記録ID: 6591518
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
祖母・傾
祖母山〜傾山縦走 大崩山は断念
2024年03月24日(日) ~
2024年03月28日(木)


体力度
10
2~3泊以上が適当
- GPS
- 28:05
- 距離
- 47.1km
- 登り
- 4,185m
- 下り
- 4,657m
コースタイム
1日目
- 山行
- 1:41
- 休憩
- 5:26
- 合計
- 7:07
距離 5.3km
登り 449m
下り 266m
2日目
- 山行
- 3:47
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 4:07
距離 3.1km
登り 759m
下り 119m
3日目
- 山行
- 4:47
- 休憩
- 0:03
- 合計
- 4:50
距離 11.0km
登り 1,187m
下り 1,199m
4日目
- 山行
- 9:11
- 休憩
- 1:43
- 合計
- 10:54
距離 20.9km
登り 1,601m
下り 1,973m
17:09
天候 | 3/24(日) 大雨 3/25(月) 雨 3/26(火) 小雨、強風 3/27(水) 快晴 3/28(木) 曇り→雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
船 飛行機
帰り: 九折登山口からタクシーで豊後竹田駅へ。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
LのFB抜粋 3/24 雨の中、竹田合同バスのジャンボタクシーに乗って神原登山口へ。途中までは悪くない幅も広い林道だが、最後の数百mはかなり細くて急な道になる。 大雨の降る中、登山口の駐車場にトイレの軒下で体操し、九合目小屋を目指して出発。とりあえず今日の目標は、この雨の中の体力消耗と装備の濡れを最小限に抑え、設備の良い九合目小屋までさっさと逃げ込むこと、である。駐車場から林道に上がり、いくらか進むと左手の登山道へ進む。実際にはこの時点から本ルートを外れており、本来は正面の橋を渡ってもうしばらく林道を進む必要があった。入った登山道は初めこそ幅広いが奥へ進むほど細く、急な箇所も多々ある泥の道となる。はじめずいぶん方角がずれていると思ったがさほどの問題とも思わず、またしばらく後になって明らかに違う道(本ルートは沢の左岸だが今通っている道は右岸)と分かったがじきに合流できるだろうと安易に考えてそのまま進んでしまった。 しばらく進むと渡渉地点(赤テープで印あり)があり、対岸には五合目小屋が見えた。しかし、昨夜からの雨で沢は大幅に増水しており、とうてい渡るのは不可能な様子だった。上流側へ移動し渡渉可能箇所を探すが、なかなか見つからない。引き返す事も考えたものの、すぐ対岸に五合目小屋が見えているのでこの沢さえ良いところで渡ってしまえばすぐに小屋で休めると考えた。なかなか渡渉できる箇所が見つからず、結局200mほど上流に移動した地点で幅の細い地点を見つけた。協力して石で足場を広げて、やっと本隊を渡渉させることができた。 とりあえず五合目小屋を目指し、対岸を下る。途中で沢沿いが進みにくくなったので、脇の尾根上に上がり、尾根上に通っている登山道を五合目小屋に向けて下る。下りきるとここにも渡渉。ここの渡渉は連続した2つの渡渉で、どちらも大きな岩で足場はしっかりしているが増水のためギリギリ水面下に没している足場があり、いくらか靴を濡らす必要がある。無事全員渡渉し、五合目小屋にやっと辿り着く。30分でここまで着く予定が、実に1時間半かかってしまった。 20分強休んでから出発。やっと本ルートの神原コースを歩くことになる。道幅は登山道としては相当広く、よく整備されていて歩きやすい。この道を通っていればどれだけ楽だっただろうかと後悔がつのる。10分ほどして渡渉地点につく。沢が2つに分岐して流れており、手前の流れは細く、楽に渡れたものの、奥の本流は流れが激しく、赤テープで指示された渡渉地点は幅は狭いものの完全に水没している。だが、靴を脱いで踏み込めば渡れなくはない。正直躊躇したが、ここを通らない事にはこのまま五合目小屋に戻って半日停滞するしかなくなる。とりあえず隊は手前でたるみとし、Lは腹をくくって靴・靴下を脱ぎ、ズボンの裾をまくって足を突っ込んだ。冷たさ、というより痛みが走り、足が猛烈に震える。水流はかなり強いが、慎重に進めば流される恐れは無い。冷たさで足が攣りそうだ。3歩で渡ることができ、対岸に固定されているロープを手渡せばそこそこ安全に渡れそうだ。判断に悩み一度渡って戻り、さらに1往復する。転ぶ危険は低いものの、ちょっと深過ぎるかもしれない。少々足を置く位置を間違えれば腰まで濡れる可能性がある。明日明後日も雨の中、腰まで濡れて行動を継続するのは危険と考え、ここで渡渉するのは断念する。再び上流で渡渉可能地点を探す。十分ほどあちこち見て回るが、かかとくらいまでの水没を許容すれば渡れる見込みのあるところはあるものの、かなり速い本流の中を手の支えなしに何歩も歩かなくてはならず、本来の渡渉地点が一番マシだと判断した。結局、40分ほど費やした末、撤退を決意した。少々雨が弱まっていることと、明日はさほど雨が降らない予報だったことから、明日は沢の水が引くことを期待して五合目小屋で泊まることに決め、小雨の中を泣く泣く撤退した 小屋に着き、さっきまでたるんでいた位置に各自再び納まってザックを下ろす。たった30分だけ登山口から入っただけの地点で泊まるのは初めてだろう。しかもまだ12時、ほとんど停滞である。五合目小屋は特に家具などは無く、平らな床が囲炉裏のある土間で左右に分けられている。水場は小屋のすぐわきか、神原コースを少し下った沢で汲む。小屋の前にトイレが設置されているが、冬季閉鎖中で使用できなかった。囲炉裏で炭火を起こして温まり、各自昼寝・行動食など自由に停滞する。午後のヤマテンの更新を待って神原コースを少し下って電波を取りに行った。明日25日は朝は曇り、昼から雨(そこまで強くない)の予報で、期待以上だ。しかし何を間違えたか、明後日26日が暴風雨の予報になっており、風速25mという信じがたい数字が出されている。これでは26日の行動は難しそうなので、仮に明日本当に朝雨が降らず、かつ渡渉が楽に通過できるようなら九折越までの縦走を目指すことにした。計画上15pになり、しかも祖母山頂先の岩場も通る難ルートだが、これができなかった時点で日数的に完遂は不可能になる。 夕サイトは「ペッパーランチ風炊き込みご飯」。Fが何種もの液体調味料を持って来てくれたおかげで、なかなか美味しく仕上がった。その後、特に宴会等はせず就寝。夜半になってまた屋根を叩く雨音が強くなってきた。渡渉できるかどうか、不安に感じながら眠りについた。 3/25 4半起床、カルボナーラを食べて6時出発。残念ながら、そこそこの雨が降っている。これでは九折越までの12ピッチ縦走は難しいだろう。小屋わきの沢の水流は多少衰えたようにも見えるが、依然として強いままだ。すぐに渡渉地点に着き、とりあえず全員で手前の渡渉をわたる。案の定、渡渉地点は依然として水没している。水深は結局、また足を突っ込むまでは分からない。昨日よりはいくらか水の温度は高くなっているようで、多少は楽だ。2歩水流の中に足をつき対岸へ。昨日より20cmくらいは水が浅くなっているようだ。ロープを掴んで戻る。この分なら全員渡渉させてもよいだろう。全員に靴を脱いで準備をしてもらい、対岸に固定されているロープをLが手渡しつつ、足の置き場を指示して渡ってもらう。40分弱で全て対岸へ移動を済ませた。 登山道は初めは依然として幅広くゆるやかだが、すぐに急な尾根に乗る。岩場も複数あるが、どこもロープに頼らずとも安全に通れるため心配はない。むしろ昨日からの雨を吸った泥の斜面の方が通りづらい。時々誰かが滑って転ぶが、幸い怪我をすることはなかった。引き続き急斜面を登る。相変わらず泥の坂が酷い。「この先絶壁」という恐ろしい看板(軽い岩場があっただけで拍子抜けした)を越えて少し進むと尾根が緩やかになり、すぐに国観峠に着く。国観峠は一面の草原(この時は湿原)で、驚くほど広く平らだ。 渡渉からここまで思ったよりペースが良く、このペースで進めば九折越まで辿り着けそうなレベルだ。もっともこのペースは九合目小屋ですぐに休めると思っているからこそ出せるものだが。その後、祖母山に向けて今日最後の前進を開始。国見峠の草原の端を横切り、再び樹林の中に入る。樹林に入る手前に防寒着を着こんだ地蔵が立っていた。祖母山までの稜線は古い道が地面をえぐって通っており、その脇に新しい踏み跡がついている。どちらを通っても泥だらけなのには違いはない。ほどなく今後2泊分の宿、祖母山九合目小屋に辿り着く。小屋に籠る前にせっかくなので山頂へピストンすることにする。狭い土間(後で分かったが裏口だった)にザックを置き、空身でピストンする。山頂までは道が何本も分岐しつつ並走しており、だいたいどこを通っても辿り着く。山頂は当然ガスで真っ白。山頂標と祠があり、祠に賽銭を捧げて明日以降の好天、を必死に祈る。そこまで長居はせず撤収、泥道を辿ってすぐ小屋に戻り、くつろぐ前に水を汲む。小屋の東側に広い表口があり、水場は看板に従って短い石の階段を下った下にある。山側の地面に灰色の浄水槽(ポリタン3つ分くらいの大きさ)があり、その壁面にあいた丸い穴に落ちている緑のホースを繋ぐと、きれいな水がホースから出てくる。 九合目小屋は最近まで有人小屋であっただけに非常に設備が良い。表口の土間には薪ストーブと薪、焚き付け、工具等があり、裏口にはトイレがある。水道の設備があり、水場の近くにあったタンク等の設備を動かせば小屋で水が使えるようだ。事前情報通り太陽光発電の電気が使える。23日から曇り、雨続きだったにも関わらず、十分2日間もった。もっとも、コンセント・スピーカー等は通電しておらず、使えたのは電灯のみ。電波はかなりしっかり通じる。真ん中の居間にはコタツが2台、隣には毛布が大量に吊るしてある寝室。表口の土間の上の2階も寝室。収容人数は30名程度か。管理人室には鍵がかけてある。あいにく、雨と我々の持ち込んだ濡れた道具でどこもかしこも湿気ている。しけった薪で火を起こして少し体を温め、濡れたものをあちこちに吊るし、毛布をまとって冷えたコタツ(電気のコタツではなく、炭火をいれる古風コタツだった)にもぐりこんでやっと一息ついた。短いがなかなかハードな行動だった。その後は小屋の本を読んだり、創作面白話を楽しんだりして再度の半日停滞を思い思いに過ごした。 明日26日の天気予報は相変わらず暴風雨予報(発達中の低気圧が九州を通過する)で、これでは縦走は不可能。また、昨日今日で行動予備日を使い切っているので、大崩山までの完遂も不可能になった。今後の行動として可能なのは27日に九折越まで縦走し、28日に傾山をピストンしてER8で下山する案のみだ。完遂できず、本ルートの半分程度しか進めなかったことは極めて残念だが、悔やんでもしかたないので晴れ予報の27日の祖母・傾縦走を楽しみにすることにする。4時ごろから夕サイト。メニューは塩ちゃんこ、温かい汁が冷え切った体に沁みた。宴会し、明日の準備をしてから就寝した。 3/26 起床は5時。予定の都合で1人分離下山させる。1日停滞する5人には申し訳ないが、昼頃が最も風が強くなる予報なのでそれを避けて行動したいため、いつも同様急いで朝サイ。メニューはみんな大好きお汁粉。雨は小雨だが、ガスがかなり濃い。風はまださほど強くは無いが、時々唸り声を上げて上空を吹いている。そして相変わらずの泥だらけの道。小屋の近くは幅の広い尾根だが、次第に細くなり岩稜・馬の背に続く。岩稜の脇のトラバースが数回あり、1度岩稜を跨ぎ越す。岩場の登り降り等は無い。足場、鎖がしっかり整備されていて安全に通過できる。読みを大幅に巻いてほどなく宮原に着き、宮原尾根を下る。 宮原尾根取付からは尾根上を進む予定でいたが、林道への分岐に進んでしまい、戻るのも時間のロスかと思い林道へ向けて下る。地図より早く林道に合流したが、これは地図の林道の延長のようだ。いくらかすすんでから再び登山道に入り、地図通り、標高800mで林道に合流。林道を越えて流れる沢を数回渡り、782p付近から再び登山道に戻る。渡渉を1つ越え(増水気味だが問題なく渡れた)、その後杉の植林の中を進む。少し進めばもう奥岳川にかかる黄色い吊橋が見えてきた。ここからは遊歩道、そして車道である。尾平鉱山の施設を横目に見つつ尾平登山口に着き、トイレ付休憩所でしばし休息する。バス停は側を通る県道を歩いてすぐ。電波は届かないものの豊後大野市のフリーWiFiが使える。平成23年に熊に遭遇した登山者がいるという情報が掲示してあった。1987年の最後の捕獲以来、熊は公式には絶滅したはずだが、依然として散発的に不確かな目撃情報があるらしい。 バス停近くまで送り、20分ほどたるんだ後、再び祖母山に戻る。風が強くなる前に九合目小屋につきたいところだ。吊橋を渡った後、当初予定していた尾根上のコースへ進む。しかし、分岐からほどなくして沢に阻まれる。完全に増水していて渡渉は不可能だった。もし、行きで尾根を下っていたら、この対岸で動けなくなっていただろう。たまたま避けれたものの、コース情報をしっかり確認できていなかったことを大いに反省した。おとなしく林道コースに戻り、杉の植林、登山道、林道、尾根、とさっき見た景色の中を登りなおしていく。尾根はかなりの急登だが、2人だけでしかもサブ装なので好調に進む。結局、2時間かからずに稜線に戻れた。稜線上は風が強まっており、既に体も濡れきっていて寒いことこの上ない。急登で疲れたところだったが、水分補給しただけで先へ進む。幸い行動に支障が出るほどの風ではなく、11時には小屋まで帰り着くことができた。標高差1,000m越えで、時間は短いもののなかなかハードな行動だった。 昨日と同じく濡れた服を吊るし、3日連続3度目の半日停滞に入る。薪ストーブを囲んで与太話に花を咲かせた。午後になるといくらか雲が薄くなり、久しぶりに明るい(だが白い)空が見えてきた。明日の縦走に備えて睡眠時間を十分確保するため、早めに夕サイトをする。今夜は中華丼。相変わらずの安定した美味しさである。宴会をすませ、各自装備を整えてから就寝した。 3/27 4半6。晴れたせいで気温は氷点下まで落ちている。朝サイはビーフン。小屋を片付けるのに少し手間取り、6時からいくらか遅れて出発。昨日までとは打って変わった雲一つない快晴。気温の低下によって、木は樹氷、地面は霜で覆われていた。ザックの腰ベルトも凍っていて固くなっておりうまく締められない。一昨日通った道を辿ってすぐに山頂へ。泥が霜で固まっているのはありがたいが、途中の岩が凍っており若干ハラハラした。素晴らしい景色で、平地を隔てて阿蘇や九重が良く見える。絶景をカメラに納め、先を急ぐ。 祖母山から縦走路への下りは、これが道か?と疑わしくなるほどのむき出しの岩であり、道標も無いため少々不安になる。ここも岩が少々凍っており、滑りそうで少々危険。ロープも凍っていて固く、掴みづらい。その先も30分近く岩場とハシゴの連続で、今山行一番の危険箇所だった。基本的には充分な足場、ロープがあるが、岩の足場が傾斜して滑りやすかったり、少しぐらつくハシゴがあったりして少々怖い。岩場の終わったコルでたるみをとる。 ここから先はなだらかな稜線で隊のペースが一気にあがる。読みを大幅にまいて天狗岩を通過する。このペースで行くと今日中に傾山ピストンまで終わらせることができそうだ。明日は曇り、午後には雨が降るかもしれないので、できる限り今日中に行ってしまいたい。障子岳山頂からは鹿よけネットの扉を開けて中に入る。この先にも稜線上所々に鹿よけネットが設置されており、開け閉めが結構面倒。古祖母山からはこれから進む稜線がすっかり見渡せた。とくに傾の「iM」(iは前傾、Mは双耳峰の山頂)の形をした岩峰が印象的だ。 古祖母山頂すぐ先に軽い岩場あり。なだらかな尾根を延々と下っていく。旧尾平越から先は小ピークとコルの連続になり、隊の速度がいくぶん落ちる。尾平越から先は本谷山に至るまで登り基調で、小ピークを越えていく。ブナの広場は確かにサイト適地だが、そこまで広くは無く3,4張が限界だろう。急登を登って丸山(1334の三角点)でたるむ。登りに入ってからさらに隊のペースが落ちており、1年会には酷だがここから本谷山まで増速してもらうようお願いした。出発から6時間が経ち、そろそろ隊の面々にも疲れが見えてきた。時々トップが道から外れたりしつついくつもピークとコルを越えて笠松山へすすむ。笠松山付近では道が稜線北側を通るため、溶け残った霜が少々煩わしい。下り基調で楽は楽なのだが、とにかくピョコのアップダウンが多く煩わしい。1311pから落ち葉に覆われた斜面を駆け下りてやっと九折小屋に到着。古く小さい小屋、との情報があったが、なかなかこぎれいな小屋で、人数も20人くらいは入れそうだ。 全員かなり疲れているが、十分時間に余裕があるので傾山をピストンする。たるみがてらサブ装を作り、ザックを小屋へ放り込んでヘルメットを付け出発。小屋から少し下ると九折越の草原。広く平らで良いサイト地になりそうだ。落ち葉に覆われたゆるやかな尾根を進み、あまり時間は経っていないが1375pの先で一度たるむ。ここから先は岩場になる。大きな岩場は無く、通るのも楽だが、足場が緩く落石を起こしやすい。徐々に傾の山頂の岩塊が近づいてくる。杉ヶ越へ続く本ルートへの分岐を通過したが、杉ヶ越へ至る道はずいぶん薄く、薮がちな稜線へと続いて行っている。ここから前進したらかなり苦労しそうだ。ほどなく傾山頂に着く。山頂自体の眺望は微妙だが、近くの岩に登ると360度の絶景で、西は祖母に阿蘇、九重、東は海を越えて四国まで、南は大崩までの稜線が一望の基に見渡せる。集合写真を取って、20分ほど滞在し下山。下山も岩場続きで気を抜けない。 小屋に戻ったら、水場へ行く。雨のおかげか峠から5分程度の沢で十分水量があり、汲んで峠へ戻る。九折越では良好に電波が入る(そもそも豊後大野市の集落が見える)ため、Lは九折越から竹田合同タクシーに電話し明日の帰りのタクシーを予約する。小屋に戻ってすぐ夕サイト。小屋は折り畳み式の机を除いては特に何も物は無い。前述のとおり収容人数は20人くらいで、トイレは無い(撤去されたらしい)。小屋内は電波が通じづらいが、小屋を出て50mも北側(豊後大野側)に進めば、集落も見え電波もガンガン通じる。1日晴れていたこともあり、乾いていて気持ちが良い。最後の夕サイはカレー。F表データベースにあったとかで、カレールーだけでなく、いなばのタイカレー缶とカレー粉を加えた豪華カレーだ。サイトの料理とは思えないほど旨かったが、ルーが辛口+中辛のうえ、タイカレーとカレー粉のスパイスで激辛だった。余った差し入れを放出して宴会をし、就寝。 3/28 1時ごろに目が覚める。寒い。その後5時まで寒すぎてほぼ寝れなかった。室温は0度近かったのではないか。ゆっくり寝れるように起床は56にしたが、寒い中シュラフで凍えているのが苦痛すぎてもっと早くても良かったと後悔。最後のサイトはラーメン。コーンとメンマが美味しい。6:10に出発。今日は下山のみで時間に余裕もあるので、距離が幾分長いが歩くのが楽であろうと思われる林道経由のコースを選択した。今度は林道側に渡渉があるが、一昨日午後から雨は降っていないため、増水の問題は無いだろう。増水していたとしても、林道を辿り続ければ迂回できる。 九折越まで既に何度も通った道を下り、道標通りに北の谷へ下る。一面雲の曇り空で、すぐそこに見える傾山頂はガスに包まれてぼやけて見える。昨日のうちに傾ピストンを済ませておいてよかった。谷筋からはすぐに外れて、左側の尾根の斜面をトラバースして下ってゆく。急傾斜のうえ道が細く、かなり歩きづらい。雨だったら絶対歩きたくない道だ。標高1000mあたりから尾根上に乗るが、依然として膝が痛みそうな急傾斜だ。林道の方面を階段で下って林道に下りる。少々時間は早いがたるむ。路面はかなり荒れていて轍も無く、車は通っていないようだ。 途中、大規模な崩落で道が塞がれているところがあり、車の通った跡が無いのも納得。人は崩落でできた岩山を越えて楽に通過できる。崩落箇所の手前にトタン屋根の祠のようなものが設置してあったのが不気味だった。立派な橋(なぜか熊本営林局のプレートがついていた)が架かっており、ここから先は舗装路になっている。かなり太い沢が流れており、驚くほど水が透明だ。引き続き単調な林道を延々と下る。時々咲いているツツジやサクラの花を見て「春ですねえ...」なんて話をして気を紛らわせる。いくらか進んで三ツ尾コースとの交差地点に至る。ここから観音滝経由で登山口まで下る。道はかなり荒れており、大きな段差も頻繁にある。観音滝のすぐ上流で渡渉する。そこそこ幅も広く、増水時は渡渉不能だろう。ガレ気味の急斜面を駆け下りて青い金属製の橋をわたる。橋から先はコンクリートで舗装されている。(なぜか地上に露出した側溝が付属している。九折鉱山の廃水か?)標高400m付近まで下ると平坦な広い道になり、右手の排水処理施設、左斜面に広がる九折鉱山跡の廃墟の間を通ると、九折登山口の駐車場に辿り着く。トイレ&休憩所でザックを下ろして、下山完了。ザックを下ろしてほどなく、小雨が降り始めた。行動中に降り出さなかった幸運に感謝する。もう天気を気にしなくて済むと思うと、心底安心した |
写真
感想
祖母傾大崩の縦走は自分も1年ほど前からやりたいと思っていたが、企画が出たのでこれは行くしかないと思い、参加。何としても完遂したかったし、モチベーションも高かったが、まずインフルになってしまい、復帰初日に飛行機で九州へ。不安しかないスタートに追い打ちをかけるような悪天。結局5日間の苦闘の末、予定の半分ほどで終了となってしまったが、それでも晴れの祖母山や傾山は最高だったし、増水した渡渉が渡れずに小屋に撤退したことも、氷点下の朝に凍えたことも、小屋でくだらない話を延々としたことも、あたり一面の霧氷に感動したことも、全てが思い出に残る楽しい山行だった。計画してくれたLに感謝。
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