月山(岩根沢コース)


- GPS
- 32:00
- 距離
- 19.2km
- 登り
- 1,390m
- 下り
- 1,392m
コースタイム
天候 | 曇りのち雨(30日) 晴れ(31日) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
ルートは軌跡を基にした手動入力です |
写真
感想
目が覚めたら零時を過ぎたばかりだった。直ぐにテレビのデータ放送で天気予報を見る。寝る前の予報と変わらず午後から雨。晴れだった予報は悪くなるばかりだ。早めに出発し雨が落ちて来る前に小屋に入り、天気が良ければ、その日のうちに月山往復。次の日は往路を戻ることに変更。カフェオレを飲みながら軽い食事後、2時10分出発。朝は車が空いていて順調に進む。道の駅で休み休み、岩根沢登山口7時30分着。ほぼ予定通りだ。
寒河江市付近では山の端から御来光を拝んだ。いまは陽が照り付けて暑い。好天が続くことに期待。日焼け止めクリームを塗りたくり出発。いい天気だ。が、いつまで持つかそれが問題だ。よく手入れされた道だ。足に優しい道。ブナ林の木漏れ日の道を進む。アジサイの花が咲く。サンカヨウは既に紫色の実だ。ヒメシャジンの花が多い。九十九折の道を進むとサカサ沢に出る。川幅は広いが水面幅は3m位。河原の石を一個、川の中に置いて飛び石で渡る。
渡渉後も九十九折の道が続く。行者道だが厳しい道ではない。ブナ林の歴史を感じさせる道だ。鍛冶屋まくれは、土砂崩れの上を横断する。昔、鍛冶屋が落ちたところだという。まくれと言うのは、方言で“落ちる”こと。「隣のおど、崖がらまぐれて怪我したんだど」みたいな表現になるはず。一応、難所と言われているが問題無し。小屋見広場の標識には「清川行人小屋が見える」と書き加えられているが、あ〜、あそこだな程度。明確には分からない。
だんだん雲が広がってきて雨が落ちてきそうな雰囲気が漂ってきた。何とか小屋に着くまでは持ってもらいたい。道を急ぐが、スピード上がらず。コンパス短すぎ。昨日も雨が降ったのか。それとも露か。道も少し荒れて来て、ズボンの裾は汚れ靴はしっとりと濡れた。雲が垂れ込めてきて、薄暗い感じになったが、雨が落ちる前に小屋に着く。今日の内に山頂往復は、行くかやめるか。考えているうちに雨が降り出す。未だ12時前だが、今日の行動はここで終了。
清川行人小屋は、二階建てで部屋は小奇麗だ。詰めれば50人位は入りそう。焚き木用のだるまストーブが置いてある。風呂も有るが使っていないようだ、というより見た目使えそうにない。水は止めるなとあるが、水が跳ねて板張りの床が濡れていた。知らずに歩いて靴下が濡れた。水を調整したり、濡れた板を拭いたりしたら何もすることが無い。まだ寝るには何といっても早すぎ。汗で濡れた衣類などを乾かすためストーブを使う。燃料の焚き木は貴重品とあるが、自称“必殺火付人”の私は、火をたかずにはいられないのだ。いつも非常用に、新聞紙とマッチ、ライターは必携である。
昔、たきぎ用のダルマストーブは、実家で使っていたので楽勝だと思ったら、そうでは無かった。野外なら新聞紙、樺の木の皮でもいいが、その上に枯れた、生でもいいが小枝を集めて火をつける。こんもり盛って熱が籠るような感じ。小さく生んで大きく育てる。これが私の“火付け”の基本。しかし、だるまストーブは、風(息)の吹込みが一方向で、奥が深いので旨く育てられず(-_-;) そばにあった火吹き竹で吹いてやると一気に燃え上がった。やれやれ。ちょっとだけ満足。
屋根を叩く雨の音がするようになり、外にも出ることはならず。吉幾三の歌ではないが、テレビもね〜、ステレオもね〜、行人小屋には電気がね〜、で何にもすることがね〜状態。携帯ラジオで放送を聞く。しかし、こちらは好みの番組がね〜。で、ストーブで沸かしたお湯でインスタントのカフェオレを飲む。まあ、こういうのが私には合ってるんだろうな。
そのうち、若いペアパーティがやって来た。ずぶ濡れ状態だ。本道寺コースを登って来たとのこと。本道寺コースは、案内書によれば上級コース。私の来たコースは中級だ。地図で見ると、とにかく長い。的外れかもしれないが“本道”だから一度は登ってみたい道ではある。その後、中年の単独行の沢登り男性がやってきたがペアパーティと知り合いだった。今日は全部で4人の宿泊だ。夕方、晴れの模様。二階の窓から大雪城と思われる雪渓が臨まれた。明日はいい山行になりそうだ。
朝、青空がのぞく。ペアパーティ出発。次は私。沢登りの男性は、清川を遡行すると言っていたようだが、未だ就寝中のようだ。私は、ストーブの中に種火が残っていないか確認後出発。火の始末だけは絶対に忘れてはいけない。“火遊び”のあとはきれいに、が鉄則である。出発後、小屋が燃えたなんてことになったら大事である。
31日、早朝4時44分44秒発。前回吾妻小富士では1/100秒遅れたが、今回はカチッと出発。だからといって何の意味も無い。縁起が悪いと言われる4を並べてみただけ。ただの遊び心。沢源流沿いの足に優しい道を登る。雪渓が見えているが、地図上の大雪城ではない。
ニッコウキスゲやキンコウカ等が咲く。チングルマは既にその名由来の“稚児車”状態のものもある。道を一段上がると、さらにたおやかな山容が現れる。山形平野を始め周りはすべて雲海の下だ。船形山・蔵王連峰・飯豊連峰・朝日連峰などが雲の上に顔を出す。ひっそりとして静かだ。周りには誰も居ない。桃源郷とは、こんな状態をいうのかもしれない。まさに絶景だ。
雪渓上を歩くがアイゼンをつけるほどではない。ルートは岩に記されたマーク頼りである。ロープが引かれているところもある。ロープは支柱ではなく、岩に括り付けられていたりする。風が強く支柱の自立が難しいのか。支柱の倒伏による自然破壊を避ける狙いもあるようだ。自然保護を優先しているのであろう。
小屋でちょっと話題になった胎内岩を潜る。積み重なった岩の中に空間が有り、人が潜り抜けられるのだ。だが、地図上の胎内岩の位置とは大分違っている。タブロイドを持った登山者が、胎内岩はどこかと聞いてきたのもそのためであろう。地図上の胎内岩とは位置が違っているのだから。私も上から降りて来たら迷ったことであろう。
山頂の神社は、先達に率いられた白装束の参詣者で賑わっていた。重低音の法螺貝の音が響き、唸るような祝詞の声が聞こえてくる。やっぱりここは神域。異次元の世界だ。神社脇を通って左手へ登ると三角点だ。月山は神域だから一番高い所には神が鎮座し、三角点はちょっと低いところにある。はるか遠くに見える三角錐の山は出羽富士、鳥海山であろう。するとその線上に北海道は有るのか。北海道はもっと右手だろう、と思うがそうではない。人間の方向感覚というものはいい加減なものである。
天気は良いが、シャツはもう汗でグショグショ。帰りは長丁場が待っているのだ。ある意味本番はここからだ。しかし、どんなに遅くなっても明るいうちに登山口に着けば何とかなる。のんびり行こう。来た道を戻り清川行人小屋への分岐を右に本道寺への道を進む。雪渓を歩いたり、引かれたロープが雪に隠れていたりするが、花の道である。ルートを外すと花を踏みつけてしまうことになる。というより踏みあとそのものが花の道なのだ。こんな道を歩いていいのだろうか。ちょっと罪悪感が・・・・。
側壁のような急な道を下り、清川行人小屋への道を分けると緩やかな道となるが、陽射しが強く行程は捗らない。標高が下がった分、暑さが増したようだ。なだらかな道だが、暑さに耐えて前進あるのみ。神さんが買っておいたオレンジを持ってきたが、こういう時はこれに限る。オレンジを一個食べると急に元気が出るのだ。いい行動食である。
あとはただただ歩く。一陣の風が心地よい。休憩時間が長くなった。到着予定時間は遅れるばかり。慌てても仕方がない。本道寺への道を分けると「工事名 平成十三年度 岩根沢登山道(整備)工事」と読める杭が打たれていた。比較的新しい道なのだ。道の下草は刈られ整備は行き届いているが、標識類はそれと比較すると見劣りする。道を作ることが優先されて、その後の誘客が伸び悩み、維持管理が重荷になっているのではないだろうか。
登山口が近くなるにつれて、一つ不安が頭を持ち上げる。車の交錯のことだ。道はしっかりしていたが、対向車が現れて延々とバックを強いられはしないか、等と考えてしまうのだ。自然相手の登山は、うまくいった山行は有っても完璧というのは無いんだろうなあ。どこかでエイヤッと割り切って計画を立て、リスクを背負っての山行となるのであろう。リスク回避の手段は常に忘れてはならないのである。
13時頃には登山口に着くかと思ったが、一回当たりの休憩時間が長くなり、登山口に着いたのは14時。暑い盛りだった。宮城ナンバーの車が一台停まっていた。これから温泉で汗を流して、帰宅は22時頃か。実は、これからが正念場なのだ。約5時間の車の運転。これを無事に乗り切ってこその安全登山である。
温泉入浴で気持ちもサッパリ。自宅着の時間は気にせず、定期的に休みを取って、21時半無事に自宅着。いい山行であった。
月山には春スキーも含めてあちこちから登った。バリエーションコースは登ったことは無い。今後も登るつもりはないが、一般ルートは、石跳沢ルートと立谷沢川ルートを残すのみとなった。後者は最近のルート図には記載が無いが、どちらも機会があれば歩いてみたいものである。
コメント
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こんにちは。
すごいヤマレコメンバの方々での宿泊だったみたいですね〜 (#^.^#)
でも、山では気づかず、下山してレコを見て、あれ〜っということも多く、
難しいですよね。
味わいのある、ツウの方に歩くことが許された道のように感じて、いつの日か
歩けるようになりたいものです。
素敵なレコ、また、ゆっくり読み直したいです。 ヽ(^o^)丿
minkさん おはようございます。
下山してから分かる、というパターンですね。通常は。うちの神さんが居れば、間違いなく旧知の間柄みたいになっていたと思います。いつも神さんを見習わなければとは思っているのですが・・・・。
私は、どっちかというとシャイなものですから、なかなかその気になれません。しかし、話し始めると”カッパエビセン”と同じで止まりません。もしそういう、機会があったらご注意ください(-_-;)
大雪城を巡るコースは花も多く大変良かったです。
清川行人小屋も小奇麗でしっかりしています。道も手入れされていて歩きやすい足に優しい道でした。危険個所は殆どありません。サカサ沢の徒渉は通常であれば、跳び石で渡れます。それよりも裸足になって渡った方が確実でしょう。
行者道とはいえ参詣者も通る道ですから、危険極まりないというようなところは無いんですね。そのかわり長いです。
大雪城付近の道は、ペンキマークとロープを確認しながら歩けば、間違うことは無いでしょう。
天候を見極め、軽量化を図り、十分な時間を確保すれば誰でも行けると思います。山友が居ればなお良いでしょうね。
計画作って、机上登山しているうちに気力充実して、いつの間にか登っちゃった。なんてことになるといいですね。計画、実行、記録(総括)の三つが山の楽しみ、といいますから。あと一つ他人様に教える楽しみというのも有るかな。これは聞かされほうは迷惑でしょうけど。ではごめんください。
妙高さん、早い回復良かったですねえ。
いきなりの月山(*'▽')
月山の春スキーを本で見て憧れましたよ。
素朴な質問その1
修験者さん達は草鞋なんですか?
その2
雪渓は万年雪なんですか?
御心配かけましたが完全復活です。
一時はどうなることかと思ったのですが、今回の山行で足の異常は有りませんので、もう大丈夫だと思います。
最初は、ほんと立つのも杖にすがってやっとだったですから。でも回復も早かったんです。五日目には、杖が無くても何とか歩けるようになったんです。ほんとなんだったんでしょうね。原因も分からないんです。
月山はスキー場は冬お休みですからね。春からが本番。晴れた時は最高!!景色は良いし、ゲレンデは思いのまま。ただし、リフトの有る姥ヶ岳付近は混んでます。その他は広い山なのでコース取りが難しいですね。
スキー好きの仲間に”引きずられて”何回か行きました。広島からはちょっと遠いですけど機会があれば是非どうぞ。
質問1ですが、皆さん運動靴か登山靴ですね。草鞋の人もいるとは思いますが私は見たこと有りません。
質問2 真夏には登ったことは有りませんが、ガイドブックなどでも万年雪として紹介されていますので、雪渓は万年雪で間違いないですね。
妙高さん、おはようございます。
怪我から完全復活されて、静かなロングコースですね。
お疲れ様でした。
私が登ったのはゆるゆるハイクでしたが、終始真っ白暴風で何も見えなかったんですよ。
大きな山で雄大な眺めですね。私も見たかったな。
ダルマストーブに火をつけている様子など、目に見えるようですね。
本当の山登りってこうなんだろうな、ってちょっとしみじみしちゃいました。
また、素敵なレコを楽しみにしています。
こんにちは〜 harunonekoさん。
いや〜、暑いです〜(-_-;) 戸は開けっ放しにしてるんですが、風がゼロです(-_-;) 参りました。健康のため、エアコンは使わない主義ですから。って、ウソウソ。電気代節約、生活防衛のためです(-_-;)
月山は、どこから見ても円丘のような大きな山で目立ちます。暴風で何も見えなかったらルートはずしてしまいそう。といって山行日も自由になりません。いまんところ天気はコントロールできませんから、天気の悪い時は、ジッと時を待つしかないですね。何事も忍耐ですか。待てば甘露の日和あり。甘露が降るまで待ちましょう。
こんなのどうですか。山へ出かけて行って雑木を利用して小屋掛けし、焚き木を拾って火を焚いて、小っちゃな鍋で料理して、日暮れとともに眠り、夜明けとともに起き、また一日行動する。なんてのは。非現実的な話ですけど。一回くらいやってみたいですね。絶対こりごりすると思いますけど。
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