雲ノ平と高天原 3年越しの悲願達成!
- GPS
- 80:00
- 距離
- 38.3km
- 登り
- 2,574m
- 下り
- 2,567m
コースタイム
- 山行
- 2:50
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 4:00
- 山行
- 5:09
- 休憩
- 0:15
- 合計
- 5:24
- 山行
- 7:30
- 休憩
- 1:45
- 合計
- 9:15
- 山行
- 2:10
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 2:10
天候 | 13、14日時々雨、15、16日概ね晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
木道は雨で濡れるととにかく滑る。 大東新道の川原も滑りやすい。 雲ノ平からの薬師沢小屋までの下りも、苔などでかなり滑りやすい。 |
写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ
予備電池
ガイド地図
コンパス
筆記具
ライター
ナイフ
飲料
ティッシュ
バンドエイド
タオル
携帯電話
雨具
防寒着
スパッツ
手袋
ストック
ビニール袋
替え衣類
シュラフ
シュラフカバー
ザックカバー
食器
水筒
時計
日焼け止め
非常食
お酒
おつまみ
テントマット
ツェルト
コンロ
ガスカートリッジ
コッヘル(鍋)
ファーストエイドキット
カメラ
車
三脚
|
---|---|
備考 | 虫よけ 薬師峠キャンプ場に虫がいます。 |
感想
4日間のお盆休みを全部使って、前々から雲ノ平に行く計画だったけど、前半の天気予報は良くなかった。
雲ノ平は私が3、4年前からずっと行きたがっていた憧れの場所だ。
去年のお盆も天気が悪くて諦めた。
雲ノ平は絶対晴れているときに行きたかったのだ。
今まで最高3日間の山行が一番長かったので、山用シャツが足りない事に気付き、急いで買いに行った。
ウールの薄手のシャツ。セールで30%オフになってた物にしたけど、色はあまり選べず、ショッキングピンクに。ウールって高い。
私は靴下とかも結構羊に頼っている、ウール信者なのだ。
後から気づいたけど、Hも同じく3枚しかなかった。
13日夜、とりあえず名古屋を出発した。
登山靴とザックとクライミングシューズとロープと釣道具、考えられる遊び道具を全部車に詰め込んだ。
雨予報は変わらず、雲ノ平は諦めモードで、白馬で釣りでもしようかと思っていた。
クライミングジム仲間のAさんが、後半の天気予報は悪くないので、2日間だけ山に行くなら、上高地で後から合流して、明神岳に一緒に行こうと話していた。
追っかけてバスで来ようとしてたけど、上高地行きのバスはキャンセル待ちだったらしい。
小黒川PAで車泊して、朝起きて天気予報をみると、雨予報が消えていた。
Aさんにはとても悪い事をしたけど、雲ノ平に突っ込む事にした。
上高地行きのバスの時刻を調べたり、準備したりしてたのに。
PAを出るときはもう午前9時を回っていた。
そこから安房トンネルを通って、折立登山口まで行くのが遠かった。
登山開始は13時20分。
4日分の食料と着替えは意外と重たくて、先週の出だしとと同じくらいの重さになった。
視界はずっと悪かった。太郎平に近づくと、雨がパラパラし出したけど、カッパを着るほどじゃなかった。
山小屋についてビールを買って、外の屋根付のテラスで飲み出したら、雨が激しく降り出した。
そして小屋の掲示板の天気予報は、この日も翌日も雨が降るとなっていた。あらら。
ここから薬師平キャンプ場までコースタイムで20分ほど。
テント泊予定なので、雨が小降りになるまで待つことにした。
テラスの先客だった明らかにテント装備のカップルは、小屋泊まりに切り替えたようで、小屋の中に入っていった。
汗をかいたシャツが冷えて寒くなってきたので、焼酎のお湯割りなんかを飲みながら一時間以上待っていると、雨が止んだので、テント場に向かった。
ツェルトを張って、中に入るとまた雨が降ってきた。
朝起きると、やっぱり雨。
振ったり止んだりだ。
ツェルトを撤収して出発。
太郎小屋に着くと、登山届けを出し、高天原小屋へ向かう大東新道は通行できるのか聞いてみた。
これくらいの雨だったら大丈夫との事。
木道や岩がかなり滑りやすく、怪我される方が多いので、大股で歩かず気を付けて歩いて下さいと、山小屋のさわやかなお兄さんが言った。
「はい。」
とニコニコしながら答えていた私。
骨折して運ばれる人も多いようで、出発前、Hも言っていたことだ。
歩き始めるとすぐ木道が続いた。
そして、10分も経たない内に私は派手に転んだ。
ツルッといって、仰向けに倒れる形になり、全体重とザックの重さが着いた左手にかかった。
木道の角に手をついてしまったらしく、手のひらに紫色にくっきり跡がついていた。
ものすごく痛がっている私を、Hが悲しそうに見つめていた。
「帰る?」
ってHが言う。
「折れてなーい。」(切れてなーい風で骨折してない事を訴えた)
そう答えると、すぐに歩き出したがかなり痛い。
滅多に登山で転ぶ事はないのだけど、自分のアホさ加減を恨んだ。
その後は慎重に歩き、薬師沢を超えて大東新道に入った。
ここから川原沿いを歩くのだけど、さらに滑りやすかった。
すれ違ったのはたった二組だけだった。
そしてこの道を通って高天原に向かっている登山者は、一人も見かけなかった。
この道人気無いんだね、とHと二人で話していた。
すれ違った人の中に、あまりにも滑るので両足の靴底にタオルを巻いている人がいた。気持ちが少しわかる気がした。
A〜E沢を横切って道は続くのだけど、足首近くまで水に浸からないと渡れない沢もあった。
B沢を超えると結構な急登で、なかなかしんどかった。
太郎平から高天原の地図上の登山道は二つあった。この道と、雲ノ平を通る道。
行き帰り同じ道を行きたがらないのは、Hと私の性分だから仕方ない。
今日の宿は高天原山荘に、12時過ぎ到着。
登山歴は結構長くなって来たけど、山小屋は人生で3回目。Hは2回目だ。
山小屋ビギナーな私達。
私はテントが好きだ。
圧倒的自由!!!時間も空間も。
混雑時期の山小屋の話を聞いた事があるけど、想像を絶していた。
一つの布団に4人寝るとか。
高天原山荘は混んでる感じはなく、雨の中一夜を過ごした私には天国に思えた。
乾燥室…なんて素敵!!!
でも濡れた服や登山靴であふれていて、入ると部室のような何とも言えない臭いがした。
食堂で持って来たワインとチーズで乾杯してると、山小屋で働いてる天使が話しかけてきた。
「どこから来たんですか?」
「え?どっち?」
私は登山口か住所を聞いているのかわからなかったので、思わず聞き返してしまった。
彼女は山小屋終了までここにいるそうだ。
ボルダリングもしているそうで、マウンテンバイクでニュージーランドを旅したいとも話していた。
クライミングでおすすめな場所とかを聞かれたので、自分達なりに答えた。
アクティブな人で、地球を遊びつくしたい、と話していた。
カマンベールチーズをすすめたら、後で手作りのお菓子をご馳走してくれた。
グラノラやキャラメルが入った、おいしい焼き菓子だった。
しばらく山小屋でまったりしていると、空が明るくなってきたので、温泉に出掛けることにした。
ここも一度は行ってみたいところだった。高天原温泉。
山小屋からしばらく道を下った綺麗な川原に温泉はあった。
女子専用のお風呂が一瞬貸切になった。
登山の途中に汗が流せるなんて最高だ。私はこのお風呂にしか入らなかった。
全部で三つ露天風呂があり、水着を持参していた女子3人組は全部のお風呂に入ったようだ。外二つは混浴だった。
川で冷やしておいたビールを飲んだ。
Hとお風呂が一緒になった単独の男性も、雲ノ平は念願の場所だったという。
去年は台風で行けなかったとか。
同じように思っていた人は、他にもいるんだなと思った。
小屋に帰ってしばらくして夕食。
お釜でたいたご飯と味噌汁はお代わり自由。
山小屋って最高!!!
一応真面目に主婦をやっているので、誰かがご飯作ってくれるだけでも嬉しいけど。
男女問わず、結構みんなお代わりしていた。
お釜で炊いたご飯がすごくおいしかった。
朝4時頃になると周りがバタバタしだした。
5時に起きる予定だったけど、なんだか落ち着かない。
Hは平気で寝続けていたけど、山小屋ビギナーは周囲の圧力に負けて、30分ほど予定より早く起きることにした。
朝、山小屋の女の子が連絡先を書いた絵葉書をくれた。
「この美しくて、わくわくと感動あふれる地球でたくさんあそんでいきましょう!!またどこかで!!」
と書かれていた。
うんうん!楽しんで行こうね。
きっと彼女なら、どこへでも行けるし、なんでもできるよ。
一緒に記念撮影してから、山小屋を出発した。
出発してしばらく登り道が続く。
これを超えれば憧れの地、雲ノ平だ。
樹林帯を抜けると木道になり、景色が開けた。
水滴の付いたチングルマが綺麗だった。剣岳も見えた。
岩だらけのスイス庭園を超え、ついに雲ノ平山荘が見えた。
天気もよく、周りの山々もよく見えた。
二日間の雨の中の修行に耐えて、ご褒美をもらった気分だ。
山荘で少し休憩して、歩き出した。
しばらくして祖母岳に登った。なだらかで山と言うより、丘。
往復で30分と地図にはあった。先客にご夫婦が一組いた。
「あれはなんていう山だろうね?」
地図を見ながら二人で話合っていた。
Hが質問されて、一つ一つ、山の名前を答えていた。
ここは、スルーする人も多いようだけど、槍ヶ岳も剱岳も見えて一番展望のいい所だった。アルプス庭園ともいう。
Hが濡れたツェルトを広げて乾かした。
短時間で結構乾かすことができた。
私は今回はマクロレンズ持参で、植物の写真をたくさん撮った。
でも、あんまり腕が追い付いていないので、なんじゃこりゃっていう写真もたくさんだったけど、自分なりに雲ノ平を満喫した。
念願の場所は通り過ぎるのも、あっと言う間だった。
願わくば、もう2、3日この辺りでゆっくりと過ごしたかった。
庭園と呼ばれる、美しいのどかな平らな地を過ぎると、薬師沢小屋までの異常に滑りやすい下りが続いた。
岩に足を乗せるとツルッ。リカバリーして着地した足もさらに滑るという。
この道が一番大変だった。
薬師沢に着き、行動食を食べて釣り人を眺めながら20分くらい休憩。
ここで岩魚が釣れてもリリースしなければならないらしい。
また太郎平に向かって歩き出すと、カベッケヶ原を過ぎた所で、Hが
「お腹すいた。」
と言った。
私は薬師沢でカップヌードルを食べようって、雲ノ平を超えたときにHに提案したら、あんまりいい返事がもらえなかったと思っていた。
薬師沢からしばらく我慢して歩けば太郎平なので、早くそこに辿り着いてビールを飲むっていうのも悪くないとは思った。
でも歩き出したらやっぱり食べたかったなあって、心の中で思っていた。
「私は食べようっていったじゃん。」
「ちゃんと返事したよ。」
木道の途中で、言った言わないで二人で言い合いになった。
「いつものんって間違って解釈して、勝手なんだから。」
「Hだって、いつもどっちかわかんないような返事するじゃん。」
カップヌードル事件勃発。
Hは温厚なので、今まで一度も喧嘩になったことはないけど、珍しく噛みついてきた。
木道の途中に休憩場所があったので、お湯を沸かしてカップヌードルを食べ始めた。
ほっと一息つくと、
「お互い食べたかったのに、なんでこんな事になったんだろうね。」
と私が言うと、
「カベッケヶ原のお化けのせいじゃない?」
ってHが言った。
カベッケヶ原は、私もHも大好きな本「黒部の山賊」によると、誰もいないはずなのに人の呼ぶ声が聞こえたり、埋めても埋めてもされこうべが出てくる怖いところだ。
その昔、黒部周辺の山賊たちが狩などをして過していた事が、生き生きと書かれている本だ。それを今年読んだことで、もっと雲ノ平に行きたくなった。
太郎平につくと1リットルサイズのビールを買って早速飲んだ。
雲ノ平はあっと言う間に通り過ぎてしまったけど、行けて良かったと思った。
そして、行ってみたいところがさらにできた。
今度は新穂高から入って、雲ノ平で泊まってみたい。
山小屋もたまにはいいけど、やっぱりテント泊で。
薬師、鷲羽、水晶、黒部五郎岳も登ってみたい。
後日、Aさんにお詫びとしてA5ランク飛騨牛カレーをお土産に渡した。
そのときに山行の荷物の話になった。
私はいつも日数分のシャツや下着や靴下を持ち歩く。だから今回3枚ずつ、さらに短パンやスパッツの替えと、シャツも余分に一枚。結構な重さとボリュームだ。
いつもパウダーシートで身体を拭いて、乾いたシャツや靴下に着替える。
でも、Aさんの話では着替えない人も結構多くいるらしい。
知らなかったなあ。
どっち派の人が多いんだろう。
確かにまた歩き出したら、汗はたくさんかくけど。
軽量化とザックのスペース確保の可能性が広がったっていうこと。
そう考える事にした。
私たちの登山スタイルは、たまにちょこっとアルパイン、ピークハントにこだわっている訳でもなく、写真や景色も楽しんで、のんびりお酒をいただく事が出来たら幸せと感じている。
スピードやピークハント重視の人もいるだろうし、スタイルは人それぞれだって事だ。
山仲間には、軽量化にこだわってる人がいて、カラビナやクイックドローはお金を余分に出せば、軽くはなるけど何グラムかの世界。
山岳部の若い学生達が、でかいザックを背負って列になってるのを何組か見かけた。山岳部の伝統なんだろうな。
笠ヶ岳で会った70才近いじいさん達は、でかいザックにビールと食料を大量に詰めていて、テント場では葡萄酒やおつまみをふるまってくれた。
スマートじゃないかも知れないけど、じいさん達はかっこよく思えた。
私も最強のばあさんを目指すのだ。
将来、体力は嫌でも落ちていく物だし、テントの山行も出来なくなっていくのかもしれない。
毎年、足慣らしも兼ねて、穂高連峰を眺めにいってる蝶ヶ岳。
Hが、年を取ったら、
「ばあさんや。今年は蝶ヶ岳に登れて良かったね。」
と言うようになるかもね、って言った。
いつかはいってみたい高天原。。羨ましい限りです。
しかし、雨の高天原へのルートがそんなに滑りやすくなっているとは。。
いい情報をありがとうございます。
いつかのために役立てたいと思います。
ゴムの滑り止めでもあれば役に立ちますかね。。
手の怪我は、その後、なんともなかったですか。。
怪我の心配までしていただいて、ありがとうございます。
まだ触ると痛いですけど、帰ってから次の日の月曜日には元気にボルダリングしてました。
大東新道は雨の中だと、川原は本当に滑りやすかったです。
滑り止めは使ったことがないですが、あるなら使った方がいいかもしれません。
もっと嫌だったのは、雲ノ平から薬師沢小屋までの下りでしたが。
苔とかでかなり滑りやすかったです。
いつか高天原行けるといいですね!
お気をつけて楽しんできてください!
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