【笊ヶ岳】偃松尾大黒尾根〜伝付峠 強烈な藪で悪戦苦闘。
- GPS
- 18:19
- 距離
- 33.4km
- 登り
- 3,674m
- 下り
- 3,238m
コースタイム
- 山行
- 9:50
- 休憩
- 0:03
- 合計
- 9:53
天候 | 2日 晴れ 3日 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
・田代発電所にMTBをデポ |
コース状況/ 危険箇所等 |
・白石〜偃松尾山(偃松尾大黒尾根) 藪山に慣れた方向けのバリエーションルートです。 大黒山までは2つのルートがあり、今回登ったのは保川沿いの林道をしばらく歩き尾根の側面から稜線に取付くルートで、こちらは昔からの笊ヶ岳登山道だったようです。 大黒山まではマーキング等が比較的巻かれていました。 RFが正確なら(局所的な)藪無しで大黒山までは行けるはずです。 2100m辺りまで藪無しで余裕で頂上まで行けるかな?と思っていましたが、2100m辺りからシラビソのブッシュと積雪でで思うように進めませんでした。 日帰り装備ならばサクサク進める感じでしたが、雪山装備の大型ザックでは木々の隙間の通過・倒木の通過などが困難でした。 這松尾山山頂付近からはハイマツが密生しています。 ・偃松尾山〜笊ヶ岳 一般ルートで良く整備されています。 雪が少し深かった。 ・偃松尾山〜伝付峠 一般ルートで良く整備されています。 ・伝付峠〜田代発電所 結構危険箇所が多い印象。 特にリニア絡みの工事の影響でマーキングが縦横無尽に付けられておりルートを間違える危険があります。 僕も間違えたのか間違えていないのか分かりませんが、僅か3mの区間で通過に3分程掛かった箇所がありました。 年末年始の大荷物を背負いここを通過するのは嫌です。 ※Evergreenさん・shigetoshiさん・K-MEN75さん・haiziさんの記録を参考にさせて頂きました。 usofuyuさん、kitainotoriさんの積雪状況がとても参考になりました。ありがとうございました! |
写真
感想
一か月ぶりの登山になりますが、季節は進み高山は既に雪化粧し簡単には入れない雪山になりました。
現在マイブームの「白根南嶺」の藪尾根ですが、今まで計画してもなかなか脚が向かなかった『偃松尾大黒尾根』に行く事にしました。
事前にこのルートの山行記録を調べると出てくるのは知り合いばかりで笑ってしまいました。 何を好き好んで藪藪した尾根を歩くのか不思議ですが、確かに皆さん変な方ばかりなので納得です...(笑)
さて、このルートは早川町白石という集落から偃松尾大黒尾根という藪尾根を歩き、偃松尾山に出るというルートです。 事前に調べた限りでは藪で皆さん相当苦労したご様子でした。
この面倒な尾根を積雪があり更に面倒な時期に登る事は前々から決めていたのですが、下山をどのルートにするかを迷っていました。
自分の登山の第一は安全登山。 何があっても無理をしない。自分の技量を超えるような危険を回避するという事を心掛けており、深南部の核心部などやむを得ないケースを除いて、バリエーションルートでの下山は避けているので今回は久しぶりに伝付峠へ下山する事に決めMTBをデポして、下山後に車まで自転車で戻る事にしました。
明るくなった6時過ぎに白石をスタート。
工事用のゲートを進み、ボロボロの吊橋を回避して細い河原を渡渉して尾根に取付く。
かなり急勾配の登りになりますが、古くは笊ヶ岳登山のルートとなっていた道なので、九十九折りにルートを切ってあるので重荷でも特に苦労する事無く大黒山に到着。
今回はテント持参なので「日が暮れるまでに稜線に出れば良い!」という感じで特に急がず、ゆっくり休憩を取りながら進みましたが、単純に久しぶりの雪山装備の重荷は堪えました。
この大黒山までは特に藪らしい藪は回避出来たので、「季節的に余裕かな?」とこの時は思っていたのですが、大黒山を越え1900m辺りからだんだんと回避出来ない藪が姿を現し、大型ザックでの通過はかなり困難で体力と時間を消耗しました。
仮に日帰り装備又は35ℓくらいのザック(細身)でツェルト装備ならば圧倒的に速く通過出来るという印象も受けました。
2000mを超えると雪も出てきて更に悪戦苦闘。
序盤にペースを上げなかった事が良かったのか、悪かったのか?など意味の無い事を考えながら遅々として進まない藪尾根を登り続けますが、時計を見ると15時50分。
「う〜ん、これは南嶺主稜線までは無理だな...」
現在位置から偃松尾山を越え稜線までは約一時間。 そこから幕営適地を探すと辺りは真っ暗になる。
僕の山行で予定まで届かないというのは滅多にない事ですが、登山は全てが予定通りに行く訳ではないので、こんなアクシデントこそが登山の本質なのかもしれません。
まあ仕方ないので、2350m辺りで何とか一張分の幕営適地を見つけて幕営。
テントを張って水を作っていたら暗くなってきてしまったので、薪を集める事が出来ずお楽しみの雪中焚火は出来なかった。
この幕営地は幸運にも電波が入ったので、妻に電話する事が出来て子供達に今日の事を話す事が出来た。 その後はランニングの本を見ながら5時までグッスリ睡眠。
翌朝は風の音で目が覚めた。
昨晩から風が強くなってきた事は感じていたが、この様子だと稜線は結構厳しい感じだと推測し温かい服装でスタート。
雪も膝下まで潜るような感じなのでスノーシューを装着してスタートしましたが、僅か10分程で崩壊地点があり、スノーシューでの通過は危険すぎるので外すという二度手間を喰らってしまった。
幕営地から藪はそれ程酷い状態では無く、30分程で偃松尾山に登頂。 山頂標も何もない山頂なので足早に縦走路へ。 それにしても山頂付近のハイマツは中途半端に雪が乗っかった状態でタチが悪かった。
南嶺主稜線に大型ザックをデポしてアタックザックで笊ヶ岳までピストン。
軽身は羽が生えたかのようにサクサク進み、一時間程で笊ヶ岳山頂に到着。 やはり遮る物の無い山頂の風は強烈で、見事な傘富士・南アルプス南部の写真だけ撮り這松尾へ戻ります。
這松尾山から伝付峠までは比較的アップダウンの少ない道で、後半は稜線西側をトラバースするルートですが有り難い事にトレースがあり大助かり!!!
伝付峠辺りで積雪も無くなり、ここからは夏道感覚で下ります。
伝付峠下の水場脇のテン場で休憩しよう思ったら一面ゴミだらけ!
マジか...。
こんな光景は見たくありませんでしたが、放っておくことも出来ず一日一善と思い全てお持ち帰りしました。 管理されていないテン場だからこそ、綺麗な状態を保って頂きたいです。
水場から下り、「出合」付近からはリニア関係と思われる工事が始まっており、以前とは大分様子が変わっていました。
1つ気になったのは、工事用のマーキングが無数に有り、ルートを示すマーキングと混同状態で登山用ルートが非常に分かり難い事でした。
自分が間違えたのか?分かりませんが、一カ所アドレナリン全開の箇所がありロープを出そうか迷いました。 その他にもトラバース道や最後の尾根越えなど危険箇所は多数ありますので注意が必要です。
最後の急下降を終え、河原をしばらく歩き左岸に渡渉すると発電所の林道でMTBを回収し今回の山行も無事に帰って来る事ができました。
わざわざ苦労を要する藪山ですが、僕にとって下山後の充実感は全く別物です。
今回の山行で笊ヶ岳周辺のバリエーションルートは全て登る事が出来ました。(ルート外の支尾根は探せばありますが...)
今回の山行は重荷&藪&軽ラッセルのトリプルパンチを食らい、正月山行の計画を少し考え直そうと思いました。
コメント
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kaikaireiさん
お疲れ様でした。吊橋大分ひどくなっていますね。もはや渡る気になれませんw
大黒山までは道もあるようなレベルですが、大黒山の先はやはり苦労されましたか。ずっと前のことなので今の実力ならどうかな?と思っていましたが、今でもやはり苦労しそうですねw
時間が取れない上に気力もわかず結局全然白峰南嶺に行けていない状況ですが、この記録を見て少しまだ行く気が湧いてきました・・。
Evergreenさん、こんばんは。
今回の山行を調べた時に真っ先に出てきたのはEvergreenさんの記録でした。 あの壮絶な記録を始めて拝見した時の事は今でも鮮明に覚えています。
本当に大黒山までは大した事無かったのですが、やはり1900mあたりから標高を上げずに水平移動するような辺りから藪っぽくなってきましたね。
しかし現在のEvergreenさんなら、以前より多くの藪尾根を歩いておられるので上手に問題をクリアしスムーズに進むのではないかと思います。
お忙しいようですが、アッと驚くような記録を拝見するのを首を長くして待っています。
コメントありがとうございました!!!
伝付のゴミ…このルート、静かな山歩き満喫するために歩くのにこれはやるせないですね。
整備されたテン場ではないからこそきっちりマナー守りたいものです。
ゴミの回収頭が下がります。
偃松尾大黒尾根、私にはエントリーする資格すら無いルートで、コメントするのもおこがましいです。
冬の笊、いいですね。
今シーズン一度はチャレンジしてみようと思ってます。
勿論老平からですが。
新倉から保利沢小屋前後はかなり様変わりしてました。
ざれた斜面に重機見たときはびっくりです。
林業盛んな頃の南ア、こんな感じだったのでしょうか。
見応えのあるレコでした。
流石ですね。
tomhigさん、こんばんは。
伝付峠のゴミを見た時は固まってしばらく唖然としました。
青薙山の途中にある池ノ平も同じくゴミが散乱していましたが、あちらはガス缶が多く全ても持ち帰る事が出来なかった事を思い出しました。
自分が背負ってきた食料の包装容器ですので、中身を食べれば相当軽くなっており持ち帰るのは苦ではないと思うのですが、登山者の中には自分の事で精一杯の方がいるようですね。
そんな事をして登山を楽しめるのか?僕には理解できませんでした。
そんなモラルの無い方に何を言っても無駄なので、この山域を愛する者が後始末をするというのが現実的な解決策なのだと思いゴミ拾いをしました。
この山域を多く歩いておられるtomhigさんなら、何ら問題なく歩けるのではないでしょうか?
笊ヶ岳周辺には素晴らしい藪尾根が多くありますので、老平と言わずにランカン尾根なども素晴らしいので検討してみてください。
伝付への登山道は本当に様変わりしましたね。
工事業者は、もう少し案内板を設けるなどの配慮があれば良いのですが...。
コメントありがとうございました!!!
kaikaireiさん こんばんは!
このところ週末度に晴天続きだったので、きっとkaiakreiさん、行かれるね〜って、ダンナさんとついこの前話したばかりだったんですょ(^.^)
この季節に、重装備で、しかも一泊二日でこのルートを やっぱりkaikaireiさんはスゴイ!!! 大黒山から先はもっと酷いヤブヤブなんですね〜 ・・・前回尾根道でのヤブに難儀してるくらいだから、私達じゃ一体何日かかるやら。(;´▽`A``
小笊の向こうに富士山、雪の南アルプスの峰々。。 冬景色も素敵ですね〜!!
私達もいつかは笊ヶ岳と考えていますが、kaikaireiさんお勧めの生木割西尾根もいいなぁ〜って、主人とあれこれ妄想しております(笑)いずれにせよ、カメさんペースですから長休み取れないと無理ですが
次のレコも楽しみにしております
お疲れ様でした!(^^)!
haiziさん、こんばんは!
尾根道の方の記録は参考にさせて頂きましたが、今回はオールドルートの方を選択させて頂きました 尾根道の方が少し藪っぽいかな?と言うのも影響していたのですが...(笑)
長らく行けていなかったルートでしたので、これで気が楽になったと同時に、大好きな笊ヶ岳周辺のルートを全て歩いてしまった事で少しだけ焦燥感もあります
次回からは段々と北へ移動していきたいと思いますので、今後もhaiziさんご夫婦の記録を参考にさせて頂きますのでよろしくお願いします!
軽い荷に慣れた身体でしたので、一気に20kg弱の荷物を背負っての山行は本当に堪えました
ハイマツ系の藪尾根ならばもう少し遅い時期に行けば楽を出来るのですが、黒木のブッシュメインでは季節関係なく苦しめられるので、この尾根は年中厄介な尾根ですね。
しかしまさか自分が一日掛けて稜線まで届かないとは思っていませんでした。
生木割西尾根はいいですよ〜!
積雪期で椹島からの一般ルートでの笊ヶ岳はトラバースの連続で現実的に不可能だと思いますので、その点でもこの尾根の利用価値は大きいと思います。
そして極上のテン場もあるので是非!!!
kaiさん、こんばんは!
このレコ、その手の有資格者でなければ、閲覧もままならぬ雰囲気が漂っています 当方、ユルの無資格者故、一端退散しましたよ
しかし、山に対する真摯な態度、何故そこまでストイックになれるものか?装備重量20kg弱 難易度を上げるために、雪の到来を待ってからの実行 場所が場所だけに、もう、「どんだけ〜」と、叫びたい気分です
ゴミに対するコメントも届いていますが、観光登山が出来る場所とかけ離れた地域。余程の山好きしか訪れることは無いと思っておりましたが、どうやら考えが甘かったようです。人間の暗黒面を見せつけられた思いがしますが、kaiさんの善なる心に救われましたよ
tailwindさん、こんばんは! 何故か今週から井川のダムで仕事になってしまい、無駄にストイックな私です 内心は好きな景色をいつでも見れて嬉しいんですけどね
この尾根は数年前から行こうと思っていたのですが、自分的に「この尾根は積雪期!」と遊び心で決めていただけで、特に深い意味も無ければストイックでもないんですよ(笑)
結果的に笊ヶ岳からの展望は本当に素晴らしく、無雪期には得られない喜びを感じる事ができました 厳しい反面、雪山は素晴らしいです。
ゴミに関してですが、あの場所でテン泊する方は恐らく悪沢岳方向か白根南嶺縦走する方で、ハイキングの方ではありません。
登山者は良い方ばかりと登山を始めてた頃は信じていましたが、色んな経験をするにつれて今では黒い部分が多く見るようになってしまいました。
その点ではランニングはフェアで純粋ですね! また今週はレース楽しんできます
こんばんは!
今シーズンは割と雪が多くなりそうですかね...?kaikaireiさんは厳冬期にもバリルートは行くのですか?この尾根も中々の藪なそうなので行ってみたいです!!
ゴミ...酷いですね。一個なら落としてしまったのかな、とか思いますが、あそこまであると絶句です...
お疲れ様でした!!
seira君、こんばんは!
昨年はランニングばかりだったので厳冬期の山には登っていませんが、一昨年は非常に少なかった記憶があります。 既に12月なので今年は通常なのかな?
年末年始の山行ですが、南アルプスのバリエーションルートを計画していました。
自分の技量の範囲内ですので、その点は見誤る事無く計画したいと思います。
ただ、今回の山行が思いの外苦労したので、天候・積雪などの条件が揃わない限り行く事はしないと思います。
ゴミはね〜、yamayoさんを見習って僕ももっとゴミ拾いしなきゃいけないね
kaikaireiさん、こんにちは。
偃松尾大黒尾根、お疲れ様でした。無事に帰還で来て何よりです。
ボロボロの吊橋と藪漕ぎが思い出されました。
最近、自分も感覚がマヒしてきてちょっとやそっとの藪漕ぎでは何とも思わなくなってきてしまいました。自分はkaiakireiのように泊りでの雪山、藪漕ぎまでは出来ないですが、どこの日帰りマイナールートに行こうか考える今日この頃です…。
K-MEN75さん、こんばんは!
今回の山行にあたってK-MENさんの記録を参考にさせて頂きました。 ありがとうございます。
今年はランニングに没頭する事はないので、また山に通いたいと思います。
やはりテントを持参していると藪に引っ掛かり面倒なのですが、それに代えがたい安心感と安全性があります。
ここ最近のK-MENさんの山行は滅茶苦茶ですね!!!(笑) 低山でもどこでも突っ込んでしまう突破力なら相当な藪尾根でも問題なく日帰り出来ると思いますよ
僕も1人では少々不安な計画もありK-MENさんが一緒なら安心なので、またご一緒していただけたら有り難いです!
記録楽しみに見せてもらっています。
kaikaireiさん大黒尾根の右側にいい道がなかったですか。
私は3回目で頂上にたどり着きました。
自分はだんだん軽いルートしか行けなくなってきたのでKAIさんの記録楽しみにしています。
one-hunter先生、コメントありがとうございます!!! ご無沙汰しておりますが、親子で元気しています
今回の山行は途中まで藪無しだったので余裕かと思っていたのですが、藪が出てからは主に稜線と藪を逃げて稜線左側(保川方向)を歩きました。
右側は見落としていました。修行がたりませんね
先生の山行記録を拝見していると、まだまだ衰えなんて感じませんし興味深いものばかりです!
まだまだこの山域の第一人者としてご活躍お願いします!!!
そして、僕の山行を計画する時に資料の無い尾根の場合、先生のヤマレコ検索して赤線が引いてある場所は「厳しいかもしれないけど、人間が歩く事は可能なのかな?」と安心感と共に挑戦する意欲が湧いてきます! あまり他の方の山行を鵜呑みにしない性格ですし、詳細な資料が無くても信頼できるって自分的には凄い事なんですよ!
今年の正月山行はどこを計画されているでしょうか?
厳冬期は少し厳しいですが、春になったらイザル尾根・雪が解けたら大籠岳東尾根・夏になったら白蓬ノ頭の北の尾根はぜひone-hunter先生と歩きたいです!!!
個人山行の時の計画に入れておいて戴けたら嬉しいです
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