裏銀座縦走 ブナ立尾根〜水晶岳〜鷲羽岳〜槍ヶ岳(テントを担ぐ)
- GPS
- 80:00
- 距離
- 52.0km
- 登り
- 4,262m
- 下り
- 4,025m
コースタイム
- 山行
- 7:35
- 休憩
- 0:35
- 合計
- 8:10
- 山行
- 8:10
- 休憩
- 2:05
- 合計
- 10:15
- 山行
- 8:40
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 10:00
天候 | 4日 曇り時々霧雨 5日 晴れ後曇り 6日 曇り後雨 7日 雨後曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー
帰り:上高地→平湯温泉→高速バス |
コース状況/ 危険箇所等 |
・野口五郎岳周辺が二重稜線のようになっており、ヘッドランプ装着でペンキマークを見逃し別のピークに行ってしまった。ここはガスが出ると迷いやすいかもしれない |
その他周辺情報 | ・前日夜に七倉山荘のテント場にテント泊 小屋の方のご厚意で「20:00ごろまで到着すれば」とのことで設営許可してくださった(ただし風呂は入れない)。 ・2015版「山と高原地図:槍ヶ岳・穂高岳」は、ブナ立尾根をカバーしているためこの1冊だけでオーケー。 |
写真
感想
「裏銀座を縦走して西穂まで行きたい」これが今回の計画であった。
残念ながら、天候に恵まれず(体力的にもきつかった)南岳小屋から上高地へ下山する事となった。
9月3日
本来はこの日の夜行バスに乗るはずであったが、予約を怠り気がついた時は満席。そこで、七倉山荘に前日からテント泊とした。
テント場は平らな砂地で、この夜は私一人。10張程は張れそうであった。
9月4日
3:30起床し5:00にテントの撤収含め準備完了。
宿泊者のために山荘の方がタクシーの順番をとっておいてくださった。
私含めて4名が乗車。5:30ゲートオープンと同時にスタートし高瀬ダムへ向かった。
高瀬ダムから歩行開始。つり橋と木製の橋を渡るとブナ立尾根の取り付きに到着した。
写真の通り、ブナ立尾根は12番から0番までほ数字が減っていく仕組みになっている。結構急な登山道ではあるが、数字が減っていくのに励まされ、順調に烏帽子小屋に到着した。
この時点でまだ10:00過ぎ。本日はここにテント設営し、烏帽子岳までピストンするはずであったが、烏帽子岳はガスの中。そこで、明日からの行程を楽にするため、烏帽子岳をパスし野口五郎岳に向かうこととした。
稜線上に出ると風が強くとても寒い。またガスで景色も見えず。黙々と稜線上を歩き野口五郎小屋に到着した。
ここはテン場がないので本日は小屋に素泊まりとした。
9月5日
2:30に起床し4:10スタート。
本日は双六小屋を目指す。
月と星がよく見え、晴天が期待された。
ヘッドランプを照らしながら野口五郎岳に向かったが、途中でルートをロスト。どうやら二重稜線のもう一方の山の方に向かってしまったらしい。稜線間の谷間にルートを見つけて本来の道に戻ることができ、ほどなくして野口五郎岳に到着。
ここはガスっている時など迷いそうな地形であると感じた。
真砂岳をトラバースしているあたりで夜明けを迎えた。鷲羽岳や水晶岳が上の方から徐々に赤くなっていく様子に感動。これから向かう稜線もくっきり見えテンションが上がる。
水晶小屋にザックをデポして水晶岳に向かった。2年前に是非登りたいと切に思っていた水晶岳に到着。360度の展望にひたすら感動。ここからは薬師岳の存在感がハンパない。また、槍穂はもちろんのこと、遠く笠ヶ岳に向かう稜線もはっきりと見える。
そして赤牛岳から読売新道方面。いずれ行ってみたいところである。
ワリモ北分岐からは2年前に通った道。鷲羽岳への上りの稜線はきつかったが、山頂の景色に疲れも飛ぶ。
三俣山荘から三俣峠までの登りは2年前同様つらい登りとなり、峠に着くころには双六岳方面からガスが上がってくるのが見えた。さすがに疲労がきていたことと、昨日のように風に吹かれるのを嫌い、巻き道ルートを選択し双六小屋に到着した。
テン場は池からの風が強く、テント設営に苦労した。本日は土曜日であったが、天気が良くないためか20張程度しかなかった。
9月6日
寒さのため1:40頃に目が覚めた。
そのため、のんびり食事やパッキング等を行い4:10スタート。
本日は槍ヶ岳を登り南岳小屋を目指す。
樅沢岳を通過したあたりから雨が降り始め、上下レインウエアを装着。硫黄乗越付近でガスが晴れて槍ヶ岳が姿を現した。槍への稜線もくっきり見えてテンションが上がる。ほどなくして雨も上がった。歩くにつれて徐々に槍ヶ岳が大きくなっていく様子は裏銀座縦走路の醍醐味である。
千丈乗越を過ぎると勾配がきつくなった。槍ヶ岳山荘も見えてきたが、なかなか到着できない。息を切らしながら何とか槍ヶ岳山荘に到着した。
山荘前のベンチにザックをデポし、この日のために用意したヘルメットを装着して槍ヶ岳へ向かった。
槍ヶ岳への上りは人が少なく渋滞もなし。拍子抜けするほどあっさり頂上に到着した。ここに来るのは20数年振り。その時はガスって景色は全く見えなかったが、この日は、これまで歩いてきた裏銀座縦走路や表銀座縦走路、大喰岳や中岳、その向こうに奥穂高岳なども見えていた。しかしだんだんガスが上がってきたため早々に下山した。
槍ヶ岳山荘に着くと雨が降り始めた。天気予報はこれからずっと雨。ここで、3時間の稜線を歩き南岳小屋に行くか、4時間下って槍平小屋に下山するか非常に迷った。
疲れはあるが、あわよくば天気が持てばキレットに行けるかもという誘惑に勝てず、またせっかく休暇を取ったのだからもっとヤマにいたいという思いもあり、南岳小屋を目指すことにした。
槍ヶ岳山荘をスタートした時点で雨はやみそうになく、風も出てきた。稜線はガスって大喰岳は全く見えない状態で、山頂もどこなのかはっきりわからなかった。それでも中岳までは無事到着することができた。
しかし、ここから風が一層強くなった。防水仕様の手袋は内側から濡れて手が寒い。また、中に着ていたフリースは汗で濡れ、強風が吹き付けるとレインウエアを着ていても身体全体が寒くなってきた。ここから南岳小屋まではコースタイムから逆算すると1時間程はある。ここにきて稜線上を歩く決断をしたことを後悔した。
寒さをしのぐには歩くしかない。そのため、エネルギーを切らさないようレインウエアのポケットにナッツやドライフルーツ等を入れ、立ち止まるごとに口に入れるようにした。ガスって展望がないため、南岳がどこかわからない。緩やかな登りが続くが、なかなか頂上にたどり着かない。しかし、焦ってつまずかないよう慎重に歩き、時間はかかったもののようやく南岳に到着。少し下ると南岳小屋が見えてきた。何とか生きてたどり着けたと安堵した。雨風が強くなっておりテントを張る事はできそうにない。また、濡れたウエアやザック、靴等を乾かす必要があり、本日は南岳小屋で素泊まりとした。
南岳小屋のご主人から、「宿泊カードは後で記入してくれればいいから乾燥室で濡れたものを乾かしておいで」と助言をいただき乾燥室に。ここで冷えた体を温めることができた。
9月7日
高山地方の予報は、本日は曇りで昼から雨。また、翌日以降は雨。
キレットを越え、北穂高岳から涸沢に下りようかと思ったが、外を見ると霧雨とガスで岩場の通過は危険。また、昨日の教訓もあり、欲は出さず天狗原経由で上高地に下山する事とした。
天狗池への尾根は痩せた稜線の急坂で、クサリやハシゴがあり楽しむ事が出来た。その後はごろごろした岩場を天狗池から天狗原分岐まで歩いた。ここで槍沢からの道に合流。後は沢沿いをひたすら歩き槍沢ロッジへ到着。横尾を越えると平坦な道を一路上高地へ向かった。
上高地からは、バスで平湯温泉へ。バスセンター内の温泉で4日分の垢と汗を流した後高速バスで帰宅した。
全体を通して
・ブナ立尾根を登るため黒戸尾根を登った経験は、ペース配分や登りの歩き方等とても役に立った。
・裏銀座縦走路は、槍ヶ岳を目指すとても整備された道であった。また、稜線上ながら要所に小屋があり、心強かった。
・稜線上は風の影響を受けやすい。雨の場合などは頻繁にウエアを脱ぎ着できない。今回のように、気温が低い場合でもレインウエアを着た状態で歩けば汗をかくわけで、それが冷えると体温が奪われる。今後工夫が必要であると切に感じた。
・山小屋のありがたさを痛感した山行であった。特に南岳小屋では、強力な乾燥室のおかげで濡れていたもの全てを乾かす事ができた。また、南岳新道の注意点を教えていただけるなど本当に助かった。
・一瞬の判断ミスは命取りである事を実感した。「ヤマは逃げない」を再確認した。
おそらくですが、野口五郎小屋で同室させて頂いた者です。
いろいろお話させて頂き楽しかったです。
2日目は良い天気で眺望も良かったですね!
またどこかでお会いできればと思っております。
chomyさんこんにちは!
ご指摘の通り野口五郎小屋で同室させていただいた者だと思います。
あの日は水晶や鷲羽からの眺めを堪能できました。
道中2度程お会いできてよかったです。
各地の山を日帰り中心に登られているお話はとても参考になりました。
また、快調に歩みを進められている姿が印象的でした。
まだお若い方のようですので、今後のご活躍を楽しみにさせていただきます。
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