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記録ID: 85478
全員に公開
講習/トレーニング
甲信越

蝶・常念岳縦走

2005年07月24日(日) ~ 2005年07月25日(月)
 - 拍手
nobou その他1人
GPS
32:00
距離
14.0km
登り
2,001m
下り
2,000m
過去天気図(気象庁) 2005年07月の天気図
アクセス
予約できる山小屋
蝶ヶ岳ヒュッテ

感想

2005年7月24日(日)〜25日(月),トレーニングで蝶〜常念岳を縦走

‘ΔΔ訴
 5:00起床。6:30豊科に良太を迎えに行く。7:00駐車場着。路上にも沢山の車が置かれ、駐車場もほぼ満杯だがちらほらと空きがある。
 7:05発。同15三股。登山口で計画書を出し、7:20から歩き始める。7:45力水で冷たい水を飲み顔を洗う。ここから道は沢を離れて登りにかかる。尾根に出るまでの急登。8:00から休憩10分。
 8:10発。上から女性3人連れが下りて来る。早い下山に驚く。急登が続く中、3組5人の登山者と前後しながらゆっくりのペースで登る。三股の登山指導員の話しでは、昨日は200人以上が入ったとか。雨で1日ずらしたおかげで思いがけず静かな山行となるが、このあたりから下りて来る登山者が次第に多くなる。
 50分歩いて10分休憩のペースを守り、9:00より尾根に出たところで休憩。10分後出発。3分でまめうち平通過。気持ちのいいシラビソの幼木の樹林帯がしばらく続いた後、道は一転して厳しい登りへ。
 9:47,2000m地点通過。10:00蝶沢の水場,2150m地点で大休止。休んでいる人2人,上から下りて来る人3人,すでに下りて行った人30数名。おにぎり大1個を食べる。良太が水場まで行って汲んできてくれた水がうまい。10:25出発。

凍裂の樹
 10:25発。急登に入ってからペースダウン。今日一番の苦しい登りで先行していた人達もたびたび休んでおり、私達を含む7人の登山者が後になったり先になったりしながら一緒に登る。
 50分歩いて11:15から休憩。樹木の高さから推して未だ2400mには達していないと思われる。目の前にまっすぐ凍裂の入った栂の木を見る。パラパラと雨音がしてすぐに止む。
 良太にパン1個。同30発。相変わらずの急登だがシラビソの丈が低くなりダケカンバが現れて森林限界を知る。11:47,2500m通過。三股から5.5km,ヒュッテまで0.9kmの標識。
 ハイマツ帯となりオオサクラソウ,シナノキンバイ,ミヤマキンポウゲ,コバイケイソウが見られるようになる。
 12:10大滝山への分岐点を通過。稜線の道となり、12:25蝶が岳ヒュッテ着。13:20テン場に入りテント設営。すぐに寝る。これから明日の朝までの長い時間をどう過ごすか・・,贅沢ななやみだ。
 実働4時間15分。休憩1時間05分。

もてあます時間
  テントに入ってとりあえず寝る。朝早かったせいか良太も寝ている。2時間寝て目が覚める。雨がパラパラっと来たがすぐに上がる。が、ガスで展望はなく寒い。一応頂上まで行って写真を撮る。何度かメールで記事を送ることを試みたが、飛んだり飛ばなかったりでまだら記事になりそう。
 視界がなくすることもなく再び横になりウトウトする。1時間おきに目が覚めてその度に良太が時間を聞き、『まだ〇〇時かぁ〜』を繰り返す。
 5時にヒュッテへ行き、水1ℓ150円也を買う。今は3ℓのミネラルウォーター700円と言う所が多いがここは雨水だ。
 水500ccを沸かしてアルファ米2人分と1人分各1個を蒸らす。ナイフを忘れて封を切るのに苦労する。ナイフだけでなく、しゃもじもお玉も、自分の食器まで忘れたことに気づき、我ながら呆れる。
 夕食はアナゴチラシ寿司。と言っても、蒸らしたご飯をコッフェルに広げて寿司の素の酢と具を混ぜるだけの横着料理。初めて使った銘柄のアナゴチラシは酢がきつかったが2人で3人前を平らげた。他はキュウリの金山寺みそ和え。
 隣りに馬鹿でかい常設のテントがあって高校生のパーティーが入っているらしい。テン場の側を登山者がひっきりなしに通るが、テントを張る気配はなく、常設テントを含めて全部で6〜7張りほどだ。
 夕暮れ時,少し晴れて山頂付近からひとしきり乙女チックおばさん達の歌声が流れてきたりしていたが、再び雨が降り始めて歌声も途絶え人影もまばらになる。
 寒いのでセーターを着てシュラフカバーにもぐり込み横になる。

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 明け方近くに寒くて雨具を着込んだ。3:40起床。昨夜はそのまま眠っては起き、起きては眠りを繰り返して何とか朝までの時間を過ごした。
 暖とりを兼ねてテント内でお湯500ccを沸かし、アルファ米を蒸らす。別に500ccを沸かして雑炊の素2袋を溶き、持ってきた焼きサケ2切れをほぐし入れる。蒸らしたご飯を入れ、生卵2個をときほぐしてサケ雑炊をつくる。さらに目玉焼きを2個づつ焼いてリッチな朝食となる。
 5:40発。早発ちの人達の多くは上高地に下り、小屋泊まりの人は朝食待ちで常念岳方面への登山者は我々2人だけらしい。左手穂高連峰は北穂,奥穂,前穂が交互に雲間から姿を現すが槍ケ岳は雲をまとっている。右手安曇野は雲海の底。
 6:00蝶が岳から見えていた小ピーク(2025m)でカメラを出す。穂高の写真を撮っていると、良太が『あっ 虹が!』と叫ぶ。ブロッケンだ。
 目の前にガスまたは雲,背後に太陽がある時に現れる。自分の影が雲に映り、頭の周辺に虹彩ができる。これがブロッケン現象。ガスが濃いと脚がものすごく長くてその先に小さな頭があってそこに虹が出来る。いいことがありそうな予感。

イ花畑
 目の前に見えている蝶槍を迂回すると道は下り始め、6:25から樹林帯に入る。どんどん下って6:40鞍部に着き小休止。一帯にはナナカマド,ミヤマキンポウゲ,ハクサンシャクナゲ,マイヅルソウ,ゴゼンタチバナどの花が見られる。
 後方から賑やかな声が聞こえてきたので5分だけ休んで早々にそこを離れ。登り始めてすぐニッコウキスゲが現れる。一旦下がって小さな池の傍を通り再び緩やかな登りとなると、そこからは見事なお花畑が広がる。 
 ニッコウキスゲの他にハクサンフウロ,グンナイフウロ,ハクサンボウフウ,ミヤマカラマツ,モミジカラマツ,オタカラコウ,クルマユリ,クロトウヒレン,テガタチドリ,ハクサンチドリ,ヨツバシオガマ,エゾシオガマ,ナンブトラノオ等々と種類が豊富で、それが昨夜の雨と朝の露にぬれてしっとりと落ちついた風情を見せている。

常念山頂へ
 お花畑を過ぎると明るい樹林帯となり、小さなアップダウンを繰り返しながら次のピークに向けて小気味のいいピッチで進む。
 7:55最低鞍部南側,2512mのピークに到達。覗き込むと女性3人が下りている他、鞍部に単独の男性1人が休憩中。
 8時丁度に鞍部に着き、5分休んで常念岳山頂に向かう。高度差350m,そこからは体力の勝負で若くて身軽な良太はどんどん先を行く。そそり立つ大岩に隠れて山頂は見えず、その大岩付近に小さく先行者の頭が見えている。
 8:45その大岩の上部に出て小休止。呼吸を整えて最後の登りにかかり、9:25登頂。蝶が岳から3時間25分。山頂で腹ごしらえして9:50前常念に向かう。

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 常念岳の山頂を少し下がるとすぐに前常念岳経由三股への分岐点に着く。ここから大岩の間の踏み跡をたどって前常念へ向かう。途中,雄の雷鳥が飛ぶのを見る。同じ場所で別の雷鳥を見ていた2人連れは6時に三股を出たという。
 35分で前常念岳。岩室を赤いトタン屋根で覆っただけの避難小屋がある。10分休んで携帯からの送信を試みる。安曇野は依然として雲の下で相変わらず電波は飛んだり飛ばなかったり。
 10:35発。ここからは岩場をほぼ真下に下る。途中で老夫婦を追い越して一気に下がり、11:05,樹林帯に入る。右手遠くから沢音が聞こえるようになる。良太はどんどん先を行く。
 樹林帯に入って幾分緩やかになったとは言え着実に高度を下げ、11:35に尾根末端の指導標に着く。常念岳から4.1km,三股へ3.1kmとある。 
 指導標には待っているはずの良太がいなかった。かすかな不安にとらわれてここまでに紛らわしい場所がなかったかどうか思い返してみる。
 不安を抱いたまま下山を再開。かなり下ってきてはいるが、まだ2000mを切ってはいないだろうという辺りで、ここからさらに600m以上は下るはずだった。音から推してまだ沢は遠い。
 山腹を斜めに切ってつけられた道は木の根がぬれていて滑りやすく、何度も転んだ。岩稜帯を一気に下ったつけが脚に来ていて、それが転倒を誘発する。

 ここに来てようやく地図を読み違えていたことに気づく。前常念からこの指導標までの1.5時間をすっぽり落として、常念岳から三股までを3.5時間と計算していたのだ。常識的に考えて常念岳から3時間半で下りられるはずがなかろうものを・・,と苦笑したが、笑ってばかりはいられない。もし良太が途中で道に迷っていて、自分が先に下りているとしたらこの道を少なくとも2300m地点までは登り返さなくてはならないのだ。
 何度思い返してみても迷うところのない一本道だったが、あり得ないことが起こるのが山である。こうして少しづつ広がる不安を抱いたまま、とにもかくにも下りるしかないと決めて道を急ぐ。急ぐ分だけ無様なスリップが増える。

┰わりに〜トレーニングの意義
 11:40に指導標を出てたっぷり1時間歩き12:45分から5分間の小休止。同58蝶ヶ岳登山道への迂回路分岐を通過。沢音が近づく。
 13:15三股着。良太の姿を確認し、一安心して座り込む。下りは後半,脚に来てメロメロだった。

 燕岳の日帰り程度では参加者のトレーニングにはなってもスタッフとしてのトレーニングにはならないことがよく分かった。そういう意味で今回の山行は有意義なトレーニングだった。
 スタッフのトレーニングとしては20kg以上の荷重,2日間程度の歩行距離,K覬勅損楫盈・点検の3つが欠かせないと言うことを学んだ。
 特に幕営を実際にやってみると、調理用具やガス器具,テントの不具合等,こまごまとした問題点が分かる。これは家の庭やちょっとした空き地ででも出来る。ただ広げて見るだけでなくやってみることが肝要かと思う。
 とは言っても実際にはなかなかやらないもので、だからこそのトレーニング山行だとも言えようか・・。
                                 終わり                              

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