柏原新道〜針ノ木岳〜烏帽子岳〜ブナ立尾根《日本二百名山》
- GPS
- --:--
- 距離
- 35.0km
- 登り
- 4,300m
- 下り
- 4,353m
コースタイム
- 山行
- 6:54
- 休憩
- 0:21
- 合計
- 7:15
- 山行
- 10:12
- 休憩
- 0:33
- 合計
- 10:45
- 山行
- 2:39
- 休憩
- 0:08
- 合計
- 2:47
天候 | 1日目:雨、2日目:雨のち曇り、3日目:曇り時々雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2004年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
下山:ブナ立尾根・高瀬ダムからタクシーで葛温泉経由信濃大町駅 |
写真
感想
1日目(7/17)
京都駅を381系にグレードダウンしてしまった急行“ちくま”は満席で発車し、塩尻で1/3が降りた。松本で殆ど下車してしまい、松本電鉄で上高地へ向かう人と新宿からの“ムーンライト信州”に乗り継ぐ人に分かれる。信濃大町には5:08着、扇沢へ向かう人を3人集め女性ドライバー坂井さんのアルプスタクシーに同乗し柏原新道登山口で降ろしてもらった。降り出した雨にスノーセットの下で雨具を着て完全雨装備で5:45登山開始、昨年8月の鹿島槍・五龍の時と同様雨の柏原新道だ。悪天候に縦走を諦め下山してくる人たちとすれ違い1,000m余りの標高差を登り種池小屋に到る。前回より若干早く2時間6分で登ることができた。
南の方は晴れているようで少し前には富士山も見えたらしい。パンをかじって爺ヶ岳だけピストンして来たと言う女性と話すと昨日はひどい荒れようだったらしい。昨年とは逆方向の西に歩を進め、先ずは岩小屋沢岳を目指す。高山植物が可憐に咲き競いシャッター意欲をそそられるが写真を撮れるような天気ではない。稜線に出ると風が強く歩き辛い。岩小屋沢岳(2,630m)には8:53に到着したがガスで展望は全くなし。休憩もそこそこに歩き出し新越乗越に下る。小屋があるが昨夜は殆ど泊まっていなかったようだ。この辺りから時々雨が止む時があり少々写真を撮る余裕も生まれた。180mの登り返しで鳴沢岳(2,641m)、黒部ダムの真東に位置する赤沢岳(2,678m)には10:29、稜線に出て初めて2人連れのパーティーに出合った。針ノ木から種池を目指すという。
雨は絶え間がなくなり風は増々強くなり台風並みの暴風で身に危険を感じだした。主に西風なので扇沢側の絶壁に落とし込もうとする風だ。午後は雷も鳴るとの天気予報に一時も早く小屋に着きたくて歩を早める。スバリ岳(2,752m)に着く頃にはひどく疲れ気力も薄れてきた。風に抵抗し続けこの日の最高峰針ノ木岳(2,821m)に12:30到着、下山路に入ると風も少々収まり、2パーティーを追い越した。彼等は今日針ノ木雪渓を登って来た人たちのピストンだ。皆一様に風の強さに驚いていた様子だった。
コースタイムを4時間30分短縮し13:00針ノ木小屋に到着、雪渓を登って来て身動きできなくなった人たちで既に一杯、あの小さな小屋に200人ほどの人が泊まることになり布団1枚に2人の割り当て。夜までの長い時間東京と松本からの単独行、埼玉の5人組と山談義に花を咲かせた。1泊夕食付7,600円、水1ℓ無料、煮魚とフライ物、枝豆の夕食だった。
2日目(7/18)
今日も雨、でも幾分小降り、気力を振り絞り5:00小屋を出発、すぐに一人追い越し蓮華岳(2,799m)に達する。晴れていたらさぞかし・・・山頂付近の風の強さは昨日と同じ、休憩もなく縦走路を進むとそこは“蓮華の大下り”と言われ標高差500mを一気に下る。北葛乗越直前の岩壁を連続する鎖で下る。ここはかなり手強い、おまけに風雨により緊張感が増す。ドンと下りた後は270mの登り返しで北葛岳(2,551m)に7:08登頂。漸く雨が降ったり止んだりの状態になり助かる。また七倉乗越へ230m下降し、七倉岳(2,509m)に180m登る。七倉ダムへの下山路に通じる船窪小屋への分岐をやり過ごし船窪乗越へ更に下る。樹林帯まで下り込んで風が幾分防げるようになった。花崗岩の崩壊が激しい稜線は歩き辛い。
船窪乗越を越えると90mの登りで船窪岳(2,300m)9:01登頂。木立があり風が防げ、雨も止んでいるので早めの昼食にしてエネルギーを養う。この先3つにピークを越せば不動岳だが手厳しい。4劼曚匹隆屮▲奪廛瀬Ε鵑続く、一つ目のピーク(2,459m)には船窪第二ピークと名前が付いていた。この辺りの稜線は不動沢への崩壊が激しく登山道が付け替えられている箇所に度々出くわした。2時間40分を費やし漸く不動岳(2,601m)に到着、近くに3等三角点「不動」(2,595m)があるはずだが霧の中で探す気にもなれなかった。強風が吹きつけ休憩も出来ず通過した。
お腹が空いた。風の防げる登山道の真ん中で大休止を取り2度目の昼食となった。サッとガスが晴れ不動岳が姿を現しシャッターチャンスをモノにした。イワギキョウ、ホタルブクロなどの花の写真も撮ることが出来、40分の休憩で体力を回復できた。13:05歩行再開南沢乗越への下降を続ける。200m下り220m登る辛さの末、南沢岳(2,625m)に登頂、ガスの中。しかし四十八池に下る頃にはガスが晴れ表銀座の稜線が姿を現し感激。右を見ると烏帽子岳の尖がった山容も望め、明日は天候回復すると信じた。四十八池はその名のとおり無数の池があり高山植物が咲き乱れている。ここで始めて船窪小屋から縦走して来たと言う男性を追い越した。
増水のため登山道が水没した部分があり池の中を進む。烏帽子岳は南側から縦走路を分岐しての登山となる。荷物をデポし往復1劼離▲襯丱ぅ箸澄8韻靴さ渕侈未濃劃唆瓩には鎖も現れ手応えのある山だ。烏帽子岳 (2,628m) 山頂に14:59到着、歩いてきた南沢岳、不動岳が良く見えるようになった。分岐に戻り最後の力を振り絞り前烏帽子岳(別名ニセ烏帽子2,605m)に登ると今日泊まる烏帽子小屋が見えホッとする。小屋には15:45到着し10時間45分の縦走を終えた。小屋の周りはイワギキョウの群落で、以前はコマクサが多かったそうだ。隅に追いやられたコマクサの中に白花のものがあると昨年も泊まった女性に教えてもらい探すと2株だけ咲いていた。来年も咲くだろうか。天候の悪さに大半が下山してしまい小屋は空いている。夕食は天ぷらと煮物、御飯が少し固かったのが難点。
3日目(7/19)
今日こそ晴れると思っていたのに深夜から雨が強まり窓に打ち付けている。計画では三ツ岳、野口五郎岳、真砂岳を縦走し湯俣温泉へ竹村新道経由で高瀬ダムへ下りる予定だったので4時には出なければならない。3:15に起床したが風はビュンビュン、雨はザーザーとても暗い中出発できる様子じゃないのであっさり断念。もう一度寝なおしブナ立尾根をダイレクトに下りることにした。天気予報を見ると梅雨前線が活発に居座っており、中部山岳のみ雨、下界は晴れているようだ。ウダウダして7:05小屋を出発、ブナ立尾根は北アルプス三大急登と呼ばれる急坂で1,250mを一気に下る。標高2,100m位になると雲の帽子の下に出て雨も止み、見通しが利くようになった。東側斜面で風もなく稜線での荒れようが嘘のようだ。
センジュガンビ、ゴゼンタチバナなどを見つけては写真を撮りのんびり下りた。今年は花が早いようだ。やがて濁沢の登山口に達すると砂の堆積した河原を歩き不動沢の吊橋を渡り、前日はこの吊橋が水没し9:30まで七倉より先が通行止めになり登山者が足止めを食ったそうだ。吊橋を渡り長いトンネルを抜けると高瀬ダムで、9:52に到着。ロックフィル式(石を積み上げたタイプ)の美しいダムだ。ここからの足はタクシーしかなく、駅まで7,000円くらい掛かるので同乗者を待つこと30分、6人揃い、ジャンボタクシーで七倉まで一人400円、立ち寄った葛温泉まで合計1,280円で行けた。源泉95℃の熱い熱い温泉で露天風呂には入ることが出来なかった。そして信濃大町駅への帰りも同乗者を物色すると7人グループがマイクロバスを呼んでいて、余裕がありそうなので便乗をお願いした。車内で話をすると京都から来たとのことで、烏帽子小屋の前は三俣蓮華に泊まり昨夜は烏帽子に遅く着いたそうだ。稜線の強風でザックカバーを吹き飛ばされた人が二人もいた。彼等は“さわやか信州号”で帰京、私は松本経由なら早く帰れるのだが、経費節約のため北陸線に出て帰った。自宅には23時帰着した。
後日談: 70歳になる叔父が鹿島槍を目指して7月14日扇沢から入山、悪天候のため冷池で引き返し、7月17日朝は種池小屋で様子を見ていた。その時小屋の前で休憩していた男性が私に似ていたが・・との話に日時が一致しニアミス発覚。確かに種池小屋の中から外を覗く視線が気になったことは覚えている。偶然とは恐ろしいものだ。
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