剱岳登攀合宿 八ツ峰Ⅵ峰Aフェース・Cフェース&八ツ峰上半(剱岳登攀合宿9月チーム)
- GPS
- 80:00
- 距離
- 19.8km
- 登り
- 2,610m
- 下り
- 2,614m
コースタイム
- 山行
- 3:03
- 休憩
- 0:15
- 合計
- 3:18
- 山行
- 7:37
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 8:17
- 山行
- 10:20
- 休憩
- 2:02
- 合計
- 12:22
天候 | 9/4:曇りのち暴風雨 9/5:曇りのち晴れ 9/6:晴れのち曇り 9/7:暴風雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【室堂〜剱沢小屋】 整備された登山道 【剱沢小屋〜長次郎谷〜熊の岩】 剱沢雪渓は武蔵谷と平蔵谷の間から雪渓に移る。長次郎谷はⅠⅡ峰間ルンゼ辺りが大きく割れているので、右岸から割れ目をかわす。 【Ⅵ峰Aフェース魚津高ルート】 Aフェースの左のカンテ沿いを登れば間違いない。若干、岩が脆い印象を受けた。 【Ⅵ峰Cフェース剣稜会ルート】 2p目までは緩いスラブ。3p目は傾斜がきつくなりフェースっぽくなる。4p目は鋭いナイフリッジ。5p目でCフェースの頭に出る。 【八ツ峰上半】 Dフェースの頭、Ⅵ峰、Ⅷ峰から懸垂下降をした。八ツ峰の頭の登りは岩が脆いと感じた。Ⅶ峰は三ノ窓側から巻くことができるが、行き過ぎるとクレオパトラニードルの方へ行ってしまうので要注意。 |
その他周辺情報 | 【温泉】 みくりが池温泉9:00〜 室堂山荘14:00〜 雷鳥荘 9:00〜 |
予約できる山小屋 |
剱澤小屋
|
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
長袖インナー
ソフトシェル
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
防寒着
雨具
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
サブザック
アイゼン
ピッケル
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
水筒(保温性)
食器
ライター
地図(地形図)
トポ
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
筆記用具
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ナイフ
カメラ
シェラフ
クライミングシューズ
ハーネス
ヘルメット
ロックカラビナ
カラビナ
スリング
セルフビレイランヤード
|
---|---|
共同装備 |
調理用食材
調味料
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
調理器具
ファーストエイドキット
針金
ポール
テント
ロープ
クライミングシューズ
ロックカラビナ
カラビナ
スリング
ロープスリング
キャメロット
ストッパー
カム
ナッツキー
ギアスリング
ディッセンダー
プーリー
ナイフブレード
ロストアロー
|
感想
今年の山岳部の登攀系の夏合宿で、私は剱岳の八ツ峰Ⅵ峰のフェース群をその場所に選んだ。昨年の文登研でチンネ左稜線を登攀した時に、アプローチでⅥ峰の近くを通り、登攀意欲をそそられたことがきっかけだった。メンバーを募ったらなんと私以外は全員新入生だった。若干不安に感じたため、メンバーには厳しい訓練を課した。4人を8月チームと9月チームに分けた。8月チームは悪天のため剱沢までしか行けなかったため(8月チームの記録→https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1578087.html)、本記録は主にほぼ計画通り行程を完遂した9月チームの記録である。
9/4
室堂ターミナルを予定通り8:50頃に出発した。大型で非常に強い台風21号が接近していたため、午前中で行動を止め、テントを張らず剱沢小屋で台風をやり過ごすことにした。午後から天気が崩れると読んでいたが、早くも雷鳥坂を登っているときから小雨がちらついてきた。風も強くなりはじめる。台風の影響がでてきたのだ。なんとか午前中に剱沢小屋に到着した。普段テントでしか泊まらない我々にとって山小屋はとても快適に感じた。シャワーはある、コンセントはある、温かいお茶は無料で飲めるし、コーヒーだって100円払えば飲める。布団もあるし、面倒な撤収もない。しかも台風の影響だろうか、この日に剱沢小屋に宿泊した人は我々を含めて5人しかおらず、のびのびとした小屋泊ができた。夕方から台風の暴風域に入り、外は激しい風雨に見舞われた。テントを張っていたらひとたまりもなかっただろう。
9/5
この日は長次郎谷を経由して熊の岩まで行き、Aフェースの登攀を狙った。台風の余波を考慮して、少し遅めの7:00頃に出発した。小屋の従業員の方から雪渓の情報を仕入れていたので、ほぼ想定通りに進むことができた。剱沢雪渓は武蔵谷と平蔵谷の間から雪渓に降りた。ここでアイゼンとピッケルを装着した。長次郎谷出合から長次郎谷を上部へ詰める。長次郎谷はⅠⅡ峰間ルンゼの上部が割れていたため、右岸から巻いた。Ⅳ峰あたりから再び雪渓に戻り、直接Aフェースを目指した。Aフェース魚津高ルートは傾斜がきつかった。正に「フェース」といった感じである。1p目は最初はⅢ+(RCCグレード)の方から取り付いたが、登っていると予想外に難しく、後輩が上がってこれない可能性を感じたのでⅢの方から登った(後日調べたら、lllと思って登っていたところはlll+だった。lll+と勘違いしたクラックは全くの間違えルートだったことが判明)。取り付きから見て右のカンテ沿いを登れば間違いない。2p目は傾斜こそあれ、そんなに難しく感じなかった。3p目は風が強くなってきたため断念し、同ルートを懸垂下降で降りた。取り付きで登攀装備を片付け、熊の岩で幕営した。
9/6
この日はⅥ峰Cフェース剣稜会ルート(5p)を登攀し、Cフェースの頭から八ツ峰上半を縦走(縦走とはいっても、事実上の登攀である)、そこから剣岳の本峰を狙った。朝早くからCフェース剣稜会ルートに取り付く。1p目と2p目は緩いスラブだった。左のカンテを見失わなければ迷うことはない。実質、どこからでも登れる印象を受けた。3p目からは傾斜が強くなり、フェースらしくなってくる。ホールドやスタンスに困ることはない。ナイフリッジの手前でピッチを切る。4p目は本ルートのハイライトのナイフリッジだ。高度感は抜群だが、そんなにムーブに困ることはない。困ることがあるとすれば、終了点がやや狭いことだろう。最終ピッチは階段状の岩壁をよじ登り、Cフェースの頭でピッチを切った。Cフェースの頭からは八ツ峰上半の縦走に取り掛かった。どのピナクルもロープを使用するほどではないが、中途半端に厄介な岩場で、緊張を強いられた。Dフェースの頭、Ⅵ峰、Ⅷ峰では懸垂下降をした。いずれも支点はあるが、Ⅷ峰〜の懸垂下降は三ノ窓側に振られないように注意する必要がある。Ⅵ峰の懸垂下降の終了点からは三ノ窓側に巻道があるが、行き過ぎるとクレオパトラニードルの根本を抜けて三ノ窓の頭へ行ってしまうので気をつけなければならない。我々はⅦ峰だけこの道で巻き、Ⅶ峰とⅧ峰のコルから稜線に復帰した。八ツ峰の頭への登りは見た目ほど難しくはない。長次郎谷側のガリーから三ノ窓側のカンテを登ると簡単だ。八ツ峰の頭からは北アルプス北部を一望できた。少し休み、先を急ぐ。池ノ谷乗越へは落石に気をつけながら慎重にクライムダウンした。計画では池ノ谷乗越から剱岳を目指す予定だったが、メンバーの疲労と明日の天候が悪いことを考慮して、剱沢小屋まで下山する決断をした。池ノ谷乗越からは長次郎谷右股を下降したが、雪はほとんど残っておらず、急峻なガレ場の下降を余儀なくされた。熊の岩のデポを回収し、ひたすら下山し続け、17:30頃に剱沢の野営場に到着した。剱沢の野営場に着いた頃には風が強くなっていた。強引にテントを張って幕営した。
9/7
朝からすさまじい暴風雨だった。フライが引っぺがされ、テントの中は水がたまり始めた。なんとか撤収し、帰路を急ぐ。別山乗越は特に風が強く、台風と変わらないほどだった。みくりが池温泉で入浴するはずだったが、温泉が故障していると言われ、仕方なく雷鳥荘までもどり入浴した。ロビーでゆっくりした後に室堂ターミナルまで下山し、山行を終了した。
ここ最近は天候不良が続いたが、9月チームは数少ない好天下で充実した登攀ができてよかった(8月チームは残念な結果となり、後輩2人には気の毒に思う)。9月チームの後輩2人は1年生で北アのバリエーションルートを登攀するというこの上ない経験ができたと思う。これで満足せず、来年も充実した登攀系の山行に挑戦してもらいたいと願っている。今回はお疲れ様でした。
お疲れ様でした。熊ノ岩にて幕営を共にした者です。
台風一過の下、6日の登攀は快適そのものでしたね
山岳部の新一年生と共に、八ツ峰6峰フェース群の登攀には情熱、闘志と山へ対する熱い気持ちが伝わってきました。
一年生の今後の成長も期待できそうですね。安全登山でこれからも山と向き合って行って下さい。
陰ながらレコを拝見しつつ応援させて頂きたいと思っております
コメントありがとうございます!
登攀の技術、経験はまだまだですが、これからもどんどんいろんなルートにトライしていきたいと思っています💪
これからも安全登山で、チャレンジしていきます!
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