檜原の奥地に伝説の狼像を追え!〜御前山
- GPS
- 09:41
- 距離
- 18.5km
- 登り
- 1,394m
- 下り
- 1,388m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
JR五日市線武蔵五日市駅より西東京バス藤沢行 6:33発、およそ7:00神戸岩入口着 【帰り】 神戸岩入口より西東京バス武蔵五日市駅行 16:56発、およそ17:24武蔵五日市駅着 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【神戸岩入口〜神戸岩】 舗装道の一本道です。特に注意点は無し。 時間帯によるでしょうが車の往来がたまにあります。 中尾根への取り付きはウッディハウスの裏手にありますが、神戸岩に寄り道するため一時通過。 舗装道をさらに進むと行く手に神戸岩が見えてきます。 大岩の間を沢が滝になって流れており、沢沿いに岩の間を抜けます(いわゆるゴルジュ帯)。 ただしあっという間に通り抜けてしまいます。帰りは脇にある神戸岩の下を通るトンネルを抜けるのも楽しいかもしれません。真っ暗闇なので注意! 【ウッディハウス〜クロノ尾山】 ウッディハウスの裏手、ロッジへ向かう橋の側にブルーシートがあり、その脇に踏み跡があります。 最初は激しい急斜面を細かくジグザグに登り、すぐに尾根の鼻先に乗ってゆるやかになります。 が、傾斜はまた少しずつ厳しくなり、標高950m付近まで急登となります。 傾斜が緩み、しばらく一息つきつつ歩くと大ムレノ山の神。今回の目的地の1つである古い狼像が見られる祠です。 その後はクロノ尾山まで再び急斜面の登りです。 バリエーションルートです。登山道としては整備されていません。標識もなく、ときに踏み跡が薄くなる箇所もあります。尾根筋をたどるだけなのでコースを外れることはますないでしょうが、万一のことを考えれば初心者さんや地形図よくわかんな〜いという方にはお勧めてきめせん。 【クロノ尾山〜御前山】 クロノ尾山から稜線を西進します。細かなアップダウンを経て湯久保・栃寄の分岐点へ至ります。 分岐から栃寄方面へ100m程進むと御前山避難小屋があります。避難小屋にはトイレあり。 分岐からやや段差のある木段の道を上がると御前山山頂です。 この日はクロノ尾山から先、道はうっすらと雪を被っていました。特に難儀するような積雪ではなく、数日中には溶けて消えそうです。 【御前山〜湯久保分岐】 避難小屋への分岐点まで戻り、南進して湯久保尾根を下ります。 ゆるやかな道です。御前山はわりと傾斜のきつい道が多いイメージがありますが、この道はもっとも楽に登れるルートではないでしょうか。 ただし道幅が狭い箇所もあり、すれ違い・追い越しには気をつかうかもしれません。今回はダウンヒルのグループと行き当たりましたが避ける場所がなく、広いところまで移動してからやり過ごしました。 湯久保山手前(アザミケタワ)に分岐標識がありますが、右方向は「通行止」の表示になっています(昭文社地図の破線ルート?)。 仏岩ノ頭の大岩を左手に眺めながらしばらく下ると湯久保方面へ下る分岐点があります。 【湯久保分岐〜宝蔵寺BS】 湯久保の集落までは少々荒れた道です。踏み跡を見失うことはないものの、落ち葉や木の枝が散乱していて躓きやすい印象でした。 途中に鑾野御前神社あり。今回のもう1つの目的である古い狼像があります。巨大な岩を背にした雰囲気のある祠です。 神社を背にして尾根を下っていくと間もなく湯久保の集落に出ます。 細い林道を下り、道なりに舗装道を飽きるほど進むと夏地橋に行き当たり、橋を渡って少し左手方向に進むと宝蔵寺BSに到着します。 |
その他周辺情報 | 立ち寄り湯であればあきる野の瀬音の湯があります。たいてい混雑しています。 |
写真
感想
[img]http://www.yamareco.com/uploads/photos/2945.gif[/img] [color=ff8c00]まさかの発見?![/color]
今回は山登りというよりは狛犬調査である。
ほとんどの人が興味無いとは思うが、狛犬というのはなかなかに奥が深く、中でも古いものについては何とも言えない素朴な味わいがある。
狛犬とは神社や祠の両脇に奉られている二対の像のことで、通常は獅子+狛犬の二匹で構成される。
向かって右側が獅子、左側が狛犬。たいていの場合は獅子は口を開けた阿像、狛犬は口を結んだ吽像となっている。
本来は別の生き物だったものが、“岡崎現代型”と呼ばれる形態があまりに一般的になっているので、狛犬と言えば思い浮かべるのは獅子的な容姿の像であろう。
お稲荷さんの狐などもひっくるめて狛犬と呼ぶのは、広義の意味では必ずしも間違いではないかも知れないが、正確ではない。
狭義の狛犬とは左側の一体のみ、あるいはもう少し広めて獅子+狛犬の二体を総称して呼ぶのが正しい。
狐像など、獅子+狛犬の形態とは異なるものは“使徒”と呼ぶ。
今回探しに行ったのは狼の像であるから、より正確を記すなら、使徒像である。
しかしながら、使徒像という呼称はあまり一般的ではなく、狛犬と言ったほうがわかりやすいため、今回はあくまでも広義の意味での狛犬ということにしておく。
さて、狼の狛犬については、特に秩父地方に多く見られるものであるが、大岳・御前山にある狼像はやや形態が異なる。
何の予備知識も無しに見れば、
「これ何?」
と言うしかない姿をしている。
有名なのは大岳直下に居る狼像で、この像は宝暦九年(1759年)に建立されており、実は日本で二番目に古い狼像であるとされる。
阿吽の区別もなく、後ろ足の表現も稚拙で、狼像の様式が確立されるずっと以前に作られたものということがわかる。
いや、むしろ秩父などで見られる様式化された狼像とはまったく異なる流れで作られている像なのかも知れない。
宝暦九年と言うと江戸中期、今から250年以上も前。侍がウロウロしてたような頃だ。
今ほど人が行き来することもなく、情報が飛び交うことも無かった時代。精巧な石像を作る技術も広まってはいなかったのかも知れない。
どんな石工が、どんな経緯で作ったのか。
重い石の像を大岳山頂直下まで担ぎ上げるのもまた一仕事だったろう。
山の中の古い狼像はいろいろと想像力をかきたてられる。
今回見に行った狼像は、大岳のものと同様の形態である。
同じ石工が作ったものか、あるいは参考にして似たような形となったものか。
1つは中尾根の中ほど、大ムレノ山ノ神と呼ばれる祠にいる。
ここの狼像は大岳のものと比べると小ぶりではあるが、造りは少し洗練されていた。
後ろ足が作られているし、尻尾がある。ティム・バートン風の謎の生物よりもやや狼に近い。少なくとも犬か狸?くらいには見える姿をしている。
造形が進化していることから、おそらく大岳の像よりも古いということは無さそうだ。
問題なのは鑾野御前神社の像のほうだった。
造りはかなり素朴。後ろ足表現も尻尾も無し。雰囲気は大岳のものと似ているものの、より拙い印象だ。
右側の狼像の後ろ脇に建立年度が彫られている。写真にうまく撮れずに判別がつかないのだが、どうも“宝暦八”と書いてあるような気がする……。
仮にこれが宝暦八年の建立であれば、大岳の宝暦九年より一年前、つまり大岳を抜いて日本で二番目に古い狼像ということになる。
一番は長野県にある寛延二年(1749)のものなので、関東地方に限れば最も古い狼像である可能性がある。
ただし、疑わしい点もある。
1981年発刊の『桧原村史』(桧原村刊)に寄れば、大岳の宝暦九年の狼像は建立の記録があるが、宝暦八年の記載は無い。
この記録が何を元に書かれているのか不明なので、単に記録が無くて湯久保の狼像が載っていないのか、それとも別の年に建立されたものとして載っているのか……。
現在確認中である。
何だか舞い上がってしまって建立年の写真がことごとくピンボケていたのがともかくも心残りだ。
再調査の機会をもうけ、再び確認に赴くしかあるまい。
【追記】
再調査に行ってきた。
結論としてはやはり宝暦八年で間違いなさそう。
http://www.yamareco.com/modules/diary/38108-detail-86735
mizcreidさん、こんばんは。
狛犬調査をしてる人が知り合いに何人か居て私自身はそうでも無いのですが、写真や感想を拝見するとなかなか興味をそそられました。
大岳山神社のそれがそんなにも古いものとは知らず間抜けな顔だなぁと失礼な思いを抱いていたのは反省します。
こんばんは〜
意外とそのへんに潜んでいる狛犬愛好家。それぞれにツボがあるみたいで古さを求める人もいれば特定の石工ファンなんて人もいるし狼限定って人もいたりしますね。
大岳のも、今回のもそうですが、珍しい部類の狛犬像に入るかと思います。
よくよく興味を持って見ない限りはただのおかしな石像に違いありません。
山奥で雨ざらしの状態でよくもまぁ古いものが残っているもんですよね。
人が近づかないほうがこういうものは残りやすいんでしょうかねぇ〜
娘ちゃん、おめでとうございます
週末はさぞ美味しいお酒が飲めたことでしょう
日曜日はよいお天気でよかったですね〜
うちは土曜日につづら岩で岩トレをしていたら早朝は富士山もよく見える快晴
だったのに、あれよあれよと黒い雲に巻かれ、雪が降り出し、尻尾を巻いて
装備を片付けるころにはプチ吹雪になりました
瀬音の湯、すごい人気ですねぇ。
もえぎの湯よりも広いので入った時は「まあまあの混み具合だなぁ」と思っていたら
はとバスやらクラブツーリズムやらの皆様がわんさかやって来て大変なことになりました。
氷点下の中キャンプをして、日曜朝に帰宅したのでMizさんの車とすれ違ったかもしれませんね〜
あ〜、すみません、全然レコと関係ないコメントになりました
hibaと違って歴史に弱くって、年号が全くわからんとです。。
こんばんは〜、ありがとうございます。
雪、上のほうにはそこそこ残ってました。最近の冷え込みには朝晩ガクガクしております。山の中より平地のほうが寒い気もします。
お近くにいらしたんですねぇ。
瀬音の湯は激混みなのはわかっているので山の帰りに立ち寄ったことは無いです〜。
混まなきゃ良いとこなんですが
氷点下キャンプとはさすがのkamehibaさんです。
私はすっかり寒さに弱くなっちまいました。こんなんで雪山行けるんだろーか
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