赤岳・阿弥陀岳(過去レコです)。
- GPS
- 32:00
- 距離
- 12.4km
- 登り
- 1,429m
- 下り
- 1,432m
天候 | 晴れ。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2009年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
階段、鎖が次々。 |
写真
感想
以前、美濃戸まで車で入ったことはいいものの、駐車スペースを確保するのに苦労したので、今回はネットで調べて美濃戸の「やまの子村」に駐車予約を入れ、駐車料金2000円を振り込んておいた。
富士登山から帰ってようやく脚の脹れが取れた一週後の9月5日、中央高速道路は大した渋滞もなく諏訪南ICで降り、美濃戸口へとスムースに車を進める。美濃戸口からの凸凹道、ナビを見ると車は空中を飛んでいる。美濃戸口から歩いている登山者が、道端によけて車を通してくれる。歩けば美濃戸まで一時間の道のりを、対向車にも会わず無事「やまの子村」に到着。手前の駐車場はすでに満杯であり、2000円の振込み領収書を渡して奥の駐車場へ車をとめる。 雲は浮いているもののいい天気、今日は暑くなりそうだ。八ヶ岳山荘横の登山口まで少し車道を歩き、10時少し前に南沢に入る。道間違えが多発しているので、黄色のマーキングを目当てに登るようにと注意書きがある。堰堤を越え、すぐ先の橋を渡って左岸に渡り、雑木林の中の湿った道を進む。陽が差し込まない中、風も無く、じきに汗が出始める。30分程経ったところで立ち止まり、長袖シャツを脱いでTシャツ一枚になる。緑の苔におおわれ、絨緞を敷いたような森、まるで北八ヶ岳を歩いているように静かで柔らかい。黄色の目印を頼りに登るが、なんだか怪しげな踏み跡になり、滑り落ちそうになりながら進む。何度か沢を渡り返し、水音が徐々に下に遠のき、やがてその水音も途絶える。なだらかではあるが石積みの登山道は滑りやすい。森の中から白河原へ出る道は大きな倒木が重なって塞がれている。これを乗り越えて一面岩だらけの明るい白河原に出ると、景色は一変し正面に大同心を仰ぎ見るようになる。黄色の目印に従って再び林の中に入り、石がゴロゴロ転がる歩きにくい溝の中を行く。石がゴロゴロ、お腹もゴロゴロ、もよおしてくるが我慢して進む。しばらく林の中を歩いて再び白河原に出ると、正面の稜線上に赤岳展望荘が見える。今日はあそで泊まるんだが、まだまだ登らないといけないんだ。白河原を渡って林の中に入ると間もなく行者小屋に到着。トイレに駆け込み、スッキリ。横岳、赤岳、阿弥陀岳に囲まれた行者小屋はそれぞれの登山道の集まる所、小屋の前の広場には大勢の人が休んでいる。もう12時42分、ベンチに腰をおろしてオムスビを取り出す。デザートにナシを剥いてかぶりつく。ここは豊富な飲み水があるが、展望荘は天水なので歯も磨けないかもしれないと、ペットボトル2本に水を入れる。冷たくって美味い水、口にもたっぷり注ぐ。稜線上に展望荘が見えるが、それから続く赤岳、阿弥陀岳は雲の中。13時過ぎ、地蔵尾根の登山口に入る。登るにつれ勾配はきつくなり、ゆっくりゆっくり登るが息が切れる。30分程登って小休止。ひと息ついて登り始めると最初の梯子が現れる。しっかりしたスティール製の階段であるが、何せ段差が高く、上がり切ると心臓がバクついている。心臓を落ち着かせながらゆっくり急坂を登ると、二つ目の梯子が現れる。これもまたスティール製で段差が高い。すぐに3っつ目の階段。これはちょっと短いので大丈夫だが、その先は鎖のついた岩場。下って来る人が上で待ってて呉れている。その後も鎖の連続。赤いよどかけ、赤い布を冠ったお地蔵さんが座っている。その横の崩壊しそうな赤茶けた岩肌に壊れかけの木の階段が付けられている。階段の上部は崩れ落ち、鉄製のパイプで補強されているのが見える。この階段を慎重に登り、小岩ゴロゴロの登山道をジグザグに登る。ゴツゴツの岩場を鎖にしがみついて登ると「地蔵の頭」、そこは主稜線。お地蔵さんが鍵のついた賽銭箱を前にして座っている。ん? 前来た時は清里を向いて座っていたと思うんだが、今日は反対側の原村を見おろしている。地蔵尾根を登ってくる人の励みにするため向きを変えたのかな。見おろすと緑広がる森の中に行者小屋、小山を挟んだ反対側に赤岳鉱泉が見える。そこから赤岳展望荘まではすぐ、行者小屋から急坂を登ること1時間25分で小屋に到着。登山口から4時間半にしては随分しんどい登りであった。4時までに小屋に着ければいいと考えていたのだがまだ2時半。受付で記帳し、渡された紙コップに名前を書き、それを黄色のプラスティックの枠に入れる。これを持っていると、コーヒー、お茶、お湯が飲み放題だと云う。食堂で畳に座り、お菓子を食べながら生ビール、それが終わって持参のウイスキー。5時15分からの夕食まではまだ時間があるので部屋に戻り、目覚ましを5時にかけ、いい気持でお昼寝。5時15分に食堂に行くと、人の列が出来ていて玄関の外まで溢れ出ている。ビュッフェスタイルと云う事で、入り口でお盆と皿を貰い、順番に料理を皿に盛るので時間がかかる。おかずはタップリあり云う事は無いが、ご飯がいただけない。気圧の低い所では圧力釜で炊くぐらいのサービスがあってもいいと思う。食後、コップにコーヒーを入れ外に出る。カモシカはいないかな。いない。6時に部屋に戻って布団をかぶるも、いつもの通りうつらうつらと夜を明かす。
4時半に目を覚まし、5時から朝食。ビュッフェスタイルでおかずも色々あって良い。朝食後、コーヒーカップを持って外に出ると、一面ガスに覆われて乳白色の世界。6時に小屋を発ち、赤岳に向かう。ストックはザックに付け、手袋をして岩場の登りに備える。すぐに県界尾根を左に分け、赤岩がゴロゴロ転がっている登山道を登るが、朝一番の急な登りで心臓がバクバク波打つ。ゆっくりゆっくり登り、心臓を落ち着かせる。後から来た人がわたしを追い越して行く。少しづつガスが流れ、ガスの晴れ間から赤岳山頂が見え隠れする。山頂まで登る人、下ってくる人、結構人も多そうだ。20分もしないうちに鎖場にかかる。赤いゴツゴツした岩場、渋滞が生まれ、わたしを追い越して行った人達に追いつく。広い岩場、鎖に添って列が出来ているが、鎖に頼らなくても登ることが出来、渋滞で並んでいる人達を追い越す。赤岳にかかっていたガスはすっかり晴れ、阿弥陀岳にかかった白い雲に丸い虹が出る。ブロッケンが出るかなと思い手を振るが、わたしの影はちょっと方向違い。40分ほどかかって頂上に到着。狭い山頂は人で一杯だが、岩場に腰をおろしてひと休み。御嶽、乗鞍、中央アルプスは望めるが、北アルプス、南アルプスは雲の中。雲の間から一瞬、富士の頭がのぞく。今までいろんな山から見てきた富士山たが、先週頂上を極めたことで身近に感じられ、思わず、「わたしの富士山」。一向に雲が流れ去る気配はないので下りにかかる。取り敢えず文三郎尾根分岐まで下って、阿弥陀岳に登るかどうか考えることにする。前回下った頂上直下の急降下の岩場は閉鎖され、左側に鉄梯子が付けられている。これを降りたテラスで、権現岳への道を左に分ける。それを少し過ぎた所で夫婦連れが地図を取り出して思案している。「どこへ行くんですか?」、と聞くので、「阿弥陀岳」、と答える。「真教寺尾根に行きたいんですが・・・」、と云うが、わたしは生憎それがどこなのか知らない。分岐からも鎖の岩場の連続だ。見上げると先程の夫婦も四苦八苦しながら下りてくる。帰ってから地図で調べてみると、真教寺尾根は清里へ下る道で、権現岳方面へ進んでしばらくの所に下降点がある。あの夫婦は一体どうなってしまったのだろう、地図を見ていたんだから判る筈なのに。途中で気がついてこの岩場を登り返したのならまだいいのだが。黒部五郎で会った東京の人達の姿が重なった。痴呆症気味の人達は近場の低山で我慢し、こんな所には来てはいけません。急な長い岩場、鎖を頼りに慎重に下る。赤い岩場に咲く白いトウヤクリンドウが秋の訪れを感じさせる。すっかりガスは流れ去り、青空が広がり、朝日が阿弥陀岳を照らす。その手前、中岳にピタリと赤岳の影が重なる。これはそうしょっちゅう見られる光景では無いだろう。影で黒くなった中岳の向こうに、ひと回り大きい阿弥陀岳が朝陽を浴びて明るく見える。中岳を越えて阿弥陀岳の頂上に至る登山道が見え、下るにつれ阿弥陀岳の頂上はどんどん高くなる。文三郎尾根との分岐に至り、考えることもなく中岳への鞍部に向かう。広い岩礫の尾根、鞍部に向かってジグザグにつけられた道を滑りながら下る。高山植物の女王コマクサが白地にピンクの花を咲かせている。あちらにもこちらにも。優雅な華やかさに加えて、花びらについた露が清楚な雰囲気を醸し出している。鞍部から中岳までは岩稜の登りだが、鎖を掛けるほどのものではなく、およそ10分で頂上に到着。目の前に阿弥陀岳が聳えている。まだ8時前、時間はたっぷりあり、阿弥陀岳にも登ることに決定。阿弥陀岳との鞍部に向かって中岳を下る。鞍部では行者小屋からの道が合流し、そこを登って来た団体さんも加わって賑わっている。長袖シャツを脱いでTシャツ一枚となり、ザックをデポし、ペットボトル一本だけ持って阿弥陀岳への鉄梯子に取り付く。鎖の付いた岩場の連続。岩肌に、タカネナデシコが赤く染めた現代風の若者の髪型のように花びらを逆なでている。前を行く団体さんを追い越して、三点支持で急な岩場をよじ登り、8時40分、阿弥陀岳頂上に立った。すっかり空は晴れ渡り、赤岳からゴツゴツ続く稜線は横岳、いつぞや登った硫黄岳の平らな山頂、そして北八つへと延びる山々が見渡せる。団体さんが上がってくるのを待って下山開始。下りは登りより物騒、慎重に足場を選んで下り、無事鞍部に降り立つ。デポしておいたザックを背負い、行者小屋への道を下る。8月初めの長雨で道は崩壊し巻き道が作られているが、出来立ての道は滑りやすく危なっかしい。本道に戻るとこれはしっかりした道、足早やに下ると後からおじさん二人がついてくる。こちらはダブルストック、段差の高い場所でもスイスイ下る。おじさん達はその度に離れる。文三郎尾根との合流部で小休止。あとは林の中をひと下りすると行者小屋のテン場に出る。行者小屋で大休止、リンゴを剝いてかじりつく。朝飯が早く、小腹も空いてきたがまだ10時ちょっと過ぎ、昼飯にはちょっと早いので食事はせず、20分ほど休んで出発。白河原から森の中に入り、石ゴロゴロの溝を歩く。女性を混じえた若者たちが慣れた足運びでわたし達を追い抜いて行く。この山も富士山同様若い人が多いが、富士山と違って皆さん山慣れしている。黄色の目印を頼りに50分ほど下り、沢と山道が交差する大岩のある河原でひと休み。さらに下って、行者小屋から2時間、12時24分に登山口に帰り着いた。やまの子村で昼食を摂り、ガタガタ道を美濃戸口へ。「もみの湯」で汗を流して帰途に着いた。
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