岡山県&鳥取県 若杉天然林〜芦津・吉川越 未開花フタリシズカロード
- GPS
- 03:42
- 距離
- 7.0km
- 登り
- 587m
- 下り
- 588m
コースタイム
- 山行
- 3:31
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 3:41
歩行距離7km、歩行時間3時間30分、歩行数13,500歩、消費カロリー1,020Kcal
天候 | 曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2024年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所やヤブコギはありません。若杉峠<写真14,15>から北上する美作越ルートのみ多少不明瞭な箇所がありますが、歩きやすいほうへ渡渉し道の印である丸太が転がっていれば大丈夫です。今回は雨上がりでしたが、ぬかるみかけやちょろちょろ流れが少しあっただけでした。整備されていますが、天気にかかわらず濡れていることが多いので、滑らないよう登山靴がおすすめです。 若杉天然林内は基本沢沿いなのでぬかるみやできかけの水たまりもありますが、石畳や木道があるので大丈夫でした。芦津越登山口<写真22>から芦津・吉川越<写真26>を経て若杉天然林第3分岐点まではきれいに整備されたまに丸太と土の階段状になり歩きやすい道です。 若杉峠<写真14,15>から北上する美作越ルートは、何か所か渡渉点のある沢沿いで多少不明瞭な箇所があります。 最初は丸太と土の階段状の道が多く、石畳というよりも石埋まりの箇所がわずかにありました。ぬかるみかけがあったくらいで、前日の雨の影響はあまり感じられませんでした。 標高960m辺りでまたげる程の幅の渡渉をすると、沢沿いの細道が始まります。ここからは何度かまたげる程の幅の渡渉点がありますが少し不明瞭で、丸太が出てくるとコースから外れていない証拠です。 標高950m辺りは盛り土のような斜面になっており、ロープが設置されています。ここだけザラついて滑りやすい土質ですが、踏み固めてあるのか崩れやすくはありませんでした。 標高940m辺りには苔むした小さなはしごのような物が落ちていたので、渡渉点だと気づきました。ここが唯一、コースアウトする可能性が高い箇所だと思います。 標高885m辺りで木製の小さな橋を渡ると急に道が広くなり、気づけば沢から少し遠ざかっていました。 |
その他周辺情報 | 西粟倉村内にある道の駅「あわくらんど」の隣の「あわくら旬の里」は、現在も休業中で再開のめどが立っていません。道の駅では食事や土産の購入が可能です。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下(厚手)
軍手
雨具
スパッツ
日よけ帽子(フード付き)
雨用帽子
登山靴(防水加工)
靴ひも予備
ザックカバー(防水用)
地形図
コンパス
マップケース
筆記用具
タオルハンカチ
カメラ
飲料水(スポドリ&茶)
水筒(保温)
非常食(栄養補助食品)
スマホ(地図アプリ使用)
eTrex22x(GPSナビゲーター)
虫よけスプレー
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感想
【森林浴の森日本100選の若杉天然林から沢沿い日陰の納涼コース】
雨上がりのこの日は、沢沿いの日陰道が続く涼しいコースを選びました。
岡山県西粟倉村(にしあわくらそん)の最北端に位置する若杉天然林は、標高約950〜1180m、面積83haと広大なエリアに199種類の樹木が立ち並ぶ中国地方でも有数の天然林です。北は鳥取県智頭(ちづ)町及び若桜(わかさ)町、東は兵庫県宍粟(しそう)市千種(ちくさ)町に接しており、昭和44年に氷ノ山後山那岐山国定公園の特別保護地区に指定されました。樹齢300年近いブナ、ナラ、カエデ、スギなどが生え、アカゲラやウグイスなどの鳥類も多く生息しており、昭和61年には森林浴の森日本100選に選ばれました。また、この地域は江戸時代後期には国内総生産量の大半を占めていたといわれるたたら砂鉄の一大産地で、近くに元禄年中より稼行していた永昌山鉄山の遺構があります。
今回歩いた若杉峠<写真14,15>までの山道は、かつては美作(岡山)と因幡(鳥取)を結ぶ最も近い要路でした。そのため、今でも古い石畳道<写真07>が残っています。
花の種類は少なかったのですが、小さな滝や苔むした石群がきれいで何度も足を止めました。野鳥の姿は見えませんでしたが、ミソサザイやアオゲラ、最初のうちはアカショウビンの独特の鳴き声なども楽しめました。
また、沢のほうではクワックワックワッ、ゴッゴッゴとタゴガエルが鳴いていました。地底蛙とはよく言ったもので、側にいても姿は見えず、鳴き声が足元から聞こえてくるような気がします。岡山県では準絶滅危惧種に指定されていますが、県北では比較的よく見られる小さなカエルで、登山道を飛び跳ねていることもあります。
エゾハルゼミの大合唱も始まっていました。グワーヒー、グワーヒーという前奏の後にウィウィウィウィウィウィとヒグラシの鳴き声から風情を取っ払ったような声がします。鳴きながら足元に転がり落ちてくるのを見てセミの鳴き声だと気づいて以来、好きになり鳴き声を聞くとテンションアップ😊
若杉峠からはいったん丸太と土の階段状の道を上って若杉峠休憩所<写真16>に立ち寄りました。現在は東屋内部のベンチの上に立って後山山系が辛うじて見えるだけで、年々展望が効かなくなっています。まあ、周辺の木々がすくすくと育ったということで😊
再度、若杉峠に戻り、鳥取県若桜町側の美作越ルートを下りました。標高960m辺りでまたげる程の幅の渡渉をすると、沢沿いの細道が始まります。ここからは何度かまたげる程の幅の渡渉点がありますが少し不明瞭なので、丸太が出てくるとコースから外れていないと安心しました。
標高950m辺りは盛り土のような斜面になっており、ロープが設置されています。ここだけザラついて滑りやすい土質ですが、踏み固めてあるのか崩れやすくはありませんでした。実は、7年程前に足場の丸太が崩れてしまい、危険なので蹴って下まで落としたことがあります。ここが唯一心配でしたが、再整備されたようでほっとしました。
標高885m辺りで木製の小さな橋を渡ると急に道が広くなり、気づけば沢から少し遠ざかっていました。花穂が出たばかりのフタリシズカが点在する道をさらに下ると、舗装された林道沖ノ山線に出てきました。ここは美作越登山口で道標があります。ここまでは若杉峠を境に沢沿いを登り、沢沿いを下るという日陰の納涼コースでした。
【未開花のフタリシズカロードと珍木】
舗装道路を少し北西に進むと、芦津越登山口にある案内図<写真22>の右(舗装道路側)につぼみができかけたフタリシズカ<写真24>が群生していました。ここから芦津・吉川越<写真26>まで芦津越ルートを上ることにしましたが、このときは、ここからフタリシズカロードになるとは思いもしませんでした。残念ながらつぼみもまだのものからできかけがほとんどでしたが、たまに斜面に広がっており、終わったかと思うとまた復活します。連れを先に歩かせて花を見つけてもらうことにしたら、キョロキョロし過ぎてかなりのペースダウン😅標高950m過ぎ辺りまで断続的に群生が見られたので、満開になると今まで見たこともない規模のフタリシズカロード・花畑をじっくりと観賞できる可能性があり、期待が膨らみました。
きれいに整備されたまに丸太と土の階段状になり歩きやすい道を上がってくると、標高1,100m辺りで前方に目立つ木<写真27>が。ほぼ切り株で縦半分がなくなっており、二枚おろし状態のコミネカエデでした。この状態で生きているのもすごかったのですが、パックリ割れた幹の上に別の木が生えて育っているのも驚きでした。1,111m峰にも珍木<写真29,30>があり、斜めになった古木を若いブナが支えていました。この尾根は花は少なかったのですが、連れが例によってこのような珍木に命名しながら楽しんでいました。
三町尾根点を過ぎ第3分岐点から再び若杉天然林に入りました。展望はあまり期待できないのですが、わずかに三室山やくらますが見える箇所があり、久しぶりにこのコースを歩いてよかったです。第1分岐点手前から再び沢沿いとなり、往路に合流してのんびり歩いてゴールしました。
【復興が期待される「あわくら旬の里」】
下山後、あわくら温泉駅に寄りました。自然と共生する西粟倉村の温泉街らしい駅舎には、温泉に入る狸がデザインされたきれいなステンドグラスがあります。負傷した狸がこの西を流れる塩谷川のほとりで湯治しているのを地元の狩人が発見したという伝説があるそうです。
その近くにある「あわくら旬の里」をのぞいてみましたが、建物の周辺には立ち入り禁止のようなロープが張られ、営業している様子はありませんでした。HPも「令和5年11月2日現在も未だ営業再開の目処がたっておりません。」というメッセージを最後に更新されていません。当面は再開の見込みはないとのことですが、ここでの食事を楽しみにしていただけに、今後の復興が望まれます。
後山山系は人気の山域ですが、人が少ないコースもあるので、また機会があれば訪問したいと思います。
【岡山県内の熊対策】
ゴール直前、駐車場に団体さんがおられるのが見えました。ガイドの方が熊被害について説明しておられたそうで、小耳に挟んだ連れが後で教えてくれました。西粟倉村では、クマが里まで下りてくることはないそうです。撃った鹿の死骸を狙ってクマが出てこないように、村がすぐに買い取ってレストランなどに卸しているからだとのことでした。クマは人間を怖がりますが、餌には固執するので、鹿の死骸を狙っているクマに出くわすと取られまいと襲いかかってくるかもしれません。なるほど、これは有効な熊対策だろうと思いました。
今回のコースで今までクマの糞や足跡などを見たことはありませんが、村内に生息しているのは確かです。美作市との境界にある駒の尾山でとてもおとなしいクマに出会ったことがあります。
登山道を横切ろうと出てきたクマは、5m程前方にいました。どうやら、こちらがいるのは承知の上で、コイツだけだったらさっと通り過ぎれば大丈夫だろうと考えていたようです。とっさに両腕を真横に広げ、数m後ろにいた連れに来るなと合図したのに、連れは急ぎ足で合流。
一方、のんきなクマはこちらを完全にシカトで登山道のど真ん中を横断中😅
「あっ、クマ。」
小声でつぶやいた連れの声に反応し、かなり驚いた様子でこちらを向いたクマは、次の瞬間キョトン。ちょっと目をそらした隙に一人増えるというまさかの事態に、「なんで増えんねん」で頭が一杯になってしまったらしく、私がどうやって戦おうか考えていることには気づかない様子。「人畜無害オーラ」全開でうれしそうな連れを見つめながら、とりあえず襲ってくる気はないなと安心しつつ、困った顔と不思議そうな顔を交互にしていました。この2匹目、どっから湧いてきたんやと不思議に思い、また一方で予定通り登山道を横切ろうか、もう少し相手の出方を見てからにしようかと悩んでいたのかもしれません。連れがあまりにも落ち着いていたので戦う気は失せましたが、襲う気が全くないクマにはこれがよかったようです。
結局、二人で気をつけのままクマをうれしそうに見つめること十数秒、不意に我に返ったようになったクマは、全速力で登山道を横断しヤブの中へ。人間から遠ざかっているのがわかるようにとわざと少し大きめの声で「クマおったなあ。」と話していると、前方からピーピーとホイッスルの音が聞こえ、音の主が登場。我々の進路をふさいでいたクマは、人間の出している音だと知っており、挟み撃ちにされまいと必死で逃げたのでしょう。途中からはクマまでうれしそうな顔をしていたので、この方々が来られなければクマは登山道をふさぎっぱなしだったかもしれません。
なお、クマの様子については、連れの感じたままを述べました。特殊能力なのか、人間以外の動植物の感情を察知することがあり、表情が妙にアニメチックな映像として見ているのだそうです。ちなみに、植物はしゃべるそうで、ピンクテープを巻かれた木が「こっちやでー」と呼んでくれたこともあるとか。便利ですが、ちょっと引きました😅
さて、このクマが特別おとなしかったのではなく、岡山県には特殊事情があります。県内に限り通用するクマ対策について考えてみました。
岡山県では約40年も絶滅危惧種に指定され狩猟の対象外だった彼らは、よそと比べてはるかにのんきでおとなしく、ソーシャルディスタンスは5m程しかありません。その距離なら人間から完全に逃げられるので安全だと思っているようです。人間を適度に警戒し避けようとは思っているので、基本的にはまず逃げようとします。襲ってくるのは、恐怖のあまりパニックを起こすからだと思ったほうがいいでしょう。
大きな音や撃退スプレーなどで脅すのは岡山県内のクマには逆効果で、人間は襲わなければならないほど怖い生き物ではないと思わせておくことのほうが有効です。先に気づけば安心して注意深くこちらを避けてくれるようです。そのために、こちらの存在を知らせる必要があります。先日の津山市内の広戸仙(ひろどせん)での熊被害では、鈴を持っていたそうですが、「鈴の音=人間がいる」と知らないクマにはかえって興味をそそる音となり逆効果です。何だろうと見に来て人間だと気づいた時にはソーシャルディスタンス圏内で、恐怖のあまりパニックを起こし襲ってくるかもしれません。ラジオなどはくぐもって音が聞こえにくく、大きな音は怖がりすぎてかえってパニックを起こし襲ってくる可能性が高いです。生の人間の声はラジオより遠くからでも聞こえますし、何か得体の知れない生き物が鳴いているから用心しようと思ってくれるような気がします。複数でたまに話しながら歩くのが一番いいと思いますが、一人の時は「ヤッホー」と叫ぶくらいならできそうです。
また、クマの存在に気づき近寄らないようにするため、足跡や糞がないかチェックするのも大事です。成獣のクマの足跡は、前足が幅12cm前後の横長の楕円形、後ろ足は長さ22cm前後の縦長の楕円形です。糞は直径4cm前後で黒っぽいことが多く、人糞と同じような大きさや量で明らかに見た目が違うのでわかりやすいです。5m以内に近づいた場合、こっちに来るなとうなり声で知らせてくれることもあります。ウーと低く控えめな一本調子の声は10秒以上続き、止まったと思ってもすぐ復活します。知らなければ何かの機械音だと誤解しそうです。おそらく、これ以上接近するとガオーと大声を出して気づかせてくれるでしょう。
クマを近づかせないため餌となりうるものを持ち込まないことも重要です。山で調理すると匂いにつられてやってくる可能性がありますし、人気の山域は国定公園内であることが多く、元々火気厳禁です。水筒のお湯で作るカップ麺はかなり匂いが強いので、スープをこぼすとクマの鼻を長時間刺激するかもしれません。自分たちは弁当も避け、なるべく匂いがせず短時間で食べられる栄養補助食品ですませています。クマに餌場をめぐるライバルだと思われないよう、山菜採りなどもしません。ザックに入れて隠しても鼻のいいクマにはバレそうな気がします。
最近流行りのトレランは、自分のほうに突進してくると誤解される恐れがあるので、クマのいる山域では控えたほうがいいでしょう。
これだけ注意してもクマに出会ってしまった場合、たいていはすぐに逃げてくれます。岡山県内のクマは、人間を襲う気はないので、怖がらせ過ぎないことが大事です。クマと目が合ったら立ち止まり、無言で「人畜無害オーラ」を全開にします。緊張するとクマも怖がるので、「こんな近くで見られてラッキー」くらいの気持ちでいると、クマは逃げれば大丈夫だと安心してくれるでしょう。目を見たまま静かに後退りするのがいいとききますが、にらむと怖がられそうですし、後退り中に転ぶとクマは興奮し、今なら勝てると襲ってきそうな気がします。岡山県内に限りますが、落ち着いて彼らから手を出してくるまでは動かず静かにしておくのがベストでしょう。
運悪く突進してこられたら、脇のヤブに逃げたほうがいいかもしれません。こちらには襲う気がないこと、逃げれば大丈夫なことを悟れば、深追いはしないと思います。先日の広戸仙(ひろどせん)での場合、怖すぎて一発かましてひるんだ隙に逃げようと思ったのではないでしょうか。人間を見慣れていなかったのか、子供を守ろうと必死になりすぎたのか、かなり特殊ケースのような気がしました。
岡山県内で登山者ができる有効な熊対策をまとめると、たまに通常の音量で生の声を聞かせ先に気づいてもらうこと、クマがいた痕跡がないかチェックすること、食べ物の匂いで刺激したり彼らの餌を採ったりしないこと、生息地では走らないこと、大きな音を出したり物を投げたりするなどして怖がらせないこと、こちらから先に手を出さないこと、これが一番大事ですが逃げられるだけの時間的・空間的・精神的な余裕を彼らに与えることくらいでしょうか。
えっ、山での楽しみが減る?クマの縄張り内を堂々と歩けるだけでもいいとしようじゃありませんか😊人間をちょっと見ただけでパニックを起こし襲ってくるクマが出てこないよう、少なくとも岡山県内では撃退グッズの使用は控えていただきたいです。クマもイノシシも禁猟区ほどのんきでおとなしく平和が保たれているようなので、これがずっと続くことを願っています。
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