笠新道・読売新道【雨祭り】
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- GPS
- 76:29
- 距離
- 51.7km
- 登り
- 4,059m
- 下り
- 3,712m
コースタイム
- 山行
- 8:04
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 9:14
- 山行
- 6:09
- 休憩
- 0:24
- 合計
- 6:33
- 山行
- 8:49
- 休憩
- 1:05
- 合計
- 9:54
- 山行
- 4:26
- 休憩
- 0:07
- 合計
- 4:33
4日目は途中不思議な力が働いて7:47に平乃小屋の下に着いているので、時間は参考にしないでください。本来なら10:20発まで待ってから渡ることになります。
天候 | 1日目(8/24):雨 2日目(8/25):雨のち雷雨 3日目(8/26):雨のち晴れ 4日目(8/27):快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路:黒部ダム〜扇沢 トロリーバス(\1,540) 扇沢〜長野駅 高速バス(\2,600) 長野駅〜都内 北陸新幹線 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・新穂高温泉〜笠新道入口:林道。まったく問題なし。 若干登り坂なので調子に乗って最初から飛ばすとバテます。 ・笠新道入口〜杓子平:最初の九十九折れは傾斜も緩く、フラットで楽です。 中間点(標高1920m)以降は大きな岩が続きます。中間点で杓子平まで あと1.5時間の表示がありますが、かなり健脚でないと無理な気がします。 登りでは特に問題はありませんが、下ってくる人はみな雨で滑る雨で滑る と言っていました。 ・杓子平〜抜戸分岐:杓子平から稜線までは一旦下って斜度ゆるくなりますが 稜線に出る間際は勾配きつくてやはり疲れます。 ・分岐〜小屋〜笠ヶ岳山頂:稜線に出ると風があります。 抜戸岩まではやや下り基調。いつ登り返すのかなと思ってると最後に ぐんと上がっていきます。 テン場のあたりで「ガンバレ」とか「もうすぐ」のペンキが見えてきます。 が、そんなにもうすぐでもないです。(小屋まで200m) 小屋から山頂はガラ場です。 ・笠ヶ岳山荘〜双六小屋:そこそこアップダウンはありますが、 笠からだと下り基調なのでそんなにしんどくはないと思います。 逆から来た人は疲れたと言っていました。 ガスってたこともあり、この区間で雷鳥をたくさん見かけました。 抜戸岳〜くろゆりベンチは風は弱め。双六谷に入るとまた風が強くなります。 ・双六小屋〜三俣山荘(巻道):雨風強い状況だったので巻道を選択しましたが ずっと沢のような状態でした。この区間、荒天時に双六側に撤退するために 通過する場合も結構あると思いますが、スパッツはあった方がよいです。 三俣小屋で必死に靴乾かしてる人たくさんいました。 ・三俣山荘〜黒部源流〜岩苔乗越:この区間も沢状態。雨が強いと源流や 手前の渡渉が厳しくなるので、ルートに入る前に小屋で確認しましょう。 (三俣山荘の土間に各ルートの状況の掲示板があります。) 源流以降、奥黒部ヒュッテまで水場はありません。 三俣山荘でしっかり汲んでおくか、源流あたりの沢の水を汲むか、 水晶小屋で買うか。いずれにしろしっかり水は持ちましょう。 ・岩苔乗越〜水晶岳:風の強い区間。水晶岳直下は岩場です。 飛ばされないように慎重に。 ・水晶岳〜赤牛岳:水晶岳直下は岩場の急坂です。慎重に。 北峰を降りると赤牛までは登り基調のアップダウン。 赤牛までは引き続き風が抜けるエリアなので、防風防寒はしっかりと。 ・赤牛岳〜奥黒部ヒュッテ:読売新道は山頂(8/8)から一定間隔で標識が あります。下りだとだいたい20〜40分間隔。 6くらいまではゴーロ帯、途中崩落地のトラバース等あります。注意。 5より下は樹林帯。数日雨続きで樹林帯はひどいぬかるみでした。 下りは段差が大きくて、足置ける場所が粘土質だったり、木の根・滑る岩 だったりでかなり滑ります。注意。スパッツつけておいたほうがよい。 ・奥黒部ヒュッテ〜黒部ダム:地図上水平ぽく見えますが、いろんな人が 書いている通り、沢を通過するたびに丸木のはしごのアップダウンがあり 結構タフなルート。そこそこコースタイム通りかかるとみておいた方が いいです。雨が降ると、はしごの丸木が滑りまくるので注意。 平の渡しは6:20、10:20、12:20…に奥黒部・針ノ木側発。 ヒュッテを2.5〜3Hくらい前に出て、平から見える場所で待機とのこと。 (6、10、12時…の時点で望遠鏡覗いて人いなさそうなら船出さない) ロッジくろよんは目視できてから大きく入り江を迂回するので、 1時間くらいはかかります。絶望しないように心の準備を。 |
その他周辺情報 | ・黒部ダムレストハウス1F売店の冷やし焼き芋(500円):結構ボリュームもあって、糖分・水分の補給、あったまった体のクールダウンになりました。 ・大町温泉郷 薬師の湯:大町・長野行のバスが停まるので、時間に余裕があれば途中下車して温泉に入ってから帰ることもできます。 (今回はちょうど長野行のバスがあったのでお風呂には入らず、トイレで着替えてボディーシートで体拭いて帰りました) |
写真
1800から20分弱
杓子平まで1.5時間とありますが、自分は2時間かかりました。
ここから先も看板は出てましたが、防水ケースの表面が濡れ濡れで静電気が発生せず、iPhoneで写真を撮ることができませんでした。
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
雨具
日よけ帽子
着替え
予備靴ひも
ザック
行動食
非常食
ハイドレーション
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
日焼け止め
時計
タオル
ツェルト
ストック
カメラ
ポール
モバイルブースター
小屋用着替え(ハーフパンツ・ヒートテックタイツ・ダウンジャケット)
|
---|---|
備考 | ・不覚にも長袖Tを忘れてきてしまいました。強い風雨の稜線歩きでは痛い失敗。雨具の下に半袖T重ね着で対応(でもやはり腕が寒かったです。) ・雨具がもうボロボロだったので、2.5レイヤーのレインジャケットに変えてみたのですが、北アルプスの稜線で風雨の中一日歩くと8月でも寒め。ただ、ロングT着てたらまた違った感想なのかも。まあでも風が強いなら厚いハードシェルの方が安心感ありますね。下はファイントラックのエバーブレスフォトンにしてみましたが、伸縮性あって動きやすく、透湿性もよい感じでした。 ・ここ最近の北アルプスではスマホの充電はだいたい小屋で(有料で)出来る感じになりつつあります。モバイルブースター持っていきましたが、小屋泊まりなら省略してよいのかも。 |
感想
去年の夏、室堂から薬師・黒部五郎・槍を通って上高地まで歩いたときに、越中沢岳あたりから見た赤牛がすごくボリューム感のある雄大な姿で、来年の夏は読売新道を歩きたいなと思ったのが今回のルートを計画したキッカケでした。
読売新道だけなら新穂高から小池新道で向かえば早いわけですが、それだけだとちょっと物足りない気がして、まだ行ったことのない笠ヶ岳を組み合わせることにしました。クリヤ谷も考えたのですが、天候にによっては渡渉が問題になりそうだったので笠新道に。
そんなわけで、笠新道&読売新道というちょっと体力勝負な組み合わせのルートとなりました。
【前夜:8月23日(水)】都庁〜新穂高
1週間前くらいにはそこそこ晴れそうな予報だったのに、日が近付くにつれ思わしくない方向になってモチベーション下がり気味でしたが、バスを押さえてしまったからにはとりあえず新穂高までは行くしかないなと、ひとまず準備。
前週末、妙高に登ったら晴れなのにポケットの中でiPhoneが死亡してしまい、最近時計をしてなかったので(腕時計焼けが嫌だったり、アウトドア用の分厚いのだと手にあたって痛くなるのが嫌だったり)、時間が分からなくなってだいぶ困りまして、今回は妻のプロトレックを借りていくことに。
あと、通信手段の予備としては防水のガラケー(会社携帯)を持っていくつもりだったのですが、バタバタ準備してるうちに忘れてきてしまいました…
クルマならとりあえず手近なものごっそり持っていっとけばなんとかなる感じありますが、電車・バス移動って普段あまりやらないので、なんかつい忘れてしまいますね。
3列シートはかなり快適。座席ごとに電源もあるし、リクライニングもかなり倒せます。倒しすぎて首の位置が決まらず若干痛くなりましたが・・・4列に比べれば断然いい状態で朝を迎えられます。
バスは上高地経由で新穂高へ。ザックの積み込み見ていた限りでは上高地と新穂高半々といったところで、1〜2泊小屋泊まりくらいの結構軽めの荷物の人が多かったです。槍や穂高に登る人が多いんでしょうかね。上高地到着時点ではザーザーの雨。新穂高も降ってんだろうなとちょっと重い気持ちになりましたが、着いてみるとガスってるだけでまだ降ってはいない状態でした。
【初日:8月24日(木)】新穂高〜笠新道〜笠ヶ岳小屋、笠ヶ岳ピストン
新穂高の指導センターでまずはトイレ。男子トイレが並んでるとは思ってなかったので意外でしたが10分ほど待ち。バスのトイレで済ませておくんだった…
降ってはないものの雨のち曇りの予報だったので、最初から雨具をフルに着込んでる人、とりあえずジャケットだけ着とくかという人、ザックカバーだけであとは傘でしのごうって感じの人と、いろいろ。自分もカバーだけで出発しようとしたら降り始めたので、いそいそと雨具を着込んで出発。
笠新道入口でペットボトルに水を足していよいよ登り。杓子平への中間点(1920m)までは道もよく快調。人にも出会わずひっそり森林浴を楽しめましたが、半分以降は岩が大きくなりだんだんツラくなってきます。このあたりで笠小屋から降りてくる人たちとすれ違い。
中間点から杓子平まで1.5時間って書いてあったので1時間ちょいあたりからまだかまだかと思いながら登ってましたが結局2時間かかりました…精神的に堪える。
雨はしっかり降っていて杓子平に着いても先がどうなっているのか見えず、なかなかつらいものがありましたがなんとか14時半ごろには小屋に到着。双六から縦走してきた人たち数名と先に笠新道を上がってきた人2〜3人といったところで、さすがにこの雨だとガラガラな感じ。
小屋について、受付したらまずはラーメンを注文。笠ヶ岳山荘のラーメンは600円で具も結構たくさんあってお得です。麺は袋めんの波なみしたジャンクな感じ。
土間のところにテーブルが2卓、1卓は薪ストーブを囲むようになっていて、雨で冷えた体には嬉しい。ラーメンであったまってから部屋に通してもらいます。8人部屋に一人。今日は個室かなあと思っていたら17時過ぎにもう一人きました。
部屋で着替えて、乾燥室に濡れモノを干していたら窓が明るくなってきたので、カメラだけもって山頂へ。ガスって景色は見れませんでしたが、クリヤ谷へ下りる道が見えていました。結構急そう。
山頂では、百名山完登された方が記念撮影されていました。笠新道をあがって笠で完登にしたかったとのこと。自分は百名山チャレンジしていませんが、人ぞれぞれラストはここでって思いがあるんでしょうね。知り合いが、お父さんの果たせなかった百名山の残りを引き継いで登っているんですが、残り10山程度で穂高が残ってるというので、それはお父さんが最後にとっておいてたんだと思うとアドバイスしました。そうとしか思えない。
もう少しガス晴れないかなと山頂で待っていたら、なんか茶色いモノがちょろちょろ。オコジョがいました。人がいるのを見てかなり近くまで近寄ってきてたので、誰か餌付けしてしまったのかもしれませんね。
晩ごはんのときにみなさんの行く先を聞いたところ、だいたいの人は笠新道下山でしたが、一人お弁当をもらってた人が三俣までいって黒部五郎小舎まで行くか考えたいとのことだったので、同じ方向の人がいるなと安心。
自分もできれば水晶小屋まで行くつもりだったので、朝ごはんはお弁当で、アラームを4:00にセットして早めに就寝。
【2日目:8月25日(金)】笠ヶ岳小屋〜双六〜巻道〜三俣山荘
廊下の電気がついて外でごそごそしてるのが聴こえたので、あれ?っと思って時計を見るともう5時前。弁当にした意味ないじゃん…と思いながら、急いで着替えて、ちょっとだけ弁当をつまんで飛び出ました。ちなみに笠小屋の弁当は笹にくるんだ酢飯メインのもので、かなりボリュームあります(おにぎり3個くらい?)。途中でちょびちょび食べながら、翌日ようやく食べきりました。
予報どおり朝から強い風雨。冷えそうなのでカッパの下には半袖T・長袖Tでレイヤリングするつもりでしたが、不覚にも長袖Tを忘れていたので半袖2枚重ねでなんとかしのぐことに。抜戸岩までは吹きさらしでしたが、そこから先は稜線より少し東に隠れたところに道がついていたり、ハイマツやシャクナゲに覆われていたりして、冷え切らずに歩くことができました。
抜戸岳をすぎて大ノマに登るあたりで一人目とすれ違い。話をしてると、今日初めて人に会ったとか。黒部五郎に行く人はどうしたんだろう…。雨強過ぎて笠新道おりてしまったのか、双六か三俣までに決めて遅出にしたのか。
弓折乗越までくるとだいぶ人が増えましたが、だいたいの人は鏡平へ下山の方向。まあこんな天気だし。双六谷に入るとまた風が強くなり、冷えてきたところで小屋に到着。あんかけラーメン(1000円)を注文。冷えた体にあったかいあんかけ、最高にあったまってうまい!…んですが、なぜか出てくるまでに20分。その間にだいぶ体が冷えてしまいました。
天気は一向によくならずこんなに体冷えて大丈夫かなと思いつつも、最低でも三俣までは行っておかないと読売新道はあきらめることになるので、三俣小屋へ向かうことに。売店で売ってたTシャツ(7番だったかな)、双六岳の丸い稜線の先に槍穂が見えて空から星が降ってきてるデザイン、すごくいいなあと思ったんですが、今回は双六に泊まるわけでも登るわけでもないのでパス。また今度にしよう。
双六の稜線はもともと風強いところなのでこんな日は巻道一択ですが、巻道も巻道で上りも下りも道が全面沢になっていて、晴れてればちょろちょろの渡渉も激流に。さらにゴロゴロと不穏な音が鳴り始めました。
雨も沢も別に気を付けて歩くだけだからいいけど、雷はさすがに気持ち悪い。ちょっと急ぎ目に、ただまだ水晶小屋まではあきらめてないので体力は残しつつ三俣小屋をめざします。
お昼ちょい前に三俣山荘に着いてまずは展望食堂へ。ケーキとホットミルクで栄養補給。水晶小屋まで歩くかどうか悩みつつも、1〜2人カッパ着た人が出て行ったので、自分もあと3時間弱頑張ろうと思って支度していたら近くでドーン!と大きな雷が。その一発ですっかり心を折られて停滞に傾きました。
1Fの受付に戻って、水晶小屋予約してるんで行きたい気持ちはあるけど、道大丈夫ですかねと一応聞いてみたら今日はやめとけと言われたので、やっぱそうよねと大人しく宿泊受付。いったん出てった人もあまりの雨でまた戻ってきました。
北アルプスの交差点、三俣山荘もこの日は30人弱。1Fの20人部屋も7〜8人でガラガラだったので、ザックからスタッフバッグを全部出して空いてるところに並べて、袋を乾かしつつ濡れものは乾燥室へ。人が少ないのでたくさん干しても大丈夫。今までマムートのトリオンっていう内袋が防水バッグになってるザックだったのでザック内の濡れには無頓着でしたが、普通のザックだとザックカバーしてても内側濡れてきてしまいますね。同じ部屋のおじさんがシートゥーサミットの30Lくらいの防水スタッフバッグにまとめて荷物を入れてて、ああいうのはアリだなと思いました。
お昼に停滞を決めてしまったので本を読みながら時間つぶし。三俣山荘くると、いつもナウシカを読んではいいところで終わって消化不良になってしまいます。思い出ノートも例年どおり学生の部活の人たちがメンバー一人ひとりや別行動のチームへメッセージを書くというよく分からない場になってて、まあでもなんか面白いです。
そうこうしてると腕時計のアラームが。昨日AM4時にアラームセットしていたつもりが、なんとPM4時になっていました。よく見たら小っちゃくPの字が入ってました。借り物だからイマイチ使い方分からないや。
晩ごはんは鹿のジビエシチュー。2度目だか3度目だかですが、美味いです。前より美味くなってるような。
今日停滞してしまったので、明日が長丁場。ただ、9時以降晴れの予報なのでなんとか行けるだろうと期待して就寝。小屋でちらほら読売新道に向かうような話も聞こえてたので、一人ではなさそう。
【3日目:8月26日(土)】三俣山荘〜源流〜水晶〜赤牛〜奥黒部ヒュッテ
5時前に起きて、朝ごはんをさっさと済ませ出かけます。受付で昨日よりは風も弱いけど、ワリモ北分岐から先風が強いので注意するようにとのこと。
一度間違って鷲羽の稜線の方に出てしまいましたが、これ違うなと小屋まで戻って、テン場のところから源流に下りていきます。源流の前に2回ほど渡渉があり、増水してて激しかったものの、なんとか靴の中は濡らさずいけました。源流は全く問題なし。
岩苔乗越にあがっていく途中でだんだん雨が弱まり、乗越でだいたい止みました。雲の平からきたおじさんと少し会話。ワリモ北にあがる斜面では、前日読売新道あがってきたという2人組とすれ違い。昨日は一日風に吹かれまくったけど、今日は楽しいだろうねえと声をかけてもらいました。
水晶小屋まできたところで薬師の上のあたりには青空も見えてきて、これならもう大丈夫だろうとカメラを取り出しました。水晶岳からは槍穂、三角の大天井とその奥に常念、燕のぽこぽこした山並み、いつもは平板に見える裏銀座の稜線もここからは立体的で、とてもいい気分で稜線歩きを満喫できました。雨の中大変でしたが、この素晴らしい景色の中を歩けるなら、苦労やリスクを冒す価値は十分にありました。
水晶から先、赤牛に向けて稜線が見渡せるようになると先行者が一人。読売新道おりていくんだろうなあと思って歩いてると、あとひと登りのところにザックをデポしてるところで追いつきました。聞くと赤牛はピストンして高天原におりるのだとか。
だったら、温泉沢の頭でデポしとけばいいんじゃ…と思いましたが、あまり遠すぎると荷物が心配だったんでしょうか。後ろから人(自分)も来てるし。
赤牛は素晴らしい景色。北には黒部ダムを挟んで対峙する立山・後立山、西側は正面から見る薬師岳の威容、南は鷲羽の両脇に見える槍と笠のとんがり、今まで見たことない景色ばかりでした。昨年の夏、室堂から五色ヶ原、薬師、黒部五郎を通って槍に抜けたルートがぐるっと見渡せます。しばらく堪能したあと、赤牛ピストンのおじさんと山頂で別れ、読売新道へ。
もうすっかり晴れていたものの赤牛までは風があって肌寒かったので、レインウェアのままおり始めましたが、読売新道に下りると風がすっかり弱まってじりじりと太陽の熱を感じはじめたので雨具を脱いで軽装に。ただ、このときスパッツも脱いでしまったのは失敗でした。
読売新道は5/8から下は樹林帯に入ります。その上も崩落地とかゴーロ帯とか楽な道ではありませんが、ここからが本当の試練。木の根や石の段差が普通よりもかなり大きく、かつ滑ります。何回かコケて、何度目かのときにストックが両方折れました。ヘリノックスのポール、軽くて取り回し楽で愛用していたのになあ…。
上段レバーロック・下段ボタンロックで、伸縮がすごく楽なタイプなんですが、ボタンロックの部分が穴あけ加工している分どうしても強度が弱く、そこから割れたようでした。アルミだから壊れるときは曲がるのかなと思ってましたが、折れるんですね。
急坂は滑りまくり、斜度が緩むと足首まで埋まりそうな深いぬかるみに苦労しながら、ふとぬかるみに全く足跡がないことに気が付きました。結局、三俣から来た人はいなかったのか…そして水晶小屋からも読売新道に向かった人はいなかったみたいなのね…
先行者もいないし今から登る人もいないだろうし、景色も見えないしでダレてきたところで、ふいに軽装で登ってくるおじさんが。時計を見ると15時前。びっくりして今からどこまで行くのか聞いてみたら、ちょっと途中までいって戻ってくるんですわ、と。
お散歩か何かなのかなあと思いながら、30分ほど下ったところでようやくヒュッテに到着。どうやら今日はダムから来た人もいないようで、客は一人。テン泊の人は何人かいるようでした。一人なのに乾燥室もつけてくれて、お風呂も入れてくれて、至れり尽くせりでホントに感謝。
水場の下で靴を洗ってたら、テン泊の人が水を汲みに来て、明日読売新道あがるつもりだけど、もし水晶小屋までたどり着かない場合テント張れるところあるかって聞かれたので、赤牛から少し下りた鞍部は砂地で張れないこともない、温泉沢の頭より先は岩場なので張る場所はないと教えておきました。ただ、明日も晴れるし朝早く出れば小屋まで着かないはずないのになあとちょっとおかしな感じがしました。
【4日目:8月27日(日)】奥黒部ヒュッテ〜黒部ダム
平の渡しは6:20の次は10:20。3時間くらい前に出れば大丈夫ってことだったので、7時半くらいに出ればいいかと6時にゆっくり朝ごはん食べてると、昨日すれ違ったおじさんが、6時半くらいに出られるなら時間短縮できるよと言うので、急いで支度して出発。
出がけに小屋のご主人から、読売新道やこの先のダムまでの道の話を聞きました。読売新道は読売新聞が記念事業で開通まではやったものの、その後のメンテナンスは全くといっていいほどやってない。自分も仕方なく年数回は様子を見に上に上がるけど、そのたびに滑って転んでは突き指する。
一方、ヒュッテから先ダムまでは、関電が黒部ダム建設の補償として整備しているので、3日にいっぺんは関電の人が点検に来て、壊れてるところがあればすぐに補修する…のだそうです。
道って作って終わりじゃなく、メンテナンスこそが重要なのだなと改めて感じました。
小屋を出たら昨日話しかけて来たテン泊の人がのんびり出かけようとしてました。それ、初めから指定地外にテント張る気満々やん…とちょっとがっかりな気持ちになってしまいました。小屋泊で高い金払いたくないなら、めちゃ早出して三俣なり雲ノ平まで行ってテント張ればいいだけの話なのに。
1時間弱、丸木のはしごを下りたり登ったりしてると、東沢の幅が広くなって湖岸に出てきました。ふと崖下を見るとボートが。そうしてるとおじさんが追いついてきて、崖をおりよう、と。どうやらおじさんのボートのようです。
このおじさん、読売新道の5/8にある雨量計の交換をしにきてる人らしく、ダムからボートで入って来るのだそう。この時期は水が多いのでここまで入ってこれるけど、秋になったらもっと下流から歩かないといけないとか、もとはこの辺の人間だけど今は街に出てるとか、いろいろ話を聞かせてくれました。
平の渡しまでつけてもらって、おじさんは小屋の親父さん(親戚)が最近調子悪いらしいから会ってくると言うのでここでお別れ。渡しまでの1時間の歩きと船待ちの時間を短縮できました。
あとはダムまで3時間ちょい。ヒュッテの親父さんは平から先は道もよくなるって言ってたけど、最初の1時間はほとんど変わらずはしごを下りたり登ったり。これ、結構疲れます。
1時間ほど歩いて9時前ごろ、トレラン風の軽装のお兄さんに会って渡しまであとどれくらいか訊かれたので、10時の船乗るならちょっと急いだ方がいいかもと伝える。今日奥黒部までなら急ぐ必要もないし、針ノ木古道登って扇沢までワンデイの人だったんでしょうか。その後が気になります。
その後は特に波乱もなく、ロッジくろよんが見えて、その先の入り江の広さにうんざりし、ロッジの自販機で冷えたジュースを呑んで久々に文明の香りを味わい、あとはダムまで舗装路をお散歩。ダムはここ数日と打って変わって人だらけの観光地でした。
トロリーまでの待ち時間、売店で冷やし焼き芋でクールダウンしてから扇沢に下山。時間あればダムカレー食べようかなと思ってましたが、ちょうど12時の長野駅行バスに間に合いそうだったので飛び乗って山行終了。
8月最後の日曜日だったせいか、帰りの新幹線もかなり混んでいて、指定席は終日取れなさそうだったので長野駅始発のあさまに乗って帰りました。
4日間のうち半分以上は雨で、笠からの槍穂の稜線を眺めたり、景色を眺めながらの笠から双六までの稜線歩きもかないませんでしたが、自分が許容できるリスクはどの程度か都度判断する訓練にもなりましたし、終わってみればよい山行でした。あと、最後に晴れるってのは大事ですね。
ヤマレコ上赤線は入っていませんが、これで北アルプスの稜線はほぼ全部歩いたので、テント泊でのんびり歩くとか、スタイルを変えつつまた歩こうと思います。
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