最難関二百名山・笈ヶ岳に挑む
- GPS
- 14:28
- 距離
- 24.0km
- 登り
- 2,298m
- 下り
- 2,312m
コースタイム
- 山行
- 13:47
- 休憩
- 0:42
- 合計
- 14:29
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【駐車場 ⇔ 山毛欅尾山】 ・序盤の堰堤越えは想像していたほどの恐怖感ではなかった。恐怖を感じるほど堰堤の幅は狭くないし、上り下りのステップも槍ヶ岳の梯子だと思えば問題なし。 ・堰堤を越えてすぐに林道まで超急傾斜の岩場登りあり。補助ロープは設置されているが足場が脆いのでここは要注意。 ・林道に出たら左へ100mほど進むと導水管取付き。導水管に沿って標高差200mの急な階段で一気に登る。当然登りは疲れるし、下りはとにかく膝に堪える。 ・導水管沿いの階段を登り詰めると貯水池があってそこから先は登山道。 ・貯水池から山毛欅尾山まではかなりしっかりとした踏み跡があって藪っぽい場所はほんのごく一部分。と言いつつ、藪っぽい部分ではやはり道が分かりにくく、下りで2回ほどルートミスをやらかした(GPSですぐに修正) ・基本的に急登の連続。岩場は無いが勾配はかなり急。 ・この区間に残雪はほとんど無し。山毛欅尾山の10分くらい手前からようやく雪が現れた。 【山毛欅尾山 ⇔ 冬瓜平】 ・山毛欅尾山から一旦150mくらい下ったあと、アップダウンを繰り返しながら冬瓜平に向かって徐々に標高を上げていく。帰りは山毛欅尾山に向かって標高差150mの登り返しとなるためこれがなかなか辛い。 ・感覚としては2割が残雪、5割が薄い踏み跡付きの道、そして残りの3割が激藪。 この3割の激藪がとにかくエグくて灌木やブナの枝や幹が行く手を阻むことになり体力を激しく消耗する。薄い踏み跡付きの道も普通の山なら荒れまくった破線表記の登山道レベルだが、笈ヶ岳ではそれが神の道のように感じられる(笑) ・アイゼンは冬瓜平までは未装着(アイゼンを着けても爪を藪に引っ掛けるだけ)。ストックすらも邪魔になるのでザックにくくりつけ、両手をフリーにして行く手を阻む枝をかき分けながら前進した。 ・基本的に藪の中で展望は無いが、時々白山や笈ヶ岳が木々の合間から望めるポイントがあって癒される。 【冬瓜平 ⇔ 笈ヶ岳】 ・冬瓜平から先は基本的に残雪が繋がるようになるが、1626m地点を巻くポイントと中宮ルート分岐点付近の2ヶ所だけは藪が出ていた。このうち、中宮ルート分岐点付近の藪は距離こそ短いが密度が濃いので通過にかなり苦労した。 ・冬瓜平から稜線に出るまでの間はトラバース気味の急斜面が断続する。雪質によっては滑落の危険があり、特に下りは高度感もあって緊張した(個人的に下りは苦手) ・冬瓜平は雪崩危険ゾーンでもあるが、雪崩を起こしそうな冬瓜山上部の雪は既に溶けていて、デブリもほとんど見かけなかった(落石の跡はあり) ・中宮ルート分岐点まで出てしまえばあとは残雪の稜線を歩いて頂上を目指すだけ。小笈手前の急斜面はちょいキツかったが、藪漕ぎの苦労に比べれば何てことない。 |
その他周辺情報 | 下山後、比廚療鬚鰺用(600円) |
写真
感想
今年こそは最難関の二百名山と言われる笈ヶ岳に挑むべく天気予報をチェックしていると4月22日の土曜日、遂に千載一遇の晴天が到来の模様?!
というわけで笈ヶ岳に挑戦する気満々で準備やリサーチを進めていると、決行直前になって今年は残雪がかなり少なく既に藪が出始めていて撤退する人も相次いでいるという情報が目に入ってきました。
さらに、いつもは全くアテにしていない某てん●らを今回に限ってうっかり覗いてしまい、その結果が笈ヶ岳にまさかのC判定。どうやら天気は快晴で間違いないけど、かなりの強風が予想されるらしい。。
僕はそもそも雪面歩行があまり得意ではない上に藪漕ぎ耐性もヘタレ野郎。
総距離22km以上・総高低差2,200mという数字は無雪期の一般登山道ならともかく、残雪期登山としては僕にとって未知の世界。それに加えて藪漕ぎだの強風だの悪条件が重なれば到底登頂を果たせるとは思えず…。
どうする?やっぱり今シーズンは諦めて来シーズンに持ち越すか??
直前になっていろいろと不安が重なり完全に日和ってしまいましたが、もしも撤退と言う結果になってもそれを来年以降の登頂に向けた経験値にしようと考え、最終的には決行を決意。職場には半休をもらい、金曜の夕方から500kmの道のりを7時間以上運転して白山麓の一里野へと移動しました。
そして午前4時10分、いざ一里野を出発。何時を撤退ラインにしようか、せめて冬瓜平まで行ければ上出来…そんなことばかり考えながら山毛欅尾山の急登を登る。途中、今までに見たことがないくらい大規模なカタクリの群落に出逢ったおかげで少し心に元気が出ました。
山毛欅尾山に到着したのは午前6時40分(出発からちょうど2時間半)。ここまではそこそこ順調。もし山毛欅尾山まで3時間以上かかるようならその時点で撤退しようと思っていたので第一目標はクリア、先へ進むことにしました。
山毛欅尾山の山頂は一面雪に覆われていて、この状態がずっと続けば…などと思ったけどそんなに都合の良い話があるはずもなくボーナスタイムは間もなく終了。山毛欅尾山から15分ほど歩いたところで残雪が途切れ、いよいよ藪漕ぎが始まりました。
山毛欅尾山から冬瓜平までだいたい残雪が2割、踏み跡のある微妙な藪が5割、踏み跡の全く無い激藪が3割くらいの割合。つまりエグい藪の割合は3割くらいですが、この3割が容赦なく気力・体力・精神力を奪います。。
それでも今日は何故か普段よりも体が動きました。撤退を覚悟しつつもやはり本能的には登頂を意識してしまい勝手に体が動いたのかもしれません。枝を振り払い、藪を足で薙ぎ倒し、とにかく必死に前進しました。
朝のうちは残雪が半分凍結していましたが、アイゼンを装着したところで藪で爪を引っかけて邪魔になるのは目に見えているので藪漕ぎがあるうちはノーアイゼンで前進。ストックすらも藪に引っかけて邪魔なのでザックにくくりつけ、両手はフリーにして藪や枝をバサバサと振り払うことに専念。
こうして身軽に動く作戦が功を奏したのかもしれません。午前9時過ぎには第二関門の冬瓜平を突破。予想よりかなり早く山毛欅尾山から冬瓜平まで辿り着くことができて、この時点で撤退はほぼ免れるだろうという希望が湧いてきました。
冬瓜平から先は残雪がしっかりと繋がると判断してアイゼンを装着。態勢を藪漕ぎモードから雪道モードへと切替えました。
一番警戒していた冬瓜平の雪崩ゾーンは斜面上部の雪がほとんど解けた後で新鮮なデブリも見当たらず。多少落石の形跡があったものの雪崩の心配は杞憂で終わりました。
雪崩ゾーンの次は急斜面のトラバース+稜線に向かっての長く険しい登り。一歩一歩着実に登り、午前10時にシリタカ山東側の稜線にたどり着きました。
稜線に出ると展望が一気に開け、目指す笈ヶ岳のピークはもう間近に見えます。この時点で登頂を確信しました。
稜線到達後は残雪が切れて藪が出ている場所が2ヶ所ほど(1626m地点の直下付近と中宮ルート分岐点付近)。2ヶ所とも距離は大したことないですが、中宮ルート分岐点の藪は前が全く見えないほど密度の濃い藪で突破にかなり難儀しました。
中宮ルート分岐から先は超快適な残雪の稜線歩き。心配だった強風もそよ風程度。
まさにヴィクトリーロードです♪♪♪
小笈を越えて午前11時20分に笈ヶ岳登頂!
山頂に居たのは自分1人だけ。迫力の白山から遠くの北アルプスまで、360度の大展望と笈ブルーを完全に独り占めです。誰も居ないのをいいことに思わず「やった!やったぞー!」と叫びました(笑)
30分ほど山頂に滞在した後、午前11時45分下山を開始。
下山を開始して1時間ほどの間に、頂上を目指す登山者と相次いですれ違いました。ソロの人、グループの人、合計15人くらいとすれ違ったかな。。そして驚いたことに、その中の一人がなんと以前に伊吹山に一緒に登ったことのあるTwitterのフォロワーさんでした!!まさかの再会に下山したら麓で登頂祝勝会を開催する約束をして僕は引き続き下山の途へ。
午後1時50分、冬瓜平を通過。僕は雪の急な下り斜面が苦手なため、登りと同じくらい時間がかかってしまいました。。もっと雪上歩行に慣れねばね…
冬瓜平を過ぎるといよいよ帰りの藪ゾーンに突入。藪を避けられるかもしれないジライ谷ルートでの下山という選択肢も頭をよぎったものの、道の状況が不明なジライ谷ルートを安全に下る自信が無いので結局は確実に下山できる山毛欅尾山ルートを選択することに。。
帰りの藪道は冬瓜平の先で会ったソロの方とご一緒させてもらったため精神的には少し気が紛れたものの、体力は明らかに消耗していてペースは全く上がらず。さらに藪の間から見える山毛欅尾山のシルエットがあまりにも遠くてゲンナリします。
結局、山毛欅尾山を通過したのは午後4時50分。冬瓜平からの所要時間は3時間で、登りよりも30分余計にかかる始末。それでも明るいうちに駐車場に戻れる見通しがったことで少しホッとしました。
山毛欅尾山から先はエグい藪も無いので急斜面を踏み跡に沿って淡々と下るだけ。と言いつつ、疲れも相まって踏み跡の薄いところで2回ほど道をロストして軌道修正。
駐車場に下山したのは午後6時40分となりました。
往復14時間30分、非常に長く、厳しく、そして楽しい道のりでした。
一日が冒険の世界そのものでした。笈ヶ岳攻略の達成感は最高です。
最初は撤退覚悟からのスタートでしたが諦めずに攻めて本当に良かった!!
※余談1
今回、撤退覚悟から逆転できたのは気温がかなり低かった影響もあるかと思います(上空850hPaで-3℃、3月並みの寒気が入っていました)。仮に高温の中での藪漕ぎを強いられていたら冬瓜平に辿り着く前に完全にバテていたと思います。また、残雪の雪質も午前中はカチカチにしまっていて歩きやすく、午後も多少緩む程度で済んだことも幸いでした。
※余談2
下山中にすれ違ったTwitterのフォロワーさんとは約束通り下山後に小松市内のファミレスに集合して笈ヶ岳登頂祝勝会を開催しました(笑)
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