室堂から五色が原、薬師岳縦走
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- GPS
- 47:56
- 距離
- 30.3km
- 登り
- 2,454m
- 下り
- 3,513m
コースタイム
- 山行
- 6:32
- 休憩
- 3:13
- 合計
- 9:45
- 山行
- 12:14
- 休憩
- 0:04
- 合計
- 12:18
天候 | 晴れ、最終日は小雨のち雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2018年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
帰り:折立からバスで有峰口、富山地鉄で富山へ、JRで北陸線経由で帰宅 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ソフトシェル
タイツ
靴下
グローブ
防寒着
雨具
ゲイター
日よけ帽子
着替え
靴
予備靴ひも
サンダル
ザック
ザックカバー
サブザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
ハイドレーション
地図(地形図)
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ストック
カメラ
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感想
いつか登ってみたかった薬師岳、北アルプスの中でも非常に大きな山塊。ここに行くルートは南北のみ。折立から北上して往復するか、室堂から南下して縦走もしくはその逆。折立往復よりは、縦走がしたい。でも小屋泊縦走の場合、五色ヶ原山荘、薬師岳山荘となるが、それらの間のコースタイムはヤマップで10:35。スゴ乗越小屋で一泊すればずいぶん楽になるが、一日延びるし、あまりに時間を持て余しそう。テンクラでの天気は回復してきてA。結局、室堂から南下して五色ヶ原山荘、薬師岳山荘の2泊で折立に至る縦走をすることにした。
25日、名古屋を経由してJR高速夜行バスで富山へ。
26日、ここで室堂直通バスに乗って室堂へ。ここの水を2.5L補給して、PETボトル3本体制で出発。浄土山付近まではファミリーも多い。ツアーもあり、それに追い付かれないように逃げるように登る。浄土山から見える龍王岳、せっかくなので頂上まで登る。地図にルートはないが、踏み跡は明瞭で問題ない。ここから、南下する。眼前には今日の目的の五色ヶ原山荘も見える。でも、ここから劇下り。下ると鬼岳東面の雪渓が見える。今日のハイライトはここの通過。幸い、好天続きでも、山小屋の方が作ってくださったステップは健在で、雪面の歩行に慣れて入れば問題ない。後半にステップのない場所の通過があり、ここで先を譲っていただいた年配の方を心配して立ち止まって見ていたが、何とか通過された。
ここから振り返ると龍王岳のきびしい岩峰が聳えている。それより印象的なのは雄山。室堂から見ると、雄山より少し高い大汝山の影響もあり、あまり目立たないが、ここから見ると大変立派な山容である。ここを過ぎるとお花畑で、撮影に精を出している方々もいらっしゃる。少し先で一休みしていて、隣の方と鹿島槍はどこだろう、雄山から東の稜線の先だろうかと話をした。
獅子岳からザラ峠への下りは途中から厳しい。ポールを背中にしまって歩く。急なガレは続いており、思わず、コケてしまった。タイツを履いているので大丈夫と思ったが、タイツでは岩角に足が当たると肌にまともに当たって痛い。後でわかったのだが、タイツは大丈夫なのに、肌に切り傷が出来ていた。暑さ対策でタイツにしたが、岩稜の通過が多く、ズボンを履いた方が良かった。ザラ峠からの登りは気持ち良い登り。五色ヶ原西側は断崖で、穏やかな東側と全然違う。五色ヶ原の稜線に登り、西側の断崖の淵にルートがあり、テント場への分岐を過ぎてさらに登ると視界が一気に広がる。よくこんな素晴らしい花の平原があるものだ。言葉で言い尽くせない素晴らしい花畑。天国はこんな場所かもしれない(思いすぎ?)。ここの立つ山荘はベストロケーションだ。
宿泊手続きをしたが、ソロの方と2人で1部屋を使わせてもらえた。また、15:30−15:50まで、男性のお風呂タイム。時間は少しで、石鹸、シャンプーは当然使えないが、それでも十分満足。ここのお風呂は最高だった。
夕食時にテレビを見ると台風12号が大きくに西に曲がってくるようだ。やはり土曜のうちに下山するのが良さそうだ。明日早くに出発するので、すぐに出発できる準備をして眠りについた。
27日、今日はメインの縦走。コースタイム10時間50分。中間にあるスゴ乗越小屋に一泊すれば、楽な工程になるが、もう1日必要となる。土曜の山小屋泊は相当混みそうなので避けたい。そうなると五色ヶ原から薬師岳山荘までの強行となる。今の私に行けるだろうか。不安を解消する唯一の手段は早発ち。暑くなる前にできるだけ前に進みたい。その点でスゴ乗越小屋に到着する時刻がポイントになる。
で、3時前に起きて、前日にもらったお弁当を詰めて3:20に出発。水はPETボトル2本、水1L+1.5L。夜は月明かりがものすごく明るかったが、今は西に低くなって、結構暗い。昨日に下調べしたので迷うことなく登り始める。木道は滑り止めを施してあるので静かに足を置けば滑らない。足先に力を入れて後ろに蹴りだすと滑る。昨日来たところまで到着、五色ヶ原山荘を振り返るがまだ、眠りの中って感じ。前を見ると木道に見事な💩。やめてくれー、もう少しで踏むところだった。運がついてよかったかも(^-^; 鳶山に着くと山頂にMSRのテント。確かに絶好のポジション。ハイマツの際にうまく張ってある。お邪魔しないように写真だけ撮って立ち去る。このあとも、越中沢岳までの稜線にはテントが張れそうな箇所が数か所あった。もちろん、水場はない。越中沢乗越を越えたあたりで日の出。東側の山々を見ながら快調に越中沢岳までは登る。山頂からはいよいよ大下り。ここで朝食。長い一日。ご飯をしっかり食べる。スゴの頭から登ってくるソロのファストハイクの方と出会った。日焼けした太ももが力強い。ここからの下りはザレや土、岩などが連続して、ときどき固定してあるロープのお世話になる。正面にはスゴの頭、登り返しはそれほど大きくなさそう。それよりはスゴ乗越への下りが急で、そこから登り返す間山(まやま)が大きい。さらに北薬師がさらに高くそびえる。あそこまで行けば射程圏内なのだが、いつになることやら。やはり薬師岳の山塊は大きい。神経を使う下降が続き、少し疲れる。日光が強くなってきており、風もあるが結構暑い。スゴノ頭手前の最低鞍部まで来たが、その先にも鞍部があった。この鞍部からの登り返しで初めて後続の天幕のソロの女性に追い付かれた。この方、そつのない歩き方であるが地味に速い。かっこいい。こうなりたいものだ。
ルートはスゴの頭をかすめるだけで通らないのだがせっかくなので、頭まで登っておく。大きな岩をまたぎながらであるが、何となく踏み跡もある。これから登る薬師、東の赤牛などが大きい。素晴らしい景色なのだが、ずっと見ていると有難味が減ってくる。ぜいたくな悩みだ。さあ出発。頭に登っている間にもう1,2人に先行された。みんな、テント泊のソロの方。逆に越中沢岳に向かわれる2人の男性くらい。どちらも多くなくて静かな山旅だ。スゴ乗越まではきつい急な下り。スゴ乗越小屋が先に見える。ここでテント泊のソロの方2人に越された。皆さん、元気そうだ。乗越かと思えば、まだ先に下りがある。これを繰り返す。本当の乗越は木のない明るい場所、したがって日陰はなく風もなくて暑い。干からびそうだ。スゴ乗越小屋までアップダウンがあり、結構疲れる。まだ、先が長いのになあ。
小屋の手前には広場があり、小型だが重機もある。小屋は玄関にお香が焚かれていて、エスニックな音楽が流されている。なにか独特の雰囲。追い越されたソロ二人の方が休憩されていた。長いルートの間のオアシスみたいな場所。小屋の前にドリンクが水で冷やされている。さらに水はカンパで頂ける。小屋にはフルーツ缶があったので、ミカンを頂く。外は家族連れも含めて休憩されているので、小屋の下段に座らせていただいて食べる。甘くて冷たくておいしい。小屋番の若者は、「時間の許す限り休んでいってくださいね」と声をかけてくれる。その優しい言葉に感動。さらに若い女性もいらして、明日の午後から天気が悪くなりそうという話をする。misiaみたいなターバンみたいのをされていて、安藤美姫を細くした感じ。話し方が柔らかい。先ほどの重機の話をすると、ヘリで運んできたらしい。トイレの改修工事をするそうだ。なるほど。みかん缶につづいてモモ缶もいただいて、食した缶をどう捨てようか、空き缶入れの口が狭くて入らないなあ、とウロウロしていると、例の若者がカケヤ(おおきなハンマーみたいの)を取り出し、「これで潰してください」。地元では缶は潰さずに搬出するので、潰す作業は新鮮。登山では使わない筋肉をつかうので、ちょっとリフレッシュ。この小屋のカレーは評判らしく、限定のものがあるようだが、完売だった。小屋で楽しく休憩できたので、さあ出発。10時だ。小屋の窓から、例の女性が「頑張ってくださいね」と見送ってくれる。自分にとってはきついルートだが、本当に体だけでなく心も癒されて有難い場所だった。ぜひ泊まりたい小屋だが、どこから行っても厳しい場所にあるので簡単ではないな。そう思いながら間山に登り始める。先ほどより暑くなっているが、休憩したお陰で順調に登れる。間山頂上から北薬師は岩だらけの岩峰で、さらに岩稜帯が続いて薬師頂上だ。射程圏内に入ってはいるし、もう引き返すこともないので、行くのみである。西からは日本海からの風に乗ってガスが上がってきているが、東からの風が強く西からのガスを飛ばしている。東からの風は雪渓から吹き上げるので冷たい風で火照った体には助かるが、左から吹き続けるので左耳ばかり当たって、平衡感覚がおかしくなりそう。ルートは稜線の東を巻けば涼しいが、西を巻くと風はなく、日光の照り付けがきつく、灼熱地獄。稜線の右と左でこうも違うものか。たまらず、稜線に上がるたびに、東からに風で涼む。北薬師手前は左右に稜線がある二重稜線になっている。その間を登るが、そのうち、左の東側稜線を登るようになる。フルーツ缶2個も食べたのに、おなかがグーとなってきた。体もクールダウンしたいので、北薬師手前で、残しておいたお弁当を再び食べる。ここで、五色ヶ原山荘で同室だった方が追い付いてきた。小屋泊まりの方は初めて追い付かれた。「薬師岳は大きいですね。なかなか着きませんね」。同感だ。縦走するとこの山塊の大きさを感じ取れる。結構気遣う岩稜帯を登る。落ちればどこまで落ちるか、多分、登ってこれないザレた急斜面。相変わらず稜線の右は灼熱地獄、左は風が吹く天国。高かった北薬師の頂上に到着。そこから、地図では感じ取れなかった劇下り。やめてくれー。いくつものピークをアップダウンする。途中で両足のソールがはがれた登山靴で難渋している年配の方がおられた。おおきなザックでテント泊のソロの方。針金やひもで縛って何とかしようとしている。結束バンドがあるので何度か提供を申し出るが断られた。薬師岳山荘まで引き返して針金を貰って修理すると言っておられた。相当なベテランみたいで、大丈夫と言われたので先を進むことにする。「小屋に行ったら、後で行くと伝えておいてくれ」と言われた。そりゃ、伝えておくけど大丈夫だろうか。気がかりだが、こちらも活動時間が11時間を超え、厳しい状況。いやらしい岩稜帯の稜線を右へ左へ、さらにアップダウンでへこたれそうになりながら、最後の急登に耐えると、祠が見えだした。登山者もいる。おもわず、「着いた!」。」ソロなので基本、出会う人以外は話さないのだが、ここは声を発したかった。遠かった!。きつかった!。幸い、天気は見込み通り、最高だったのでその点の心配がなくてよかった。荒天ではとても達せられなかっただろう。14時45分。後半はずいぶん時間を要した。景色を十分に堪能して、下山。この辺りでガスが出てきて山荘が見えなくなったが、ルートはしっかりしているので問題なく、右へ右への下っていく。ガレのつづら折り。最後に急斜面を下りたら薬師岳山荘。今日の宿泊者は予想外に多く戸惑ってますと受付の方が言われた。夕食は3バッチ目の18:15からとなった。食事は冷や奴もあり、カボチャの天ぷら、カツなどおいしかった。小屋の方の対応も親切で良かった。また、布団は一人1枚は確保できた。早くから予約しておいたから場所が決まっていたのだろうか。右隣は結局、来られなかったので、楽に眠れた。
気になる台風12号は関東の南から急激に左折して関西に向かっている。てんくらでは、明日の午前はB、午後と明後日がC。明日は早めに降りるのが良さそうだ。
28日、縦走も最終日。今日は下山するのみ。昨夜はゴーゴーと強風の音が小屋の中まで聞こえていた。天気も悪いと思っていたが、外を見ると雲は多いが雨は降っておらず、空が焼けている。日の出は5時前。1時間前から登れば山頂で日の出を見られる。でも、昨日の疲れもあり、登るのはパス。台風12号もあり、天気は下り坂なので早めに下ることにした。
小屋の玄関で外の様子を見ていると、昨日、北薬師で出会った年配のソロの方はこの小屋に居らした。無事に小屋に来られて泊まられたのだ。無事で良かった。何度も通っていて経験豊富のことを口早に話されていたが、それで次回の安全を担保できているのだろうか。ソールが片方のみならず両方ともはがれるのは、完全に準備不足ではないだろうか。経験を過信せずに安全に登ってほしいと願う。
朝食は5時から7時まで好きな時間に食堂に行けばよい。食堂は一度に40名くらい食べられる規模。5時前に準備OKと言われたので、一番の朝食を頂く。魚の干物のほかに生卵があり、ありがたい。出発の準備ができたので5:40に出発。少しだけ雨が降り出した。石に雨粒が落ちてもすぐに乾いて見えなくなる程度。先行する人がいるので、その方を見ながら足元に注意して下る。天気が悪くなってくるはずだが、ソロで自分の娘くらいの女性が登ってくる。次は若い女性のペア。みんな頑張るなあ。天気が持ちこたえてほしいものだ。道が右に大きく曲がると間もなく薬師平。小さな雲ノ平みたい。2人連れがベンチに寝転がっていた。ここでのんびりすると楽しそう。深く掘れた谷筋の岩屑の中を下る。雨が降れば登りも下りも辛そうだ。途中から沢の音が聞こえてくる。沢の流れと一緒に下る。下に薬師峠のテン場が見えてくる。すでに1張を残すのみ。出発の準備ができたソロの女性の前を通って太郎平への登りに入ったが、あっさり女性に追い越された。テント持参で、トレランシューズ。走ってないが快調なペースであっという間に引き離された。凄いなあ。薬師峠から太郎平のお花畑は気持ちがよく、山頂に登らなくてもゆっくりしたいところだ。
太郎平小屋に7時前に到着。小雨はひどくならないが、黒部五郎はすでにガスの中。さっきまで見えていた薬師手前の避難小屋はガスでもう見えない。天気が悪くなるのは確実だ。小屋をノンストップで通り過ぎる。作業服の4名の方が小屋を出てこられて、ものすごい勢いで追い抜いて行かれた。慣れておられると思ったら、五光山ベンチの下の方で登山道の修復をされている方だった。皆さんのおかげで、楽に通らせていただいている。作業の準備に取り掛かられている皆さんにお礼を言って下山する。それまでのペースが快調なので、9時の富山行き直通バス(予約は13時)に間に合うかもしれないと思い、予定外だったが、下山のスピードを上げる。雨は少しずつ強くなってきており、ザックカバーを取り付けた。雨具を着けても汗で濡れるので、雨具なしで何とか下山したいと思い、スピードをさらに上げる。何人の方に先を譲っていただいただろう。団体さんも含め、先に失礼して一目散に下る。9時前になった。下にバスの屋根が見えてきた。しかし、登山口手前でエンジンの音がして立ち去るのが分かった。間に合わなかった・・・((+_+))
でも、気を取り直して、9時50分発の有峰口行きに乗ることにした。雨が強くなってきた。多少濡れたものの、ひどくならないうちに下山出来てよかった。バスと電車を乗り継いで富山駅に戻り、全身を拭いて着替えて帰路についた。台風の影響で夕方から北陸新幹線も取りやめになるようだ。予定よりずいぶん早目の電車を乗り継いで17時前には自宅にたどり着いた。
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