裏銀座1勝3敗
- GPS
- 69:24
- 距離
- 35.5km
- 登り
- 2,857m
- 下り
- 3,038m
コースタイム
8月23日 6:37烏帽子小屋-8:35野口五郎小屋9:10-11:40水晶小屋
8月24日 5:35水晶小屋-5:58水晶岳6:12-6:45水晶小屋7:17-8:25鷲羽岳8:45-9:30三俣山荘10:05-10:45三俣蓮華岳11:10-12:20双六岳13:10‐13:53双六小屋-14:40弓折乗越15:00-15:28鏡平山荘
8月25日 6:06鏡平山荘-7:52わさび平小屋8:24-9:24新穂高温泉
天候 | 22日 曇りのち雨 23日 強雨、風も。。。 24日 曇りのち晴れ 25日 雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2011年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
七倉ダムゲートにポスト 濁沢の橋が最近流され丸太橋がかかってましたが22日23日は無事でした。同宿の男性がブナ立尾根からくだるんで橋が流されてないか心配してましたが烏帽子小屋のご主人の話では流されてもダム工事の人がいればわたしてくれるとのこと。 2日目の雨で黒部源流あたりが増水し腰までつかるとのことで雲の平から水晶にきた人たちは雨の中ショートカットできずに鷲羽を越えてきていました。同じ日祖父岳で1人行方不明に。周囲の小屋関係者も捜索に繰り出し無事みつかったそうです。2日目は雨、風が強く多くの人が連泊したり途中で避難してま小屋に缶詰になってました。 |
写真
感想
最初の予定では1日目ブナ立尾根からはいって水晶小屋まで。2日目水晶岳、温泉沢ノ頭経由で念願の高天原温泉につかり雲ノ平山荘泊。3日目最短コースで槍まで。4日目新穂高へ下山。という皮算用。
小学生以来の北アルプス縦走、そして泊まりの山行ということで準備段階から舞い上がるおっさんだったが日が近づくにつれ予報はどんどん悪化。テンションも下がる。ついに出発日の21日は雨となりしかたなく日程を1日ずらす。
21日安曇野市の実家に前泊。
22日(1日目)早朝起きると雨。予報を見てみる。9時ー15時はブナ立尾根は曇り。23日は曇り一時雨。うーん。予備日はもうない。3泊4日の計画を大幅に変更して天候回復を待って1泊2日か日帰りにするか、とりあえず今日は烏帽子までいってあとは出たとこ勝負にするか、悩んでいるうちについ2度寝。起きたら9:00。雨はあがっている(平地だが)。とりあえず行く。七倉ダムまで姉に送ってもらいそこからタクシーで高瀬ダムに到着。ちらちらお日様もさす。これはひょっとするとと思う反面、見上げると山々は厚い雲に覆われていて禍々しい雰囲気。身支度し12:00出発。歩き出して30分ぐらいでぽつぽつ降って来た。それでも小降り雨具は着ないでとにかくピッチをあげて急登をひたすら急ぐ。降ったり止んだりが繰り返してたが烏帽子小屋までのカウントダウン標識4(=三角点)のところでついに本降りに。岩陰で雨具を着込みエネルギー補給し烏帽子小屋までラストスパート。北アルプス3大急登というわりにはたいしたことないという強気の感想をヤマレコでいくつか拝見しましたけど、わたしにゃあ十分急登でした。悪天だったし。それでも休憩いれて4時間だから自分を褒めてあげたい(涙)。烏帽子小屋に駆け込み一息つく。先着は年配の男性、女性がそれぞれ1人。結局この日はこの後登山客はなく宿泊者はこの3人だけだった。テントは数張。この時期の北アでこの人数はありえないでしょ。やっぱりあの予報じゃ賢明な人は山に来ないのか。小屋に荷物を置くととりあえずビール。雨でも旨し!3人でさびしく夕食。女性はご主人といらしていてご主人はテント泊だそうだ。お二人とも針ノ木方面からきて明日下山するとのこと。男性はブナ立を降りるのだが濁沢の丸太橋が流されないか気をもんでいらした。女性は竹村新道から湯俣に降りるとのこと。小屋の人に聞いた明日の予報は雨。がーん、また変わってるではないか。どうする?もう下るか?
23日(2日目)4:00に目を覚ますとしっかり雨音が。女性の方は予定通り野口五郎経由で湯俣におりると。決めあぐねてうだうだ準備をする。2人が出発したあとも悩んでいたが、とりあえず野口五郎まで行こうと決意。そこかから先はそのときの体調と気分で。烏帽子岳は今回は見送り。日帰りでも来れるしね。雨の中縦走路を行く。ときどき雲がきれて読売新道の尾根の一部や行く先の三ツ岳が見えたりで、悪天でも、妄想していた裏銀座にいることになんとなく気分がいい。三ツ岳まではコマクサ多数。とりあえず撮影するがレンズが曇り始めている。途中岩ですべって顔面を強打し上唇を切った単独行の男性と会う。傷を診てくれといわれ診るが出血も止まっていて腫れも酷くないし傷幅も大きくはないので大丈夫そうだった。自分も注意しなければと気を引き締める。この方も含めて野口五郎小屋まですれ違ったのは3組だけ、みな野口五郎小屋に泊まったそうだ。野口五郎小屋に着く直前から雨が強くなる。野口五郎小屋で小屋の人に親切にされ少し元気になる。遅れて口をけがした先ほどの男性が入ってきた。お元気そうでなにより。明日の予報は曇りになってる。さて、これからどうする。コンディションは悪くない。水晶小屋までなら行けるんじゃないか?行こう。コーヒー飲んで出発。風が強くなってきて身体が一気に冷える。雨粒が顔にあたって痛い。ときおり風にあおわれてよろめく。危ない。小4のとき父親に連れられて風雨の中奥穂高山荘からジャンダルムまでピストンしたときのことを思い出す。手が冷えて来てしびれてきたのでグローブをはめる。なかなか水晶小屋につかない。こんなに遠かったっけ?雨の中地図も出せないので現在地も確認できない。心が折れはじめたころ登山道に2羽の雷鳥が出現(つがいかと思ったが時期からすると親子か?)。疲れた私を励ますように前をつかず離れず歩いて行く(というか単に私の行く方向に逃げてただけなのだが)。3分間ほど雷鳥と帯同し少し元気に。雷鳥と別れて約30分後に水晶小屋にヘロヘロになってたどり着く。野口五郎小屋からここまですれ違ったのは単独行の1人だけ。小屋には先を進むのをあきらめた方々が10名ほど休憩談笑中だった。狭い小屋なのでそれだけで混雑感。まだ12:00前だ。昼メシ食べて少し休んでから三俣に行こうか?水晶岳はハントせずに?などと悩んでいると身体が冷えて来て震えが止まらない。いかん、低体温症になりかかり?もう外に出る気力はなくなりここに泊まることに。一応現時点での宿泊者数を聞いてみるとすでに15人とのこと。小屋の定員25名だから今晩は布団共有になるかも。とはいえもう先に進む気力はない。(あとでわかったことだが三俣山荘へは岩苔乗越経由で行くのが早いのだがそのルートは膝までの増水のため通れなくなっていてワリモ、鷲羽を上り下りしないと行けなかったのだそうだ。雲ノ平からきた人たちはそこを苦労してやってきたらしい。行かなくて良かった。)宿泊カード記入中も手が震え字が書けない。支払い時ズボンのポケットから財布を出すとお札がぐちょぐちょに。野口五郎小屋でコーヒー飲んだときにザックに戻さずにうっかりポケットにつっこんでしまったのだ。破けないように震えた手でゆっくり万札をひろげておずおずと受付のお姉さんにわたす。こんなんですけど大丈夫ですかね?にっこりと、だいじょうぶですよ。と返事。受付すませて速攻で下着まですべて濡れた衣類を着替える。フリース着込んでストーブで暖をとりやっと体温が戻ってきた。荷物整理をゆっくりやって寝床で一息。まだ1:00まわったところ。やることがない。狭い食堂兼休憩所は団体が占拠していて行きづらい雰囲気。しかたなく明日以降のルートを検討しているうちにうたたね。人の気配で起きると雲ノ平からやってきた男性が隣に。岩苔の増水情報を聞く。この方とは翌日も鏡平小屋でお隣さんになる。気付くと15時時点で小屋の布団はほぼ満員に。これはやはり布団確保は無理かと思ったがその後はぱたりと新規は来ず、この天気じゃそりゃそうか。なんとか一人1布団確保!雨は消灯までやまず。明日の予報もいまいち。もう明日天気悪かったら湯股へ降りよう。ふて寝。
24日(3日目)4:00起床。ん?雨音がしない?!外に出る。雨がやんでる。空は雲が覆っているが高くうっすら表銀座の稜線が見える。そして雲と稜線の間に光の帯が!!ご来光が拝めるなんて思ってもみなかった。表裏銀座の山々槍穂はもちろん、立山、後立山、白馬、戸隠、浅間山、富士山、南ア、乗鞍、御岳、白山、360度すべての山が見えた。朝飯をかきこみ急いで水晶岳に向かう。いつ天気が崩れるかもしれない。水晶岳に1番乗りで登頂。絶景独り占め。この世の至福。2日間のうっぷんを晴らすために写真を撮りまくるが、雨に濡れたせいかデジカメの調子がいまいち。勝手に日付が入ったり消えたり。小屋に戻りワリモ、鷲羽、三俣蓮華、丸山、双六とピークを順調にいただいていく。天候は崩れそうで崩れず逆に晴れてきて最後まで良い展望を満喫できました。2日間の苦行のおつりが十分すぎるほどのご褒美に山の神に感謝。双六岳で正午を迎えこのあとどうするか思案。槍に行くには遅いし明日の予報は雨だ。双六に泊まるか、鏡平まで降りるか。三俣で遭遇した騒々しい10数名の中高年パーティが双六に泊まると聞き鏡平に決定。どうせ双六小屋からは槍穂見えないし、裏銀の山々は十分堪能したし、明日雨ならできるだけ下っておこうと。双六小屋をパスし小池新道に向かう途中名残惜しく鷲羽を振り返りありがとうと一礼。この頃ガスが巻いて来て槍穂、笠方面は隠れてしまっていた。天気が崩れそうな気配。小池新道はガスの中鏡平までもくもくと下る。鏡平山荘にチェックインして荷物を置くと外のテラスでまずはかき氷。一度食べてみたかったのだ。過去最高のかき氷でした。そしてビール。昇天。テラスでご一緒した単独行男性と水晶でいっしょだった単独行の年配の女性とおしゃべりしているとカメラマニアぽいおじさんが、鏡池に槍穂が映っているぞ、と教えてくれた。急いで鏡池に行くと、奇跡的に一瞬晴れた槍穂が見事に鏡池に映っていました。ごっつあんです。ああ、神様、こんなにご褒美いただいていいのでしょうか?いいんですっ!ばしばし写真とりまくり。まもなく槍穂はまたガスに覆われました。
25日(4日目)最終日、今日は予報通り朝から雨。まあどうせ下るだけだし、昨日ずいぶんいい思いさせてもらったんでぜんぜん何とも思わないです。雨にも慣れてしまいました。さくさく下山。わさび平で一服。沢水で冷やされた大量のビールに思わず心が揺れるが気を取り直してキュウリをいただく。なんできゅうりが旨いのか?30分ぐらいゆっくりする。そのあとは新穂高温泉まで一気に下山。迎えにきた姉と合流すると水晶、鏡平でお隣だった人と、鏡平でお話ししていただいた人がちょうど一緒に降りて来た。松本に出て東京に帰るというので、そのへんまで送ってさし上げることに。途中、平湯の森の日帰り入浴施設(ここはおすすめ、500円で広くてきれいで泉質もよし)で汗を流し、車のお礼にと風呂上がりのビールをごちそうになってから新島々へ。電車までの空き時間駅の近くでお昼に蕎麦をごちそうになる。12:50に2人を見送ったあと実家に到着。仮眠したのち車で東京へ。無事帰宅。
1勝3敗と天気に恵まれなかったが3日目の景色が秀逸でそれだけでその他の悪天候が帳消しになり苦行も含めてメリハリのある充実した山行でした。で、興奮冷めやらず初めてのヤマレコ山行記録がだらだらと長文になってしまいました。
・反省点
2日目の悪天の判断:結果オーライだったが3日目も悪天で水晶小屋に連泊になった場合を想定してなかった。予備日は前倒しで使ってしまったので振り返ると烏帽子に連泊か野口五郎小屋に留まるべきだったかも。でもおばかのおかげで3日目は最高だったんだけど・・・ばかの功名か。
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