奥穂高岳 残雪期 ゴールデンウィーク
- GPS
- 21:50
- 距離
- 40.2km
- 登り
- 2,155m
- 下り
- 2,165m
コースタイム
- 山行
- 4:56
- 休憩
- 0:53
- 合計
- 5:49
- 山行
- 5:09
- 休憩
- 2:56
- 合計
- 8:05
- 山行
- 6:00
- 休憩
- 1:55
- 合計
- 7:55
天候 | 5月3日(金)快晴、ほぼ無風、早朝の上高地は薄手のウール手袋をして指先が痛いくらい少し寒かったです。歩き始めて徳沢くらいで気温は暖かいくらい。涸沢に到着しても温暖な気温でした。最高の登山日和。4日(土)快晴、ほぼ無風。早朝も寒く無かったです。日の出に涸沢を出発して雪はアイゼンの爪が良くささって歩き易い。日の出1時間くらいで雪が腐り始める。穂高岳山荘に到着して、白出しのコルでは朝から暖かい微風が吹いていました。5日(日)朝から暖かく微風。3日間最高の登山日和でした。 |
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過去天気図(気象庁) | 2024年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
上高地から横尾までは雪が無かったです。明神から気温も上昇してきて服装は薄着で十分でした。1日目、横尾から涸沢まで、本谷橋までは雪はほとんど無くアイゼン無しで歩行可能でした。本谷橋から涸沢までも、気を使いますがツボ足でも歩行することができると思います(私は本谷橋を通過してからアイゼンを装着しました)。快晴のため、特にSガレから照り返しが強く日焼け止めをタップリ塗っても肌が火照るくらい熱かったです。青ガレからでも良いので日焼け止めの2度塗りを推奨します。 2日目、4時40分、日の出と共に涸沢を出発しました。雪の状態は良く、アイゼンもしっかり効きます。日の出1時間くらいして朝6時くらいから少しづつ雪が腐り始めます。ザイテングラート取り付き部分まで雪質も悪くなく特に危険な箇所も無く登りや易かったです。ザイテングラート取り付き部分からザイテングラートの涸沢から見て右側(涸沢岳側)の斜面を登りました。奥穂高側の小豆沢は雪崩のデブリが多くコースから避けました。 注意点として、ザイテングラート右側を登っている際に3回ほど円盤状の大き目の落石が、猛スピードで奥穂高の稜線からザイテングラート取り付き部分まで落ちて来ました(円盤が回転する感じで猛スピードで登山者の横を通過していきました)。今回の登山の中で第1雪壁、第2雪壁以外で一番危険箇所だと思いました。白出しのコルまで登っている最中はしんどいですが常に落石に注意が必要だと感じました。 穂高岳山荘に着いたら補給と準備をしてイザ核心部と雪壁にチャレンジ!核心部はアイゼンを装着してハシゴと鎖場を移動する以外は、特段夏ルートと変わらずでした。 以下は朝9時の段階の雪質と混み具合の状態です。第1雪壁は9時には下りの登山者で混みました。核心部を過ぎてから第1雪壁の下で横に避けて12人ほど雪壁を降りる人を待ちました(これが以外と辛かった)。第1雪壁は第2雪壁に比べて距離は長いですが、比較的まっすぐ登り下りが可能で通過し易かったです(第2雪壁と比べてですが)。雪質は悪くなくアイゼンもアイスアックスとピッケルもしっかりと刺さりました(私はダブルアックスで登りました)。ここも慎重に丁寧なアイゼンワークとピッケルワークが必要でした。私は1本をアイスアックス、1本をピッケル、アイゼンは横爪を使用して雪壁を通過しました。 第1雪壁と第2雪壁の間は雪と岩のミックスのガレ場です。雪は少な目なので、この区間は殆どアイゼンを装着したままのガレ場歩行です。ここも転倒に注意しながら慎重に歩きました。 第2雪壁は第1雪壁と比べて距離は短いですが、ルートが少し斜めになっているので登りよりも下りが難しかったです。奥穂高岳の頂上からの帰りも、第2雪壁の下り始めで少し道迷いをして第2雪壁の下り口の逆側に2メートルほと下がってしまい登り返しをしました。今回のルートで第2雪壁の下りがパスファインドと下りの技術共に1番難しく感じました。 |
その他周辺情報 | 今回は下りのルートで、まだ食べたことの無い名物を食べながら下山しました。横尾山荘で醤油ラーメン、明神館で明神カレーを頂きました。どっちも美味しい!もちろん、いつもの明神館のリンゴビールは忘れずに頂きました。帰りのバスの前に小梨の湯でさっぱりとしました。 |
写真
装備
個人装備 |
GPSMAP 67i
ゴーグル
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
予備手袋
防寒着
ゲイター
バラクラバ
毛帽子
着替え
靴
ザック
アイゼン
ピッケル
スコップ
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
水筒(保温性)
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
ライター
地図(地形図)
コンパス
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
カメラ
ヘルメット
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感想
以下は次回の山行のための参考と反省点と感想です。今回はいつも以上にダラダラと書きなぐります(それだけ反省点と成長が多い山行でした)。上高地から横尾まで、快晴のため、特にSガレから照り返しが強く日焼け止めをタップリ塗っても肌が火照るくらい熱かったです。青ガレからでも良いので日焼け止めの2度塗りを推奨します。2度塗りをしても肌が火照る感じでした(実際は日焼けはしっかりと防ぐことは出来ていました)。直射日光と雪斜面からの照り返し対策として、次回からは帽子の後ろにつけるタレのような物を装着しようと思います(ハードシェルやソフトシェルのフードを被ると熱がりの私はバテてしまいます)。
快晴のため涸沢ヒュッテからの景色は控え目に言って最高でした。快晴の一面パノラマ。北穂高、奥穂高、前穂高、など雲も少なく美しい稜線もバッチリ。遠くパノラマ銀座もしっかり、常念もクッキリ見えました。今回の山行は3日間快晴で最高の山行でした。神様ありがとうm(_ _)m
涸沢に着いて翌日の奥穂高登山のために情報収集と偵察をしました。実は去年も涸小屋まで登りましたが、奥穂高方面、北穂高方面共に雪崩がひどくて2日目はそれ以上登らずに撤退した苦い経験があります(去年も天気は良かったのに)。
雪の状態を観察すると、ザイテングラート取り付き部分からザイテングラートの涸沢から見て左側(奥穂高岳側)の小豆沢は相変わらず雪崩れていて今回のコースから外しました。登りのコースはザイテングラート取り付き部分からザイテングラートの涸沢から見て右側(涸沢岳側)の斜面に決定しました。
今回の2番目に怖かった核心部は、この涸沢から穂高岳山荘までの斜面だと思いました。なにせ落石が多かったです。落石も直径30〜50センチくらい、厚さ15センチくらいの円盤状のノコギリの刃の様な落石が登山者をぶった切る勢いで猛スピードで落ちてきます。ここの登りは標高2300メートルを越える急斜面なので、ついつい下を向いて登りがちですが、上に登っている方の「ラーク!!」の声に常に耳を傾けながら、斜面の上側を見ながら登る必要がありました。3回大きいラークがあって本当に怖かったです。次回は朝の3時くらいからヘッドランプをつけて登ろうかと計画しています(気分はアコンカグア登山!)。
今回の登山では、残雪期の奥穂高岳登頂は初めてでした。第1雪壁、第2雪壁の情報はネット情報だけでした(今回はソロでコースも未経験)。私は、アイゼンは横爪(ペツルのバサック)。ピッケルは右手にアイスアックス(ペツルのノミック)、左手にベントした52センチの登山用ピッケル(ペツルのサミット)のダブルアックス(正確にはシングルアックスとシングルピッケル状態)で登りました。私はアイスクライミングを今年の1月から始めたアイスクライミング初心者ですが、当たり前ですが、アイスアックスは登り下りが非常に楽でした。しかし、これまた当たり前ですが、アイスアックスではザイテンなどの普通の斜面は登りにくいので、次回からの対策として右手にアイスアックス(ペツルのノミック)、左手にアイスクライミング用のピックが着いたピッケル(具体的にはペツルのサミテック)で登ろうと思いました。下山後にサミテックを買ってしまいました。私のテクニックが未熟なせいですが、アイスアックスのピック部分の雪面への刺さり易さと抜け難さは心強いです。特に雪壁の下りの安心感は段違いでした。(アイスアックスに比べて当たり前なのですが)登山用の通常のピッケルは雪壁に刺さり難く抜け易かったです。もちろん半分くらいの登山者はシングルピッケル(通常の登山用ピッケル)と横爪のアイゼンで安全に残雪期の奥穂高岳を楽しまれていました(半分くらいの登山者は手に2本持たれていた感じでした)。あくまでも未熟者のへっぽこ登山者での感想としてお読み下さい。アイゼンは横爪でも大丈夫だと思います。皆さんの装備を観察していると、3人くらいの方が縦爪のアイゼン(ペツルのダートなど)で登っていました。私の感想として、逆に氷壁では縦爪は良いが、雪壁では雪を切ってしまって登れるのかな?と疑問でした(でも実際に安全に雪壁を攻略されていたので大丈夫なんでしょうね)。で、これまた下山後に前から気になっていたペツルのサルケン(基本は横爪ですが縦爪と横爪のハーフのようなアイゼンです)を買ってしまいました(棚卸しセールでお得!と言い訳をしながら)。前から厳冬期の木曽駒ケ岳の八丁坂で横爪のアイゼンの場合、硬い雪の急斜面で爪の刺さりに不満を持っていて、サルケンが気になっていました。厳冬期の八丁坂も、今回の第1雪壁、第2雪壁も慎重に1歩のステップに2回キックステップをしました(重ね重ね私の技術の未熟さゆえです)。正直今回の穂高岳山荘から奥穂高岳山頂までの往復は、私の120パーセントの心技体を出し切りました。登山人生の中で非常に満足した山行きでした。でしたが、非っ常〜に疲れました。疲れすぎて12時30分に穂高岳山荘に帰り着いてからお昼ご飯を食べることが出来ないくらいに疲れました。
穂高岳山荘に着いたら休憩し、しっかりと補給と準備をしてイザ核心部と雪壁にチャレンジしました。実際は穂高岳山荘で、奥穂高岳山頂へチェレンジするか涸沢岳にルンルン登山をするかを2時間悩みました。昨日の涸沢ヒュッテでも、夕食を食べながら、更には夕食後の談話で多くの登山者と情報交換をしました。私と同じ雪の奥穂高岳未経験者の方は、同じように奥穂高岳の雪壁にチャレンジするか、やっぱり安全に涸沢岳を楽しもうか悩まれていました。多くの登山者と一緒に悩みながら多くの山のお話をできて、今回の山行の1番の宝物になりました。やっぱり山小屋での出会いは良いな〜。正直私を含めて皆さん精神的にナーバスになっていましたね。
最終的には去年も天候に恵まれていたのに雪崩れのために涸沢からの登りを諦めた事、今回の雪壁のためにアイスアックスやアイゼンその他装備の準備をしっかりとしてきた事、まだまだ初心者ですがアイスクライミングでの経験(良いガイドさんにしっかりとレクチャーをして頂きました)、いつもの雪山での経験上良い天候の状態が雪山にとって非常に大切な事、全ての条件を鑑みて慎重に自分の全てを出し切って頑張ろうと決めて(もちろんダメそうだったら雪山の経験上アッサリ撤退することを事前に心得て)チャレンジしました。結果、クッタクタになりましたが本当に疲れましたが非常に成長したと思います今回は。
あとの反省点としては、今回は仕事の関係上2週間の内に立山、蝶ヶ岳、奥穂高岳とタイトな山行をしてしまったとこと(その間に夜勤が4日間)。穂高岳山荘に宿泊したかったので涸沢から白出しのコルまで荷物を多めに背負ってしまったこと。穂高岳山荘到着の時点で大分体力を消耗していました。来年は涸沢小屋かヒュッテに2泊して軽い荷物でアタックですね。でも、さすが重太郎さんの山小屋、良かったです〜、ありがとう重太郎さん!朴葉味噌の朝御飯も大満足でした。追加の朝受け取りのお弁当も美味しかったです(帰りのバスで頂きました)。山頂アタック前の穂高岳山荘での、自分の命を賭けた2時間の綿密なシミュレート、そして冷静に決断できた事は一生涯忘れません。
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