北岳クラシックルート(荒川北沢遡行)
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- GPS
- 32:46
- 距離
- 32.2km
- 登り
- 3,169m
- 下り
- 2,792m
コースタイム
- 山行
- 8:32
- 休憩
- 0:52
- 合計
- 9:24
- 山行
- 7:41
- 休憩
- 1:56
- 合計
- 9:37
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
写真
感想
今年から、よく職場の仲間から沢登りに誘われるようになった。先月釜ノ沢東俣に行ったとき、「釣れる沢が良い」と言ったらここを計画してくれたので、乗っかることにした。
駐車場不足になることを避け、前日入りして車中泊。朝一のバスに乗り込んだ。
広河原行きのバス内で、「広河原までに下車する方はいますか?」と聞かれ、「野呂川発電所まで」と言おうとしたところ、先に同じ答えをする人が2人いた。話を聞くと、同じく北沢を遡行するという。この日荒川北沢に入渓したのは、我々を加えたこの2パーティーだった。
野呂川発電所で下車し、同行者と落ち合った。一人は前日東京で用事があり、朝2時半に甲府を出たため、1時間ほどしか寝ていないと言うが、足取りは軽やかだ。
車道を利用して巨大な堰堤を巻かせてもらい、川に寸断されているところで沢装備になった。面倒な堰堤が一つあったが、フィックスロープの付いた左岸から容易に巻くことができた。
本谷との二俣で、1人の釣り屋と会った。北沢の取水口まで行ったが、ここのところ降雨がなく、水が少なかったからか、あまり釣れなかったという。弘法小屋尾根に乗り、それならこのまま尾根を歩いたほうが楽しいんじゃないかなどと思いながら、取水口まで巡視路を辿った。
取水口から上はそこそこ水量があった。これなら釣れそうだ。堰堤の上で釣り装備になり、しばらく釣りながら登る。私を含めた2名が餌釣り、他2名はテンカラだ。テンカラは難しかったようで、小さかったためリリースしたのが1匹、引き上げたものの逃がしてしまったのが1匹とのことだった。餌釣り組が3時間半で7匹釣って食い扶持を確保し、12時前に釣りは終了した。
普段より少なめとはいえ、水量は豊富で、腰まで濡れることがあった。大きな滝は少なく、あっても苦労なく巻くことができた。
標高1970m付近の幕営適地には14時半頃に着いた。やや岩が多いが広く平らで良さそうだ。候補地としつつも、翌日の行程を考え、標高2100m付近まで進むこととした。地形図どおり急傾斜が続き、候補地に戻る気がすっかり失せてしまった頃、やっと傾斜が緩んだ。
幕営地を探しながら歩いていると、釣りながら追い抜いて行った2人パーティーが、ダケカンバの木の下に座っていた。あまり良いところはなく、ここで泊まろうと思うとのことだった。
言う通り、50mほど離れたところに何とか見つけた広い緩斜面も、石が多く先ほどの候補地よりは大分悪い。土木工事組と適地探索組に分かれ、30分ほど付近をうろつくも、結局どこも平らなところは岩が多かった。結局16時、土木工事組が目立つ石をどけてくれたそこにタープを張ることとした。
張れば都。中のでこぼこは思いの外気にならず、薪を拾いに行った斜面の上から眺め下すと、タープを囲むハンゴンソウ?やマルバダケブキ?がメルヘンチックだ。歩いている間にイワナを1匹落としてしまったことに気づき、負い目から火を着けてくれている間に30分ほど竿を出したが、全く当たらなかった。
18時頃に宴会開始。焚火の周りに、米の入った鍋、イワナ、牛肉、マシュマロなどを飾り、つまみながら骨酒やビールを煽った。21時前に就寝。
朝4時起床。朝食を食べていると、また2人パーティーが追い抜いて行った。6時出発。
初めはそこそこの水量があったが、次第に沢底がゴーロで埋まる。八本歯沢と別れると水流が復活したが、もう水量は足首くらいまでだ。沢か滝か微妙なくらいの急傾斜に乗っかった浮石がいやらしい。一人体調の悪化から遅れ気味になったこともあり、時間を使いながら慎重に登っていく。
最後の二俣から北岳山荘のポンプ小屋が見えた。左俣に進み数十mで源流を確認したのち、トラバースしてポンプ小屋に出た。ポンプする水は右俣から汲まれており、こちらも枡のすぐ上、同じくらいの高さのところが源流だった。ここで沢装備を解除した。水を汲み、足を乾かし、服と手ぬぐいを濡らして涼んだ。
ここからは踏み跡が付いている。詰めで薮に苦しまずに済む沢は良い。ダケカンバの森を抜け、背の低いシャクナゲやハイマツが増えるにつれ、日射がきつくなってきた。しかし開けた分景色は素晴らしい。左手にはどっしりと間ノ岳が構え、右手にはピラミダルな北岳が屹立し、振り返れば富士山が雲の上に顔を出していた。ポンプ小屋から1時間弱、濡らした服がしっかり乾いた頃、北岳山荘に出た。
明日にかけて白根三山を縦走する2人は軽装で、私を含め今日下山する2人はフルザックで北岳山頂を踏みに行く。途中、北岳から降りてくる2人パーティーとすれ違った。この後嶺朋ルートで下るという。
登っていると、ライチョウが登山道のすぐ近くに現れた。近づいてカメラを構えても、山々をバックにモデルばりに澄ました顔で立っている。しばらく登山道は撮影会場になった。
北岳山頂に着く頃には、東側から徐々にガスが登ってきていたものの、西側は展望に恵まれ、仙丈ヶ岳の勇姿の奥には北アルプス南部の雄峰が聳え、伊那谷を挟んだ中央アルプスの向こうには御嶽が視認できた。
北岳山頂で白根三山縦走組と別れ、肩ノ小屋方面に下りる。小屋前には「北岳に来ただけ。」と書かれた看板があったが、今回の山行では北岳にまつわるダジャレでウケたものが別にあった。北岳山頂のすぐ南のピークは赤色チャートで出来ている。ここで石ころを拾ってみせて、「赤チャート!」と言うのだ。高校数学の定番参考書、チャート式をやっていた人には爆ウケ間違いなしであり、実際に今回を含め2回ここでウケたことがある。
北岳肩ノ小屋は是非赤チャートを蔵書に加えて、樋口明雄の隣に並べておいていただきたい。電源も電波も必要なく、紙と鉛筆だけで何日も遊べる、山小屋での停滞にうってつけの本であることは私が確約します。
草すべりの長い急傾斜を、膝を心配しながら下る。南アジア系の顔立ちをした、ヒジャブを被った人とそこそこすれ違った。向こうの国の連休か何かなんだろうか?調べたが分からなかった。
広河原で奈良田行きのバス停に並ぶと、2人パーティーが先に並んでいた。予定通り嶺朋ルートで下りてきたとのこと。
バス停傍には岩石の見本が置いてあり、その中には赤色チャートがあった。抱きかかえて「赤チャート!」と言う妄想をしたが、登山中のすっからかんの頭だからウケるのであって、落ち着いて聞くと面白くない。「北岳に来ただけ。」とどっこいどっこいだな、とにニヤニヤしながらバスを待った。
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