大雪山 旭岳〜白雲岳〜忠別岳〜トムラウシ
- GPS
- 128:00
- 距離
- 58.4km
- 登り
- 3,298m
- 下り
- 3,753m
コースタイム
- 山行
- 7:32
- 休憩
- 1:38
- 合計
- 9:10
- 山行
- 5:44
- 休憩
- 0:46
- 合計
- 6:30
- 山行
- 9:56
- 休憩
- 1:49
- 合計
- 11:45
- 山行
- 7:53
- 休憩
- 0:12
- 合計
- 8:05
天候 | 9日:16時〜 晴れ 10日:晴れ 11日:晴れ 12日:4時〜 快晴、12時〜 晴れ 13日:4時〜 快晴、12時〜 晴れ 16時〜快晴 14日:4時〜 霧、5時〜快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2016年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
船
・津軽海峡フェリーと高速はこだて号のセット「津軽海峡物語」を使うと、青森港から札幌駅まで6000円で行ける ・函館にある津軽海峡フェリーと青函フェリーの乗り場は別々の場所にあるので注意 ・札幌から旭川までJRより非予約制の高速あさひかわ号を使うと早いしお得。あさひかわ号は回数券(4枚セット)を使うとさらにお得 ・旭川から旭岳までいで湯号を利用。チケットはバス停隣りのローソンで購入 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・天人峡へ下るルートで第一公園と第二公園の間で、登山道が泥ですべりやすい箇所がある ・天人峡へ下るルート上に、4つ(箇所)ほどヒグマの大きな糞を見た ・北沼からトムラウシ山頂までの上りは、大きな岩の上を行くルートでヘルメットがあったほうが安全。雨天時、岩は滑りやすいので要注意 ・水場はかれていないが煮沸orろ過 |
その他周辺情報 | ・天人峡温泉ホテル天人閣 1000円の日帰り入浴で旭川駅へ無料送迎。シャンプー・リンス・バスタオル・フェイスタオル付き。出発時間を早めることもできる。 |
写真
装備
個人装備 |
飲料水6L
コッヘル
行動食
双眼鏡
スパッツ
薬
スプーン
割り箸
ヘッドライト
コンパス
マット
シュラフ
着替え2セット
長袖シャツ
長ズボン
靴下
登山靴
サンダル
帽子
カッパ上下
その他
|
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共同装備 |
料理用水用の2Lペットボトル(水場で確保)
浄水器(スーパーデリオス)
テント5〜6人用
テント4〜5人用 フライシート
ピクニックシート6枚(テントの下に敷いた)
テントポール
MSRドラゴンフライ
MSRガスヘッド
燃料ボトル
ホワイトガソリン2.6L
ツェルト
医療パック
GPS
その他
|
感想
弘前から電車とフェリーと高速バスを乗り継ぎ、約22時間かけて登山口となる旭岳温泉にたどり着いた。飛行機や新幹線などを利用する手段もあったが、交通費を極力抑えるようにするとこのように時間がかかってしまう。
この山行を計画するうえで、いくつか真剣に考える点があった。まずはコース選びと日程である。大雪山は本州のアルプスや丹沢などに比べて公共交通機関(タクシーは除外)によるアクセスが少なく、スタート地点が限られてくる上、テント場や小屋の場所も少ない。合宿特有の荷物の重さもある。こうした中、登山を始めたばかりの後輩や体力に自信のない後輩を連れていくとなると、山と高原地図のコースタイムと地形を睨めっこしながら慎重にコースを選ぶ必要があった。急な登りがあれば記載行動時間より最大30分増やしたり、平坦な道や下りは記載時間通りや10分ぐらい早めたり、1日の行動予定時間は8時間以内で長くても9時間にしたりと、いくつか自分の中でルールを決めて、コースを選んだ。結果、初日は荷物の重さ、後半は疲労により、予定より30分ぐらい遅くなってしまったが、1時間や2時間などの大幅なズレがなくてよかった。
そして水場の問題である。皆さんご存知の通り、北海道にはキツネを媒介するエキノコックスという寄生虫がいる。(本州にもいないことはないらしい)キツネが排泄する糞の中に奴らはいて、諸悪の根源はキツネの糞便である。糞便がキツネの体毛にベットリと付けば、キツネの体は寄生虫だらけであるし、糞便が転がって沼に落ちれば、その沼は寄生虫のプールになってしまう。とにかく、雪解け水や沼の水、沢の水に彼らが潜んでいる可能性があるので飲料水は下界で6Lを目安に購入して、料理用水(共同用水)は浄水器による濾過と沢の水の煮沸でカバーした。この6Lは以下のように算出した。”登山中の脱水量=…”合宿前のいくつかの山行で、この計算式による水分量と実際飲んだ水分量を比較したら、計算値の80%も飲んでいないことが分かった。したがって、500mL〜1L分余裕を持たせて6Lにした。しかし、結果としてもう2L分足りなかった。計算がずれた原因は好天と低湿度を予想していなかったことと、後輩のミスにより、きれいな飲料水を料理用水に使ってしまったことにあると思う。合宿前の山行は雨の日が多く、湿度も高かった。それに比べて、今回の山行は太陽光を浴びる時間が多く、空気も乾いていた。身体からの脱水条件は雲泥の差である。下山日の前日に浄水器を使って、雪解け水をろ過した。
ヒグマ。北海道は礼文島や利尻島以外ヒグマの生息地らしい。襲われるとヒトの肉体はひとたまりもない。出発前にヒグマ講習を行って、知識を共有した。元々部室にあったクマ鈴やクマスプレーを用意して臨んだが、最終日に彼らの大便を4つ確認しただけで、姿を見ることがなかった。せっかくだから彼らをこの目で見てみたいという気持ちになったのは自分だけだろうか。
8月11日
この日は山の日!ロープウェイを利用せず旭岳温泉から姿見駅まで林道と登山道を利用する案も考えていたが、参加メンバーや体力状況によりロープウェイを利用することにした。前日、ビジターセンターに確認したところ、ロープウェイの出発は6時とのこと。早朝、キャンプ場を5時45分に出発し、駅に着いたら、あと10人しか乗れないと乗務員に言われる。100人乗りのロープウェイに100人近く乗った状態で姿見駅へ。皆、荷物の重さに慣れてなく旭岳の上りはゆっくりペースで登った。休憩の要求がいつもより速いペースであったが、休憩を取りすぎても到着時間が遅くなり、のちの行程に支障が出てしまう。要求があった時点から少し行った地点に切りが良い場所があれば、休憩を取るようにした。旭岳頂上はスペースが広く、そこに30人ぐらい登山客がいた。ほとんど軽装である。頂上でボトルキャップにウィスキーを注いでもらい飲んだが、体が温まった。標高は2291mであるが気温は初秋の様だ。裏旭キャンプ指定地への下りには大きな雪渓が残っていた。ザックをそりの様にして滑る者がいたが、自分は尻滑りを試みる。滑り終えるとお尻がビショビショで手が死ぬほど冷たい。なんとか間宮岳、北海岳を越えて白雲岳分岐に差し掛かると、脇の登山道にエゾシマリスが現れる。肉眼で見たのは初めてで、皆驚嘆していた。SLはデジカメを連写し、数打てば当たる作戦でベストショットを手に入れたみたいだ(上の写真)。また白雲岳の頂上ではキタキツネに出会った。東北では見られないような動物に会えた。
8月12日
準備する音が騒がしくて、起床予定時間の10分前に起きた。キャンプ場は激混み状態らしいので無理はない。30張りはあったと思う。この日は計画する前から憧れであった高根ヶ原を快晴の天気のもと歩くことができた。見晴らしの良い大平原を歩くのは気持ちがいい!朝6時に出発して忠別岳避難小屋に着いたのが12時半。朝露で濡れて重くなったテントを干すためにキャンプ指定地にテントをたて、時間になったら撤収した。体力回復もかねて避難小屋に泊まらせていただいた。
8月13日
早朝はヒグマが出やすいのは分かっているが、まだ太陽が顔を出していない4:00に小屋を出発した。ヒサゴ沼にデポしてトムラウシピストンをする予定のため、時間に余裕を持たせた。この日も朝から快晴で、五色岳頂上からのトムラウシ展望は最高だった。ヒサゴ沼分岐までなかなか良いペースであったが、そこからヒサゴ沼までの下りで全体のペースが落ちた。ある後輩が膝を曲げると左膝関節外側後部が痛いと言い出したのだ。予定より40分遅れで8時にヒサゴ沼に着いた。テントをたて、サブザックに昼食と水と行動食とカッパを用意し、残りの荷物をテントに入れた。膝を痛めている後輩にはメンソレータムを塗り出発した。彼には行くという強い意志があった。2万5千分の1の地形図ではヒサゴ沼の西端から稜線に出る道が2本ある。1本は谷を上りコルへ行き、もう1本は西側にあるの尾根を直登する。後者はふみ跡が見えず急勾配な雪渓が夏道を覆っていたので今回はパスして、前者を選択した。トムラウシ頂上までの距離でいうと後者のほうがやや近いが、後の行程で、稜線からこの道に入るあたりで、ペンキのバッテンマークを確認した。今は入れなくなっているらしい。軽装のサブザックなのでハイペースでも行けるだろうと予想したら、トムラウシ頂上への上りは頑張ってついてきてくれたが、下りで後輩達がバテ気味になってしまった。北沼分岐から頂上までは意外と長い。大きな岩を伝って頂上へ向ったが指標となるペンキマークが不明瞭で、ルートファインディングに苦戦してしまった。途中、ナキウサギを見たものもいた。頂上では南西に十勝岳や美瑛岳、北に旭岳や忠別岳など周りの山が一望できた。ヒサゴ沼のキャンプ場に戻ったら東側の沼で元気に飛び跳ねたり水を渡るエゾシカをSLが発見した。ヒサゴ沼は、夜は寒いが、日中は波も穏やかで落ち着いた場所である。今思えばもう一泊してもよい場所であった。
8月14日
この日は、化雲岳に登って天人峡温泉に下りた。化雲岳頂上では南南西からの強風が吹きつけていた。SLがここを休憩ポイントにしたが、風を防げる場所はなく、あまりいいポイントとは言えない。見る見る体温は下がり、時間になったら足早に出発した。天人峡温泉までの下りは長く感じた。ペースがゆっくりな上、休憩を頻繁に要求してくるのが要因であろう。終盤ではSLや他のメンバーが意味の分からないことを叫んでいたのを覚えている。
僕が山岳部に入部して数年経つが、その間、北海道の山に踏み入れたのは今回が初めてである。そこには登るべき山がたくさんあると思う。この山行が後輩たちにとって北海道の山に触れるヒントやきっかけになってくれることを信じている。
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