【北アルプス】唐松岳〜五竜岳(遠見尾根下山)
- GPS
- 17:01
- 距離
- 19.5km
- 登り
- 2,165m
- 下り
- 2,410m
コースタイム
- 山行
- 3:39
- 休憩
- 2:38
- 合計
- 6:17
- 山行
- 8:43
- 休憩
- 0:38
- 合計
- 9:21
天候 | 7/27 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
北陸新幹線 はくたか551号 6:28 東京駅 8:03 長野駅 アルピコ交通 高速バス 8:20 長野駅 9:35 白馬八方BT 帰り 白馬五竜スキー場 麓〜神城駅無料シャトルバス 12:20 エスカルプラザ 12:25 神城駅 大糸線 12:29 神城駅 12:59 信濃大町駅 あすさ38号 13:52 信濃大町駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
八方尾根〜唐松岳 危険箇所なし 唐松岳〜五竜岳 牛首〜1時間程度 鎖、岩場 がれ場、滑落注意 最低コルやや手前〜黒岳〜白岳〜五竜山荘 アップダウンあり 五竜山荘〜五竜岳 CS2時間のうち前半は通常の尾根道、後半は鎖、岩場、がれ場、滑落注意 五竜岳〜G5通過まで急ながれ場の下り、鎖、岩の連続 ★G5通過後、気が抜けやすく「なんでもないところ」での転倒、滑落注意 |
写真
感想
夏休みの縦走。今年は後立山連峰。4日間で唐松岳〜五竜岳〜鹿島槍ヶ岳〜扇沢に下山する計画でした。でも色々…というか一言で言ってしまうと「滑落」があり、途中リタイヤ。結果唐松〜五竜岳〜遠見尾根下山の記録。(長いけど自分の記録として)
初日は順調。ガスが出ていたけどその分暑過ぎず快適に歩け、山頂ではガスが切れて美しい夕陽、快晴の日の出など夏の高山らしい景色を楽しむことができ大満足!
翌日はまずは五竜岳へ。牛首の鎖場は、久しぶりだったので緊張…。しばらくクライミングもやってないので自分のホールドも信用できず、かなりドキドキ。でもその後最低コルまでの下り、白岳への登りも淡々と歩くことができ、五竜山荘到着時点ではまだまだ元気。
五竜岳核心部はかなりイヤでした。剱岳などを楽しみながら歩いていた頃から4年。コロナで日常の運動も山からも離れ、特に岩陵帯は歩いていなかったので自分の一挙手一投足が心配。五竜岳登頂した頃には疲弊。
不安を感じながらその先。G4、G5通過が長い。。事前にルートを調べていたけど想像していた以上の疲れ。ようやく連続する鎖場を通過し、この先はもう少し歩きやすくなったその時。
目の前を歩いていた先輩が落ちました。
崖側、足を置いたところが崩れたのか、バランスを崩したのか、スローモーションで体が後ろに倒れ、背中側から一回転、二回転、三回転…止まらない。その先は草木に埋もれて見えなくなり、名前を叫びながら見てることしかできずパニック。
何度か名前を呼ぶとようやく返事。よかった…生きてる……( ; ; )
幸い、落ちた箇所が草木の生えている場所だったのでクッションになったようで、聞くと怪我をしているだけで骨折など大怪我ではなさそう。草木を掴みながら登り返し、傷の手当。
腕がざっくりと深く切れているので、手持ちのキズパワーパッドを当てたり、ガーゼやテーピングできつく巻いたり。通りすがりの方も色々と提供して手伝ってくださり、本当に助かりました。
ああいった場面でどなたかそばにいてくださる、ってことが精神的に心強く、本当に感謝しています。
一息ついたところでどうしようか、と。先に進むとキレット小屋。翌日は八峰キレット。戻るならまたG5などを通過、五竜岳を登り返して五竜山荘。どっちを行っても3〜4時間。個人的には本当にどっちもイヤ過ぎるけど、この状態で八峰キレットは無理だし、キレット小屋からどこにも下山することができないので戻ることに。
なんとか五竜岳に戻り、直下の危険箇所を通過する頃、雨がポツポツ。やばい!雨の中鎖や岩は危な過ぎる!やや急ぎ気味で通過し終えたタイミングで雨がさらに強く雹混じりに。しかも雷!稜線で雷に遭遇するのも初めて。もう、恐怖でしかない。
体感でかなり近くに落ち、ハイマツの影に身を隠したり、屈みながら進んだけど本当に生きた心地がしませんでした。(その後、他の方の情報で「五竜岳に落ちるのを見た」というのを見ました)
ちなみに逃げながらふと視線を横にやると、慌てて逃げてるライチョウさんが…。お尻を振りながら焦ってる様子がめちゃくちゃ可愛い。が、もちろん写真などを撮る余裕もなく。
命からがら(体感)五竜山荘に逃げ込んだ時には安堵感からぐったり。
小屋の方、それから長野県の民間パトロール隊の方がいらしたのでもう少しきちんと手当していただき、翌日は遠見尾根から無事下山。
遠見尾根は亡くなった方の墓標が多くあったけど、山で命を失うということが以前よりぐっと身近なことに感じ、生きて帰ってこれてつくづくよかったと思いました。
以下、今後のための備忘
【対応で良かったこと、持っていて良かったもの】
・キズパワーパッド…直接ガーゼなどは傷に繊維が入ってしまう。ちなみに2種類持っていて、片方は薄く大きくて良さげだったけど、いざというときは手がまごつき、綺麗に開けられなくてぐちゃぐちゃになってしまったのであまり薄いものはお勧めしない
・てぬぐい、テーピングを強めに巻いて止血(このあたりの基本的な処置は知識がないと咄嗟の時に対応できない)
・ヘルメット…言わずもがなだけど
・au携帯…私物携帯はソフトバンク。事前に調べると稜線でも入る箇所が少ないので、登山時はauの会社iPhoneをエマージェンシー用に持ち歩いている。これがあるおかげで現場から小屋などに電話がかけられた(万が一のときも110番すらできないと困る)
・五竜山荘に戻る判断…後にパトロール隊の方に聞いたけどキレット小屋にはパトロール隊の方などおらず、処置はできなかったかもしれないとのこと。どの小屋に行くかで対応に違いが出たかもしれない
【反省点】
・ルートの下調べが甘かった。地形図、過去の記録、ネットでルートの写真や状況を見ていたけど、想像よりハードだった。単純にコースタイムや高低差だけではかれないことを実感
・今回は難所を過ぎたあとの「なんでもないところ」での滑落の典型。落ちたトラバース箇所の先はやや広く平坦な道で、ささっと歩ける錯覚が起きる
・過去歩けたから今回も歩けるの過信は絶対禁物。私自身しばらく本格的な岩陵帯を歩いておらず、以前の感覚を失っていた。
人によると思うのですが、人が目の前で落ちたとき、怖くなってもう行けないか、自分は気をつけようとだけ思って次も行くか、人によりけりかなと思います。
私は高所恐怖症のチキンなので前者で、人に起きることが自分に起きないと思えないし、人がふらっとするだけでも心臓がぎゅってなって怖かったので当分山に行く気が起きないかもしれない。。
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