両神山 辺見尾根 会所尾根から日帰り山行
- GPS
- 08:59
- 距離
- 13.9km
- 登り
- 1,840m
- 下り
- 1,857m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
会所尾根は獣道以外の踏み跡は無い様子。辺見尾根は薄い部分が有るものの踏み跡をトレース可能。基本的にはロープを使わずに通過できるので、降りで懸垂下降の必要がある様な所に出た場合はルートミスを疑ってみるべき。一位ヶタワから両神神社までは廃道となった登山道の名残をトレースする。下山の表参道は週末は渋滞に巻き込まれる可能性有り。 |
写真
感想
両神山のバリエーションルートに通うようになって数年、赤岩尾根、狩倉尾根、西岳新道、天武将尾根、尾ノ内沢道を登りました。辺見尾根は四阿屋山から歩くと日帰りは無理なので、会所から倉沢とキワダ平沢に挟まれた会所尾根を辺見岳へと登り、そこから辺見尾根を山頂へと登る、お手軽日帰りルートとしました。
第一駐車場に駐車します。日の短い時期の初見のバリエーションルートです。明るい内の行動時間を確保するため夜明け前に入山します。
表参道を会所までは一般ルートの為、ヘッデン使用でも問題ありません。会所に到着する頃には明るくなりました。ここでハーネス、メットにガチャ類を準備します。本日の装備は、スリングと捨て縄とビナ、エイトカンにカンツキ、ハーケン少々、ロープは8mm30mと6mm細引き20m。8mmはザックに収納、6mmは折り返して10mで身体に巻けば懸垂下降が連続する状況でもスピーディに対応できます。8mmと組み合わせて(回収側に6mm、懸垂は8mm側を使用)1ピッチ20mの下降まで可能。ハンマーはミゾーのチコ。ハンマーとして使うよりもピックが土壁にバチ効きでとても頼りになります。
準備が出来たら薄川を渡渉します。会所付近は川幅が狭まり渡渉に問題はありません。正面に見える会所尾根末端は岩壁になっている為、倉沢側かキワダ平沢側のどちらかから巻き上がります。どちらから巻き上がるかで渡渉地点が異なります。今回はキワダ平沢右岸の泥壁から会所尾根に上がりましたが、尾根の上から見た所、倉沢左岸からの方が容易だったかも知れません。
会所尾根を南へと登ります。急な斜面で踏み跡は有りませんが、判り易い尾根で迷うことは無いと思います。やがて尾根筋が一旦ゆるくなり、標高880m付近で小ピークP880を越えます。この辺りから進路は南西に向かいます。
P1089には特に目印など有りません。展望も樹林の間からチラホラくらいな感じ。P1089から下った先のギャップ正面には大岩壁が有り、確保無しでの直登は問題外な様子で、確保が有っても果たしてどうかな?位の困難な感じです。この場所はネットで検索すると東側に2ピッチ40m程下降して巻いたり、西側を30分掛けて大巻きしたりとの記録が有りますが、西側の急斜面にあるバンド状から岩根に沿うように巻くとザレたルンゼ状に突き当たり尾根に登ることが出来ます。所要時間は15分程です。ザレたルンゼの登りはルンゼ真ん中はザレザレなので、右岸に疎らに生えた木を利用すると登りやすいと思います。
尾根を進むとその先、標高1130m地点で岩場に突き当たります。一見巻きか?と思いますが中央のクラックにホールドを求め、左凹角状の階段を使うと登れます。卦蘢度の快適なクライミングです。この岩は登るには楽しい岩ですが残念な事に登った先で岩の割れ目になっていて結局降りる事になります。しかも微妙に悪いクライムダウンとなる為、岩を登らずに西側から巻いても良いかもしれません。
倉沢ノ頭直下は急登になっています。左側に注意しつつ進むと、薄い踏み跡(獣道?)が南東に向かって伸びており、トラバース気味にこれを辿ると緩い傾斜の北東側尾根状から倉沢ノ頭に登ることが出来ます。もちろん直登で倉沢ノ頭を目指しても問題ありませんが、踏跡を利用する方が楽かと思います。
倉沢ノ頭から辺見岳北峰に向かいますが藪っぽい急登になります。尾根上を進みますが岩場は右側から巻きます。巻きの踏み跡(らしき痕跡)が曖昧になる部分も多く、高度を下げすぎると登る手間が掛かるので、登れそうな場所が有れば早めに尾根に復帰した方が良いかもしれません。この辺は不安定な急斜面なので落石、ホールドの抜けに注意が必要です。辺見岳北峰に近付くと尾根筋のやや左手に踏跡が有り、辺見岳北峰に至ります。辺見岳北峰からは両神山へと続く辺見尾根の展望や天理岳ごしの二子山が見えます。
辺見岳北峰からは尾根のやや左側の急斜面を下降しますが、この土壁も脆いので注意が必要です。技量に合わせて必要なら細引き等を使用しましょう。一旦コルに降りた後、辺見岳南峰に登り返します。藪っぽい南峰からの展望は南西方面だけです。
辺見岳南峰から少し戻って、いよいよ辺見尾根となり西へと尾根を辿ります。辺見岳からの降りはコル状から岩根部分の南側を巻きます。暫く進むと尾根は穏やかな印象となりキワダ平に到着します。キワダ平はテントでも張りたくなる様な癒し空間です。
キワダ平から先へ進みP1351に登ります。P1351は藪の途中であまり印象に残らない感じでした。P1351の先、二つ目のピークから下る方向が要注意で、正面の尾根は直ぐに切れ落ちた行き止まりとなります。正解は右手の尾根で一旦北に向かっていますが、尾根を辿ればじきに西へと向かう様になります。
辺見尾根をエビヅルの頭に向かいます。エビヅルの頭手前の岩場ですが、岩上を進むと下降が難しくなります。岩根南側に踏み跡が続いているのでこれを辿り巻くほうが容易です。エビヅルの頭では天狗トリオが出迎えてくれます。何年もこの場所で登山者を見守ってくれていたのでしょう。人の手によるものを見るとなんだか安心します。エビヅルの頭からの下降は登ってきた方向の先ではなく、ここで進路は左に折れる形となります。下降方向は天狗トリオに向かって右側、南西方向となります。下り始めは尾根状が不明瞭ですが、暫く我慢すると明瞭な尾根になります。
エビヅルの頭から鞍部に下った後は、三笠山への登り返しとなります。三笠山直下の岩場は教蘢度で楽しく直登可能です。三笠山では神像トリオが出迎えてくれます。これだけ石像が充実しているのを見ると、過去には良く歩かれていたルートという気もします。三笠山から降ると程なく一位ヶタワに到着します。
一位ヶタワは白井差、清滝小屋、両神神社、辺見岳からの4ルートが交わる交差点でしたが、すべて廃道となり訪れる人も稀な場所となりました。何重にも張られたトラロープや打ち捨てられた道標がなんとも寂しげな印象です。
一位ヶタワから両神山頂の剣ヶ峰を目指すため、両神神社に向かう廃道を辿ります。落ち葉に埋もれて判り難い踏み跡を注意深く進みます。所々で朽ちた鎖や丸太橋、石像が出てくるのでこれを目印代わりに進みます。このルートは整備されなくなってから時間が経過した為か、登山道としてはかなり荒れた印象です。
両神神社から表参道に合流します。会所尾根に取り付いてから他の登山者の姿をようやく見ることが出来ました。両神神社から快適な一般ルートを剣ヶ峰へ向かいます。混雑する山頂からは雪化粧の八ヶ岳が見えました。また今年も雪山で通うのでよろしく。
下山は表参道を日向大谷に向かいますが、清滝小屋から一位ヶタワからのログも欲しかったので清滝小屋から一位ヶタワを往復した後に下山しました。
明るい内に日向大谷に下山。ロープなどの使用を考慮してもっと時間が掛かるかと思いましたが、結果としては使う事無く済みました。辺見尾根は思っていたよりも踏み跡が残っており、むしろ会所尾根の方が険しい印象でした。石像の多さはバリエーションルートの中でも一番多く感じました。修験の道なのでしょうか?これだけの歴史的な遺産が残されているルートが歩かれていないのは勿体無い気がします。
今回の辺見尾根で、両神山のバリエーションルートを一応全て歩いた感じです。いい加減通い慣れた感のある両神山ですが、未踏部分も残っているので今後も年に数回は登り続けたいと思います。
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