所等 |
ルートは全般に非常に明瞭で、登山者も多い。以下気付いた点。 ・中房温泉〜燕山荘〜燕岳:合戦尾根は急傾斜だが、歩き易い。所々にベンチもあって休憩箇所として適当。燕山荘に上がるまで、アルプスの景色は期待できず。 ・燕岳〜大天荘:晴れれば景色は良い。アップダウンはあるが、危険箇所は見られない。ハシゴや鎖なども見られず。分岐から大天荘へ上がる最後の登りはしんどい。大天荘から大天井岳は至近。 ・大天荘〜ヒュッテ西岳:大天荘から下り基調のトラバースで大天井ヒュッテに至る。ビックリ平からは槍の眺めがよく、ここからは右手に見ながら歩くことになる。赤岩岳の山頂は分かりづらい。ヒュッテ西岳から西岳は近そうに見えるが、歩くと登り15分くらいかかる。往復するならカラ身が適当。 ・ヒュッテ西岳〜水俣乗越〜ヒュッテ大槍〜槍ヶ岳山荘:鎖場、はしごが多い。いずれもしっかり整備されているので、慎重に通過すれば問題ないが、自信がければ水俣乗越から下って、槍沢からのルートで槍ヶ岳を目指す方がよい。 ・槍ヶ岳山荘〜槍ヶ岳山頂:天気が良いときは途中で大概渋滞している。渋滞がなければ正味の往復時間は20分ほどか。ヘルメットを利用する人多数。 ・槍ヶ岳山荘〜西鎌尾根〜双六小屋:東鎌尾根に比べると、穏やかで歩き易い。場所に寄り鎖が設置してあったが、なくても何とかなるレベル。細いトレイルが多く、人とのすれ違いに気を遣うことが多い。 ・双六小屋〜鏡平山荘〜新穂高:鏡平山荘までは槍穂の眺めがよい。林道歩きが長く、夏期の昼間の時間帯は照り返しがきつい。 <テント場> ・大天荘:小屋の前の土地がテント場。広くて整地も良い。稜線上のため、風が強い日は大変。トイレ(新築)も近くて便利。水は小屋で購入。ドコモ(フォーマ)利用可能。 ・槍ヶ岳山荘:小屋から大喰岳方面に下った斜面に区画されている。受付を最初に行い、テントのサイズを申し出て場所を指定してもらう。トイレは小屋近くの外来用を利用。水は小屋で購入。ドコモ(フォーマ)はテント場では使えたり使えなかったり。 |
写真
感想
夏の間は自分の休みと天気が全く合わなくて、どこにも出掛けられなかった。今シーズンはテント泊なしか?とも思ったが、ようやく9月になって待望のテント泊縦走に出掛けられた。
9月12日(金)
三連休の好天予報が出ていたので一日休日を足して四連休とし、早朝に自宅を出る。目指すは穂高駅近くの駐車場。明るくなる頃に到着すると既に準備を始めている人もちらほら。朝食とパッキングを済ませてバスに乗る。マイクロバス1台が出ていたがほぼ満席。途中、穂高駅で20分ほど待ってから中房温泉へ出発。天気は良い。道中寝たり起きたり。中房温泉の登山口は例によって登山者が多い。今日から休みにした人も多いのだろう。
合戦尾根を使って燕岳に登るのはこれで4回目だが、今回は4日分の食料と9月中旬の3000メートル級に耐える防寒着も持参したのでこれまでで最も重い装備になった。また、日頃の運動不足もあるため、速いペースで登らずにゆっくり歩くことにした。合戦尾根は樹林帯歩きがほとんどで、この日は風も弱かったため、徐々に汗がにじみ出てくる。合戦小屋に着いた頃には既に汗だくに。ここで大休止して先に進むが、このあたりの天候は曇り。この状態で稜線に出ても展望がないので燕岳のピストンはなしか、と考えていた。が、山は登ってみないと分からない。燕山荘に着いて稜線を見て唖然、登りはガスだらけだった景色は稜線の反対側では一変。快晴の空が広がっていた。ヨロヨロで上がってきたが、この天候で燕岳を無視する訳にはいかないので、カラ身で往復をすることに。燕岳の山頂は狭いが、遠くから見ると格好の良い山である。
燕山荘に戻り栄養補給をして歩行再開。今日は行ければヒュッテ西岳までと考えていたが、この時点で既にその手前(大天荘)に変更した。合戦尾根の登りが予想以上にしんどかったためだ。表銀座の縦走コースは以前一度歩いているはずだが、あまり(ほとんど?)印象に残っていない。今日も既に4時間以上経過し、遠くに見える大天井岳を目指して歩くのみ。右手にはアルプスの山々が見えるが、山頂付近はどこも雲がかかっていた。9月とは言え、午前中しか好天は続かないのかも知れない。分岐点まで来て最後にもう一度地図を確認して大天荘への登りに取りかかる。最後の登りはしんどいが、これで終わりと思いつつこなして大天荘到着。ここも以前来ているがやはり記憶がほとんどない。が、小屋の前にはテント場が広がっていて平坦で快適そう。小屋で受付を済ませて設営に取りかかる。槍が見えるベストポジションは利用できなかったが、広々としていた快適なテント場である。休憩の後、カメラとGPSを持って大天井岳を往復。山頂からは周囲がよく見渡せるが、槍方向は逆光で良い写真には向かない時間だった。
標高2800mを越えるテント場のため、寒さ対策として色々持参したが、夕方以降はやはり相応に寒かった。とは言え、気温は一桁代に下がる程度で、氷が張ったり霜が降りることはなかった。
9月13日(土)
3時過ぎに起床、テント内の気温は6℃ほどで思ったほどは寒さを感じず。支度と朝食を済ませて外に出ると、有り難いことにテントのフライシートに結露は見られなかった。今日は行程は短いが、高低差が大きいので軽荷に越したことはない。まだ暗い時間帯にテント場を出発。下り基調のトラバースルートを歩き、明るくなった頃に大天井ヒュッテ到着。ヒュッテから出てくる人は寒そうにしているが、こちらは既にウォームアップを終えているので体はポカポカと暖かい。ここでジャケットを脱いでシャツのみで歩き始める。
ヒュッテからしばらくは樹林帯のようなところ歩くが、ビックリ平にでると槍の大展望が開ける。まさにびっくりである。ここからは右手側からの風が少し冷たくなる。右手には常に槍やそれに面なるアルプスの山々が見える。大変に贅沢な縦走路である。来て良かった、生きてて良かった。赤岩岳は気付かぬうちに通り過ぎ、ヒュッテ西岳の建物が見え始める。ヒュッテ西岳の手前で西岳方向の案内版があったので、まだ時間も早いこともありピークに向かう。荷物はヒュッテに置いてくれば良かったのだが、見た目が近いこともあってそのまま背負って登り始める。15分近くかかってようやく西岳山頂到着。相変わらず天気は良い。山頂滞在数分で下り始め、10分ほどでヒュッテ到着。ここで休憩しているとヘルメット姿の登山者が。ここに来るまでもヘルメット持参者の多さに驚き、皆北鎌に出も行くのだろうかと思っていたのだが、いずれも一般縦走路を歩いていただけだった。
ヒュッテ西岳からはハシゴや鎖が続くしんどいみちのり。ペースも上がらない。天気が良く、右手には圧倒的な存在感の槍ヶ岳が常に見える。水俣乗越まで下ったら後は基本登り基調。ハシゴが連続するので気が抜けない。圧倒的な存在感の槍が、威圧的にすら見えてくる。ヒュッテ大槍にて小休止し最後の登りにとりかかる。ここからは槍沢を登ってくる登山者も見える。
11時頃に槍ヶ岳山荘に到着。連休初日の人気の山小屋は、午前中から早くも賑わっていた。テント場が狭いと聞いていたので、とりあえず受付を済ませ、番号を指定してもらってテント場を目指す。宛がわれた場所は狭くて快適とは言い難かったが、この後程なくして満杯になっていたことを考えれば贅沢は言えないだろう。ここにテントを張れないときは、下の殺生ヒュッテまで下らなければならない。テントも張ってのんびり休憩をしているうちにガスが湧いてきて、槍の穂先が見えないようになってしまった。このまま雨が降る予報でもないので、昼食を取った後にカラ身で穂先を目指す。穂先へルートは例によって渋滞していたが、連休なので致し方ない。登山地図等には往復1時間との記述があるが、渋滞がなければ30分で往復可能だろう。岩場の下やハシゴの下で渋滞待ちをしている時にヘルメットの重要性が理解できたような気がした。槍の穂先の山頂からは、360度の大展望とはいかなかったが、ガスの切れ間からは周囲の山々がよく見えた。そして何よりも、単独で北鎌を上がってきた男性がいて、その場にいた一同からどよめきの声が上がる。北鎌は一度やってみたい気がするが、いつになることやら。下りは登りよりも更に時間がかかって、山荘まで戻る。
この日、19時前頃にパラパラと弱い雨があったが、就寝前だったの特に気にせずそのまま寝てしまう。標高3000mを越えるテント場だが、持ってきた防寒着で十分過ごすことができた。
9月14日(日)
縦走最終日。3時頃から周りがゴソゴソしだしたのでこちらも起き出してテントの外を見る。フライはしっかり霜が降りていて白くなっていた。撤収に手こずりそうな雰囲気だが、気温はそれほど下がっていなかった。朝食とテント内の片付けをして外に出る。フライを剥がして貼り付いた霜を落とそうとするがほとんど効果がないので諦めて袋に詰めて更にビニールの袋に入れる。テントはほぼ乾燥状態なのが幸い。風は弱いが何せ3000mオーバーなので顔が冷たい。フードを被っての作業になった。4時50分に山荘を出発。槍の穂先を目指す人、山荘の前からご来光を待つ人等々。自分は西鎌方面に歩き始める。先行者がいるようで、ヘッドライトの光が時折明滅している。15分ほどライトの世話になるがそれ以降は肉眼で視認ができるようになる。山頂付近は風があったが、歩き始めるとほぼ無風になり、ジャケットを着ていると暑く感じるようになった。千丈沢乗越付近で脱いでザックに詰める。
西鎌尾根も東鎌尾根と同様にゴツゴツした岩場歩きをイメージしたが、こちらはより穏やかなルートで歩き易い。背には槍ヶ岳があり、目指す方向には鷲羽岳などアルプス中央部の山々が見られる。非常に良いルートだと思った。歩き始めて2時間程度はほぼ貸し切り登山道の状態だったが、以降は双六方面から歩いてくる登山者が激増。すれ違い待ちが多くなる。数え切れない登山者とのすれ違いが一段落して樅沢岳到着。相変わらず天気は良く、風も弱いので絶好の登山日和である。ここから20分ほど下って双六小屋到着。
ザックには4日分+アルファの食料があるので、今日はここに泊まって鷲羽岳や双六岳を周遊してくるのも悪くなかったが、翌月曜日は家にいたかったのでその誘惑を振り切って下山を開始。双六のテント場は、9時前だというのにまだ多くのテントがあり、夜には隙間のないくらいにテントが張られていたことが容易に想像できた。
双六小屋からは一旦緩い登りになり、その後下りになる。標高が下がるに連れて暑さを感じるようになる。双六〜新穂高は以前逆に歩いたことがあるが、その時は途中から大ガスで何も見えず、今回歩いてみて展望の良いコースであることに今更気付いた。弓折岳の分岐を過ぎて本格的な下りに取りかかる。鏡平小屋は登り・下りの両方の人がくつろいでいた。ここも以前来たときはガスで何も見えなかったが、こうして好天時に来ると全く印象が異なる。鏡平小屋から先に更に下り、更に暑くなる。秩父沢との出合で小休止し、しばらく歩くと林道に出る。これでほぼこの縦走は完了である。
が、後は長い長い林道歩きが残っている。時間はちょうど正午頃と暑い時刻であり、地面からの照り返しもきつい。バスの時刻が迫っていたので林道を早歩きで歩き、出発の3分前にバス停に到着。昼間の変な時間帯なのでガラガラのバスを想像していたが、乗ってみて満員なので驚く。3日間風呂に入らず、しかも汗だくで降りてきた人間にはひどく居心地の悪いバスだったが贅沢は言っていられない。このバスを逃すとさらに1時間待たねばならないのだから。平湯温泉で松本行きのバスに乗り換え。更に松本からは大糸線に乗り、2日前にクルマを駐車した穂高駅を目指す。何とか明るいうちにクルマを回収し、近くの温泉(しゃくなげ荘)で汗を流して帰宅の途につく。帰りは案の定高速の渋滞に遭い、自宅に戻ったのは日付が変わる直前。3000メートルからの帰宅はやはり楽ではなかった。
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