九重山
- GPS
- 15:03
- 距離
- 24.7km
- 登り
- 2,214m
- 下り
- 2,202m
コースタイム
- 山行
- 5:46
- 休憩
- 1:19
- 合計
- 7:05
- 山行
- 6:45
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 7:55
天候 | 1日目 曇り 2日目 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
乾燥しており良好 |
その他周辺情報 | 今回は『奥阿蘇の宿やまなみ』で立ち寄り湯をお借りした。 |
写真
感想
まず1つ。家の前にチェーンスパイクを放り出してたら宅配便のおっちゃんが「山登るんですか?」と聞いてきたので「はい」と答えた。「くじゅうとかですか?」と聞くので「くじゅうはまだ」と答えると「それは勿体無い!くじゅう行かないと!」と言われたこと。
そして1つ。よく店のマスターに「いつ本格的な登山をするの?」と煽られたこと。
以上2つの理由に加えて宮之浦岳登山の予行演習も兼ねて、初のテント泊かつくじゅう登山の計画を練っていたところ「17サミッツ」なる概念を知った。いわくくじゅうには1700m台の「サミット」が9つあり、それを「17サミッツ」と、それを制覇した人間を「17サミッター」と呼ぶとどこかの誰かが言ったそうな。これはいい。くじゅうは往復で5時間ほどかかるので気合を入れていかねばならないし、毎週末行けるほど暇でも無いので一気に登ってしまおう、と考えた。2 day 17 サミッツ計画の始動だ。
熊本の登山道具屋『シェルパ』で、予算が無いことをひたすらアピールして熱心に解説してくれる店員さんを辟易させた後は、河川敷でテントを張る練習をするなどした。ちなみに暴風で全く敵わなかった。
ゴールデンウィークに屋久島に行く予定なので土日の数はそう多く無い。そしてこの土日は晴れ予報と絶好のチャンスとなった。そして実際天気には大変よく恵まれた。
前日のうちに足りないものを買い足して、クローズドセルマットの持ち運び方に苦慮しつつも、23:00には床につくことができた。大昔にたてた登山計画によると8:00登山開始で間に合うとのことだったが、さすがに遅すぎると考え、4:30に家を出る予定を立てて、無事寝坊して、7:30に牧ノ戸登山口に着いた。そこそこ車があった。
牧ノ戸からの道は意外にきつかった。というのもテント泊装備が想像を絶するほど重く感じたからである。これは計画通り進むのは不可能だろうと確信さえした。第一展望所を過ぎたあたりで、ツアーに遭遇し、地元に住むという男性と軽くお話した。初めてのテント泊だと告げると激励の言葉をくれた。自然に対して孤独だと思われるソロ登山において他のソロ登山者との交流は、自分と同じ境遇にまさに置かれている人間がこの広く圧倒的な自然の中に、他に存在するのだという安心感をもたらしてくれる。
久住山までの途中にある星生山は思いの外苦労した。途中道を間違えて死にそうになったが、後ろから僕を見ていた他の登山者に助けられた。ここで改めて感謝の気持ちを伝えたい。ありがとうございました。
久住山までは荷物をデポして登った。身軽になると、足が進むこと兎の如し。荷物は軽ければ軽い方がいいと強く思った。
天狗ヶ城を通って御池を回ると中岳に着いた。時間のロスを避けようと昼食をカットしたのが原因かもしれないが、ここから後は記憶に残っていない。ひたすらにテント場まで急いだことは覚えている。
法華院温泉山荘に着いた時は涙が出そうだった。様々な方向から巨大な荷物を背負った人間が集まってくる様は、さながら空港のターミナル。来た方向も行く方向も異なる人間が一堂に会し、湯で1日の疲れをとって、ビールで乾杯する。何故だか感動した。ビールも最高に美味かった。
テントはThe North FaceのMountain Shot I。50%オフだったから買ったのだが、思いの外広くて生活するには十分だと感じた。バックパックに入れた荷物をどさーっと出せば、そこはもう自分だけの部屋。何をどこに置こうが自由。いつ何を食べても自由。カレーメシを食って、温泉に入り、心地よい風にあたりながら、山荘前の木のベンチでビールを飲む。テントに戻るとアルコールで空腹が思い出したかのようにやってきた。そうだカップラーメンを作ろう。チリトマトが1番美味いと思っている。啜る。美味すぎる。今日1日の疲れた身体に味の濃いスープが染み渡る。しばらく1日を振り返る日記をつけながらウトウト。ふと目を覚ますと19:00。そろそろテント場も消灯し始める時間だ。クノールのポタージュを最後に飲んで心を落ち着けたら、就寝。ISUKAのシュラフとユニクロのダウンのおかげでぐっすり眠ることができた。
2日目は4:00に起きた。暗いうちに行動するのは危険だと思い、夜明け前の出発を渋っていたら結構明るくなっていた。6:30前にテントを出て、装備を軽くして、大船山に向かった。前日の「阿蘇っぽい」景色とは打って変わって祖母山のような、というか低山特有と言うべきか、低木と小さい岩と泥の道をひたすら進んだ。大船山の山頂はそれは素晴らしい景色だった。大分の向こうの海も見えたし、結構広い範囲が見えた。韓国岳に次ぐ美しい景色だと言ってよかろう。ミヤマキリシマが綺麗だと聞いていたが、当然咲いておらず、相変わらず枝で引き裂くばかりであった。花を楽しむ登山はまた今度。
大船山を降りるとテントの撤収作業が始まっていた。僕も乗り遅れぬようにテントを適当に片付けて、諏蛾守越を目指した。改めて全装備を背負うと重い。序盤はそこそこの急登だったので心が折れかけたが、諏蛾守越までの途中にある北千里ヶ浜の壮大な景色を前に疲れは吹き飛んだ。草千里ヶ浜も良いし、砂千里ヶ浜も良いが、ここはまた別で緊張を強いるような、そういった類の荘厳さを兼ね備えていた。自分たちは地球の上を歩いている。歩かせてもらっている。そういう気分になった。道はまるで砂浜のように細かな砂で出来ており、道の両端に大きめのケルンがある様子は人間が自然に対して畏敬の念を示すための儀式なのだとさえ想像させた。
諏蛾守越へ到着すると石でできた簡易的な日陰があり、そこへ荷物をおいて17サミッツ最後の山頂を持つ、三俣山へ向かった。まず到達するのが西峰であった。各峰に挟まれたコルでは、まるで自分たちの他に世界から人間がそして自然さえも消えたかのような感覚を抱かせた。道が合っているのか不安を感じつつも、本峰、南峰、IV峰を一気に登頂した。
諏蛾守越へ降りると、後は公道に出て牧ノ戸まで歩くだけだ。しかしあと少し道が続いている。ガレ場や巨大なダムなど最後まで楽しませてくれた。公道ではバイクや自動車がすごい速度で通り過ぎる中、来るべき計画完遂の瞬間を思い、涙しそうになった。そして14:30前、遂に牧ノ戸へ帰ってきたのだった。17サミッツ達成である。
正直言って、もっときつい登山は他にも想像ができる。しかしここまで多彩な景色が楽しめて、長い時間山を歩く経験をできたのは今回が初めてで、とても楽しかった。ソロ登山も実は今回が初めてで、不安もあったが、道ゆく人との会話や雄大な自然に元気をもらい、なんとかやり切った。意外と精神的にきついと感じることがなかったのは、不思議でならない。帰りに温泉に入ってみるととんでもなく顔面を日焼けしていることに気がついた。ハット型の帽子を被っていても日焼けはするのだと知った。熱中症っぽい気分になったのは日焼けのせいであった。日焼け止めをしっかり塗っておきたい。他の反省点としては食糧が少なかったこともあった。宮之浦岳に挑戦するときはより多くの食料が必要になるだろう。それまでに軽量化も念頭に装備を揃えていきたい。
良い経験になったし、いろいろ課題も見つかった。これを経て自分も大きく成長できた気がする。でも1番は、初めてのテント泊、そしてくじゅう、めちゃくちゃ楽しかった。
追記:どうやら17サミッツと呼ぶ場合、三俣山は本峰をカウントし、代わりに北大船山を登るらしいことに今気がつきました笑笑 ということで達成されず、と… ミヤマキリシマが綺麗な季節に北大船山行ってきます…!
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