北アルプス・裏銀座
- GPS
- 152:00
- 距離
- 62.8km
- 登り
- 5,380m
- 下り
- 5,301m
コースタイム
- 山行
- 8:21
- 休憩
- 3:05
- 合計
- 11:26
- 山行
- 10:07
- 休憩
- 1:17
- 合計
- 11:24
- 山行
- 0:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:00
- 山行
- 7:12
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 8:22
- 山行
- 6:55
- 休憩
- 2:43
- 合計
- 9:38
天候 | 一日目:晴れ後雨 二日目:晴れ後曇り 三日目:晴れ、夜遅く雷雨 四日目:晴れ 五日目:曇り後雨 六日目:雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
船窪岳から不動岳にかけて、また南沢岳にかけて一部崩落が進んでいる箇所があり、特に悪天候の場合はかなりの注意が必要。 |
写真
感想
今回の夏合宿の山域を北アルプス裏銀座に選んだ理由としては、まず、東北地方では経験することができない、高山地帯で活動できること。または行程距離が長くその間に岩場やガレ場、それに加えて多くのアップダウンが存在し、行程中の変化が豊富であり合宿には相応しいコースであると判断したからである。当初、北アルプスの中で様々なコースが案として出できたが、その多くがシーズンは過ぎているものの多くの登山者で賑わうことを予想し、比較的登山者が少なく静かなコースを選び通した結果、裏銀座に確定することに至る。
まず今回の合宿は、天候の悪化や体力の消耗により予備日を使って一日停滞したことや、天候により双六岳に向かうことができなかった事もあるが、メンバーの多くが夏合宿に参加するのが初めてであり、アルプスに登るのも初めてである者が多い中、エスケープをする事なく無事に最終目的地である上高地まで辿り着くことが出来たことや、山行中に落ち着いて様々な判断ができたことなどから、当合宿は成功であると確信した。
一日目
初日は扇沢から針ノ木小屋まで向かう。登山口を出発して歩き始めるとザックの重みが通常よりも非常に重く、この先の行程が心配になる。暫くすると水場があり、ここで二日分の水を確保しなければならないため、ザックがより重くなる。針ノ木雪渓に着くと軽アイゼンを着けて登る。たまたま針ノ木小屋の従業員がコース上に赤い粉末を落として整備していたため、安心して通過できた。雪渓を終えると小屋までの急な登りに入るが、ザックの重みによってなかなか前に進まない。やっとの思いで小屋に着くと一気に展望が開け、最終目標である槍ヶ岳を望むことができ、興奮を抑えることが出来なかった。小屋の横にテント場があり幕営する。夕方になり少々雨が降ったが大きく崩れることはなかった。
二日目
朝食前に、テントに荷物を置いてサブザックで針ノ木岳を目指す。まだ4時20分であり辺りが暗い中ひたすら登る。しかし頂上直下で朝日が上がってしまい、残念ながら頂上で御来光を望むことはできなかった、ただ山頂からの眺めは格別であった。北側は雲で隠れていたものの、南側は今後の縦走路、八ヶ岳や南アルプスに加えて富士山まで見渡すことができた。富士山と北岳が並んで見えたことに感動する。山頂を後にし、テントに戻り朝食を取って急いでテントを片付ける。今日からが槍ヶ岳への縦走の始まりであり、気合を入れて蓮華岳へ向かう。登りを終えてから蓮華岳山頂までは、非常に気持ちがいい道が続く。ここはコマクサの群落地帯で有名であり、わずかながら咲き残っているものを探すことができた。蓮華岳を超えるとザレ場をジグザグに下り暫くして鎖場が連続する。安全のためヘルメットを付けて慎重に通過する。岩場の下りは容易に通過できたが、コルを抜けて北葛岳への鎖場の登りはザックが重いため、すぐに息が切れて体力が一気に消耗される。岩場は七倉岳まで続き、山頂に着くころにはメンバー全員が顔の表情からかなり疲れが読み取れた。七倉岳からは船窪小屋まではすぐである。しかし西側から雷鳴が聞こえ始め、見てみるとちょうど立山のあたりに積乱雲があり下はかなり黒い。小屋から急いでテント場に向かいテントを張る。暫くすると天候が安定してきて、付近にある水場で水を補給する。ここ一帯は七倉ダムに向かって西側一帯が広い範囲で崩落が進んでおり、水場はその崩落地に存在し水をくむ際は注意を払う。テント場には我々以外にも同志社大学のワンダーフォーゲル部がいて、話を聞いてみると偶然にも我々と同じコース計画であった。メンバーで明日の行程を確かめる。今日の行程によるコースタイムと照らし合わせると、明日は長く烏帽子小屋までは少々厳しいと考えられた。計画をたてた際はこの区間は8時間であったが、本日のコースタイムでは計画から2時間ほどの遅れがみられた。そのため、不動岳まで11時近くまでに着かなかった場合、船窪小屋まで引き返すことを判断しエスケープすることに決めた。
三日目
早朝5時に出発する。船窪岳からは崩落地の側面を歩きロープや梯子が連続するようになる。地面が砂でザラザラした状態であり、急斜面ではかなり歩きにくい。コルに着くと両側が激しく崩落が進み、ルートの幅がおよそ20cmほどの狭さであり、メンバー全員がこれを見て驚く。ザックが重いため危険であると判断し、ハーネスを付けて固定されているロープと連結して通過する。この先もロープが続き緊張が続く。2459mピークに着いて地形図を見ると不動岳がまだかなり先のピークであると読み取るが、実際はその場から見るすぐ目の前のピークであり、その誤りに11時に不動岳に着くことが非常に厳しく思い、エスケープを覚悟していた。しかし、次のピークに着くと不動岳の標識を見つけることで安心し、昼休憩とする。ここまでの行程で皆かなりのお疲れである。この日は合宿中で一番天気が良く、北アルプスの山々を一望することが出来た。まだ先は長く南沢岳に向かう。南沢岳への登りに入りしばらくすると、左側がかなり崩落している側面を登る箇所があり、疲れを忘れるほど恐ろしく感じた。地形図では南沢岳を巻くルートが存在するようであり、時間的にそのルートを使うことに決めていたが、ルートが見つからずに南沢岳に到着してしまった。南沢岳から下り烏帽子岳へはよらず、烏帽子小屋に向かう。途中雨に降られながらも、無事に着くことができテント場で幕営する。この三日間の行程でメンバー全員の疲労がかなり蓄積されていることから、話し合いの結果、明日はこの場で予備日を使って停滞することに決めた。その日の夜11時頃、遠くから雷鳴が聞こえ始めると、一気に大雨となり、それに強風と雷が加わり激しい雷雨となる。山での雷は恐ろしく、雷の高度が同じなのか左右で雷光が光り、テント内が明るく照らされる。この時、低気圧から延びた寒冷前線が通過し短時間に非常に激しい雷雨をもたらしていた。長野県全域には竜巻注意情報が発表され、日本各地で被害が出ていたことを下山した後知ることになる。
四日目
日が昇ると空が非常に晴れており、未明に濡れた物を乾かしながら休息を取る。
五日目
次の日には一日の休息を取ったことにより、疲れがほとんど感じなくなっていた。早朝、テントを片付けて出発する。稜線に出るとガスの中に入り視界が無くなる。黒部五郎岳を過ぎて暫くすると、雨が降り出し急いでカッパを着る。雨の中ゴーロ状の所を何回も通過するが視界が悪いため、ルートを見失いやすく慎重に進む。水晶小屋に着くと風が強く非常に寒いため、小屋の中で昼休憩を取る。小屋を後にし鷲羽岳に向かう。空は一向に晴れず付近の山々が見れないのが残念である。鷲羽岳に着くと少々休憩を取るが、風が強いため早々と下山し三俣山荘に向かう。途中、雲の切れ間から雲ノ平が望むことができ、その大きさに驚く。今回はテントでなく小屋を利用する。メンバ―全員が有人小屋に泊まるのが初めてのようであり、驚く所もいくつかあったようである。夕方になるとガスが無くなり、槍ヶ岳を久しぶりに見ることが出来た。
六日目
早朝、雨の中小屋後にする。三俣蓮華岳を超えて双六岳に向かうが、この日は午後になるとより天候が悪化するようであり、巻くルートを選択して直接双六小屋に向かう。小屋で小休息を取ってから、槍ヶ岳へと向かう。西鎌尾根に入ると急に痩せ尾根へと変化し鎖場が連続するが、よく整備されているために、安心して通過できた。途中、雷鳥に遭遇でき初めて見る雷鳥に感動する。暫くすると槍ヶ岳への登りに入り、無事に槍ヶ岳山荘に到着する。午後になると雨が強くなり、槍ヶ岳登頂の機会を待つ。3時ごろになってようやく雨が止み、槍ヶ岳に向けて出発する。安全のためヘルメットを付けて登る。至る所に鎖が設置されていて登りやすいが、雨のために滑りやすい。最後の梯子を超えると山頂である。メンバー全員で喜びを分かちあう。私は槍ヶ岳はこれが初めてではなく、高校一年のころ燕岳から表銀座を通って槍ヶ岳に登頂したことがあるが、その時も今回と同じくガスで視界がゼロであった。一度は槍ヶ岳山頂から景色を眺めてみたいものである。記念撮影をしてから、山荘へ戻る。今回も小屋を利用する。槍ヶ岳山荘は北アルプスで二番目に大きい小屋であり、快い一夜を過ごした。
七日目
朝5時に出発して、一気に上高地まで下る。上では雨は降ってなかったものの、上高地に着くと土砂降りの雨である。カッパは着ているが、ずっと雨に打たれていたために体が冷え、温泉でゆっくりと体を温める。そこからは上高地バスターミナルでバスに乗り、電車を利用して弘前に戻る。
今回の山行はテント泊と小屋泊を両方経験したが、小屋を利用した理由は、メンバーの多くが夏合宿に初めての参加であり、かつアルプスに登ることが初めてであるメンバーも多くを占めるため、初めから長期間の山行で全てテント泊という計画では、リスクを伴うと判断し、三俣山荘と槍ヶ岳山荘では小屋を利用することに至る。また、計画を立てる際はもっとザックの重さと体力を考えてコースタイムを作成するべきであったと考える。これらの反省を生かして来年の合宿ではこれらのことを、心掛けて計画を立てたいと思う。
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