甘利山・鳳凰三山《日本百名山》
- GPS
- 17:19
- 距離
- 28.3km
- 登り
- 2,670m
- 下り
- 2,981m
コースタイム
- 山行
- 6:48
- 休憩
- 1:54
- 合計
- 8:42
- 山行
- 6:42
- 休憩
- 1:55
- 合計
- 8:37
天候 | 1日目(8/7):晴れ一時曇り 2日目(8/8):晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
下山:南アルプス林道山の神BSから芦安登山駐車場まで山梨交通バス、駐車場からタクシーなどで椹池 |
写真
感想
1日目(8/7): 晴れ一時曇り
中央道韮崎ICを下りると目の前に鳳凰三山の雄大な姿が目に飛び込んでくる。釜無川を渡り県道613号の舗装道路はどんどん山に分け入り標高表示が1,200mを越えると椹池(さわらいけ)に達した。トイレ前に車4台程止められるスペースがあるが先客は誰も居ない。登山準備を整え早速歩き始めると余り綺麗な池でもなく何もないが池畔に白鳳荘という営業小屋があるが果たして泊る人がいるのかどうか疑問だった。その傍には市営キャンプ場があり、その管理も兼ねているようだ。メインの登山口は県道をもう少し進んだ甘利山直下の駐車場からだが南甘利山にも登りたく椹池から歩くことにした。塩沢川を巻きこむようにトラバースし渡り越すとこの川が韮崎市と南アルプス市(旧白根町)の境になっていて南アルプス市域に入った。甘利山から南東に流れる尾根の鞍部に乗り上がると甘利山とは逆方向に1,430mの標高点がある。もしや名前のある山ではないかと足を伸ばしてみたが期待外れで何もなかった。
元に戻り尾根筋となった登山道を登り平らになったところに甘利山への指導標が出てきた。南甘利山(1,652m)はこの先端にあり先ずは立ち寄った。壊れた標識が足元に転がるだけで展望はない。さらに先に大笹池と案内があったが地図にも載らず何処にあるのかは不明。帰って調べてみると西に下って標高1,480m付近の平坦地にあるらしい。甘利山への登山道に復し笹藪を進むと殆ど人が歩かないルートで笹が被り夜露をたっぷり含み忽ちズボンはびしょ濡れ、雨降りよりたちが悪かった。笹藪の樹林帯から抜けると完全な笹原となり、ロープで植生保護されたエリアに入り甘利山に達した。
甘利山が賑うのは6月下旬から7月上旬にかけて咲くレンゲツツジとスズランの季節。簡単なゲレンデもあり冬はスキー客も来るようだ。この夏の盛り「“余り”暑くて人は来ず」ってことだろう。甘利山は1,731mの山頂標識があるが、2.5万図では1,700m等高線の上に4本等高線があり、カシミールでは1,743mを示している。少し下った後登り返すと奥甘利山(1,843m)で、分岐から30mほど入ると山頂だ。山頂は樹林で展望はないが少し南側に展望地があり富士山がどんと聳えていた。蝶の写真を撮りに来たと云う男性が先客で先週も来ていたと云う。付近にはマルバダケブキが咲き群落を成していた。
次は大西峰(2,066m)で、鞍部から260mの登り返しとなる。青木鉱泉から御所山を経て登って来る道と大西峰北側で合流し東を巻いて通り過ぎるが、藪を漕いでピークに突っ込むとまた露塗れになってしまった。小さな山頂標識が掲げられているだけで展望はなかった。千頭星山(せんとぼしやま2,139m)までは笹原を比較的なだらかに進み山頂に達した。今日初めての三角点峰、2等三角点「千頭星」が置かれているが展望はない。山頂域に3つピークがあり差し詰め“三峰山”と云う出で立ち。しかしこの千頭星という奇妙な名の由来は、“千頭(せんず)”は獣が沢山いる所を表わし、星(ぼし)は境界線を表すとも山の形が法師に見えるからとも云われている。今では韮崎・南アルプス市境の山だが、嘗ては芦安村・白根町・韮崎市の境界だった。
千頭星山西ピークを越えると今までとは打って変わり荒々しいガレ場の急斜面で、固定ロープを手助けに下った。踏み跡に釣られて次のピークに登ってしまうと何処を見ても断崖絶壁進退窮まり鞍部まで戻ると登山道は南の谷に急降下していた。随分下って先程の断崖を巻き再び直下まで登り返しP2004に達した。ここまで随分時間がかかってしまった。西面の急斜面を下ると大馴鹿峠(おおなじかとうげ・1,890m)で正面には鳳凰山主稜線の辻山(2,585m)がドンと聳えていた。一面笹原で座り込んで昼食休憩を取ると何とも心地よい。
さて休憩の後は標高差600m余りを登って鳳凰三山主稜線を目指し、大崩壊地の縁の急坂を進んだ。実は体調不良で直前まで中止を考えていたが思い切って出発したので、この登りは体に応えた。バテが出ないようにゆっくりゆっくり登り1時間45分かけて苺平に達した。それでもコースタイムの2時間40分よりは大分短縮したので、まだ体力は残っていそうだ。夜叉神峠からの主稜線に乗り上がったが、ここでは辻山に登らねばならない。主稜線を横断し倒木の転がる踏み跡を辿った。16分で辻山(2,585m)に達すると山頂には文字が赤く塗られた3等三角点「辻」があった。20m程西に進んだ処に展望地があり北から西にかけての展望が素晴らしい。ただ仙丈ヶ岳は辛うじて見えたが、残念ながらガスが多く、コーヒーを飲んで晴れるのを1時間待っていたが、自分の周りまでガスっぽくなってきたので諦めて下山した。
登山地図には苺平からのピストンだが、山頂のすぐ下で“近道”があり短絡してメイン登山道に合流し南御室小屋へと下って行った。今日はこの小屋に1泊夕食付(\6,800)でお世話になる。昭和35年に建った小屋で綺麗とは言えないが開けた谷間に落ち着いた雰囲気を佇んでいる。水は豊富で湧水がこんこんと湧いている。時間はまだ14時40分、600円の缶ビールで喉を潤し同宿者と楽しいひと時を過ごした。
2日目(8/8): 晴れ
昨夜は睡眠不足だったので夕食後すぐに寝た。早起きして明るくなりかけた4時半に出発し鳳凰山を目指した。関東の夜明けは早く、東の空は明るさを増し4:51樹林越しにご来光の日が射した。砂払岳(2,740m)は薬師岳の前衛峰のような山で同じように巨岩の屹立する見晴らしの良い山だ。南の方には富士山の優美な姿や仙丈ヶ岳の雄姿を見た。その仙丈にはYさんのRDBの会が登っている筈だ、ヤッホー。
砂払岳を下ると薬師小屋、ここは予約がない人は泊めないそうだ。まだ5時過ぎで朝食中の人達が窓越しに見えた。登り詰めると薬師岳(2,780m)で、鳳凰三山の一つ、山梨百名山の標識もあった。ここも360°の展望があり八ヶ岳や奥秩父の山々が素晴らしかった。この辺りの砂礫地にはナデシコ科のタカネビランジが咲き愛らしい。
鳳凰三山主峰の観音岳(2,840m)までは花崗岩が崩れた白砂混じりの道で這松しかない。気持ち良い稜線歩きで観音岳に達すると薬師小屋や鳳凰小屋に泊った人達、おまけに岡山からのツアーまで混じりごった返している。流石は日本百名山だ。山頂からの展望は更に素晴らしく甲斐駒ヶ岳も姿を現し、その右肩には北アルプス槍ヶ岳が乗っかっている。白峰三山を一望でき、農鳥岳の南に見える大きな山を荒川岳だろうと近くの人と話していると、いやあれは塩見岳だと自信たっぷりに言う人が・・・それほど確証がないのでそうですかと聞いておき、帰って調べるとやはり荒川岳で塩見は農鳥に隠れて見えないようだ。南の方を見ると笊ヶ岳、その手前に横たわるテーブルマウンテンは別当代山、昨年登った別当代はやはり大きかった。
鳳凰三山と云うとあと一つ地蔵岳がある。オベリスクと呼ばれる天に聳える様はお地蔵様が鎮座しているようだ。観音岳からは姿良く望むことができた。オベリスクの上までは登ることはできず、前に登れるところまでは登ったがその上はクライマーの世界だ。団体を始め沢山の人が先行したことにより、そこまで行く気持ちが急速に萎えてしまった。今日はここまでとして、30分景色を楽しみUターンした。観音岳に戻ると南御室小屋で朝食を済まして来た人たちが続々到着していた。薬師小屋は既に誰も居ず小屋番がベンチの手入れをしていた。南御室小屋に戻ると来るとき気がつかなかったが小屋の周りはお花畑でヤナギラン、ミヤマオダマキなどが咲いていた。ここも小屋番の作業時間で何と小屋前の清掃で箒目が立っているのには驚いた。
昨日満足な展望が得られなかった辻山に再度立ち寄ることにした。ずっと晴れていたのに山頂に到着するなり雨が降り出した。しかしザックカバーを出している間に止んでしまったが、上空の雲が多くなったようだ。一瞬の雨はもろともせず遠望はバッチリで昨日見えなかった白峰三山や鳳凰三山(地蔵岳は見えない)が素晴らしかった。夜叉神から登って来た男性が一人やってきて“近道”を知らず苺平にザックをデポしてきたと残念そうだった。
苺平からは再び処女ルートで長い下りが続く。標高2,300m位に山火事の跡があり展望が開け白峰三山やこれから向かう大崖頭山(おおがれあたまやま2,200m)が良く見えた。この辺りは花が多くオヤマリンドウ、シナノオトギリ、サラシナショオウマ、ミヤマアキノキリンソウ、ヤマホタルブクロなどが咲き誇っていた。下り切った鞍部が杖立峠かと思っていたが何の表示も無く、登り返して大崖頭山の西の肩を乗越すところが杖立峠だった。大崖頭山は縦走路から外れているので微かな踏み跡を辿り山頂に達すると木に巻かれた赤テープに「大崖頭山2,200m」と記されていた。展望はない。更に400mほど南西に進むと3等三角点「大枯頭」(2,186m)があるので行ってみると踏跡は益々薄くなりしっかりコンパスをあわせて進んだ。一番高くなったところに三角点はひっそりと佇み、点標は赤字に塗られたておりこの辺りの山に標通している。
杖立峠に引き返し登山道に復し坂道を下ると夜叉神峠からの登山者と続々現れた。キバナノホトトギスを見つけ写真を撮っていると、先ほど抜いた人が追い付いたので教えてあげ其の隙に又先行した。夜叉神峠小屋は小さな小屋で余り宿泊者はいないと見えひっそりしていた。ここに夜叉神峠1,770mの標識があるが峠は100mほど先、小屋の標高は1,792mと記されていた。小屋からは白峰三山が素晴らしく。バスで来てここから高谷山にだけ登り日帰りする人もいた。
殆どの人は夜叉神峠からトンネル東口に降りる。西口への道もあるが危険のため通行止めの表示があった。林道に下らず尾根筋をそのまま進むと高谷山(1,842m)に達した。3等三角点「高谷」があり、北岳の方向だけ展望が開けていた。この更に先に「←中池」の表示があるが地図に記載はないが南尾根を170m程下ったところの稜線上にあるようだ。左手の道を取り桃の木鉱泉への下りに入った。コースタイム2時間50分で標高差1,000mを下る。いきなり急坂で慎重に足を進めるが踏み跡はしっかりしていて問題はなさそうだ。歩いているといろんなキノコが次から次に現れ、名前など何も分からないが数種類写真を撮った。帰って“きのこ博士”のNさんに教えてもらおう。
標高1,625m位の地点で略図の看板があり現在地は桧尾峠と記されていた。右に分岐すると山頂にあった中池方面に道が繋がっているようだ。地図には桃の木鉱泉と南アルプス林道への分岐が大骨山というところであるらしい。地図上はピーク性のあるところはなく一貫して下っているようだが?
分かりやすかった踏み跡がだんだん薄れてきた。この道で人に会うなど考えもしなかったが何と登ってくる女性が二人、ルートを外し藪の中を歩いて来た。この先道が不明瞭で大変だったと云っていた。しかし登って来る人がいると云うことは心強い。所々にある赤ペンキやテープに導かれ標高が1,150mに達したとき木に「←」の赤ペンキ、前方には「×」、尾根を左へ下りると南アルプス林道に達するのは明確だが、桃の木鉱泉へは行けない。地図ではもう少し先で右へ折れて下るはずだ。「×」印を越えGPSでも確認し下り始めるが恐ろしい急斜面で道などない。身の危険を感じ引き返し下り口を探すが分からず「←」まで戻り仕方なく南アルプス林道への下山路を取ることにした。
こちらの方も踏み跡薄く、獣道が交錯し至って不明瞭。しかし標高差100m余りしかなくすぐに林道が見えてきたので踏跡はどうでもよく歩けそうなところを林道へと近づいた。一旦林道に出てすぐ夜叉神峠からの旧道に入り芦安へと向かった。途中に山の神のバス停があり時刻を見ると甲府行のバスは23分後にあり丁度良い。登山はここで終了してバスを待った。地図にある「旭入口」で下りたいと云うと車掌は分からず取敢えず乗れと云うことで、芦安駐車場まで行ったところで山梨交通の出張員に相談されるとこのバスは快速なので芦安から甲府まで止まらないとのことで困っていると、その山梨交通の男性が「私が送ってやる」と親切な言葉、有難い!
南アルプス市有野にある御勅使タクシーの営業所まで送ってもらい、タクシーで昨日車を置いた椹池へと戻った。タクシー代は4,310円まあ仕方がない。南御室小屋に張ってあった「白山温泉武田の湯」が里に下りたすぐのところにあるはずで運転士に聞くが知らないという。小屋での記憶を頼りに走ってみるとやはりあった。韮崎大村美術館の隣で美術館とも個人経営の施設らしい。小じんまりしているが良い温泉だった。(\600)
韮崎ICから中央道に入るが岡谷JCT〜伊北IC事故渋滞6劼良充┐あり直前の諏訪湖SAに入り夕食、仮眠で5時間休止し22時になって走り始めた。渋滞は全て解消し京都まで3時間半で帰ることができた。
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