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Yamareco

記録ID: 5864873
全員に公開
沢登り
日高山脈

ペテガリ岳(ペテガリA沢-キムクシュベツ沢)

2023年08月20日(日) ~ 2023年08月24日(木)
 - 拍手
GPS
100:40
距離
47.4km
登り
1,845m
下り
1,999m

コースタイム

8/20-24
①神威山荘(7:50)-ペテガリ山荘(10:30)=C1(2h40m)
②C1(4:20)-BC 沢出合(13:50)=C2(9h30m)
③C3(4:30)-ペテガリ peak(11:50)-B カール(13:50)=C3(9h20m)
④C3(4:40)-・722 三股(7:00)-下二股(13:50)-びれい橋橋脚跡(15:40)=C4(11h)
⑤C4(8:30)-歴舟川本流林道下山(12:30)(4h)
天候 8/20 早朝に局地的な強い雨。昼から夜にかけては曇り時々小雨
 21 晴れ時々曇り
 22 曇り
 23 快晴
 24 快晴
過去天気図(気象庁) 2023年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
元浦河林道
歴舟川本流林道(ゲート閉)
その他周辺情報 オべリベリ温泉
depa
2023年08月20日 07:52撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
1
8/20 7:52
depa
ニシュオマナイ川
2023年08月20日 07:55撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
8/20 7:55
ニシュオマナイ川
Co420F
2023年08月21日 05:05撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
8/21 5:05
Co420F
Co500F
2023年08月21日 06:11撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
8/21 6:11
Co500F
左岸捲き
2023年08月21日 06:39撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
8/21 6:39
左岸捲き
2023年08月21日 11:39撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
8/21 11:39
BC沢出合
2023年08月21日 13:48撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
8/21 13:48
BC沢出合
2023年08月21日 16:27撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
8/21 16:27
Co920F
2023年08月22日 05:24撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
1
8/22 5:24
Co920F
ヒル
2023年08月22日 05:39撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
1
8/22 5:39
ヒル
CSF
2023年08月22日 07:08撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
1
8/22 7:08
CSF
Co1350F
2023年08月22日 07:58撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
8/22 7:58
Co1350F
peak
2023年08月22日 11:48撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3
8/22 11:48
peak
Bカール
2023年08月22日 13:46撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
8/22 13:46
Bカール
depa
2023年08月23日 04:44撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
2
8/23 4:44
depa
朝焼け
2023年08月23日 04:47撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
8/23 4:47
朝焼け
2023年08月23日 05:11撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
8/23 5:11
キムクシュ
2023年08月23日 08:51撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
8/23 8:51
キムクシュ
2023年08月23日 12:19撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
4
8/23 12:19
出渓
2023年08月24日 07:22撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3
8/24 7:22
出渓
お疲れさまでした。
2023年08月24日 12:41撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
8/24 12:41
お疲れさまでした。

装備

共同装備
トライカム ナッツ マイクロトラクション ハーケン各種

感想

プレ②パンケメクンナイ川
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5693478.html
プレ③余別51点沢
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5750602.html
プレ④見市川白水沢左股-平田内川
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5823080.html
本番ペテガリA沢-キムクシュベツ沢
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5864873.html

⓪入山前
 プレをすべて無事こなしてしまった。ペテガリに行けてしまう。自分で計画しておいてなんだが、不安になってくる。本当に自分はスタッフとして中部日高に挑む実力があるのか。プレはどれも条件に恵まれていたし、運が良かっただけではないのか。最終プレが終わってからは過去のA沢の記録を何度も読んで心を落ち着かせる1週間。
 少し長めに山に入るので炭水化物を沢山体に入れておく。体重は75キロオーバー、BMIを計算したら25.06。25以上は1度の肥満らしい。ただのデブで終わらないために就活が終わってから再開していた筋トレの成果を出すべくジムへ向かう。久しぶりにベンチで100kgが上がった。幸先がいい。Powerはあるに越したことが無い。
 ミーティングして20入山に決定。計画通りいけば晴天でキムクシュを降りられてしまう。いよいよ緊張してきた。

①神威山荘(7:50)-ペテガリ山荘(10:30)=C1(2h40m)
 3時半に札幌をdepa。雨雲レーダーを見るとペテガリ周辺になにやら強めの雨を降らせる雲があるようで不穏な感じ。ついてみると雨は降っておらず、水量も問題なさそうでとりあえず一安心。ニシュオマナイ川は工事の為に橋が架かっていた。
 ペッピリガイ乗越中、寝不足で体調不良だったLが少し遅れるが、軽く吐いたら元気になった。昨日食べ過ぎたチャーハンのせいかな。そうこうしていると2h30mちょっとでペテガリ山荘。途中で熊に威嚇されていたらしいがLは気づかなかった。山荘前で焚火して、部員がルームに置いておいてくれたトウモロコシを5本焼いて食べつくす。美味でした、ありがとう。ビーフシチュー雑炊食べて立派できれいな山荘で快適に寝る。他にも登山客が10人くらいはいた。

②C1(4:20)-BC沢出合(13:50)=C2(9h30m)
 2:30起床、シチュー雑炊食べて4:20depa。ペテガリ橋から入渓。少し水量は多めか?問題になるレベルではないので河原を歩いていく。Co420付近に最初の滝。右岸へつりは難しそうなので左岸捲き。小さく捲くところが微妙そうなので少し高く捲いた。ab1ピッチで沢に復帰。少し歩いて下部の核心の滝。左岸のジェードル状からとりついて1段上がり、カンテ状の右側垂直気味の泥壁を灌木あるところまでsLリードで20m。笹薮の台地までLリードで10m。笹薮台地トラバースしてab1ピッチで沢に復帰。沢に下りるとすぐに右岸を登りたい滝。右岸への渡渉は移動距離自体は長くはなく(3m程度)、流れの強さからしても流される可能性は低かったが、仮に流された場合Co500の大滝下に落ちる可能性が高く危険なため渡渉用にザイルを出し、ハーケンと流木でfixした。
 その後は基本函地形。いやらしいへつりもありペースが上がらない。Co560二股を過ぎるとすぐに滝が2連続。1つ目の滝は左岸フェイスを登る。難しくはないが過去に部で事故があった場所なので少し緊張。B沢にプレで行くようなパーティがこんな滝で事故を起こすのだから、やはり沢は怖い。2つ目も左岸。
 河原歩いてBC沢出合まで。A沢側に少し入った左岸に快適テンバ。ついてみると14時前。かかった時間は計画とそれほど変わらなかった。焚火してエッセン入れてさっさと寝る。
 18時頃、1人起きてパンイチで服を乾かしていた大島はテンバから見て沢の逆側の斜面に熊を発見、その距離15m。熊スプを取り出して横にいた徳井を叩き起こす。熊は「今日はここ人いんのか」といった表情でゆっくりと近くを通り過ぎ、B沢に入っていったとのこと。徳井はあまり興味がない感じですぐに就寝。Lに関しては声かけたところシュラカバから一瞬顔を出し、熊を一瞥してすぐまた寝たらしい(これに関しては本当に覚えていない)。大島は怖さと興奮でしばらく眠れなかったとか。睡魔に勝てないスタッフでごめんなさい。

③C3(4:30)-ペテガリpeak(11:50)-Bカール(13:50)=C3(9h20m)
 2:30起床。味噌汁雑炊食べて4:30depa。ピークに行く日だが空は曇り。15分でA沢出合。そこからすぐに小滝が連続。簡単だが簡単すぎない感じ。少ししてCo920の30mFに到着。一段上がってから下部右岸水流左、上部草付きをsLリード1ピッチ。上部草付きの斜度あるところが少しいやらしい。ビレイ点にはヒルがいていやらしい。Co1050付近のCSFは突っ張りで突破、楽しい。Co1350の50m大滝は霧で一番上が見えなかった。一段上がって右岸上部30mをsLリードで1ピッチ。落石注意。
 あとは少し滝を登ると源頭っぽい雰囲気に。水を汲んで獣道たどって沢をつめ、少し薮を漕いで東の稜線に到達。ピークまではあってもなくても変わらないような踏み跡。ついにピークに到達、もちろん嬉しいのだが気持ち悪い虫が大量発生していてテンションが上がらない。三角点の虫を蹴散らしてピー写を取り、さっさと天気を取ってキムクシュ下降を決定。現在地報告と送迎のお願いを済ませてそそくさとピークを後にし、Bカールへと向かう。Bカールは岩々しているが探せばいい感じの場所があり、テンバを決定。視界も晴れてきたのでいい気分で焚火する。ナキウサギの鳴き声も良い。エッセンはカレー雑炊。前日、前々日夜との味の違いはやっぱり判らない。全部カレーの味しかしない。美味しいから文句はない。明日の晴天を祈って就寝。

④C3(4:40)-・722三股(7:00)-下二股(13:50)-びれい橋橋脚跡(15:40)=C4(11h)
 2:30起床。星空が綺麗すぎて衝撃を受ける。最高の気分で味噌汁雑炊を流し入れてdepa準備をするも、今度は朝焼けがきれいすぎて準備が進まない。パタゴニアのロゴだのなんだの言っていたら時間が過ぎ、普段より10分遅れのdepa。間違いなく自分史上BEST朝を更新した。
 下り始めると5-10分くらいで水が出てきて、その後は滑滝が連続。一つだけ右岸の微沢から捲いた以外はすべてクライムダウン。難しくはないが神経使う感じで結構疲れる。2時間半弱で三股に到着。いよいよキムクシュ、天気・気温ともにおあつらえむきである(キムクシュを下降した8/23、日高の浦河町では観測史上最高気温を記録したらしい(33.8度)。気温だけで見たらまさに過去約50年で1番のキムクシュ日和であった)。出発するとすぐに函が始まる。へつったりWSしたり飛び込んだり、最高の気分だ。天気が良すぎるのでしばらく水から出ると暑くなってきて水に浸かりたくなる。気持ちよく流されて、飽きが来た1時間後くらいに下二股に到着。その手前で熊に遭遇、優しく笛を吹いたらこちらに気づき、逃げるのかと思いきや数歩近付いてきたためパーティに緊張が走る。少ししたら斜面を駆け上がっていった。キムクシュは下りなら特に難しさは感じなかった。明らかに危ない感じのところを避ければ特に問題はなさそうである(気温が低ければまた別の問題があると思うが)。
 Bカールから下二股まで9時間で到達。下二股で泊まる予定だったが想定より速いので長めの休憩取ってから出渓地点まで行くとする。歴舟川本流は半自動下山。ザックを緩衝材にして多少浅くて岩々しているところも無理やり流されていくと、1時間半くらいで橋脚に到達。焚火集めてエッセン2日分くらい食べてタープも張らずに適当なところで就寝。

⑤C4(8:30)-歴舟川本流林道ゲート下山(12:30)(4h)
 ナチュゲ。4:30、シュラカバ越しにも明るくなったのがわかる頃に目が覚めた。徳井がせっせと薪をくべて、大島が雑炊を作り、廣野の息子は腫れていた。早く降りても送迎が来ておらず、仕方がないのでゆっくりする。Lは停滞用に持ってきた詰碁の本を読んでみる。詰碁はあまり好きじゃなかったが山中だと面白い。しばらくしてあまり暑い時間に動くのも、ということでゆっくり準備してdepa。結局くそ暑い中林道4時間歩いてゲートまで。少ししてドンパが迎えに来てくれた。ありがとう。お疲れ様でした。


 本山行は山スキー部として25年ぶり?くらいのA沢の遡行、キムクシュ下降は現役のPでは30年以上ぶり?、という挑戦的な山行であり、Lを務める自分はかなり気合を入れて臨んでいた(この必要以上にくそ長い記録を読んでいただければ容易にそれを感じ取ってもらえると思う)。今でも自分及びパーティが中部日高の沢に挑むに十分な実力があったのかはわからない。条件にかなり恵まれたことも間違いない。それでも、とりあえずはスタッフとしてこの山行を完遂させられて本当に良かった。天気と仲間に恵まれた夏だった。

 この山行を出せるようになるまでの積み重ねを作ってくれた先輩方、一緒にスタッフを組んだ頼りになるドンパ、某飲み屋で色々相談に応えてくれた山岳部の方々に感謝します。
 メンバーの2年目2人の今後の活躍と山スキー部の沢の再興を期待しています。

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コメント

おめでとう、読んでいてなんだか満たされる記録でした。また話聞かせてください。
2023/8/27 18:02
Iida_2017さん
ありがとうございます。また落陽でお声掛けさせていただきます。
2023/8/27 18:46
いいねいいね
1
おつかれさま。
地図に引かれた足跡が、これぞ日高の山登りという感じがしていいですね。
2023/8/27 20:05
いいねいいね
1
Nakagawa2019さん
ありがとうございます。
同じ山域に行き、aach2年班の凄まじさを改めて感じます笑
プレ見市、A沢ともに落陽で中川さんから聞けた事が役に立ちました。ありがとうございました!
2023/8/28 5:28
いいねいいね
1
これはスゴイ、凄すぎる
おめでとうございます
遥かなる山
映画の主人公にもなったあの柴崎芳太郎
陸軍陸地測量部のエースを派遣して「点の記」をつけた山
一般ルートでさえ最難関のペテカリ

これを沢を繋いで日高から十勝までとは
なんたることか!!
雪渓の残る発寒川プレ沢遡行から段階的に難易度を上げていき
経験値をあげ
熟考を重ねすぎるくらい重ねたのは
文中から滲みででいます
としても
最後に山の女神様に嫌われたら
断念せざるを得なかったでしょう
ひとたび雨に降られたら歴舟川があっという間に増水するでしょうからね
エスケープないし

熱く冷徹な知力・鋼の体力・そして時の運
三位が一つとなった軌跡ですね!!濃厚な5日間
活動記録を読んだだけで
勝手に祝杯あげさせていただきます!笑
秘蔵の純米大吟醸 with魚肉ソーセージでね
重ね、おめでとうございます
ついにやったーね(E)
2023/8/28 21:45
いいねいいね
2
k-kudoさん
ありがとうございます。
運にも味方され、なんとか行けました笑
2023/8/29 10:17
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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技術レベル
5/5
体力レベル
5/5

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