黒部ダムから仙人新道・雲切新道・水平歩道を抜けて欅平へ(真砂沢ロッジ・阿曽原温泉)


- GPS
- 50:03
- 距離
- 33.5km
- 登り
- 4,038m
- 下り
- 4,901m
コースタイム
- 山行
- 6:34
- 休憩
- 0:24
- 合計
- 6:58
- 山行
- 7:30
- 休憩
- 1:02
- 合計
- 8:32
天候 | 8月11日:曇り時々雨のち晴 8月12日:曇りのち晴 8月13日:雨時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー 自家用車
・8/11 0:00頃、扇沢有料(\1,000)駐車場着。2/3くらいの空き (無料駐車場にも空きはあるようでした) ・8/13 15:30頃戻ってきた時にはほぼ満車 ●<トロリーバス>扇沢〜黒部ダム(片道¥1540) この時期は臨時便として扇沢駅始発が6:30となります。 https://www.alpen-route.com/index.php ●<黒部峡谷トロッコ電車>欅平〜宇奈月(普通車 片道¥1980) http://www.kurotetu.co.jp/ ●<富山地方鉄道>宇奈月温泉〜新黒部(片道¥630) https://www.chitetsu.co.jp/ ●<JR>黒部宇奈月〜信濃大町(乗車券¥1940) 黒部宇奈月〜糸魚川(北陸新幹線自由席¥860) 南小谷〜信濃大町(特急あずさ自由席¥750) ●<タクシー>JR信濃大町駅〜扇沢 アルプス第一交通¥6100 信濃大町駅なら駅前にタクシーが数台待っています |
コース状況/ 危険箇所等 |
●登山ポスト:扇沢(針ノ木登山口)に有 ●トイレ:扇沢駅、黒部ダム駅(トロリーバスのトンネル奥にも有) ●黒部ダム〜真砂沢ロッジ間登山道に状況については、真砂沢ロッジHPに詳しく記載してありますので参考に。 ★真砂沢ロッジ http://masagozawa.jp/ ●真砂沢ロッジ〜二俣吊橋 ロッジを出発してすぐに雪渓があります。昼間は問題ありませんが、早朝暗いうちに通過する際はルートの見極めを慎重に。また、雪が硬かったので念のためアイゼンを装着しました。 吊橋より手前に鎖場があります。一カ所鎖の遊びが大きい箇所があり、大きなザックの場合だと振られる可能性があり要注意です。今回一番危険を感じた箇所です。 ●二俣吊橋〜仙人池ヒュッテ 仙人峠まで急登が続きますが、ところどころ景色の良い場所があり思いのほか急な登りが気になりません。特に、「山と高原地図」のベンチと記入してあるところは、晴れていれば剱岳を間近に眺められ、休憩に最適なポイントです。 仙人峠から仙人池ヒュッテまでは歩きやすい木道が現れます。 ★仙人池ヒュッテ https://www.senninike.jp/ (HP自体の情報量は少ないですが、阿曽原方面へ向かう際にはヒュッテのスタッフに声をかけてみましょう。とても親切・丁寧なコースの説明をしてくれます。) ●仙人池ヒュッテ〜仙人温泉 雪渓が何カ所か残っています。日中であればアイゼンは不要と思われますが、踏み抜きやクレパスには十分注意して下さい。仙人池ヒュッテで教えてもらった通りに歩けば問題なく歩けます。 ★仙人温泉小屋 http://sennin.serveftp.net/ (今シーズンは営業していませんが、HPには登山道整備の状況などが詳しく書かれていて参考になります) 仙人温泉小屋手前に水道の蛇口があり、冷たくおいしい水を補給できます。 ●仙人温泉小屋〜仙人谷ダム 仙人温泉の源泉を過ぎて少し登ったところに阿曽原までの最終水場があります。 雲切新道は急登(激下り)ですが、草刈りなどの整備はしっかりとされています。 途中でダムが見えますが、ここからが長く感じました。 ハシゴの連続する箇所もあり要注意です。 ●仙人谷ダム〜阿曽原温泉 ダムは関電施設の上を通過します。指導標ははっきりしているので、間違えて下ノ廊下方面に行かないように!この時期はまだ未開通・未整備です。 トンネル内を通過しますが、きちんと案内がされているのでその通りに歩けば問題なしです。 阿曽原までは樹林帯の中を歩きます。木の根や岩が滑りやすいので注意。 ★阿曽原温泉小屋 http://azohara.niikawa.com/ HPには登山道情報など大変詳しく記載があります。 食事も美味しく温泉も最高!ご主人佐々木さんやおかみさんの心遣いも素敵な小屋です。 ●阿曽原温泉〜欅平 延々と水平歩道が続きます。途中にはヘッドランプが必要なトンネルがあったり高巻き道があったり緊張感をとぎれさせないようにしないといけません。大きなアップダウンはありませんが、歩道から転落しないように注意が必要です。ストックは使わずにしまっておいた方が無難です。 |
その他周辺情報 | ●下山後の温泉 「すずむし荘」¥500 ●下山後の食事 安曇野IC近くのとんかつ屋さん「かつ時」 ●下山後の甘味 梓川SA「さびっぷるソフト」¥350 |
写真
感想
♪黒部ダムから仙人新道・雲切新道・水平歩道を抜けて欅平へ(真砂沢ロッジ・阿曽原温泉)♪
★プロローグ
最近の夏休みはどこへ行っても混みあっている・・・。昨年は比較的空いているといわれる裏銀座方面、しかもロングルートでそれほど一般受けしないだろうと思われたルートで山小屋激混みに遭遇。
今年は空いている小屋でゆったり夏休みを過ごしたいな〜と、スキーシーズン終了後から「山と高原地図」を見比べ選んだコースがここ。ルート上にメジャーなピークがなく、標高が高くないので暑そう。ここならあまり多くの人は来ないだろう。
タイミングよく、名古屋で唯一開催される「山フェス」にお目当ての小屋がブースを出しているじゃないですか!これは出かけて一度お話を聴いてみよう、ということで激混みの名古屋駅近くの会場へ(人酔いするから混雑した場所苦手なんだけど)。
会場の賑やかさに圧倒されつつも、何とか山小屋のご主人にお話を聴くことができたが、この時「ロングルートで長時間歩行おまけに暑い、大丈夫か??」と1回目の脅し(心配)がはいった。こちらも「ロングルートは歩きなれているし、トレーニングもしている」ことを伝えると「夏は空いとるぞ、そうめん作って待っとる」とのお言葉をいただけた。これがあの有名な「阿曽原温泉小屋」ご主人、佐々木泉さんとの出会いだった。
★1日目(黒部ダムから内蔵助平・ハシゴ谷乗越経由真砂沢ロッジ)
1週間ほど前に真砂沢ロッジに予約の電話をいれたところ、「その日は定員の倍以上の予約があって・・・」と宿泊を断られそうな雰囲気だったが、「二人なら何とか」ということでとりあえず予約はオッケー。ただここでも、「コースタイム以上に時間かかると思いますので」とのこと。
このことを踏まえ、当日は始発のトロリーバスに乗車することが最大のミッション。扇沢の駐車場も駅に近めの有料¥1000/日をあえて選択した。事前のリサーチだと始発6:30の切符は5:50から発売される。何としてでも切符を入手しなくては!
そして4:30頃扇沢の駅に行くと既に切符待ちの列が・・・。ただ、比較的前の方なのでこれなら始発に乗れるだろうと少し安心。列はほどなく長く伸びていった。
切符の販売は予定より少し早めに始まり無事始発切符を入手。そのままトロリーバスの乗場に並び、予定通り始発に乗車、15分ほどで黒部湖駅に到着した。
到着後はほとんどの人が室堂方面に進むが、私たちはトロリーバスのトンネル内を直進し本日の目的地を目指す。が、トンネルを抜けるとそこは雨だった・・・。
今シーズン初めての雨スタート。カッパを着込み出発するが、楽しみにしていたダム下からの放流の様子はもちろん景色は何も見えず、モチベーションが下がったまま歩き続けるが、予想以上に急登が続きなかなかの手ごわい道。ハシゴ谷乗越に到着するまで2回も大休憩をしてしまった。ここからの下りがまた歩きにくい道だったが、何とか川を渡る橋までやってきて小屋への到着の目途がついた。この頃には太陽も顔を出し天気は回復していた。
真砂沢ロッジには予定より早く14時に到着。布団1枚に2人以上を覚悟していたが、案内されたのはカイコ棚になった場所の上段で1人に1枚の布団だという。あれれ、何だか拍子抜けだが初日からラッキーだ。スペースも広いぞ。
その後は天気の良い中、カップラーメン食べーの、コーラ飲みーの、雪渓近くの岩に寝そべり昼寝しーのでのんびり過ごす。そしてお楽しみの夕食後明日の準備を済ませ早めに布団で横になる。
★2日目(真砂沢ロッジ〜阿曽原温泉)
阿曽原温泉に予約の電話をした時に、「真砂からうちまで一気に来た奴今年はまだおらんぞ、時間かかるぞ〜」と2回目の脅し(心配)をされていたので、2日目もコースタイム以上に厳しい道のりであるのだろう。しかし、ロッジからは雪渓やクサリ場も近く、真っ暗な中を長時間歩くことは避けたい。検討した結果4時出発なら雪渓は暗い中通過でもクサリ場に着く頃には明るくなっていると思うし、何より気温が高くなる頃にはかなり距離がかせげる。
予想通り真っ暗な雪渓は昨日通過していなかったらルートが分からないかもしれない。そして早朝の雪渓は思いのほか固く、安全第一でアイゼンを装着して通過。その後、一歩間違えば川にドボンの鎖場を通過し吊橋を渡り仙人新道に突入。
ここもなかなかの急登だが、ところどころ景色が見えてモチベーションが下がることはない。特に途中のベンチ付近はきれいに晴れていれば劔が眼の前に見える絶好のビュースポットになるはずだ(本日は劔山頂付近にガスがかかってしまったが・・・)。
ベンチから小一時間登ると仙人峠、更にもう少し歩くと仙人池ヒュッテに到着。すると、小屋の中からおかみさん?が出てきて、阿曽原方面に向かうことを告げると図解付きで詳しく道の状況を説明してくれた。この説明がすごく的確で、その通りに歩けば安全に道迷いもなく次のポイント仙人温泉にたどり着くことができた。仙人温泉自体は今年の営業はしていないが、小屋脇の水道は使用できるので、ここで冷たくおいしい水を汲んでついでに顔も洗って再出発。いよいよ雲切新道へ突入。
雪渓を越えるとすぐに温泉の源泉が湯けむりを上げているが、この辺りは暑いのでさっさと通過。雲切新道最高地点を過ぎるとここからは仙人ダムまで下りベースの樹林帯となる長い道のり。途中でダムが見えてからが特に長かった。
やっとの思いでダムに到着しここでまた大休憩。あと1時間あまりで阿曽原までたどり着けそうだ。さあ本日のラストスパート頑張るぞ〜!
そして予定を大幅に上回る12:30過ぎに阿曽原温泉小屋に到着。えっ、本日一番乗りですって?自分たちもまさかこんなに早く到着できるとは思わなかよ〜。
まずはゆったり温泉につかる。ミンミンゼミの鳴き声をBGMに景色を眺めながらの温泉は至福の時間。時折吹く風も心地いい。温泉後は、今日もまたカップ麺や炭酸飲料でまったり。本日は空いているそうで、私たちも大きな部屋を2人で個室状態でつかうことになった。今、北アルプスメジャールートは小屋も道も大混雑だよね〜?本当にラッキーなことだ。
夕食もお待ちかねのそうめんのほかスパイスの効いた辛口カレーや天ぷらなどボリューム美味しさともに大満足の内容。昭和の香り満載の下ノ廊下のビデオ鑑賞。つっこみどころも満載だったが、黒部の大自然や下ノ廊下の歴史を勉強することができた。この日も早めに横になるが、夜は激しい雨と雷でなかなか眠れなかった。
★3日目(阿曽原温泉〜欅平)
天気予報では朝から雨の予報。出発時には雨は降っていなかったものの、カッパとザックカバーを装着して4時少し前に小屋を出るが、案の定すぐに雨が降り始め時折強く降るときも。う〜ん、今日は水平歩道を歩く日。危険マークの大太鼓付近もあるし嫌だな〜。なんてことを考えながら折尾大滝を越えやってきました大太鼓。あれ、意外とこの辺り上部の岩がオーバーハングしているおかげで道は乾いてる。高度感はあるけど思ったより滑らないし歩きやすい。それでも慎重に歩を進め、出ました150mの志合谷トンネルへ。まずはヘッデンを点けてトンネル内へ。やっぱり中は真っ暗で水が深いところでくるぶしくらいまでたまっている。足元に気を取られていたら、一度岩に頭をぶつけてしまった・・・。
ここを抜ければ水平歩道も終盤へ。少しは楽な道になるかと思えばそうでもない。同じような感じの道は「水平歩道始終点」の標識まで続き、その後も欅平まで激下りのずっと気の抜けない道だった。欅平に下る頃には日差しが照り付けるようになっていた。
欅平でカッパをたたんだり荷物整理などをして始発の9:37に余裕で乗車。車輛はがら空きで途中の駅までは私たちの乗った車両は二人で貸切り状態だった。しかし途中から雨が強く降ってきたため再度湿ったカッパ(上着)を着込むハメに。
宇奈月駅から富山地方鉄道の宇奈月温泉駅に移動し新黒部へ。ここの乗り換え時間がタイトだったがうまく待っていた列車に乗車でき、安心感から車内で爆睡。危うく立山まで行ってしまうところを何とか新黒部の駅で降り、JRの黒部宇奈月温泉駅へ。ここでまずJR信濃大町駅までの乗車券と、新幹線の自由席券、南小谷からの特急あずさ自由席券を購入。ここでは待ち時間が1時間ほどあるので、お土産購入やお昼ご飯タイム。雨で濡れたカッパとトロッコ電車の寒さのせいで身体が冷えたので、コンビニで温かいトン汁を購入し温まる。
新幹線に乗り糸魚川で大糸線に乗り換え、更に南小谷から特急あずさに乗り換え、15時頃には信濃大町に到着。タクシーも駅前に待機しているので、待ち時間なく扇沢駅まで順調に戻ることができた。
★エピローグ
3日間通してホント良くがんばったな〜と思う。事前の計画や情報収集がしっかりできていたことで余裕をもって行動できた。登山ではこの計画段階がとても大切なんではと感じる。宿泊した小屋でも非常に遅い時間に到着する方がいて、小屋スタッフが大変心配されていたのを間近に見た。他人事ではなく自分のこととしてこれからも安全に楽しく山を歩こうと改めて感じた山行だった。
いいねした人