盛夏の立山連峰・百高山父子ツアー(室堂〜立山三峰〜内蔵助山荘〜別山〜劔御前〜雷鳥沢〜室堂周回)



- GPS
- 13:16
- 距離
- 25.5km
- 登り
- 1,974m
- 下り
- 1,997m
コースタイム
- 山行
- 5:48
- 休憩
- 3:07
- 合計
- 8:55
- 山行
- 3:53
- 休憩
- 1:50
- 合計
- 5:43
天候 | (初日)快晴、のち時々曇り (2日目)晴れ一時曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
(復路)往路戻り(14日午前11時30分時点で、室堂ターミナル発のバスは臨時バス含め並んだ順に乗車可能、便指定等不要) |
コース状況/ 危険箇所等 |
・コース中、要所に案内標識・コースロープあり、特段の不明瞭箇所等ナシ ・一ノ越山荘〜雄山神社間は片側一車線の岩稜登り(登りは赤ペンキ、下りは黄色)、落石・スライド注意 ・富士の折立ピークには岩稜左側をトラバース気味に薄い踏み跡あり。スリップ注意 ・雷鳥沢〜ミクリが池間は有毒ガス噴出中の地獄谷を迂回するように歩行(風向き・ガス濃度により警報ランプ発動します) |
その他周辺情報 | 立山駅周辺に旅館等多数(早立ち・弁当提供も可) |
写真
感想
夏休みの北ア名山巡りの旅後半戦は、日頃運動不足・自称インドア派の末っ子君を連れ出し、メジャーかつ交通至便な立山連山プチ周回ツアー。長男との白馬ツアーから帰宅して翌日夕刻には出発という強行日程と、南海上の超大型ノロノロ台風の動きの2点が出発前の大きな懸念材料ながら、前者はムスコ殿の山靴損壊トラブルで行程がハードな白馬三山周回から大雪渓往復に短縮となり身体的負荷が幾分緩和、後者も台風の速度があまり上がらず、かえって北陸方面をカバーする太平洋高気圧が強まるパターンとなり、いずれも結果オーライで予定通り出発します。
次なる大きなチャレンジは、超メジャーな立山黒部アルペンルート起点、しかも夏の観光シーズン・ピーク時の入山ということで、マイカー規制起点の立山駅近くの駐車場確保と、朝イチのケーブルカー他の座席確保です。昨夏の中ア・千畳敷ロープウェイ攻略時の経験・教訓を活かし、都内の自宅を夕方6時に出発、関越→上信越→北陸と高速400km余を快調に飛ばし、夜12時前立山駅前に到着すると、運良く駅至近の駐車場に数台分のスペースあり。首尾良く車を入れ、数時間の仮眠後、朝4時前には行動開始、アルペンルート当日券売場を偵察すると、午前5時20分の発売開始に向け、早くも指定券購入待ちの列が出来ています。取り急ぎザックで順番を確保、車との間をせっせと往復してムスコ殿に持参のコンビニ朝食を取らせ、小生自身も指定券売場に戻って何とか始発便の06:00発のケーブルカー指定券をゲット。美女平からのバスも臨時便が複数出てスムーズに乗継ぎでき、車中より称名滝や弥陀ヶ原などプチ観光を楽しみつつ、当初の目算よりかなり早く午前7時過ぎには室堂ターミナル到着です。天候も快晴微風、Tシャツで歩けるコンディションという幸先良さ、満を持して父子でいざ出発。
次なるカベは小生自身の筋肉痛と、日頃山歩きとは無縁の末っ子君の高山順応です。前者は少々太腿の張りがある程度で何とかクリア、後者は本人から程なく「頭が少し痛い、すぐ息が切れる」と高山病の典型症状の申し立てがあるも、頻繁に休憩を取り、歩幅も小さくゆっくり進むことで次第に調子が出てきます (若さって素晴らしい…!)。何ヵ所かの雪渓横断のお楽しみもあり、何とかほぼコースタイム通りのペースでハイカーの溢れる一ノ越山荘に辿り着き、ここでカロリー補給、岩混じりのザクザクした急斜面に取り付きます。ムスコ君も少しキツそうですが、幸いスライド待ちで頻繁にプチ休憩が取れるのと、ルート沿いの花々に薬師、笠、黒部源流の山々、そして加賀の名峰・白山と次々現れるステキで個性的な名山たち(ムスコにとってはどれがどれやら、ですが…)に力を得て、順調に高度を稼いでいきます。
やがてすぐ頭上に立派な建物が迫り、槍穂や後立山の大展望も楽しめる雄山神社本殿に到着。ここにザックを置き、入山料500円也を奉納して、少々の順番待ちの後に山頂の祠に参詣。素晴らしい展望に加え、日本三霊山の一つ、立山神社の霊験あらたかなお札や鈴も貰えて、大いに力を得た気分です(鈴の方はちょうど愛用のクマ鈴が白馬ツアーで壊れたため、小生ザックにしっかり装着。″目的外使用″ですが…)。神社本殿にてフルーツ缶を食しリフレッシュ、いよいよ初日の核心部・立山連山のプチ縦走に向かいます。
多数のハイカーとスライドしつつ、20分強で最高峰の大汝山頂に到着。末っ子君にとっては久々の百名山踏破です。富士山は家族で7年ほど前に登頂済みのため、ムスコに「これで日本3大霊山も残るは白山のみ。いい山だよー」と現物を指し示しながら水を向けるも、およそ興味なしの様子…。気を取り直し、大汝山の立派な休憩所でトイレを借り、直下の鞍部に荷物を置いて連山最後の富士ノ折立へ。これが意外な難関で、岩場をヘズり、岩稜に付いた細い踏み跡を辿る形で何とか山頂到着。ムスコにとっては結構なアドベンチャー・アトラクション感覚だったようで、珍しく「スゲー」を連発しながら自分のスマホで周囲の山々をパシャパシャ撮っています。ここまで来ると、ラスボス感溢れる劔の雄姿が素晴らしい山岳景観の主役ですが、小生にとっては初日の「隠れミッション」である別山往復が可能かどうか、ムスコの疲れ具合とこの日のお宿、内蔵助山荘到着時間が気になるところ…。
幸い、次のピークである真砂岳へ向かう途中、登山道のすぐ脇に雷鳥の親子が登場。ヒナ鳥がエサ探ししながらヨチヨチ歩く愛らしい姿を、警戒の鳴き声を発しつつ遠巻きに見守る親鳥の健気な様子に、ムスコや居合わせたハイカー揃って感激の面持ちで見守ります。この思いがけない雷鳥ショーにすっかり力を得て、お腹がすいてきたのも忘れて次なるピーク、強風の真砂岳をあっさりクリア。内蔵助カールの大きな雪渓で雪山訓練中のパーティーを横目で見ながら、雪渓を吹き上がる心地良い涼風を感じつつ、午後1時過ぎに無事初日のお宿・内蔵助山荘に到着です。
ジュース(400円也)買いオニギリ昼食済ませた後、部屋に入り少々ヒルネ。元気回復したところで、どうやら夕立の心配もなさそうなので小生自身の本ツアー第1ターゲット、別山へ午後のお散歩に出かけます。稜線上の夏の日射しはキツく、ムスコ君は「暑い〜、腕が焼ける〜」を連発。時折現れる雪渓からの涼風を心地良く感じながら、いくつかのアップダウンを経て別山南峰到着です。ここには立派な神社の祠が建ってますが、山名標識は割れて地面に転がっており、何とか復元してパチリ。劔も午後のガスに見え隠れする中、往復15分の別山北峰へ。ここは日本百高山にカウントされる立派なピークながら、三角点や山名標識も一切なく、石積みの山頂らしきポイントでガスに没しかけた劔をバックに ″証拠写真″ 撮ってもらい、小休止の後、帰路につきます。ムスコ君の関心は専らスマホ電波の入り具合で、南峰では何とか3G(Yモバイル)が繋がったものの、結局タイムアウト。「明日もこの道を歩くんだよね。意味分かんない…」などとブツブツ言いながらも、ガスに煙る尾根道を快調に辿り、午後4時過ぎには小屋に戻ります。よく冷えたチューハイとジュースを買い、初日の上首尾と収穫に乾杯。改めて人気の山域では早め早めの行動が肝要であることを実感です。シンプルながらも山菜などを多く盛り込んだステキな夕食を済ませ、疲れもあって午後7時前には早くもバタンキュー…。
夜9時頃までは結構な雨降りと濃いガス、夜半過ぎからは強風も吹き始め、すわ台風の遠い影響か、とビビリますが、予報によればこれは一過性の気圧の谷のようで、明け方には一応風も収まり、富山の夜景や星も見えてまずは一安心。ここは小屋の目の前からゴタテに昇る雄大なご来光が楽しめる手軽さで、この日も雲は多めながら、何とか日の出を拝むことができました。カレーうどんの朝食を済ませ、午前6時前には早々に小屋を出発。しっかり寝たお陰で疲労もまずまず回復、今日も朝から良いペースです。別山への登りの途中からトラバース道に入り、途中の名もないピークから遮るもののないツルタテ〜北アの主脈やゴタテの名だたる山々、そして富山湾の向こうの能登半島、白山まで望める素晴らしいパノラマを楽しみます。
程なく、登山者で溢れるツルタテ交通の要衝、劔御前小屋に到着。ここからは劔沢や大日岳コース含め、計6本のルートが伸びていますが、我々は小屋の前にザックを置き、最もマイナーと思われる劔御前へのルートへ。最初の2,790mピーク(なぜか「劔御前山」の手書き標識あり)前後までは岩ゴリゴリのマッチョな道ながら、暫く進むと周囲に草原とお花畑が広がる牧歌的なルートとなります。ムスコ君も「なんて平和なんだ!ここで昼寝したい…」などと喜んでいますが、小生の目は眼前に迫る大迫力の劔の雄姿に釘付けです。「6時間あれば往復できるんだけど…」と独りごちますが、ムスコには黙殺され、午前8時前にはお目当ての劔御前山頂にアッサリ到着。
ここには立派な三角点があるものの、やはり山名標識はナシ。年賀状にも使えそうな立派な劔をバックに、居合わせた男性ソロの方と記念写真を撮り合って、次の女性2人組が到着したところで山頂を辞します。劔御前小屋でフルーツ缶+チョコを補給し体勢を立て直し、室堂に向け下山開始です。雷鳥坂の下りは浮石も多く、登り下りの大勢のハイカーもいてスライドや抜きつ抜かれつに苦労しながら、石を落とさぬよう慎重に下っていきます。この頃からは日も高く昇って気温上昇、暑さに堪らず上着を脱いだムスコ君、今度は日焼けした両腕が悲鳴を上げている様子。日陰を選ぶように急な斜面を下り、ようやく雷鳥沢に辿り着くとそこは文字通りのオアシス。雪解けの冷たい水を頭からかぶり、両腕を濡らしたタオルでクールダウンしながら、シンドい室堂への登り返しにかかります。雷鳥荘に登り着く頃にはさすがに2人揃ってゾンビ化(ムスコは両腕にタオル巻いているので尚更リアル…)、ここで1本250円の程よく冷えたジュースに感動、少し早めですが小屋で作ってもらった弁当昼食とします。(内蔵助山荘の弁当は内容充実、1人1本のペットボトルお茶詰めサービスもあって、大変グッドでした!)
ここから室堂まではほんの一登り、地獄谷の荒涼たる景観と背後の大日岳のたおやかな山容のコントラストを楽しみながら、石畳の整備されたコースを歩いていくうち、次第に夥しい数の軽装の観光客が押し寄せます。この辺りはもはや下界の延長、小さいお子さん連れやハイヒール・サンダル履きの軽装の人々ばかりで、ガッツリ山装備のこちらが浮き立っている感じ。それでも、鮮やかなエメラルドブルーのミクリが池や背後の立山連峰のスケール感は、さすがに日本を代表する観光地、ステキな眺めにウットリします。午前11時半前、室堂ターミナルに帰着、手の切れるくらい冷たく美味しい「玉殿の湧水」を味わった後ペットボトルに詰め、2日間のプチ周回縦走も無事完了、父子でガッチリ握手。
バス〜ケーブルカーの乗り継ぎもほとんど待ち時間ナシでスムーズに立山駅到着。この日の宿は駅近くの旅館で、まだチェックインには早いため、おまけツアーで称名滝へ。炎天下・舗装道の登りは疲れた心身にはこたえますが、レストハウスでカキ氷食べて元気回復。日本一の落差、称名滝のウォーターミストは火照った親子の身体をしっかりクールダウンしてくれました。駅前旅館で山の汗を流して地元料理に舌鼓、1泊した後翌日は通常の帰省モードに戻り、台風余波の酷暑の中を長駆・秋田まで500km余の大移動です。
この夏休みの北ア父子ツアー2連チャン、交通機関や小屋の混雑もほぼピークの上、日程的にも身体的にもかなりの強行軍でしたが、幸い台風の直接の影響もなく、素晴らしい天候・展望にも恵まれてほぼ当初計画通り完遂。2人の息子それぞれに北ア夏山の醍醐味を満喫、父子でステキな思い出を作ることができました。願わくは、彼らがこの先の人生で今回の体験を活かし、いずれは彼らのパートナーや家族を引き連れて北アのメジャーな山域を再訪してくれることを期待するばかりです。(お邪魔でなければ、ジイちゃんも特別ゲストで参加しますよー!)
〔※毎度ながらの駄文・長文の山行記録、失礼しました…。〕
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