笊ヶ岳 雨畑川奥沢谷北のタル沢
- GPS
- 19:32
- 距離
- 24.6km
- 登り
- 3,664m
- 下り
- 3,670m
コースタイム
- 山行
- 4:59
- 休憩
- 0:32
- 合計
- 5:31
- 山行
- 12:52
- 休憩
- 0:59
- 合計
- 13:51
◯久しぶりの14時間行動で、12時間越えたあたりで足がいうことをきかなくなった。
◯手創りPPロープわらじ+スパ地下のコンビで行った。編み方があまいせいか、指の付け根の一番こすれるところは横糸が寄って隙間ができて経糸が見える状態に。もっとキチキチ締めなければ。予備も持とう。概ね快適。
天候 | ガス小雨、晴れ間あり |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
小淵沢駅合流→(2:0h)車(下道)で林道終点 老平 |
写真
装備
個人装備 |
ハーネス+メット
フェルト地下足袋
シュリンゲ+ビナ+ 確保器
非常用防寒肌着+靴下
カッパ
シュラフカバー
マット
水筒
その他沢個人基本装備(ナイフ
灯り
地図磁石
軍手
食器
焚き付け+ライター)
|
---|---|
共同装備 |
ツエルト
ストーブ(非常用)
ハンマー+ハーケン
カムナッツ多少
ロープ45m
|
感想
山岳部の6年目、この春日高の全山単独縦走して、今は小川山山麓でクライミング修行中の中川さんから本州の沢登りっぽいところいきましょうとお誘いがあり、未踏の気になる沢と山頂を選んだら、結果、日高みたいな沢になってしまった。
笊ヶ岳の雨畑川奥沢谷は、記録があまりWebにはなく、登山体系を読んだが、全く状況は変わっていた。50年も経ったら沢は変わるのだ。行きたいと思っていた甲府在住のころはもう10年も前だ。白根南嶺の要のピーク。甲府の町からいつも眺めていた山。
【1日目】
広河原までの登山道は岩壁に穿った道で、おそらく1950年代までの林業の軌道あとではないだろうか。下降尾根のジグザグ道も多分林業作業用の名残だろう。あんなマイナー山にあんな根気よく登山だけの道を作る理由がないから。
広河原から中川さんが釣りを試みてみて入渓。両岸が狭まると始めからゴルジュ状が連続して、微妙に行ける滝もあるがエグいのもある。初日はロープ2回だして巻き、懸垂を一回。右岸から左岸から、巻き自体は怠らなければそれほどエグくはない。ただ、ほんの数メートルの悪いところが最後にあったりする。
標高1170mにある数段組のすべすべゴルジュの奥の4mほどの滝の左岸側、滝の落ち口の手前数mが悪い。ここで1997年に東京のすずらん山岳会の友人、古元さんが落ちて水流で死んだ。その数年前にパソコン通信でやり取りして知り合った。古元さんとは白鳥山でイグルー×スキー山行をしたこともあった。記録をすごく書く人で、短歌もうまくて、充実の会報も毎年出して送ってくれた。生きていたら今頃ヤマレコであえたことだろう。ずっと挨拶したかったのが叶った。
中川さんはクライミング修行中とあって、ルーファイが的確で、見ていて安心だ。巻きの判断も早い。後続に対する配慮も完璧。同じ育ちの山岳部は、行動の呼吸が同じだから初めての山行でも安心して行動できる。
1170の難所脇から左岸を高巻いて河床に降りると雰囲気が変わる。巨岩の群れで、はーはー言いながらよじ登る。北ダル、南ダル分岐の二股の真ん中に一段高いテラスがあり泊まる。中川さんがロープをピンピンに張って快適にタープを張ってくれた。う〜む美しい。薪は豊富。食事は伝統食の晩カレー雑炊、朝棒ラーメン。あれこれ話す。
【二日目】
明け方軽く降雨だったが止んでいた。霧の中出発。天場の1260二股から1650mくらいまではまたまたゴルジュと急な滝が連続して巻いたり登ったりを繰り返す。右岸を巻いたら行く手に落差30mの直瀑が現れ、そのまま巻き続けようかと思ったけど途中には急で幅のあるガレルンゼがあるため、一旦降りてそのガレルンゼの左岸あたりに、大滝との間の巻きルートを見出す。この30m滝を超えるとしばらく普通の河原が続く。
小笊の右と左に上がる沢の二股2030mから、左股を選んで登ると再び細い連瀑で始まる。いきなり中を行けず。右俣に少し入って右岸ルンゼから左俣の左岸のヤブ尾根を並行して巻いていく。降りたりまた上がったり。ここでも一箇所最後のトラバースに、落ちたら水流に揉まれそうなヤバい箇所あり、横着せずに巻き上がる判断する。
2370で突然水流が膨大なガレの下に消える。ここから上は見渡す限りガレガレの景観。足を置けば崩れて流れ、ラッセルしているかのよう。小尾根上に草や木が生えているところを辿ってコルまで。源頭藪漕ぎは無し。空身で小笊をアタックして笊ヶ岳へ。視界は時々七面山や北のほうがチラリと見えるくらいで、地味な山頂である。
ここからは夏道だ。とはいえ道だってトラップみたいなポイントがいっぱい有って、外さないよう要注意だ。布引山経由で延々下るこの登山道は、いかにも南アらしいというか、樹林の中をひたすらジグザグ下る。途中大規模なワイヤー・ケーブル廃墟あり。やはり往年はこの稜線のシラビソをバンバン切って運び出し、その後の細いシラビソ密林になっているようだ。これのために切った道だったのだと思う。C1二股の上にも空中架線が3本残置されていた。
長い降りで体温が上がり、頭もカンカンな熱中症気味になる。尾根末端の広河原で17時。水をガブガブ飲んで脱水を脱出。ここでフル行動12時間、足はヨレヨレになっていたけど、泊まらずに帰ろうかってことになる。結果2日で済んだけど、3日とってあるから、早く帰って下山連絡入れなきゃまずいっていう焦りが無いのが本当に幸せだった。やはり山の日程はキツキツだといけない。
長く暗い登山道+林道は結構危ない崖もあるので慎重に帰る。こんなところでもよろけて落ちて死にかけていた人を救助したことがある。中川さんは最後まで問題箇所の通過では振り向いて光を当てて待ってくれていた。油断しない、できるリーダーである。
身延町の「うまいもん屋」という店が遅くまでやっていて、身延ギョウジャニンニク入り餃子20個+富士宮やきそば大盛り+石焼きビビンバを食べて満足。
まだ将来どんなことになるのか、本人にも、まして周りにもわからない状態の若い人とあれこれ話すのが楽しかった。山登りという経糸を伝って世代が進んでいく。
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