屋久島・宮之浦岳《日本百名山》
- GPS
- --:--
- 距離
- 31.7km
- 登り
- 1,807m
- 下り
- 3,155m
コースタイム
- 山行
- 7:12
- 休憩
- 1:18
- 合計
- 8:30
天候 | 1日目(5/22):晴れ 2日目(5/23):雨のち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2005年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー
船
下山:楠川温泉からタクシーで宮之浦港 |
写真
感想
1日目(5/22)
4:25予約のタクシーで民宿を発ち淀川(よどごう)登山口に入る。すでに10台ほどの車が停められスペースはほぼ満杯だった。登山届けを出し5:15歩行開始。小さなアップダウンを繰り返しながらも標高は殆ど変わらず30分ほどで淀川小屋に到着。まだ朝食中の前日の宿泊者が残っており昨夜の状況を聞くと超満員で通路まで埋まっていたそうだ。
淀川小屋からは本格的な登りとなるが比較的緩やかに高度を増す。1時間ほどの歩行で小花之江河(こはなのえごう)さらに10分ほどで花之江河と続く日本最南端の高層湿原が現れる。箱庭的な湿原の向こうに高盤岳、黒味岳の姿が美しい。標高1,200m以上の高山に咲くヤクシマシャクナゲはまだ早いが、ハイノキが白い小さな花をつけて楽しませてくれる。
屋久島では登山道のことを「歩道」と称す。安房、湯泊、栗生の各歩道が花之江河で合流し宮之浦岳に連なる南尾根へ入って行く。東西の稜線を乗り越す地点が黒味岳への分岐点でタクシー運転手のお勧めもあり往復45分のオプショナルツアーに同行者も参加した。荷物をデポし空身でピストン、核心部の山は宮之浦岳を初め全ての山が巨岩を頂いた山頂を持ち特異な山容を形成している。黒味岳(1,831m)山頂の巨岩の上に人が立っている。どうして登ったのだろう不思議に思うが、後ろから回り込むと難なく登ることができた。
山頂は当然360°の眺めで遮るものは何もなく屋久島最高峰の宮之浦岳を初め永田岳、翁岳、安房岳、投石岳が一望できる。黒味へのピストン道はヤクシマシャクナゲが咲き始め、ピンクの花と赤味がかった蕾を楽しむことができた。分岐点に引き返す道中これから黒味岳を目指す人とどんどんすれ違い、分岐点にはザックが所狭しと並んでいた。
分岐からはほぼ平坦な道を黒味岳の北に回りこむように進み投石平を過ぎると北に進路を変え右に投石岳(1,830m)、安房岳(1,847m)を見て進む。残念ながら踏み跡もなくツツジの林を漕げば登頂できそうだが、そこは世界遺産、自然保護を尊重し登頂はあきらめて西側の巻き道を進むことにした。最後の水場のすぐ先に翁岳(1,860m)への微かな踏跡を見つけオプションツアーを募集するが、お客はなく添乗員一人だけで寂しく出発した。深い藪を掻き分け、藪の下には抉れた登山道が隠され足元を慎重に確かめながら進む。100mほどの標高差で山頂部に達し見上げると巨岩が山頂に載り二つに割れた裂け目から登れそうでルンゼの両壁に手掛り足掛かりを求め這い登り山頂に立つことができた。宮之浦岳の前衛峰の栗生岳(1,867m)や南側の安房岳、投石岳が素晴らしい。
往復25分の行程で分岐点に戻り、先行した同行者の後を追って宮之浦岳への登りにかかる。途中栗生岳の直下を通るがこれも巨岩の山頂でとても登れそうになく、近づけるところまで近づき岩の上は断念した。最後の登りをこなし宮之浦岳(1,935m)には10:09到着した。天気は快晴、360°の眺めは素晴らしい。大台ヶ原と並び雨の多いことで有名なこの山で晴天を捉えられたことに大きな喜びを感じる。屋久島は円形の島なので単独峰の利尻のようなイメージがあるが、実態は懐の深い奥行きがあり山頂から海は見えない。(霞んでいるせいもあるが)
昼食を摂り、山頂展望を堪能し宮之浦歩道を北へ100mほどの標高差を下ると永田歩道の分岐点である焼野三叉路に達する。数個のザックがデポされ主を待っている。3つ目のオプショナルツアーは永田岳へのピストン(往復3キロ、1時間30分)、今回はお客様を伴って催行することができた。出発しようとしていた矢先ザックの主2partyが帰還、みんな淀川小屋に泊まったトップグループの人達だった。一旦鞍部(約1,690m)まで下り清流の小さな沢を渡り急登で登り返す。山頂直前の乗越で永田歩道から分岐し右に進みロープを伝い岩の上に出ると永田岳(1,886m)山頂だ。宮之浦岳、黒味岳等が展望でき、北西方向には永田の港と海が見えやっと島であることを実感した。
同行者持参のグレープフルーツで疲れを癒し展望を楽しんだ後、元来た道を引き返す。宮之浦岳に来るまでに追越して来た、主に淀川小屋に泊まった人達がどんどん登ってくる。一番最初にすれ違った老夫婦は永田岳山頂で昼食するためザックを背負って喘いでいたが、他はすべて空身のピストンだった。焼野三叉路に戻ると分岐点のヤクシマシャクナゲの1株が良く花をつけ、ここまでで最高の咲き具合だった。三叉路からは宮之浦歩道に戻り北北東に伸びる尾根を行く。平石あたりからヤクシマシャクナゲが咲き乱れ満開に近いようだ。蕾は赤に近いピンク、開花当初は淡いピンク満開になれば殆ど色が抜け白色に変化する。ひと所に咲く花の数も多く屋久島の固有種で貴重な存在だ。
平石のピーク(1,707m)からは永田岳、ネマチ(1,814m)が向い側に、南に宮之浦岳、栗生岳、翁岳を見通すことができる。さらに進むと坊主岩(1,631m)と呼ばれるRの利いた坊主頭が名の通りの大岩が左手に望める。東に下りだした所に第2展望台の標識が立つが樹林帯で何も見えない。その先にある第1展望台も同様でかつての展望台が樹木の成長で展望が失われたようでもなくどうも腑に落ちない。登山道も樹林帯に入り展望がなくなると暑くなり、黙々と進み13:45早くも小高塚山の山麓に建つ新高塚小屋に到着した。
道中で拾った情報によると15時以降の到着では寝場所の確保が心もとないとのこと。早い時間の到着で余裕は十分、入口付近の2階に寝場所を確保した。到着の状況から、今日淀川登山口を歩き出した人はすべて追越し、淀川小屋に泊まった人達も3時に出発したという人達以外はすべて追い抜いたようだった。2階のスペースは静岡のご夫妻、同行者が飛行機で一緒だったという山形の男性のためスペースを確保し埋まった。この後どんどん到着し通路まで満杯、テントも含めておよそ80人が泊まったようだ。どんどん到着する人達に落ち着かず15時過ぎから早々と夕食を作り、16時にはテラスのテーブルを明け渡し居場所がないので寝床に上がり横になっていると同行者は早々と寝てしまった。夕方から早くも雨が降り出し、屋外で夕食を食べていた人達が慌てて撤収するやで、てんてこ舞い。到着者が落ち着くと夜が訪れ小屋も眠りに付いた。
2日目(5/23)
夜半雨は一時激しく降った時間もあったが降ったり止んだりの状態だ。早く寝たので3:30には目が覚めてしまい起床、今日宮之浦岳を目指すというツアーガイドが10数人分の朝食を作る傍らで何時ものレトルトメニューの朝食を食べる。仄明るくなった5:10先頭切って出発した。40分ほどの歩行で高塚小屋に到着、みんな出発した後で、雨の中テント撤収中の男性が一人残るだけだった。古く汚いとの噂だったが、小さい以外は新高塚小屋と大差はない。
小屋を過ぎると屋久島世界遺産の核心部「縄文杉」に達する。樹齢7,200年! 気の遠くなるような太古から生きている。人類の築き上げた文明のすべてを知っている巨木、余りの大きさに只々圧倒されるばかり。根を傷めないように観賞用の舞台が設けられ、直接触れることはできなくなっている。しかし不心得者が樹皮を剥いだと先日TVは伝えていた。大株歩道を下ると夫婦杉、大王杉、翁杉、ウィルソン株と名の付けられた超弩級の杉が次々現れ世界遺産を堪能できる。昨日のタクシー運転士の話によると縄文杉など残っている巨大杉は一旦斧を入れたものの大き過ぎて打ち捨てられたものだという。大王杉あたりまでに高塚小屋に泊まった人達をすべて追越し、話を聞くと泊まったのは7〜8人でゆっくり休めたようだ。分っていれば高塚小屋まで足を伸ばしたのにと悔しがるが後の祭り。
ウィルソン株から南西に谷を下り小杉谷に出会うと大株歩道入口で、この先は小杉谷左岸に付けられたトロッコの軌道を歩く。軌道“跡”ならよくありがちだがここは現役の軌道、安房の起点あたりが主に使われているようだが奥の方にも稀に走ってくるそうだ。(地元ツアーガイドの話)軌道の間には踏み板が張られ歩きやすくなっている。以前に歩いた人の話では、踏み板がなく枕木を踏んで行くので歩幅が合わずかなり歩き難かったとの話を聞いた。このあたりから主に荒川登山口から登って来た縄文杉ツアーが何組も続き屋久杉人気のすごさを感じる。
50分ほど歩くと左側に三代杉と名付けられた杉がある。朽ちた一代目の杉に二代目の杉が生え、これがまた朽ちて三代目が生えたという代物だ。さらに進むと楠川分れに達し、トロッコ道と分れ再び山道に入る。標高差250m程を登ると辻峠(979m)で近くに「太鼓岩があるから行くとよい」と前出の山形の男性に勧められたが雨の中更なる登りにあまり興味がわかずパスする。谷筋を下り小広い場所に出ると「もののけ姫の森」の標識、世界遺産らしからぬ名前の出現に幻滅を感じつつも進むと左手に少し入り込むと白谷山荘に到着。今日の行程でこの後は屋根のある施設はなくまだ9:21だが昼食にした。寛いでいると白谷雲水峡を巡るツアーが次から次に小屋に立ち寄り休憩する。目的地は先ほどの「もののけ姫の森」だそうだ。宮崎駿了解のもと名付けたらしく、アニメはここがモデルになったとのことだ。名前が付くと行きたくなるのが人情でなんてことはない森だが麓から来た観光客は満足するそうだ。(ガイド氏の話)この小屋元は営業小屋だったのか昔のオーナーが植えたヒマラヤシャクナゲが白い大きな花を付け出していた。
幸い雨が止み雲も薄くなり歩行再開。小さな沢を渡り、白谷雲水峡右岸の道を行くがツアーはまだまだ来る。やがて駐車場への道を分け楠川歩道を直進すると林道を交差し再び沢が現れる。渡渉点を探しているうち足を滑らせドボン!靴とズボンを濡らしてしまった。このあとも苔むした湿った登山道に足を取られる。やがて海がちらちらと見え出すと、林道に飛び出し楠川温泉に向けて車道を行く。海岸線の県道に出る前にあると思っていたのに何時しか県道に出てしまい曲がり角に「楠川歩道入口」の看板、楠川温泉は右へ15分の表示、どっと疲れが出た。完全に晴れて暑くなり出した車道をとぼとぼと歩き20分ほど掛かり楠川温泉に到着した。
町営の古びた建物であまり綺麗ではなかったが僅か\300で人も居ずゆっくり入浴出来た。先着の2人、後着の3人みんな山で出会った人たちだった。タクシーにシェアし宮之浦港まで行きトッピーを待ち指宿に向かう。今日の宿は砂むし会館の傍のYH圭屋。赤ちゃんを抱いた女性へのベビーシッター同行者の小さな親切から開聞町のご夫妻に港からYHまで車に便乗させて頂き非常に助かった。
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