鋭さとたおやかさとー大源太山・七ッ小屋山
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- GPS
- --:--
- 距離
- 9.4km
- 登り
- 1,102m
- 下り
- 1,086m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
車が林道に入ってからは、すれ違いの困難な一本道を、時に草に車体をすられながら進む。この時間帯だから、まずないと思うが、ひたすら対向車が来ないことを祈りながら走る。それにしてもやけに長く感じた。(しかし、帰りはあっという間だった。)
駐車場には5台ほどの車がとまっていた。ドアをあけると、アブがうなりながら寄って来る。あわてて、ドアを閉める。山支度を始めると、新たに1台やって来た。男性2人が降りて来て、あいさつを交わす。会話の端々から、この山には何度か足を運んでいる感じだ。
登山口から林間の平坦な道を10分ほど行くと、5、6メートル幅の沢にぶつかる。それほど深くはないが、けっこう流れもあって、ロープが渡してある。川底の石への足の置き場を誤って、靴の中に水が入ってしまう。
今日は、歩き始めから足取りが不安定で、おぼつかない。数年前、高妻山に登った時のことを思い出す。やはり足が地に着かない感じで、スリップしたり、躓いたりを繰り返した。挙句の果て、山頂直下の下りで、転倒し、紙一重で、切り立った崖からの転落を免れた。もう半身、体が回っていたら、大事故になっていた。あの時と登り始めの感じが似ている。気を引き締めて、ゆっくり行こうと、自分に言い聞かせる。
沢を渡ると、「謙信ゆかりの道入口」の道標が立っていて、大源太山の表示に従って、左に道を取る。しばらく沢沿いに道が続き、再び、渡渉点となる。沢を渡って、小休止するため、ザックをおろす。そこで、ザックのポケットに入れて来たはずの、ボトルがないことに気が付く。持参した残りの水の量を考えると、この暑さの中では、足りるかどうか不安だ。とりあえず、沢の水をたっぷり飲み、水を半分ほど入れてきたペットボトルを満タンにする。
少々、意気消沈していると、登山口で会った二人がやって来て、先行していく。しばらく休んでから、気を取り直して、歩き始める。調子によっては、七ッ小屋山を巡る周回コースは諦め、大源太だけのピストンにしようと考えると、少し気が楽になる。
道が沢を離れると、尾根の急登が始まる。これでもか、これでもか、という急坂が絶え間なく続く。汗が噴き出て、たちまち、ズボンもTシャツもびしょ濡れとなって来る。しかし、急登に掛かってから、不思議に、足元が安定し、調子が出て来た。きついことはきついが、金城山の水無コースの登りに比べたら、まだましというものだ。
途中で、先程の二人に追いつく。聞くと、群馬の人で、今日は周回コースを行くという。こちらは、様子を見て、大源太で引き返そうと思うと言うと、だいじょうぶ行けますよ、と励まされる。
二人と分かれ、さらに急坂を登り続けると、弥助尾根に合わさるところまでやって来る。急に視界が開け、大源太山が大きく目の前に聳え立ってきた。
眺めると、山頂直下の切り立った尾根が、見るからにきつそうだ。しばらく緩登が続く。鋭鋒、大源太の右肩には、七ッ小屋のたおやかな稜線が見える。
途中3人の若い男性が休んでいるところを通り抜け、いよいよ最後の登りに掛かる。両側が切れ落ち、ロープや、鎖がある個所を慎重に登り、山頂に立つ。
山頂からは、巻機山や谷川連峰の山々が見えるが、残念ながら、いずれも山頂付近はほとんど雲が掛っている。快晴の日に、この頂に立ったら、すばらしい眺望が得られるに違いない。正面に大きく見える七ッ小屋山を眺めていると、両袖に裾野を長く引いた、実に形のいい山容をしている。その姿に惹かれ、周回コースを行くことを決断する。
ただ問題は、山頂直下の岩場だ。数年前から、この周回コースを登ってみたいと思っていたが、この切り立った岩場の通過が、ためらいの原因となっていた。
こういう岩場は、久しぶりなので、始めから足がすくむ。我ながら、へっぴり腰で、情けない。しかし、鎖に取り付いてからは、恐怖感も次第に治まり、何とか難所を通り抜けることが出来た。ここは登りの方が楽かもしれない。
最低鞍部まで下り、振り返ると、あらためてその険しさに、しばらく見入ってしまう。七ッ小屋への登りは、見た目より、きつかった。中腹の辺りから急登が続き、暑さで体力も消耗してきているので、足取りが重い。ただ、所々に色とりどりの花が咲いていて、それが苦しさを紛らわせてくれる。このあたりで、反対から周回してきたグループとすれ違った。
シモツケソウのピンクの花畑に囲まれた、清水峠分岐の道標を過ぎると、七ッ小屋の山頂に着いた。山頂には三角点の標柱と、古びて朽ちかけた道標が立っていた。先ほどからあたりはガスに覆われ、何も見えない。
取りあえず、昼飯にする。食べ終わる頃、群馬の2人、続いて若者3人が到着し、山頂は急に人が多くなった。
40分ほど休んで、ひとまずは、シシゴヤの頭を目指して、出発する。たおやかな草原をいくようなこの道を、謙信ゆかりの道というらしい。上杉謙信がここを歩いたのだろうか。甲冑姿で、この雄大な風景の中を行く姿は、確かに絵になる。
緩やかな下りが続き、本来は歩きやすいのだろうが、ところどころ笹が登山道をおおっていて、慎重に歩かないと、躓いたり、滑って転びそうになったりする。
ガスも晴れて来て、右手には、谷川連峰の険しい峰々と深く切れ落ちた谷が見える。一方、左に目を転じると、大源太山が鋭く天に突き立ち、七ッ小屋山がどっしりとした優雅な姿を見せている。この2つの山は、対になってこそ、はじめて見事な山岳風景をなすという思いがする。どちらが欠けても、単調なそれになってしまうような気がする。それにしても、七ッ小屋山という山名、もっとふさわしいいい名前があってもいいのではないだろうか。
シシゴヤの頭までは、小さいアップダウンを繰り返しながら下るのだが、疲労の蓄積もあってか、むしろ登っているような感覚になる。
持参した1977年発行の登山地図では、シシゴヤの頭から旭原へ下る道は記されていない。尾根伝いに、中里スキー場に至る道のみが破線で記載されている。廃道になったのだろか。道標には、旭原以外の行く先は記されていない。
ここからは、標高差700メートルを一気に下る。傾斜が急である上に、ひどい暑さも加わって、疲れた体には、きつい。ただ、途中から道がつづら折りに切ってあって、これにはずいぶん助かった。
ようやく、謙信ゆかりの入口までたどり着いた時は、ほっとした。沢の渡渉も、何とか無事に通過し、登山口に到着した。
久しぶりに、ハードな登山をして、実にきつかったが、体にカツが入った気がした。何よりも、新潟100名山を一気に2つ登れたのが嬉しい。
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