荒川三山、赤石岳【小渋ルートから荒川小屋泊】
- GPS
- 34:37
- 距離
- 38.6km
- 登り
- 4,221m
- 下り
- 4,221m
コースタイム
4:30湯折ゲート−5:45高山の滝−6:50広河原小屋−10:30大聖寺平−11:00荒川小屋(チェックイン・昼食・水補給)
11:40−13:00中岳(中岳避難小屋でティータイム)−14:25悪沢岳−15:35中岳避難小屋−
15:55前岳−16:55荒川小屋(泊)
2日目
3:00荒川小屋発−4:40小赤石岳(朝食)5:20−5:45赤石岳−7:15百間平(リターン)−
9:00赤石岳−10:30大聖寺平−12:40広河原小屋−15:25湯折ゲート
天候 | はれ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
途中から砂利道ですが私のローダウン軽でも腹を擦ることはありませんでした。 落石への注意はもちろん、工事中なのでダンプ等の大型車両の通過があるかも。 工事車両が頻繁に通っていますので路上駐車厳禁です。 途中までバスはあるようです。赤石荘に泊まれば送迎あるかも!?(要問合せ) 鳥倉登山口(塩見)へは送迎しているようです。他の民宿等も送迎があるのでは!? |
コース状況/ 危険箇所等 |
※ルート図は1日目の荒川小屋まで及び悪沢経由中岳分岐まではスマホGPSログ。(60秒間隔、GPS測位のみ) それ以降は手動入力。全3データ(gpx)をカシミール3Dにて結合。 ・登山口にトイレありません。R152沿いの観光案内所を使わせて頂きました。 ・登山ポストは湯折ゲート。用紙あり。 ・小渋川・・・噂どおりの難ルートです。安易に行かないでください。 参考:yama-take氏のレコ(赤石岳日帰りピストン) http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-209802.html 参考:前日の下見(登山口から広河原小屋まで) http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-213853.html ・広河原小屋から大聖寺平 予想外に快適な急登です。最近どなたかが整備をされたのでしょう。 登り始めこそ倒木に阻まれますが、以降は一般的な登山道です。 ★大聖寺平から小渋ルートへ下山する分岐付近は目印や踏み跡が少なく ガスが出た時には大変迷いやすいです!間違えると前岳崩壊地がすぐ ですから大変危険です!ハイマツ地帯に入る前に必ず目印を確認のこと! ・荒川三山から赤石、百間平 もちろん初心者でも危険なく歩けます。小赤石稜線の強風は大変かも。 ・水場 広河原小屋・・・看板はあるけど・・・沢の水でしょうか!?ならば溺れるほどあり 荒川小屋・・・テント場下に豊富。500ml/2秒。 中岳避難小屋・・・雨水のみ。コーラなどの飲料販売あり。 赤石岳避難小屋・・・雨水のみ。水不足中らしいです(写真参照)。 お気に入りの赤石荘で入浴しました。宿泊はけっこう混んでそうです。 大鹿村観光協会 http://www.oshika.info/ 東海フォレスト http://www.t-forest.com/alps/ |
写真
感想
荒川三山・・・奥地にあるため訪れる人は少ないが、大崩壊地や壮大なカール
お花畑など見所が多いです。特に最高峰である東岳(悪沢岳)はその名とは
正反対の穏やかな山。個人的には大変お気に入りです。
赤石岳・・・ご存知のとおり赤石山脈(南アルプス)の盟主。
遠方からは連なる小赤石岳と重なり、とても大きな山容です。
信州側からはなだらかな山に見えますが、近くで見るとなかなか荒々しい。
百間平は広々とした高原の様で、登山で疲れた足腰につかの間の休息を与えてくれます。
今回は信州側のクラシックルート「小渋ルート」を選択しました。
仕事で長期の休みが取れない方にとって、短期間で両名峰へ登頂できる
大変貴重なコースだと思います。
ただし、このルートはいつでも誰でも行けるものではありません。
私も2年間チャンスを待ち続けていました。
自己満足である登山に命をかける必要などありません。
命がけで登山するくらいならカンボジアで地雷の1個でも拾っとけ!
ってのは失言ですが、やはり痛ましい姿は誰も見たくないですから・・・
過去に渡渉に失敗して亡くなられた方の姿を見ましたが無残なものです。
決して安易な気持ちで挑んだりしないよう、また事故が起きないよう願うばかりです。
以上。
長くなります。
登山を始めてからの目標であり、昨年は鳥倉登山口から荒川三山まで行ったのに
到達できなかった赤石岳。今シーズンのリベンジ筆頭であったが、再び鳥倉から
入るか、禁断の小渋ルートか悩んでいました。そこへ・・・
普通の人なら最初から遭難状態とも言える変態山行を難なくこなし、個人的に
崇拝している某氏のレコを拝見し、今年なら小渋ルート行けるかも!と思った。
確かにここ1ヶ月はまとまった雨が降っておらず、夕立もほとんど無い。
私は「通過してから石橋だったと気付く」人種である。世間には「石橋を叩き
過ぎて壊してしまい、途方にくれる人」や「危うい石橋なら最初から渡ろうと
せず、迂回して鉄橋を渡る人」も居るだろう。今回は普通に「石橋を叩いて渡る」
作戦で行くことにした。
とりあえず前日に泳げる服装と万が一のためにザックへ空のペットボトルを詰めて
下見に出かけた。もちろん本来なら救命胴衣(PFD)とかを着けて行くべきだろ
うが、そんなものは持っていない。
某氏でも難儀したという地点は確かに難所だった。
対岸に矢印があるので当然渡りたくなるが、渡渉はかなり危険であった。
川の特性である水深と流速の関係を考えた時、深くても流れが緩い方が安全な場
合がある。例え川底に足が届かない渕を泳いだとしても、急流を歩くより安全な
場合もあり得る。どうせ荷物は防水パッキングするのだから、最初から安全に
泳げば良いと割り切る覚悟も必要だ。幸い泳ぐほどの水深は無かったので何とか
通過できたが、少し水量が多いだけで遡上は不可能であろう。
そして無事に広河原小屋まで到着。後は登山道を登るだけなので誰でも行ける。
河原の岩石は一般的な河原と違って角ばっている。ソールの薄い靴で歩いたら
足底が大変痛かった。この痛みは翌日以降の登山にも大きな悪影響を与えた。
問題は1泊分のザックを背負って安全に渡渉できるかだが、今回の水量なら
大丈夫だろうと判断した。
ちなみに登山靴は河原歩きに向いているが、絶対に渡渉に使ってはならない。
登山靴の中に水を入れてみれば分かるが、1日経っても外へ1滴も漏れないのだ。
バケツとして使えそうなほどの保水力。この靴で川に入ったらどうなるか・・・
そして翌日に登山決行。天気図等を見ても川が増水して帰れなくなる心配は皆無。
エスケープルートは鳥倉林道への縦走しか無いため、入山中の天候にも最大限の
注意が必要となる。(静岡側へ下る手もあるが・・・)
下見が功を奏して難なく成功。予定通り荒川三山を巡る。
昨年お世話になった中岳避難小屋の主人も元気そうであった。
常温のコーラで悪沢岳に乾杯し、山頂の独占を楽しむ。
宿泊は荒川小屋。早朝に鳥倉から入ればギリギリ届く距離だが、やはり小渋ルート
の方が断然近い。夏休み中であり大学生達が多い。テント泊で縦走中の女子大生は
既に7日目とのこと。お風呂の無い生活にも全然慣れたようだ。全行程14日間の大縦走
らしいので驚いた。やはり大学生や退職した世代はゆとりがあって羨ましい。
翌朝はご来光を小赤石岳で拝むために3時出発。小屋は10人ほどの宿泊であった。
事前に2時半に起きるからと謝っておいたが、やはり気を遣う。
シュラフやマットを抱えながら外に出て外で撤収を行う。既に中高年の登山者らは
起床してウロウロしていた。そして3時には先の大学生グループリーダーの「起床」
という大きな声が。そう非常識な時間ではなかったのだなと安心する。
暗闇を進み小赤石岳へ。星空がきれいだったので撮影を試みるが、いきなり成功
するはずもなく・・・電池を無駄に消費してしまった。稜線では信州側からの強風
に耐えながら歩く。ゆっくり朝食とモーニングコーヒーを楽しみ日の出を待つ。
そして赤く染まる赤石岳をニヤニヤしながら眺める。至福の時だ。
山はやはりこの瞬間を見ないと楽しさ半減である。そして瞑想・・・
小赤石岳・・・なんとも不遇な山だ。標高3081mもあるのに3000m峰リストに入らない。
ドラマによくある「出来の良い兄を持つ、優秀なのにちょっと冴えない弟」的な存在だ。
槍ヶ岳の隣りの大喰岳(おおばみ)も地味だが「おおぐいだってー!何が大好物
なのかしら♪」というようなネタも、この小赤石岳には無いのだ。
しかし、眼下の2000mにも満たない無数の低山たちは小赤石岳を羨望の
眼差しで仰ぎ見ているのだ。それに赤石岳の二つと無い好展望地なのだ。
「上を見ればキリが無い。だが下を見てもまたキリが無い。」という座右の銘(?)
にピッタリの山であった。他の登山者は素通りかもしれないが、私は小赤石岳が
大変気に入った。今回の山行で一番滞在時間が長かったピークである。
残念ながら当初の予定だった大沢岳までは百間洞からの登り返しがきつく、また
赤石岳への登り返しを考慮すると不可能であった。前日の下見による足裏痛と
靴擦れが影響してしまったが、安全に行程をこなせたのだから十分満足である。
下山時は寝不足と疲労でやはり集中力が不足気味。安易に浮石に乗ってしまったり
渡渉箇所を通り過ぎて戻ったり。時間に余裕があったので焦らず進み無事に帰着。
冷えた足を赤石荘の温泉で温めて帰宅。夕飯はいつもの肉食。焼肉は面倒だった
のでステーキで我慢。19時からの仕事にも余裕を持って行けた。
今回の成功は自分の実力ではなく、気象条件の良さで成しえたものです。
そして何より詳細な某氏のレコがあればこそ。改めて御礼を申し上げます。
ありがとうございました。
覚書
渡渉の目印は参考程度。日々状況が変わる。
例え日帰りだとしても、帰りに渡渉できる保障は無い。
白い泡立ち箇所はPFDなどを装着していても浮力が得られない可能性。
ザイル等は身体に縛着しない。どうしても結着するなら切断できるナイフを持つ。
もちろんロープ類はフローティングタイプが良い。
脚の向き(流れに対して正対か、横向きか)で受ける水圧は変化する。
流れが速くても浅ければ受ける水圧は少ない。
深くても流れが緩ければ安全。
カーブの外側の方が当然流れが速い。
下流域の様に鉄筋などは水中に存在しないが、流木はあり得る。
万が一流された時にザックを即座に離脱できる訓練を。
着衣泳くらいは経験して水の恐怖を味わっておくべし。
不意に流されるくらいなら、最初から意図的かつ安全に流されろ。
斜め45度の法則
その他多数・・・
おまけ1
下山時には下肢の血行が悪くなるような気がします。
だから途中で休憩する時は足側高位とかショック体位という姿勢で休みます。
そうすると下肢の静脈還流が促進されて疲れが取れたような気が・・・
ただ、その体勢でタバコを吸って末梢血管を縮めているので効果は疑問です!
まぁ空を眺めながらのんびり休めるので気分は良いです。
ちなみに水難事故の原因の一つに下肢の筋攣縮?が考えられるそうです。
渡渉開始前にしっかり休憩したりストレッチはしておいた方が良いです。
もちろん熱中症(低ナトリウム血症)でも同様の症状が出るらしいので
ご注意ください。
おまけ2
私は意図的に足裏のスジ(腱)を攣ることができます。
他の人は出来なさそうなので特技とも言えるのか!?
長距離を歩いた時、一日中立ちっぱなしだった時によくやる疲労回復法。
仰向けに寝て足の親指をギューっと曲げる(じゃんけんのグー)。
そして攣り始めたら適度なところでやめて、逆に伸ばす(じゃんけんのパー)。
そうすると脚全体の緊張がほぐれます。毎日睡眠前にやっている。
コメント
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お疲れさまでした。天気も良かったですね。
職業性を感じるレコで、楽しく読ませていただきました。下山後にお仕事とは、また凄い。大丈夫でしたか。
この間、いくつかの小渋のヤマレコが載ってきて、さすがクラシカルルートは健在と感じます。
・小赤石岳がこんなにも愛されて幸せ者です。私のときは往復とも休憩している方がいたので、気にも留めずに過ぎてしまいました。
・大沢岳への尾根は、ちょっと上部が急だし尾根が不鮮明なので、どうかなぁ。
私の方は・・・今週の里山の方が私らしいのかもしれない。(小渋よりも) お盆は1泊で行ってきます。
nucchiさん、こんにちは。
渾身の大作でしたね!
ホームならではの並々ならぬ思い入れを感じます
荒川岳と赤石岳は遥かなる憧れの山ですので、一言一句を細大漏らさず、写真の一枚一枚を目に焼き付けるように拝見しました。
さすがに小渋ルートはムリですが…
それにしても、下山後そのまま仕事なんてスゴ過ぎです!
やっぱり肉のチカラは偉大ですね
小渋ルート、クラッシックルート、ウエストンルートの永久保存版の素晴らしく、かつ狙ってる人には大変参考になるレコだと思います。
ありがとうございました。
赤石ファンにはたまりませんね。
nucchiさん、はじめまして!
massyと申します
渡渉の連続〜小赤石の一連のレコにnucchiさんの指向を感じました
嫌いじゃないです!
前日の下見が奏功したようで何よりです
伊那側からのアプローチは大崩壊地が正面に見え圧巻ですね
yama-take様
ありがとうございます。
崖や梯子や鎖場では恐怖感をあまり感じないのですが
水だけは苦手です。冷たさと暗さと複雑な水流を経験
しているからトラウマになっているのかも。
登山道の様子を見ると、レコは少ないですが多くの方
が歩いているのでしょう。
未知の尾根は絶対に下りで使わないという教訓を得て
いるものの、大沢岳まで行っていたら尾根を下りたい
という衝動を抑えるのに苦労したかもしれません。
次はどんな変人コースなのかとても楽しみです
あと傘の利用方法が気になっています
lynx1218さん、こんにちは。遠征お疲れ様でした。
今では「南アルプス」と誰もが口にしますが、辛う
じて「赤石山脈」で育った世代ですから
ちょっと大袈裟に書き過ぎましたが、注意さえすれば
とても楽しいルートです♪ただ二度と悲劇は見たく
ないので牽制しただけです。
お休みの取れない方には遠い所ですが、荒川・赤石
からの軌跡が聖まで繋がる日を、私も楽しみにして
おります。
才脚兼備のlynx1218さんに読まれると、国語の先生に
作文をチェックされているようで恥ずかしいです
仕事>焼肉臭いまま行けないので、焼肉&ビールを
我慢せざるを得なかったことが大変苦痛でした
ricalojp様、こんにちは。
過分なるお褒めのお言葉、光栄です。
もちろん私のような知識も経験も乏しい駆け出し者の
レコなど、あくまで参考程度だと皆様もご承知だと
思います。
実際にこのコースを利用される方には、経験や装備
判断力に優れた方に同行して頂き、くれぐれも事故の
無いように登山ができますことを願っております。
massy様、はじめまして。コメントありがとうございます。
本当は山ガが多くて、楽ちんな山が好きなんですよ
広河原小屋から真っ直ぐ河原を登ると、大崩壊地の
直下まで行けそうでした。危険ですが大迫力の崩壊
地を覗きに行きたい気持ちもあります
脚の様子を見ながらぜひお越しください
nucchiさん、今日のシンマイに載っていた
赤石岳の遭難は小渋川ルートから入山、と
ありましたね。
山小屋に泊まった記録はあるそうですが
安否が気遣われます。
シンマイの方は、僕が下山した翌日の下山中に遭難
され、本日収容された様です。もしかしたら道迷いが
背景にあったのかもしれません。
僕と同じタイミングで下山していれば防げたはずだと
思うと悔やまれます。
また、僕が呑気に歩いていた崖下にも別の遭難者が
居たらしいです。一番早く気付いてあげられたはず
なのに申し訳ないです。やはり熊が出ない場所でも
人間の接近を人間へ知らせる為にも、クマ鈴の
常時鳴らしが必要なのかなと思いました。
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