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記録ID: 7983411
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積雪期ピークハント/縦走
白山

【白山】御前峰(ナナコバ山、シゲジ経由)

2025年04月05日(土) [日帰り]
情報量の目安: S
都道府県 石川県 岐阜県
47拍手
GPS
--:--
距離
31.7km
登り
2,876m
下り
2,869m
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5 km

コースタイム

日帰り
山行
15:00
休憩
0:00
合計
15:00
3:30
210
駐車地
7:00
160
9:40
160
12:20
160
15:00
100
16:40
110
18:30
駐車地
天候 晴れのち曇り
過去天気図(気象庁) 2025年04月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
大杉谷林道は下杉谷手前まで除雪が進んでいるが、林道入り口が除雪車でふさがれており、今のところ車での進入不可。林道入り口から少し戻ったところの路肩に駐車した。
コース状況/
危険箇所等
・ 今回のルートは、たぶん白峰から御前峰に向かうにあたっての最も直線的な(=最短の)ルートの一つではないかと思う。湯の谷の地形的弱点を活用したルート組みは良く行われることだし、そもそも湯の谷~御前峰の区間は過去に実在した幻の登山道、「ワンゲル新道(湯の谷新道)」とも重なるので、それほどオリジナリティがあるわけではないが、ナナコバ山やシゲジなど静かで魅力的な山頂を経由でき、終始正面に御前峰を眺めながら登れるのも好ポイント。湯の谷の横断も良いスパイスになっている。
・ 湯の谷を横断してから山頂台地に登り上げる斜面は部分的に結構急なので、特に下降時は注意。また、ルートを誤ると断崖に突き当たって進退窮まる恐れがあるので、ルート取りは慎重に。要ピッケル・アイゼン。
・ ナナコバ山からの下山は尾根を外しやすいので慎重な読図が必要。
・ 雪は概ね締まっておりツボ足で歩けるが、気温が上がってくると結構沈み込むため、少なくともワカンくらいは携行したほうがよい。
大杉谷林道の入り口は除雪車でふさがれており(春の恒例の風景)、少し手前の路肩に車を止めた。
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大杉谷林道の入り口は除雪車でふさがれており(春の恒例の風景)、少し手前の路肩に車を止めた。
除雪は下杉谷手前で終了し、ここからは雪道歩行。下杉谷は大きな雪崩斜面ができるので、この先の除雪には少し時間がかかるだろう。林道脇の雪の壁は、未だに背丈を越えている。
除雪は下杉谷手前で終了し、ここからは雪道歩行。下杉谷は大きな雪崩斜面ができるので、この先の除雪には少し時間がかかるだろう。林道脇の雪の壁は、未だに背丈を越えている。
ナナコバ山のブナが、夜明けの光に染まる
ナナコバ山のブナが、夜明けの光に染まる
ナナコバ山の山頂から、朝日に照らし出された御前峰方面を眺める。これからこの稜線を歩く喜びに、思わず胸が膨らむ眺めだ。
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ナナコバ山の山頂から、朝日に照らし出された御前峰方面を眺める。これからこの稜線を歩く喜びに、思わず胸が膨らむ眺めだ。
振り返れば、大長山や赤兎山もまだまだ残雪豊富
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振り返れば、大長山や赤兎山もまだまだ残雪豊富
さあ、歩いて行こう
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さあ、歩いて行こう
シゲジまでの稜線では、大きなクマの足跡が稜線を横切っているのを何度か見かけた。3週間前に来た時には、実際にクマを目撃したし、この辺りはクマの通り道なのかもしれない。
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シゲジまでの稜線では、大きなクマの足跡が稜線を横切っているのを何度か見かけた。3週間前に来た時には、実際にクマを目撃したし、この辺りはクマの通り道なのかもしれない。
別山も残雪豊富で、真冬の白さと鋭さをまだまだ失っていない
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別山も残雪豊富で、真冬の白さと鋭さをまだまだ失っていない
フィルムクラストがぎらつく稜線を進む
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フィルムクラストがぎらつく稜線を進む
宮谷川側のなだらかな大斜面が美しい
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宮谷川側のなだらかな大斜面が美しい
シゲジが近づいてくる
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シゲジが近づいてくる
シゲジ山頂。シゲジの山頂は相変わらず風が強く寒い。
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シゲジ山頂。シゲジの山頂は相変わらず風が強く寒い。
シゲジから眺める御前峰と大汝峰。例年ならハイマツが出てくるころだが、今年はまだ眩いほどの白さを保っている。
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シゲジから眺める御前峰と大汝峰。例年ならハイマツが出てくるころだが、今年はまだ眩いほどの白さを保っている。
今回登る大体のルート
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今回登る大体のルート
白山釈迦岳と、その向こうの別山
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白山釈迦岳と、その向こうの別山
湯の谷乗越を経由して、湯の谷へとトラバース気味に下降していく
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湯の谷乗越を経由して、湯の谷へとトラバース気味に下降していく
トラバースしてきた湯の谷の斜面
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トラバースしてきた湯の谷の斜面
湯の谷の谷底に降り立つ。まだ谷割れもなくきれいだ。
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湯の谷の谷底に降り立つ。まだ谷割れもなくきれいだ。
下流方向
これから取り付く湯の谷左岸の斜面。おそらくこの箇所が最も傾斜が緩く登りやすいと思われる。正面に見えている尾根末端を左から回り込むように取り付く。
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これから取り付く湯の谷左岸の斜面。おそらくこの箇所が最も傾斜が緩く登りやすいと思われる。正面に見えている尾根末端を左から回り込むように取り付く。
湯の谷の左岸斜面に取り付き、山頂台地に向けて登っていく。まるで青空へと昇っていくような白銀の斜面
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湯の谷の左岸斜面に取り付き、山頂台地に向けて登っていく。まるで青空へと昇っていくような白銀の斜面
部分的に結構急な個所もあり、雪も固いので、アイゼンを蹴りこみながら登っていく。ところどころに印象的な岩塔が突き出ている。
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部分的に結構急な個所もあり、雪も固いので、アイゼンを蹴りこみながら登っていく。ところどころに印象的な岩塔が突き出ている。
ところどころ岩と藪の出た急な尾根を慎重に辿る
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ところどころ岩と藪の出た急な尾根を慎重に辿る
ようやく山頂台地に登り出た。シゲジ山頂の風が強かったので、爆風を警戒していたが、台地の風は穏やかで、春の光が一面にみなぎっている。
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ようやく山頂台地に登り出た。シゲジ山頂の風が強かったので、爆風を警戒していたが、台地の風は穏やかで、春の光が一面にみなぎっている。
あまりにも風景が大きすぎて、次第に遠近感どころか、時間の感覚まで狂ってくる。
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あまりにも風景が大きすぎて、次第に遠近感どころか、時間の感覚まで狂ってくる。
歩いても歩いても、進んでいるように感じない。
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歩いても歩いても、進んでいるように感じない。
それでも次第に御前峰が少しずつ大きくなってくる。この方角から見る御前峰は、御宝庫(左)と山頂(右)が成す双耳峰のように見える。
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それでも次第に御前峰が少しずつ大きくなってくる。この方角から見る御前峰は、御宝庫(左)と山頂(右)が成す双耳峰のように見える。
広大な弥陀ヶ原の向こうに別山
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広大な弥陀ヶ原の向こうに別山
ところどころ、妙に印象的な巨岩が離れ小島のように雪原に横たわっている。白山信仰が盛んだったころは、何らかの祭祀の場だったかもしれない。岩を見かけるたびに遺物が残っていないか一回りしてみたが、特に発見はなかった。
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ところどころ、妙に印象的な巨岩が離れ小島のように雪原に横たわっている。白山信仰が盛んだったころは、何らかの祭祀の場だったかもしれない。岩を見かけるたびに遺物が残っていないか一回りしてみたが、特に発見はなかった。
弥陀ヶ原の向こうに、大長山など加越の山々
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弥陀ヶ原の向こうに、大長山など加越の山々
ひたすら根気強く歩いて、ようやく山頂直下
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ひたすら根気強く歩いて、ようやく山頂直下
千蛇ヶ池も、このとおり
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千蛇ヶ池も、このとおり
山頂稜線は、まだ岩が凍り付いていた
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山頂稜線は、まだ岩が凍り付いていた
着いた。白山公園線の除雪も進んでいるし、砂防新道経由で来ている人と会うかもしれないと思っていたが、誰もいない静かな山頂だった。
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着いた。白山公園線の除雪も進んでいるし、砂防新道経由で来ている人と会うかもしれないと思っていたが、誰もいない静かな山頂だった。
御前峰山頂
室堂平と、その向こうの別山
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室堂平と、その向こうの別山
室堂は屋根を残してほぼ雪に埋もれている。というか、一部、屋根ごと埋まってしまっている建物もあるようだ。
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室堂は屋根を残してほぼ雪に埋もれている。というか、一部、屋根ごと埋まってしまっている建物もあるようだ。
別山はまるで厳冬期のような眺め
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別山はまるで厳冬期のような眺め
山頂のお宮には未だに雪がギュウギュウに詰まっていた。やっぱり今年は雪が多いんだなぁ…
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山頂のお宮には未だに雪がギュウギュウに詰まっていた。やっぱり今年は雪が多いんだなぁ…
山頂付近はまだ吹雪く日もあるようで、エビの尻尾も残っていた。
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山頂付近はまだ吹雪く日もあるようで、エビの尻尾も残っていた。
さあ、帰りましょう。シゲジに向かって、山頂台地を駆け下っていく。
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さあ、帰りましょう。シゲジに向かって、山頂台地を駆け下っていく。
湯の谷左岸の急斜面を、バックステップも交えつつ慎重に下る。
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湯の谷左岸の急斜面を、バックステップも交えつつ慎重に下る。
湯の谷は風もなく、春の陽が乱反射して暑いくらいだ。長いトラバースでシゲジの稜線を目指す。
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湯の谷は風もなく、春の陽が乱反射して暑いくらいだ。長いトラバースでシゲジの稜線を目指す。
長い稜線を下りきり、林道に着地。大杉谷は雪解け水を集めて水かさが増しており、残雪が多い中にも春を感じさせた。
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長い稜線を下りきり、林道に着地。大杉谷は雪解け水を集めて水かさが増しており、残雪が多い中にも春を感じさせた。

感想

 3週間前は天候に嫌われ、2週間前は悪雪に嫌われ、3回目でようやく登ることができた。よかった。これでまた登れなかったりしたら、さすがにがっくり気落ちしてしまうところだった。まあ、これだけ天気が良くて、雪も締まっていれば、登れて当然といえば当然なのだが。
 
 今年は本当に雪が多い。いまだに取り付きからたっぷり雪があるし、稜線上の白さは厳冬期と見紛うほどだ。
 しかしそんな中でも、3週間前と比べれば、いくつかの小さな変化が春の深まりを気づかせてくれた。林道の脇にはフキノトウが増えたが、その多くは既にいささか開きすぎていた。ナナコバ山のブナの森では、コガラの口笛に加えて、ヒガラのにぎやかなソプラノが加わった。シゲジへの稜線上では、稜線を横切る大きなクマの足跡を何度も見かけた。一番驚いたのは、夜明け前、大杉谷に架かる橋を渡るところで、トラツグミの声を聞いたことかもしれない。その鳥の声を聞いたとたん、なんだか一足飛びで夏がやって来たような気がして、一面の残雪に覆われた中で聞くには、ちょっと異様な感じがする声だった。見上げると、南東の空には天の川が横たわっていた。いつの間にこんなにはっきり見えるようになったのだろう?
 気が付いたら急に日も長くなっていて、ようやく車まで戻ってきたのは18時半を回ったところだったが、結局ヘッドライトのお世話になることはなかった。少し前までは考えられないことだ。
 道路の除雪もにわかに進みはじめた。先々週の大杉谷林道は、入り口にすら除雪が届いていなかったのに、今回来てみたら下杉谷の雪崩常襲地点の手前までクレーン車が進出していた。眼下に見える白山公園線も、だいぶ乾いた路面の距離が伸びているようだ。登山者の勝手な感傷にしか過ぎないことはよくわかっているつもりだが、除雪の入ったアプローチ路を見ると、例年のことながら少しばかり寂しい。除雪が進んだ山には、厳冬期独特の秘密や恐ろしさはもうない。そこは既に、どこまでも歩いて行ける明るい春山である。少なくとも、私のような力ない一登山者の、日帰り登頂を許してしまう程度には。

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