谷川岳・一ノ倉沢 烏帽子奥壁 南稜
- GPS
- 14:52
- 距離
- 10.0km
- 登り
- 1,453m
- 下り
- 862m
コースタイム
- 山行
- 12:25
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 12:25
- 山行
- 1:52
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 1:52
山岳会の頃は何度も行った場所ですが、大先輩のスギウラさんからお誘いが無ければ、もう一生縁が無かったかもしれない(笑)
当のスギウラさんは、先週に風邪をこじらせたそうで心配だったけど、何とか大丈夫とのことで決行です。。。
天候 | 10/21:晴れ→ガス→晴れ 10/22:曇り→雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
前日、まず土合(どあい)へ移動して・・・
夜に、谷川岳ロープウェイ駅の駐車場(ベースプラザ駐車場)へ行ってスギウラさんと合流。ベースプラザ駐車場で車中泊。
******************
朝4:00起床。
トイレで洗顔、準備して、4:30 駐車場を出発。
まだ夜明け前、真っ暗の中を一ノ倉沢へ向かって歩く。
林道沿いに案内板やベンチが定期的に設置してある。
観光客向けですね。昔とだいぶ変わったなぁ・・・。
5:24 一ノ倉沢の出合に到着。
ザックからハーネスや登攀具を取り出して、ここで装着。
準備中に夜が明け始めた。
右岸にある巻道を歩き始めるが・・・しばらくしてトレースが消えて迷う。
沢に下りる道を見つけて降りて、今度は沢通しに進むが・・・
少しイヤラシイ登りも時々・・・
ヒョングリの滝の少し前で、Fixを上がる前、スリングを出そうとしてうっかりカメラが肩から滑り落ちた・・・が、なんと足元の小さな深い水たまりにホールインワン!!!
愛用のカメラが完全水没! ご臨終してしまいました。
空は待望の晴天なのに、心の中はもうすっかり雨・・・ガッカリです。(T_T)
でも落ち込んではいられない。
予備のオクサン用カメラへ切り替えて・・・。
先に進まないと・・・。
ヒョングリの滝は・・・
高巻き地点がよくわからず、右岸のガラ場から急傾斜の草付きを強引に登る。何とか高巻き道に合流したが・・・消えた区間はどうなっているのか???
ヒョングリの滝へは定番の懸垂下降。
テールリッジへの取り付きも少し間違えた。
リッジへ向かって少し右から取り付くのが正解でFixもあるのだが、気付かずに左側からスラブを上がってしまい、だいぶ緊張するイヤな登り。
オクサンが心配なので途中でロープを出してアンザイレンしたあとで、すぐ右にFixを発見。ついでにそのまま50mいっぱい登って、オクサンをビレイしてロープを解く。
あとは快適にテールリッジをひたすら登り・・・。
『神々のトラバース』も今はFixがバッチリあって昔のようなプレッシャーは無い。でも疲れるのは相変わらず。息が切れる。
8:15 中央稜の取り付きで一休み。
朝ごはん休憩。
衝立岩を見ながら、S浦さんと昔話し。
8:50 南稜テラスに到着。
ここまで長かった。途中迷って時間ロスしたが、ようやくクライミング!
9:05 クライミング開始。
今回は3人パーティの変則パターン、しかもオクサンはマルチピッチはほぼ初めて。スピーディーにこなすため、リード交代なしに決定。スギウラさんに全てリードをお願いして、私はオクサンを教えながら回収&フォロー。
スギウラさんが登り始めてすぐ、後続パーティが南稜テラスに来た。はるか下を見下ろすと、ヒョングリの滝の下に、迷ってる3人組パーティが見える。この時間であの場所では取り付きに着くのはかなり遅くなりそうですね。。。
昔よりピトン(ハーケン)がだいぶ少ない気がする。
30年前はピトンに導かれて登った気がするが、今はルート図とラインをしっかり読んで、ピトンを探しながら進まないとならない。
しかしそのピトンも古い! ピトン間隔もそれなりにあるので、もしも落ちたら多分止まらないな。とうてい落ちるとは思えない難易度だけど、だったらロープなんて要らない気もするけど・・・コレがいかにも!!の日本のアルパインルートですね。。。
標高が上がるにつれて、一ノ倉らしい豪快な眺めが広がってくる。
30年ぶりに帰ってきた!!
心が弾む!!
若い頃の色々な思い出がよみがえる!
まだ学生の頃、山岳会(稜朋会)に入って・・・
入った動機は『単独で厳冬期の稜線を歩けるようになりたい』だったけど・・・、『だったらやっぱり岩登りからだね』って言われて、越沢バットレスで岩トレ三昧だった。
初合宿では、GWの前穂北尾根や北穂東陵で感動だったけど・・・
会に入って2回目の山行が、ここ一ノ倉・南稜ルートだった。
登るにつれて足元に流れる雪渓、遠くなるテールリッジ。左に立ち上がる3スラ、右上に聳える烏帽子岩・・・。圧倒的な高度感にすっかり酔いしれてしまった・・・
当時は一ノ倉はとても賑わっていて、壁中あちこちクライマーだらけだったっけ。
最後のピッチは、南稜で最も岩登りらしいパート(V-)。
昔は登山靴やジョギングシューズで登って『フリーで出来そうな?でも怖いからA0』って感じだったが、30年ぶりに(しかもクライミングシューズで)やってみるとすごく簡単・・・。
そんなもんなんですね〜。
12:00 岩登り最終ピッチ終了。
時間は充分にあるので、このまま草付きを登って国境稜線を目指す。天気が急に悪くなりだし、ガスが湧いてイヤな雰囲気。
ロープはつけたまま、草付きと岩場のミックスを登って、さらに約200m。
13:00 懸垂岩の下に到着。
ロープを片付けて、あとはひたすら一ノ倉岳を目指す。
トレースが、かなり荒れている。
あまりクライマーが入っていない気配??
30年前に一度登ったことがあるはずなのに、記憶と重なる部分が何もない。こんなだっけ?
5ルンゼの頭は、浮石だらけで草付きもボロボロで非常にイヤな感じ。
もちろんアンザイレンで、リードはここもS浦さん。
しかし、5ルンゼの頭って、こんなだったっけ??
S浦さんも『昔はこんなじゃなかった』って言ってるし・・・。
かなり荒れたんですかね・・・。
5ルンゼの頭を越えてもまだ緊張する岩場が続く。
霧が濃くて岩とブッシュが濡れて滑りそうなイヤな感じ。
ようやく岩場がなくなり、熊笹の急登をヤブ漕ぎ。
過去のトレースはほとんど消えていて、トレースを探しながら、深く急峻な熊笹をかき分け、這い上がる。霧が深くて展望はきかず、あとどれくらい登ったら終わるのか全く分からない。つらい・・・。
時々霧が薄くなりピークらしいものが見えて「あそこまでか!?」と期待させるが、着いてガッカリ、じつはまだまだ・・・熊笹の急登が続く。霧で先が見えない。
精神的につらい登りが続く・・・。
・・・と、突然、霧が晴れた。
目の前に、国境稜線!こんどは間違いなしだ!!
国境稜線に着いて、まずは完登の握手。
そして、すぐ目の前の頂上へとりあえず向かう。
15:23 一ノ倉岳・頂上に到着。
登攀具をザックにしまい込み、あとはひたすら下山です。
日没までどれだけ降りれるかが勝負。
半分駆け下りれば2時間以内!って踏んで歩き始めるが・・・
しかしここで、あんなに元気だったスギウラさんが、パッタリ歩けなくなった。少し歩いては座って眠ってしまう。どうしちゃったのか?
この状況で無理に下山続けても大丈夫か? 肩の小屋がまだ営業しているはずだが、利用すべきか? 悩ましい。
遅々として進めない中、時間だけが無情に進行・・・。稜線上の天気は晴れたり激しくガスったり・・・。また晴れたらすごい青空になった!!
スギウラさんはやっぱり歩けない。
ダメそうな感じだ。。。
16:55 谷川岳(オキの耳)に到着。
トマの耳(標高1,963m)は山頂前を通過。
もう真っ暗でそれどころではないので・・・
今日中に下山するはずだったが・・・断念。
明日は出勤予定だったがやむを得ない。。。
肩の小屋で一泊することに決めて、オクサンを付き添いで残して、取り急ぎ私だけ走って小屋へ急行。小屋番さんに事情を話して、荷物を置いて、迎えに登り直したら、頂上直下でオクサンとスギウラさんに合流した。
今日は小屋泊まりです。
肩の小屋の管理人さんがとても親切で・・・
急な泊まりなのに、おにぎりと味噌汁を提供して頂いた。疲れきった体に滲みるような美味しさだった。。。
管理人さんは、以前は谷川岳登山指導センターにいた方だそうで、最近の遭難事例や、ルート状況、登山条例破りの不届き者の話など、色々と面白かった。
登山ブームに乗った営業全面の小屋と少し趣が違っていて、とてもよい感じです。
想定外ばかりが連発した一日。
最後の想定外は、下山のつもりが小屋泊り・・・。
思い出に深く残る山行になること間違いなしです。。。f^_^;
******************
■予定外の2日目■
4:00 起床。
まだ暗闇の中、速攻で下山するつもりだったのですが・・・
小屋の外はすごい強風と濃霧。
様子見のためにヘッデンを付けて外に出てみるが、濃霧にヘッデンの明かりが乱反射して2m先も見えない。これで行動しても遭難間違いなしです。これこそが谷川岳の恐ろしさ!!
やむなく明るみ始めるのを待つ。
5:45 明るみだして強風も少し治まってきた。
肩の小屋の管理人さんにお礼を言って出発。
天神尾根から田尻尾根経由で土合を目指す。
でも、この時間なら天神平から8:00始発のロープウェイで降りた方のが早いかな?? 歩き始めるが・・・
昨夜、寝ている間に腫れてきた左足首がだいぶ痛い。そんな私の足に良くない歩きにくい道。
緩んだ関節を筋力で抑えて歩くので疲れる。結局、メンバーと相談して、天神平からロープウェイで降りることに決定した。
6:42 熊穴沢避難小屋で休憩。
7:21 田尻尾根分岐を通過。
7:37 天神平駅に到着。
雨も降りだした。
天気予報では晴れのはずだが、谷川岳の天気はやっぱり別モノだと再認識。
土合駅(ロープウェイ)に着いた後は、
駐車場代金を払って、会社に連絡して(仕事に穴をあけてしまった)、登山指導センター寄って下山カードを提出して・・・
あとは自宅へ向けて運転のみ。
夕方から出勤です。。。
******************
■後記■
30年ぶりの一ノ倉はとても印象深い山行だった。
スギウラさんは、我が山岳会の中心だった名クライマーで、一ノ倉の全ルートを登っている強靱なクライマー、私の大先輩です。今回こじらせた風邪が直った前提で入山しましたが、下山後に病院に行ったら、なんと肺炎と診断されました。どうりで!! むしろ肺炎でこの行程をこなしたのは驚きですね〜。😱
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