最後に聞こえた山の声 燕〜大天井〜常念
- GPS
- 166:20
- 距離
- 23.6km
- 登り
- 2,463m
- 下り
- 2,523m
コースタイム
中房温泉登山口6:00 - 8:00第二ベンチ - 9:30合戦小屋 - 11:00燕山荘(昼食)13:00 - 13:30燕岳山頂 - 14:30燕山荘
8月15日
燕山荘6:00 - 7:00大下りの頭 - 9:30大天井岳 - 11:10東天井岳(途中昼食) - 14:00常念小屋(テン泊)
8月16日
常念小屋5:00 - 6:00常念岳山頂7:20 - 常念小屋8:00 - 一の沢出合 - 胸突八丁 - 一の沢登山口
天候 | 朝は頭上は快晴、眼下には雲海。 午後にはガスに包まれて夕方にかけて雨ですが、夜にはやんで深夜から早朝は満天の星空。 このパターンが3日間繰り返されました。 満点の舞台設定です! |
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過去天気図(気象庁) | 2012年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー 自家用車
一の沢に下山後、タクシーでしゃくなげ荘へ(4400円) バスで中房温泉へ(1200円) |
コース状況/ 危険箇所等 |
登山口にはポストと登山カードが備えてありました。 私はネットで提出しましたが、その場で記入されている方が多かったようです。 |
写真
感想
駐車ポイントから中房温泉登山口に向かう1kmほどの林道を歩きながら、少し眠気の残る頭で山の声を久々に聞けるかなと考えていました。
山の声が本当に聞こえるわけはなくて頭の中で想像するだけのことですが、山の気持ちになって頭の中に湧いてくる声に人間の自分が答える・・・。
下手するとアブナイ遊びですよね(笑)
自分の一人遊びのはずが思いもよらない山の台詞に驚いたり大事なことを気付かされたりと、不思議なことに今の自分はかなりこの山の声に影響されてきています。
自分のコンディションや状況によっていつでも入り込めるものではないので、こればかりは予定するわけには行きません。
ガスの中を歩くときなどよくイメージが湧きますが・・・
初めての北アルプスにワクワクする自分もありながら、この世界に入り込んで風景と一体になりたいなんて大それたことも期待しています。
登山口ではツアーの団体も含め数十人が準備していました。
まさかこんなに人がいるとも思っていなくて、今さらながら人気の高さを実感したことです。
団体さんに飲み込まれそうな予感もあってそそくさと先に歩き出します。
賑やかな登山口から山道に数歩踏み出すと、舞台は見事に転換しました。
早朝の鳥の声をBGMに静かに歩く森が続きます。
登りの傾斜は角度を増して汗をかきますが、間隔を置いて設置されているベンチに助けられながら合戦小屋に到着です。
ここの名物はもうあまりに有名なスイカです。
小屋の脇にはスイカ専用(?)のケーブルや倉庫もあるほどの人気者です。
当然予定してはいたのですが、実は少し腹が緩くなっていたのが心配で迷った末に控えてしまったのです・・・
素通りする人がいないんじゃないかと思うほどみんなが食べていましたが、うまそうだったな(涙)
なんだかんだとあれこれ気を散らしながら歩いているうちにいきなり稜線に出たような印象でした。
あたりはいつの間にかガスが立ち込めています。
風がないのが意外でしたがこれにはもちろん文句はありません(笑)
まだ10時になっていないのですが、けっこういいペースで登ったようです。
小屋の前、稜線を跨ぐようにテン場があり、数張のテントがあって持ち主は燕岳を登山中でしょうか。
今日はこの人気の高い燕山荘泊の予定です。
八ヶ岳でもそうでしたが初日小屋泊で2日目テン泊なんて荷物が増えて問題ありですね・・・
受付の紙をもらった瞬間にさっきのテン場の光景が頭をよぎり、その場で申し込みをテントに変えたのです。
食材が足りなくなるので2食は山荘で食べることにしました。
テントを張り終える頃には後から到着した人たちが続々とテントの設営を始めていました。
まだ御前中なのにと驚きましたが、テン泊縦走の時間配分としてはこんなものなんでしょうか?
隣に設営をされたご夫婦でしょうか、ペアの方と挨拶がてら話をしていると雨がポツポツ落ちてきました。
さてどうしたものかと考えかけたのですが、隣の女性は落ち着いたもので当然のように昼寝をしに入られました。
真似をして横になるとホッと気が抜けたのかしばらく熟睡したようです。
目を覚まして外に出ると幸い雨は止んでいました。
少し風が出てガスが動いている様子に、燕岳山頂に行ってみることにしました。
ガスはまだ晴れませんがなんとなく待てば晴れるような予感もあって、この後の時間を贅沢に使ってやろうと歩き出します。
イルカ岩の見事な造形や燕の山頂部の岩のモニュメントに見とれながらもあまり登らずに立ち止まりました。
このあたりか・・・
ガスが晴れたときに山頂がきれいに見えるだろうとあたりをつけて座り込みます。
しばらくの待ち時間ののち、山頂部の全容が姿を現しました。
見たかったこの風景を間近に見られて大満足です!
山頂に上がるとすでに多くの人で込み合っていました。
さっきの一人用の特等席が恋しくなります・・・
でもそこから見えたのが槍ヶ岳です。
同じ山域の稜線でつながった山なんだと実感できる大きさでこれも見入ってしまいました。
思い立てばここから峰伝いに歩いていけるんだと・・・
午後の予定が何もなかった初日、時間の使い方をひとつ学んだ山頂ピストンでした。
17時に夕食を取りに山荘へ。
決して大盛りドッカンの量ではありませんが、相席の人たちとの会話も弾んで居心地のいい食事でした。
圧巻だったのが山荘のご主人の山の話!
当たり前の山のマナーや自分の身を守ること、動植物の保護など箇条書きにすればどこでも見かける標語と同じ内容です。
ただ、ご主人の口から出ると頭の中で情景が動き出し、四季が展開し、壮大なジオラマのように世界が広がるのです。
とつとつと言葉を出すご主人の人柄も感じながら、芸としても一級品の話術に聞き入った時間でした。
披露してもらったアルペンホルンの響きと合わせ、この山荘の存在がとても大事なものに思えた至福の夜でした。
2日目、まだ夜中に目を覚まして時計を見ると3時。
普段だと朝食が終わっている時間です。
雨は降ってなさそうだとテントから首だけ出して空を見上げてびっくり!
満天の星空です。
この快晴の空は朝まで続き、素晴らしい朝日を見ることができました。
もうここまではなにも言うことのないコンディションです!
テントの撤収に時間を取られて出発が多少遅れたのが反省ですが、手順と要領で慣れるしかないでしょうね。
ザックも前日よりは多少軽くなっていて気持ちも軽くスタートします。
槍、穂高・・・あとはわからない(汗)
あ、後ろを振り返ると燕岳の後ろから剣岳が見えています!
足元にはこれでもかと花畑が続き、写真を撮る手の忙しいこと!
風景のでかさもこの上なく、自分が立って歩いていることさえもひどく小さなことに見えてきます。
山の声が聞こえないかと思ってはみるのですが、五感で感じることにもう手一杯で想像力がどうこう言ってられる状態じゃありません(汗)
この日はなぜかろくに休憩も取らずに歩いていた気がします。
後ろから20名ほどのパーティーがついて来られていたことで、先に行きたい気持ちがあったことと、休みたいと思うひまがなかったこと。
大天井荘に着くとホッとしたのか力が抜けて、冷やしてあったコーラに手が伸びてしまいました。
400円が高いと思わず(あたりまえです!)ほとんど一気飲みして回復すると、元気にスタートします!
ガスが上がってきた様子は昨日の再現を見ているようでした。
常念小屋に下りる途中で雨が降り出してしかも本降りの様相になってきたことに焦りました。
ザックカバーをかけてレインウェアはまだ着ず、程なく小屋に着きました。
受付をしてテントを設営しかけたところでもう雨はザーッと音を立てています。
雨中のテント設営になって少しへこみましたが、荷物を濡らさずに済ますコツなどはまだまだ覚えないと!
拍子抜けしたのは設営し終えた途端に雨がきれいに止んだこと。
何もかも順調じゃ山をナメてしまいますもんね(笑)
燕で隣だったペアともまた逢って話もでき、気を取り直したところで常念岳に登ろうかと見上げますが、今日はガスの動く気配がなく、止んでいる雨もまた降り出しそうな気がして登頂は明日に決めました。
午後は結局何をするでもなく降ったり止んだりの天気の中で散歩したり昼寝をしたり、リゾートの別荘で過ごしている気分(?)で過ごしていました。
中身は違いますが、これもまあ贅沢な時間の使い方でしょうか・・・
以前のようにテントを打つ雨の音に不安を感じることもなく熟睡できた結果、目覚めたのはやはり3時。
雨は止んだようだとテントを出ると、なんと昨夜と同じ満天の星!
北アルプスは毎日こうなのかと半ば本気でそう思ってしまいそうです。
常念の登山道にはもうご来光にあわせて暗い道を登るヘッデンの光が点々と動いています。
暗いうちに浮石の積み重なる登山道を歩くのはやめて、テン場のあるコルから日の出を眺めました。
昨日に続いて見事な日の出です。
毎日車から見ているのですが、当然ながら全く別物ですね。
さっそく水と貴重品だけをサブザックに入れて登り始めます。
ガレた道がジグザグに続いていますが、度の石も油断するとすぐに転がり出すものですから落石には細心の注意が必要です。
山頂部からの雲海の素晴らしさには目を見張りました。
見渡す限りの文字通り白い雲の海が広がり、打ち寄せる波のような迫力です。
人で込み合う山頂でしたがどの顔も今日ここに立ったことを喜んで輝いていました。
北アルプスのデビューは予想もしていなかった素晴らしい舞台を踏んだ気分です。
花の咲き乱れる下山の道中で山に何を伝えようかと考えていました。
天気が良くて景色が良くて、たぶん歩いた人はみな喜んで帰ったことと思います。
自分自身もこの景色が見られたことは本当に幸せなことでした。
同時にこうも考えます。
この山の魅力は数え切れないほどあって、景色はそのひとつ。
たまたま景色が見えなくてもいいもの探しは得意です。
ガスの中でも雨の中でもいくつでもいいものを見つけて、「今日来て良かった!」と思える自信はあります。
下山してタクシーを待ちながら、そんなことを思って山を見上げます。
頭にふと響いた声は、少しクスクス笑いを含んでいました。
「ようこそ!」
いつも物語のような、
読んでいても目をつむると情景が浮かんでくるような〜すばらし〜い長文レコですが 、
今回私が一番気になるところといえば・・・
>3時。普段だと朝食が終わっている時間です。
というところと、
>見事な日の出です。毎日車から見ているのですが・・・
というところです。
何故?何故?何故? 以上
コラコラまたそこかいな
すばらしいお天気で私もきっといつか行きたくなりました。
すいかが名物なんですね 絶対食べたいな〜。
テレビに出てくるような楽しい山小屋ですね。
ps・ところで、「最後に聞こえた山の声」って「ようこそ 」ですか?
はっは〜〜ん、monsieurさん、だいぶお疲れのようですね。
monsieurさん、こんにちは
まるで自分が歩いているような気分にさせていただき、ありがとうございます
燕山荘で夕食をとられたのですね!
オーナーの話はとても深いですよね。あのような立場の方から実際にお話を聞くと、
山に対する想いも伝わってきて改めて燕岳を歩きたいと思いました。
(夏休みの宿題もバッチリ仕上がってます )
そして、燕から常念ですか〜憧れです。
私たち軟弱親子にはまだまだ・・・
でもいつか歩いてみたいとの思いを込めて、お気に入り登録させていただきました
いつも素晴らしい記録を拝見させていただき、ありがとうございます。
詳細なレコありがとうございます!
わたしは北アルプスはまだなのでいつの日か完璧にフォローしてみたいです
monsieurさん、こんにちは
中房から一の沢、お疲れ様でした。
燕から大天井への稜線、気持ちいいですね。
私は表銀座の稜線しか知らないのですが、今度あの山域に行ったら常念や蝶の方へ足を伸ばしたいと思っています。(一の沢は「未だ下山せず」のイメージが強く、ビビりの小生としては・・・)
ところで、合戦小屋のすいか、本当に美味しいですよ。波田(はた)のすいかと言うそうです。
今度行く時は是非食べてみてください。
お疲れ様でした、大変満足のいく山行になった様で良かったですね
あ、でもスイカを食べられなかったのは残念でしたね、死ぬほど美味しいんですけど
アルプスの天気を心配していたのですが、思ったより良かったんですね。monsieurさんの気合勝ちでしょうか〜
それと【miyaさんへ】
>3時。普段だと朝食が終わっている時間です。
>見事な日の出です。毎日車から見ているのですが・・・
実はその答え、私知ってるんです
でも・・・ブルブル とても私の口からは言えましぇーん
毎度のことながらmiyaさんはいったいどこに飛びついているんですか
3時に朝食が終わっているのは勤務パターンのせいで、他に面白い理由はないです。 残念ながら・・・
あ、「ようこそ!」のセリフは自分ではお気に入りなんですが・・・
これが聞こえた(思いついた?)ことで山と心が通ったような気がして、ちょっと内心ドヤ顔だったんです
だらだら長いだけじゃなくて表現を磨かなきゃ、レコの回りがハンマーの跡だらけになってしまう
2泊目のテン場で一組の父子と泊まりあわせたのですが、10歳くらいの息子にお父さんは細かくレクチャーをしていました。
息子さんも一生懸命聞きながらテントを張り、道具の扱いを学び、とても充実した時間を過ごしていました。
教える方も聞く方も真剣で、素敵な父子だと羨ましく思ったものです。
cocoeさんたちの遠くない将来の姿かも知れませんね
今回たまたまの好条件を抜きにしても受け取るものの大きさ、多さは半端じゃないです。
是非行ってみてください
私の限られた感性で受け取ったものはまだまだ少ないのですが、この山域は無限の魅力を隠しているようです。
いや、隠しているのではなくて歩く人が違うと見えるものも違うのですね
私がまた次に歩くときにはきっと別の顔を見せてくれます。
行くたびに違う魅力と出逢えるならば一生付き合えるわけです
senrakuyaさんの目に映る北アルプスはどんな表情でしょう
そうなんです。 あの大きく切り分けたスイカの絵が頭に浮かぶんです・・・
隠れるところもない稜線上で腹を下すことは考えたくもない悲劇 です。
同じ理由で湧き水を飲む勇気もないのです
でも活動の幅を広げようとすればどこかで 思い切らないといけませんよね
それを断ち切るために次にはスイカを食べます!
(たかがスイカで大そうに言い過ぎや )
ちょっとちょっと、あの意味ありげな切り方はいったいなんなんだ
なんか無理やり話を面白くしようとしてるやろ
ただでさえmiyaさんの口撃は狙いをはずさないのに、悪乗りさせたら恐ろしいことに・・・
北アルプスデビュー、おめでとうございます。
いつも素敵なレコに感動します〜!
イルカ岩に会ってきたんですね !
憧れの燕の山小屋に行ってきたんですね〜〜
ご来光 や満天の星空…(見てみたいな〜) 青と白の世界 そして赤い山…
すごい景色〜お花もいっぱいでうっとりしますね!
いつか私もきっと行きたい 行ける日がくるかなあ…夢見ています
晴れて大眺望の常念岳・・・
羨ましいっす
テントを設営した後、日没までのあのダラダラ感が私は大好きです
あっ、常念小屋のテン場ですが、お写真の右側の樹林帯の先にも場所があり、そこは設営に最適な場所でしたよ
ちなみに我が家はもう一度、常念〜蝶ヶ岳は歩くことになりそうです
あっ、剱岳のお写真は針ノ木岳かも
その左後ろが立山・剱の連山っぽいので。
カッコいい山ですよね
おはようございます。
もう、朝食をすませて、出勤中 ?でしょうか。
燕〜大天井〜常念の北アルプス、眺めが最高で見所満載 ですね。
そこで、>>山の声を聞く<<
ぼくも、やまが、迎え入れてくれるかな。
いつも素敵な一人遊びですね
それだけ山に没頭できる、雑念ばかりの僕には羨ましく思います
でも、一人ニヤニヤしてると怪しい人かも(笑)
あ、でも、これだけ展望に恵まれるとみんなニヤニヤしてますよね
昨年、僕は大天井まででした
今年はもう少し歩けるかな?と、妄想中です
monsieurのレコ、参考にさせて頂きます
スイカコーラスイカコーラ・・・
sweetpeaさん、ありがとうございます
過去の記憶を辿ってみても、ここまで天気に恵まれたのは珍しいと思っていますよ
半分くらいはレインウェアを着て歩いているような雨男ですから
sweetpeaさんは、未だにレインウェアを着たことがないですよね
究極の「晴れ女」のあなたは天気予報を無視しても大丈夫ですよ
テント設営後の昼寝には嵌まってしまいそうです
サイトがもうひとつあるのは見ていて傾斜が少ないことも判別できたのですが、本降りの雨に気を取られて荷物の移動も面倒になったのが実際のところです。
ソロだとこのあたりがずぼらになります・・・
あの山は剣岳じゃないんですね
何の疑いもなかったのが恥ずかしい
山の位置関係を全く把握できていなくて、北アルプスだから北にあるんだろうくらいの感覚です。
今回でいくつか覚えたつもりでしたが・・・
はい、メッセージをいただいた時間にはもう仕事は始まっています。(眠いことには違いないのですが )
「やまが」迎え入れてくれる訳ではないと思いますよ
「自分自身が」山に迎えられている実感を持てればそれ以上はないじゃないですか
動くのも感じるのも自分ならば、主語は「自分」ですよね
nobuchiさん、腹が出ますよ
一人で歩くといろんな言葉や映像が出てきます。
(雑念だらけですよ・・・)
その中のひとつと仲良くなってしばらく遊んでいるのが好きなんでしょうね・・・
書いていて自分を怪しみ出しますが
そんなわけで、とても「山に没頭」しているわけではなさそうですよ。
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