鷹ノ巣山〜病み上がりに奥多摩急登筆頭に登るアホ〜[中日原BS-稲村岩尾根-鷹ノ巣山-石尾根-奥多摩駅]
- GPS
- 08:05
- 距離
- 14.3km
- 登り
- 1,254m
- 下り
- 1,534m
コースタイム
08:10 奥多摩駅発
↓ [西東京バス\450]
08:35 中日原バス停着
08:45
↓ 1h00
09:45 稲村岩鞍部
09:55
↓ 1h50
11:45 ヒルメシクイノタワ
11:55
↓ 0h30
12:25 鷹ノ巣山
13:05
↓ 0h45
13:50 将門馬場手前分岐
↓ 0h30
14:20 六ツ石山
↓ 2h30
16:50 奥多摩駅
天候 | 快晴→昼過ぎから曇り。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
奥多摩駅より西東京バスで中日原までバス。(鍾乳洞行き;平日のみ) 休日は一つ手前の東日原行きのバスしかないため、そこで下車。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
●登山ポスト;中日原にはなし。 ●トイレ;東日原にはあるようですが、中日原にはなし。 また道中にもいっさいなし。 ●休憩箇所・ベンチ;いっさいなし。 ●危険箇所;滑落の危険性があるなどの危険箇所はないものの、階段・石段・土留めなどがいっさいなく、とにかく歩きにくい。足場の悪い急斜面が延々と続くので、ある意味コース全体が危険。 |
写真
感想
「病み上がりに奥多摩三大急登筆頭に登るアホ」
今回の山行はもう倒れるかと思いました。途中で何度引き返そうかと思った事か。鷹ノ巣山、というか稲村岩尾根おそるべしです。
=病み上がり。1ヶ月ぶりの山行=
先月の半ば、たちの悪い風邪をひき、咽痛→高熱→微熱→解熱→微熱→咳と半月に渡り体調を崩し、今回は約1カ月ぶりの山行となりました。
そんな病み上がりに何故に奥多摩の三大急登の筆頭として有名な稲村岩尾根を選んだのかといいますと、中学の学校登山以来20数年ぶりの北ア燕岳を来週に控えており、1ヶ月も山に登らずしかも風邪で体力低下している状態でいきなり燕岳を登るのが不安で、やっぱどこか訓練を兼ねて登っておこうと考え、燕岳に匹敵する急登を近場で探したところ鷹ノ巣山がヒットしまして…という流れでした。
でそんなかんだで鷹ノ巣山の稲村岩尾根です。
感想としては、「すいません。奥多摩なめてました。ごめんなさい。許して下さい」といったとこでしょうか。
この稲村岩尾根、なんなんですか。激しくきついじゃないですか。修行ですか?苦行ですか?今回ばかりは途中で本気で引き返す事を考えました。
=気管支から異音が=
「あの〜すいません。引き返していいですか?気管支あたりで呼吸をするたびゼロゼロ音がするんですけど…。これって良くない音だと思うんです。」
『幻聴でしょ。そんなの。なに甘えてんの?ヤマレコにリタイアした記録アップするの?カッコ悪いね〜』
「いやいや、あと2時間半もこんな坂登ったら肺がどうにかなると思うんです。それにヤマレコにはアップしなくたっていいと思うんです。なかった事にします。」
『それずるくない?都合のいいことしかアップしないんだ。ふ〜ん。』
あ、これ登山途中の脳内ひとり会話です。単独山行ですから…。苦しすぎて脳まで酸素が回らずおかしくなってます。
前々日くらいまでゲホゲホしてたので、やはり無謀でした。酸素摂取能力が低下してるせいか、心臓が爆発寸前。情けない事に10分登っては休み、登ってはまた休みの繰り返しでした。
=なぜか北原白秋=
とりあえず、「一人だからいつでも引き返せる。みんなに迷惑かける心配はないし、とにかくゆっくり行けるとこまで登ろう。ダメだと思ったら引き返そう。」と意識をかえ、いけるとこまで登る事に。
先日のNHKのためしてガッテンで、楽に山に登る方法として、歌いながら登る(つまり息が上がらない程度のペースを守れという事)というのをやっていまして、「誰もまわりにいないし試してみよっ」と思い、口から出てきたメロディーは…、
♪この道は〜いつか来た道〜
あぁ〜そうだよ〜
お母様と〜馬車で来た道〜♪
なぜに唱歌。しかも北原白秋。。。
「だいたいこの道は初めてだし、母親と山に来ないし、馬車ってなんだよ、馬かよ。ぜってぇー脱輪して谷底真っ逆さまだよ。」と一人で虚しくツッコミをしながら、なんとかヘロヘロになりながら稲村岩鞍部までたどり着きました。
で、その稲村岩鞍部。左には稲村岩の急斜面、右には稲村岩尾根の急斜面。まさに鞍部といった感じでした。稲村岩は岩だらけの急斜面で片道10分程なので最初は登る予定だったのですが、今日の体力では稲村岩に登る余力はないと判断し断念。「また今度にしよう」と思い(次があるかは微妙。。。)稲村岩尾根を鷹ノ巣山に向かう事にしました。
=人は何故、山に登るのか=
しかしこの稲村岩尾根が、さらなる難関でした。
延々と続く急坂。登山道には階段石段の類はいっさいなし。展望ゼロで斜面変化のない代わり映えのしない景色。花も咲いてなきゃ鳥のさえずりも聞こえない。
つまり、登ってて楽しくないんですココ…。最短距離で山頂に到達するためだけの道って感じです。
で、登っているうちに、だんだんと悶々としだしまして、
「なんでさ(ゼーゼー)、こんな(ハーハー)、苦しい思いしてさ(ゼーゼー)、山に登らなきゃ(ゲホッゲホッ)、いけないわけ?(ハーハー) そこに何があるのさ」と、どっかで聞いたような台詞を吐きながら登り続けましたが、ふと「山に登るのはこれが最後でもいいかな」と思うほど追い込まれました。
=蝶とトンボの楽園=
リタイア寸前まで追い込まれつつ、なんとか山頂手前のヒルメシクイノタワに到着しました。
登り始めてから初の平坦部。そして展望も少し開けています。なるほど昼飯を食いたくなるのも頷けます。
でも冷静に考えると、この程度の平坦部や展望は、他の山の登山道なら普通に数箇所あるものでわざわざ名前をつける程ではありません。それがわざわざ名前がつけられているというのは、いかに稲村岩尾根が急登かという事をあらわしているかと思います。
ヒルメシクイノタワから鷹ノ巣山山頂までは30分。山頂に到達した光景はドラマチックでした。
薄暗い樹林帯のトンネルの奥に、草原のような広々とした山頂が広がる。その光景を見たとたん今までの疲れが吹っ飛び、「この山の真価はこれだっ」と思いました。なんという単細胞。山頂には様々な蝶が舞い、トンボが追いかけっこをしてます。
山頂には先行の単独登山者の方がお2人いまして、それぞれゆっくりと展望を楽しんでいらっしゃいました。「平和」。そんな言葉がピッタリくる穏やかな空間でした。
山頂からは、大岳山や御前山など奥多摩の山々が一望できますが、残念ながら富士山は見えませんでした。
=風通る爽やかな尾根道。しかし。。。=
鷹ノ巣山山頂で昼飯を食べ、すっかり元気を取り戻したので、予定通り水根山〜六ツ石山と続く石尾根を奥多摩駅まで下る事に。かなりの長丁場です。
鷹ノ巣山から続く石尾根は、城山あたりまで防火帯で切り開かれており、林の間に緑の草地が絨毯のように伸びており、歩いていて楽しくなる道でした。
緩やかな傾斜をしばらく下り城山を過ぎると、再び薄暗い樹林帯に。下草も生えぬ寒々しい森が延々と続きます。
将門馬場〜六ツ石山と、ピークを外す巻き道状に登山道は続き、またもや展望ゼロ。稲村岩尾根の再来状態に「またですか」という感じ。
どうもこの鷹ノ巣山は今まで登った山と印象が違うんですよね。山全体が寒々しい感じがします。動物のフンもわずかにあるのみで気配がない。鳥のさえずりも聞こえない。藪や下草がいっさい生えておらず、地面は落ち葉が厚くつもる一面茶色の世界。強健なクマ笹でさえ茎だけを残し立ち枯れています。
=ボブスレーのコース!?=
なんだか寂しいなぁ〜とテンションが下がりつつ足を進ませると、三ノ木戸山の手前で久々の展望が開け、御前山が見えました。展望が開けると気分も↑。まったくもって非常に単純です。しかしそんな展望もわずかでした。
三ノ木戸山を過ぎ、杉の人工林帯に入ると寒々しさ大爆発の森に。土が柔らかいので登山道は深く1m程えぐれ、じめじめとした泥状態。歩くというより滑り下りる感じで、まるでボブスレーのコースのようです。
「このまま地面がえぐれて行ったらどうなるんだろ…。どんどん斜面が崩壊していくんだろうか…。その主原因は自分達登山者なのかなぁ」と複雑な思いでした。
思い悩んでいても仕方がないので進もうとした矢先、今度は水切れ。2.5隼っていった水がここで切れました。
ハイドレーションを使っているのですが、手軽に水分補給できるのは◎ですが残量がわからないので飲みすぎてしまうのでそこが困りますね。先日、チューブに取り付ける残量を測るメーターが売られているのを店頭で見ましたが、5000円くらいしたのでちょっと…。
=優しい言葉=
そんな寂しい人工林を過ぎると、廃屋や稲荷神社がありやっと人の住む気配が。
廃屋は「これぞ廃屋!」という感じで絵に描いたような廃屋っぷり。写真に撮ろうかと思いましたが、あまりに不気味で「なにか良からぬものが写りそう…」と思い、足早に立ち去りました。え?へたれ?へたれ上等っ!
稲荷神社に無事の下山のお礼をし(まだ下山してないけど)、しばらく行くと道が二手に。扇山での道迷いを思い出し「ここまで来て、これかよ〜」と思いましたが、選んだ右に折れる道は正解だった?のか、無事に車道に合流。
車道に出たところでストックをザックにくくりつけたのですが、しばらく歩くと再び登山道(徒歩道)へ。この道がパンパンになった太ももには何気にきつく、ストックしまわなきゃ良かった…と後悔。
そんな道をしばらく行くとまたもや神社に。羽黒三田神社です。ここでもお参り。普段は無信心なのに都合がいいもんだ。でもなんかお参りせずにいられないんですよね。山だと。
神社の境内を通り階段を下りるとT字路に。1/25000の地形図でもこういう細かい所は書いてないんですよね。「またかよ〜」と思いつつ横着せずにコンパスで確認。奥多摩駅は神社から東方向になるという事を確認し、左手の道を進む事にしました。
その道はどうやら正解だったらしく、しばらく行くと民家が。民家の庭先に水道があったので、「み、水をくれ〜」と良からぬ衝動にかられるもなんとか通過し、車道との合流箇所へ。
そこで脇の民家の女性と会いまして、「おかえりなさい。暑くて大変だったでしょ?でも景色は良かったんじゃない?」と声をかけて頂きました。
なんというか、本当にありがたいですよね。こういう優しい言葉って。里山に登っている時にいつも感じるのは、こういった地元の方からの優しい言葉のありがたさです。どこの誰だかわからない余所者なのに声をかけて下さる。本当にありがたいです。
=汗だくドロドロへろへろの帰還=
民家の女性に駅までの時間を聞くと「あと12〜3分くらいかしらね」と。優しい言葉で元気を取り戻し歩き始めるも、こういうアスファルトの道って疲れた身体にはきついですよね。たった12〜3分が非常に長く感じました。
途中、自動販売機でポカリを購入し、ものすごい勢いで飲み干し駅へ。お祭りが近いのか通りには提灯が掲げられており華やいだ雰囲気。しかしながらそんな光景に歩みを止められる状態ではなく、ひたすら駅へ駅へ。
駅前にはお土産屋さんがありましたが、なんしろ汗だくでズタボロどぶネズミの様相。とてもじゃないがそんな余裕はなく一目散にトイレへかけこみ着替えをしました。
着替えをしてさっぱりし青梅行きの電車に。車内は学生らしきキャンパーや、テン泊と思われる一行、夏休み中の親子などさすが奥多摩、レジャー電車の様相。
ここから我が家までは電車を乗り継ぎ2時間。と…遠い。
=まとめ=
今回の山行は、とにかく疲れました。今までで一番キツイ山行でした。
体調不良のせいかもしれませんが、「もう二度と山には登らなくていいかも」と思わせる程きつかったです。でも下山した今は、「稲村岩に今度リベンジしようかなぁ」という感じなので、やっぱり楽しい山行だったのかと思います。
しかしながら、あの寒々しい生き物の気配がない山肌が、目に焼き付いてはなれません。'森の砂漠化'という言葉を聞いたことがありますが、あれがそうなんでしょうか? 上空から見ると緑あふれていても、いざ中に入ると増えすぎた鹿により下草がすべて食べつくされ木しか生えていない一面茶色の森。下草を失った山は土壌を保てなくなり雨により土が流失。やがて斜面崩壊を起こす。
過去の山行の写真を見返してみたところ、鹿に遭遇した丹沢の塔ノ岳の大倉尾根も下草がなくクマ笹が立ち枯れていました。あの時は展望の良さに目を奪われて気付きませんでしたが、鹿による食害なのでしょうか。
経験のない自分には何とも判断はできませんが、今後、山に入る時はそういった事にも注視してみたいと思いました。
=追記=
この山行の1週間後、台風が接近する中、北アルプスの燕岳に登ってきました。燕岳へと続く合戦尾根は北ア三大急登として有名です。
しか〜し、個人的感想としては、合戦尾根の急登より稲村岩尾根の急登の方がはるかにきつかったです。斜度は変わらないものの、登山道の整備が完璧にされている合戦尾根と、無整備に近い稲村岩尾根。整備の状態によってこれほど体力の消耗度合いが違うのかぁと感じました。
日々、何気なく通っている登山道ですが、整備をして下さっている方々に、感謝感謝です。
お疲れ様でした。暑かったでしょ?
汗ビッショリですよね
来週?燕岳 ?私も15の夜に夜行バスで出て16、17、18、で中房〜燕岳〜大天井〜槍ヶ岳にテン泊山行に行きます
お互い天気に恵まれるように願いましょう
帰ったらヤマレコにアップします
でわまた
straycats、コメントありがとうございます
表銀座縦走ですね。すばらしい!!しかもテン泊!!!
僕は来週の10日の夜行で出て、11〜12日で中房温泉〜燕岳〜大天井の小屋泊まりでピストンの予定です。
ほんとに天気だけが心配ですよね〜
どうか晴れますように
僕も帰宅したらヤマレコアップします〜。
すいませんstraycatsさん。
↑の返信コメントで、お名前に「さん」をつけ忘れてしまいました。
大変失礼いたしましたm(__)m
こんばんは。
あの登りは本当にしんどいですよね。
きつい上に長い。ちょっと土合駅のあの階段と同じ気分になります
鷹ノ巣山頂上は展望はいいですが、コース的にきつい割にはあんま展望が良くないんですよね。
奥多摩駅に下りると凄くほっとします。
K_guminさん、はじめまして。
やっぱキツイですよね。あの急登は。
まだ展望が開けていれば、気晴らしになって登りやすいのかもしれないですが、ず〜っと同じ斜度と景色ですからね。
飽きるを通り越してうんざりしてきます。
でも、登り終えてみると、やっぱなんだかんだで良かったなぁという感じです。
土合駅ってものすごく長い階段があるという駅ですよね?
行かれた事があるんですね。
ネットで調べてみましたが、ものすごい構造の駅ですね…。
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