【白山】御前峰 早春 (天候悪化により山頂手前で撤退)


- GPS
- --:--
- 距離
- 26.9km
- 登り
- 2,349m
- 下り
- 2,349m
コースタイム
天候 | 曇りのち雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・ 雪はかなり締まってきているが,まだツボ足だと沈み込むため,ナナコバ山までワカンを使用。そこから先はアイゼン使用。 ・ 今回のルートのうち,湯の谷乗越付近から湯の谷を横断して白山西面の台地に乗り上げる区間は,昭和30年代後半~40年代前半に短期間存在したが現在は廃道となっている幻の登山道,「ワンゲル新道」とほぼ重なるルート。現状では湯の谷は谷割れもなく問題なく横断できる。湯の谷を横断してから山頂台地へと上がる斜面はやや急なので滑落注意(要アイゼン・ピッケル)。 ・ ナナコバ山から先は木立が少なくなり,悪天時はホワイトアウトの恐れがあるので,慎重な行動が必要。 ・ そういえば,ナナコバ山からシゲジへと続く稜線上で大きなクマを目撃しました。もう冬眠から覚めているようです。ご注意を! |
写真
感想
この冬は,いろいろな山の山頂から白く輝く白山を眺めた。遠くから眺めているうちに,久しぶりに白山に登りたくなってきた。
しかし,今週末はあいにく土日とも天気がよくない。天気予報を眺めているうちに,土曜日なら夕方まで天気が持ってくれるのではないかと思えてきて,とりあえず出かけてみることにした。
早朝の林道の雪はよく凍みていた。ワカンが硬雪と触れ合う軽く澄んだ音が,いかにも春山という感じを起させる。
一年ぶりに聞くミソサザイのさえずりに驚かされながら,ナナコバ山のブナの斜面を登る。今年の豪雪で,ほとんどの木が下部の枝を無残にへし折られている。見上げると,次第に膨らんできた若芽で,ブナの梢は一面に赤く染まったようだ。
稜線に立つと,高曇りの無風状態。遠くの山々まで異様にくっきりと見える。そして妙に暖かい。遅かれ早かれこの後ほぼ確実にやってくるであろう天候悪化を思うと,この静けさは逆に不気味だが,とにかく進むことにする。ワカンはブナの根元にデポし,アイゼンに履き替える。
締まった雪を歩くのは久しぶりで歩みは軽く,行程は順調に進んで,シゲジ着。豊富な雪に均された湯の谷の大空間を挟んで,御前峰が指呼の間に見える。あとは湯の谷を渡って山頂台地へと急登を登り切ればいいだけだ。アンパンをほおばる。まだ雲はここまで降りてこない。
しかし,湯の谷の雪渓を首尾よく横切り,山頂台地への急斜面をちょうど登り切ろうというところで,天候は一変した。小雪がちらちらと舞ったかと思うと,次の瞬間には鋭い風が吹きつけ,一気に吹雪になった。結局,天気は夕方どころか,正午までも持ってくれなかったわけだ。視界は急激に悪化していく。
私はGPSを携行していない(別に何か主義主張があるわけではなく,単にそのほうが登山が面白くなるから持っていないだけ)。だだっ広い山頂台地の雪原のど真ん中でホワイトアウトに陥ると,当然ながら大変面倒なことになる。あっさり撤退を決めた。
山頂目前で引き返すのは残念だが,天候には勝てない。そもそも,こんな日にのこのこやって来た私も私だ。また晴れた日に登りに来ればいい。
下山の目印になるナナコバ山のピークは,気づけばもう風雪の中に見えなくなっていた。尾根のつながりが分かりにくい数箇所では,慎重に地図とコンパスをにらみながら下った。逃げるように下りながらも,こんなふうに風雪に叩かれながら歩くのは,今シーズンあと何回もないだろうと思うと,何だか感慨深くなってしまう。
ナナコバ山の樹林帯に入り,ようやくほっとして,テルモスの温かい紅茶をのんだ。次第に大きくなってくる大杉谷の瀬音を聞きながら,中途半端に終わった山行の下山時に特有の,気が抜けたような心持ちで下っていくと,ブナが植林に変わるあたりで,マルバマンサクが黄色い花をつけているのを見つけた。この木は,まだ幹の大半が雪の中に埋まっているうちから,雪面から枝だけ出して健気にも花を咲かせる。一面の雪景色の中で,その花の周りだけ,小さな明かりが灯ったように華やいで見えた。白山の春もすぐそこまで来ている。
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